遠距離花火、隣の君

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遠距離花火、隣の君

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遠距離花火、隣の君

春樹はるきは、高校3年生の夏、毎年恒例の花火大会を控えていた。親友の穂乃果ほのかと一緒に行くことが
恒例行事だったが、今年はどこか違う。穂乃果が最近よく話す同じクラスの男子が気になっているのだ。

穂乃果「春樹、今日の花火、楽しみだね!あのさ、智くんも誘っていい?」

その言葉を聞いたとき、春樹の心がざわついた。小さいころからずっと一緒にいた穂乃果は、いつも自分の隣にいる存在だった。しかし、知らない男の名前が出た時、今まで自覚しなかった感情が一気に溢れ出した。

「…うん、いいよ」と春樹は微笑んで答えたが、心は我慢ならなかった。

花火大会当日。さとしが加わったことで、穂乃果はずっと楽しそうにしていたが、春樹は穂乃果との距離がどんどん離れていくように感じた。花火が夜空に大きく打ち上がるたびに、心の中も揺さぶられる。

花火が最高潮に達した瞬間、穂乃果がふと振り返り、春樹に微笑んだ。「やっぱり、春樹と一緒が一番楽しいかも」

その一言に、春樹の胸がぎゅっと締め付けられた。穂乃果がどんな意味で言ったのかは分からない。それでも、彼女の隣にいるべきは自分だと強く思った。

花火が終わり、みんなが帰り支度をしているとき、春樹はふと決意した。「穂乃果、ちょっと話があるんだけど、少し時間もらっていい?」

穂乃果は少し驚いた様子だったが、智に「先に行ってて」と言って二人きりになった。

「何?」と笑顔で穂乃果が聞く。

春樹は一度深呼吸をし、心を落ち着かせて言った。「俺、ずっとお前のこと、友達だと思ってた。でも最近、それだけじゃないって気づいたんだ。俺お前のこと、好きだ」

穂乃果はしばらく黙っていたが、少し微笑んで答えた。「…もっと早く言ってよ」

彼女の目には涙が浮かんでいた。そして、二人の間にあった距離が、急に縮まったように感じられた。

終わり
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