9 / 19
一章出会いと旅立ち
第九話:進撃の決意
しおりを挟むガイウスとの激しい戦闘が終わり、ゼクス、ラクス、アマルフィは深い息を整えていた。ガイウスのプラズマの強大な力を打ち破ったものの、その戦いは三人に大きな疲労を与えていた。ホールに静寂が戻る中、彼らは次の行動を考え始めた。
ラクス「さすがに、ガイウスの力には驚いたわ…でも、まだこれで終わりじゃないはずよ。」
ゼクスは剣を鞘に収め、重々しい表情で頷いた。
ゼクス「そうだな。ガイムの本拠地にたどり着くまでは、さらに強大な敵が待っているだろう。」
アマルフィはアポストロフを見つめながら、深く考え込んでいた。
アマルフィ「私たちの力でここまで来れたのはいいけれど…本当にガイムを倒せるのかしら?」
ラクスはアマルフィに近づき、力強く言った。
ラクス「大丈夫よ、アマルフィ。あんたの弓がなければ、あのガイウスだって倒せなかったんだから。それに、ゼクスもまだ笑いの剣の真の力を引き出していないんでしょ?」
ゼクスは少し無言で考え込んだ後、静かに頷いた。
ゼクス「確かに、俺はまだ笑いの剣の本当の力を引き出せていない。でも、俺には笑う理由がわからない…それが最大の壁だ。」
アマルフィはゼクスに歩み寄り、彼の目を見つめながら言った。
アマルフィ「ゼクス、私たちが一緒にいる限り、必ず笑う理由が見つかるわ。私たちは仲間よ。どんな困難が待っていても、共に進むことができる。」
ゼクスはその言葉に少しだけ表情を和らげた。
ゼクス「ありがとう、アマルフィ。」
三人はホールを後にし、城の奥へと進み始めた。道はさらに険しく、冷たい空気が漂っていた。壁には古い魔法のルーンが刻まれており、どこか不気味な気配が満ちていた。
ラクス「この城の奥には何が待っているのかしら…もうすぐガイムの本拠地に近づくはずだけど。」
アマルフィは周囲を警戒しながら、進むべき道を考えていた。
アマルフィ「ガイウスを倒した今、ガイムも私たちの存在に気づいているはずよ。何かしらの罠が仕掛けられているかもしれないわ。」
ゼクスは剣を握りしめながら、さらに警戒を強めた。
ゼクス「これまでの敵とは違う、真の力を持つ敵が現れるかもしれない。気を抜くな。」
三人は言葉少なに進んでいたが、その時、遠くから奇妙な音が聞こえてきた。金属が擦れるような音と、低く唸る声が徐々に近づいてきた。
ラクス「何か来るわ…!」
ゼクスは剣を構え、アマルフィはすぐにアポストロフを引き絞った。突然、目の前の床が激しく揺れ始め、地面が裂けるようにして巨大な扉が現れた。
扉がゆっくりと開き、中からは巨大な鎧をまとった騎士のような存在が現れた。全身が黒く輝く鎧に包まれ、背には巨大な斧を背負っていた。目には鋭い光が宿っており、口元からは黒い霧が漏れ出していた。
アマルフィ「この気配…ただの敵じゃない…!」
謎の騎士「貴様ら、ここから先へ進むことは許されぬ。私はアンゴラス、毒の使い手だ。ガイム様の命により、ここで終わりだ。」
アンゴラスは一言も発することなく、すぐに巨大な斧を振り上げてゼクスたちに襲いかかってきた。ゼクスはその攻撃を避け、剣で応戦しようとしたが、斧の一撃はあまりにも重く、簡単には防げなかった。
ゼクス「この力…!」
ラクスはルーンアルバトロスを振りかざし、素早くアンゴラスの横を斬りつけたが、鎧が硬すぎて傷一つつけられなかった。
ラクス「何て硬さなの…!」
アマルフィはすかさずアポストロフを構え、水の矢を生成して放った。矢はアンゴラスの鎧に命中したが、その体勢を崩すことはできなかった。
アマルフィ「まずい…この鎧、何か特殊な力で強化されてる…!」
さらに、アンゴラスが斧を振りかざすたびに黒い霧が広がり、周囲に毒の気配が充満していった。ゼクスはその毒を吸い込まないようにしながら剣を構えるが、動きが徐々に鈍っていくのを感じていた。
ゼクス「これは…毒か…!」
アンゴラスはその隙を見逃さず、ゼクスに向かって斧を振り下ろそうとした。ゼクスは必死に避けるが、毒の影響で動きが鈍くなり、斧がかすかに彼の肩を捉えた。
ゼクス「くっ…!」
ラクス「ゼクス、下がって!毒が回っているわ!」
アマルフィは再びアポストロフを引き絞り、水の矢を生成してアンゴラスに放った。水の力は毒の霧を少しだけかき消したが、それでもアンゴラスの鎧は硬く、その力を弱めるには至らなかった。
アマルフィ「どうすれば…?」
アンゴラスは冷笑を浮かべながら、さらに毒を拡散させ、三人を追い詰めていった。
アンゴラス「毒に侵されるがいい。お前たちはここで終わりだ。」
ゼクスは剣を握りしめ、必死に立ち上がろうとするが、毒の影響で力が出ない。ラクスもアマルフィも毒の霧に苦しみながら必死に戦っていたが、アンゴラスの強大な力の前に徐々に追い詰められていた。
ラクス「ゼクス、このままじゃ…!」
ゼクスは自分の中で笑いの剣の力を引き出そうとするが、まだ笑う理由が見つからず、その力は封印されたままだった。
ゼクス「笑いの剣…今こそ、俺に力を…!」
その時、ゼクスの剣が微かに輝き始めた。しかし、それはまだ完全な光ではなかった。ゼクスはその輝きを頼りに、もう一度アンゴラスに向かって突進した。
10
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
【完結】勇者学園の異端児は強者ムーブをかましたい
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、pixivにも投稿中。
※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。
※アルファポリスでは『オスカーの帰郷編』まで公開し、完結表記にしています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる