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一章出会いと旅立ち
第十一話:鏡の迷宮
しおりを挟むゼクス、ラクス、アマルフィはヴォルテールとの戦いを終え、再び城の奥へと進んでいた。彼らの前にはまだ未知の強敵が待ち構えていることは明白だったが、笑いの剣の力が少しずつ強まっていることが彼らの希望となっていた。
アマルフィ「次の敵もきっと厄介な相手よ。気を引き締めて進みましょう。」
ゼクスは剣を握りしめ、先を見据えて進んでいく。
ゼクス「ここまで来た以上、後戻りはできない。ガイムを倒すために、俺たちはどんな敵にも立ち向かう。」
ラクス「そうよ、ゼクス。あんたの剣の力が私たちの切り札だもの。負けるわけにはいかない。」
三人は険しい道を進み、やがて巨大な鏡が並ぶ異様な部屋にたどり着いた。壁一面に鏡が張り巡らされており、どの鏡も不気味な光を放っている。そこに一歩踏み入れると、部屋全体が光に包まれ、突然、鏡の中から声が響いた。
???「ふふふ、ここに足を踏み入れた愚か者たちよ。お前たちは二度とこの部屋から出ることはできない。」
ゼクスは剣を構え、声の方向を探った。
ゼクス「誰だ!姿を現せ!」
すると、鏡の中からゆっくりと一人の男が現れた。彼の姿はまるで鏡のように反射しており、どこか不気味な光沢を持っていた。彼の名前はミラーマン。ガイムの配下であり、鏡の能力を操る強敵だった。
ミラーマン「私はミラーマン。この鏡の世界で、貴様らは自分自身と戦うことになる。私の能力の前では何もできぬ。」
ラクス「鏡の能力…!?どういうこと?」
ミラーマンは冷笑を浮かべ、手をかざすと、突然、鏡の中からゼクス、ラクス、アマルフィの姿が反射され、それが実体化して部屋に現れた。彼らの鏡の分身が、まるで本物のように動き出した。
アマルフィ「これは…私たち自身が相手なの?」
ミラーマン「その通りだ。自分自身と戦い、己の弱さに打ち勝てるならば、この部屋から出ることができるだろう。」
ゼクスの鏡像は、笑いの剣を持ち、冷酷な表情で彼に向かって構えた。ラクスとアマルフィも同様に、自分の分身に対峙することとなった。
ゼクス「自分と戦えというのか…!」
鏡のゼクスは無言で剣を振りかざし、ゼクスに襲いかかった。二人の剣が激しくぶつかり合い、火花を散らした。
ゼクス「これは…本物と同じ力を持っているのか…!」
ミラーマンは冷笑を浮かべながら、その様子を楽しんでいた。
ミラーマン「貴様らは自分の力を知っているつもりだろうが、鏡の前ではそれが己の弱点となる。」
ラクスは鏡の自分を前に、攻撃を仕掛けたが、相手も全く同じ動きをし、攻撃を完全に防いでいた。
ラクス「何なのこれ!?全く同じ動きをしてくる…!」
アマルフィもまた、アポストロフを構えて鏡の自分に水の矢を放ったが、相手も同様に水の矢を放ち、互いの矢がぶつかり合って消えた。
アマルフィ「これじゃあ、何も進まない…!」
ゼクスは鏡の自分と剣を交わしながら、自分の弱さを感じ始めていた。相手はまさに自分自身の姿であり、すべての動きを完全に読み取っていた。
ゼクス「俺は…自分に勝たなければならないのか…」
その時、ラクスが叫んだ。
ラクス「ゼクス!あんた、自分を倒そうとしてるけど、それじゃ勝てないわよ!自分の弱さを認めて、それを乗り越えなきゃ!」
ゼクスはその言葉にハッと気づいた。
ゼクス(自分を倒すことじゃない…自分の弱さを受け入れることが必要なんだ。)
ゼクスは剣を握りしめ、攻撃をやめた。鏡の自分が再び攻撃を仕掛けようとする瞬間、ゼクスは静かに目を閉じ、心の中でつぶやいた。
ゼクス「俺は…一人じゃない。ラクス、アマルフィ、みんながいる。俺の弱さも、仲間が補ってくれるんだ。」
すると、鏡のゼクスが動きを止めた。そして、その姿が徐々に消えていく。
ミラーマン「何だと…!?」
ゼクスは笑いの剣を構え直し、再び輝きを取り戻した。そして、その光をミラーマンに向かって放った。
ゼクス「俺たちは仲間だ。自分一人ではなく、共に戦う力があるんだ!」
ミラーマンはゼクスの攻撃を防ごうとするが、その光に飲み込まれ、鏡の分身たちが次々に消え去っていった。
ラクス「やったわ!ゼクス、さすが!」
アマルフィ「自分の弱さを受け入れること…それが答えだったのね。」
ミラーマンは倒れ込み、苦しそうに声を絞り出した。
ミラーマン「ガイム様…私はここまでか…だが、お前たちはまだ終わらない…」
ミラーマンは完全に消滅し、部屋には再び静けさが戻った。
ゼクスは剣を鞘に収め、息を整えた。
ゼクス「自分の弱さを認めること…それが大切だったんだな。」
ラクス「そうよ、ゼクス。あんたが弱さを受け入れたからこそ、勝てたのよ。」
アマルフィも微笑んで頷いた。
アマルフィ「次の試練もきっと厳しいわ。でも、私たちはもう負けない。」
三人は再び前に進み始めた。彼らの旅はまだ終わらない。ガイムとの最終決戦に向けて、さらなる強敵が待ち受けているのだった。
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