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2章新たなる旅立ち

新しい世界

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ガイムとの激しい戦いを終えたゼクス、ラクス、アマルフィは、ついに長きにわたる旅路を終えた。しかし、城を包んでいた闇が消え去った後も、彼らの心にはまだ不思議な感覚が残っていた。終わりを迎えたはずなのに、何かがまだ彼らを呼んでいるような気配を感じたのだ。

ラクス「やっとガイムを倒せたのに…何かがまだ終わっていないような気がするのは、私だけ?」

アマルフィは頷き、険しい表情で辺りを見渡した。

アマルフィ「確かに、私も同じことを感じている。ガイムを倒したはずなのに、何かが…まるでまだ私たちを見ているような気がする。」

ゼクスは剣を握りしめ、静かに前を見据えた。

ゼクス「ガイムを倒したことで、新たな何かが目覚めたのかもしれない…この旅は終わったが、俺たちの戦いはまだ続くのかもしれない。」

三人は少しの間沈黙し、再び前に進み始めた。ガイムがいなくなった城は静寂に包まれていたが、その静けさが不気味に感じられた。

城を出た彼らは、外の世界が以前とはまるで違う様子になっていることに気づいた。空は澄み、太陽が光り輝いているが、どこか現実感が薄れているように感じた。まるで夢の中にいるかのような、不思議な感覚だった。

アマルフィ「これは一体…何が起こっているの?」

突然、目の前に一筋の光が差し込み、その中から一人の人物が現れた。彼は長いローブを纏い、静かに彼らに向かって歩み寄ってきた。

???「おめでとう、ゼクス、ラクス、アマルフィ。ガイムを倒したことで、確かに一つの運命が終わった。だが、それは新たな運命の始まりに過ぎない。」

ゼクスはその人物を見据え、剣を構えた。

ゼクス「お前は誰だ?何者だ!」

その男は穏やかに笑い、答えた。

男「私の名はエリトラ。私はこの世界を見守る者だ。そして、ガイムが支配していた闇の力が消え去った今、この世界に新たな秩序を作る必要がある。それが、お前たちの次なる役目だ。」

ラクス「新たな秩序?どういうこと?」

エリトラは空を見上げ、穏やかに語り続けた。

エリトラ「ガイムが支配していた闇は確かに強大だった。しかし、その闇を倒したことで、世界には新たな空白が生まれた。力の均衡が崩れた今、この世界には再び混乱が訪れるかもしれない。お前たちには、その均衡を保つ役目がある。」

ゼクスはその言葉に一瞬困惑したが、すぐに冷静さを取り戻した。

ゼクス「つまり、俺たちは次に来る混乱を止めるために戦い続けるということか?」

エリトラは頷いた。

エリトラ「その通りだ。ガイムを倒したことで、お前たちは強大な力を手に入れた。しかし、その力はこれからの世界を守るために使われなければならない。」

アマルフィは少し悩んだ表情を浮かべながら、エリトラに問いかけた。

アマルフィ「私たちが…この世界の未来を守る?でも、そんな大きな役割を果たせるのかしら…」

エリトラは微笑んでアマルフィに答えた。

エリトラ「君たちはすでにそれを証明している。ガイムのような強敵を倒したのだから、未来を切り開く力は君たちに備わっている。」

ラクスも深く息をついて、静かに決意を固めた。

ラクス「分かったわ。あんたが言うことが正しいなら、私たちは戦い続けるしかない。だけど、次はどこに向かえばいいの?」

エリトラは手をかざし、目の前に光の地図を浮かび上がらせた。

エリトラ「この世界の中心に、さらなる力を求める者たちが現れ始めている。彼らはガイムとは違うが、同じように強大な力を手にしようとしている。お前たちがその力の均衡を守るため、彼らと対峙しなければならない。」

ゼクスは剣を握りしめ、前に一歩踏み出した。

ゼクス「俺たちは、これまで戦ってきた。そしてこれからも戦う。世界のために、仲間のために…新たな戦いが待っているなら、俺たちはそれを受け入れる。」

ラクスとアマルフィも、ゼクスに続いて頷いた。

ラクス「ええ、私たちが力を合わせれば、きっとどんな敵にも勝てるわ。」

アマルフィ「次の戦いがどんなに厳しくても、私たちは進み続ける。」

エリトラは満足げに頷き、再び微笑んだ。

エリトラ「よろしい。お前たちの旅はまだ終わらない。だが、これからはお前たちが世界を導く存在となる。頑張るんだ。」

その言葉を残し、エリトラは光の中へと消えていった。彼らの前には、新たな旅路が広がっていた。

ゼクス、ラクス、アマルフィは静かに前を見つめ、再び歩き出した。

ゼクス「行こう。俺たちにはまだやるべきことがある。」

ラクス「ええ、未来のために。」

アマルフィ「私たちの旅は、まだ終わらないものね。」

三人は笑い合いながら、新たな戦いに向けて歩みを進めた。彼らは知っていた。この先にどんな困難が待っていようと、共に力を合わせれば、必ず未来を切り開くことができると。
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