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38話

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「いや、別に褒めてるわけじゃねえんだけど・・・」
「え~? 違うの~? すごいのに~」
「俺の言ったことの意味わかってる? 呼んだことが出来んだから、帰すことも出来るだろってことだぞ?」
「わかってるよ~。でも~、方法が~、わからないんだもん~」
「・・・ウソだろ?」
「む~。私は~、ウソなんて~、つかない~」
「ふ、ふざけんな!」

 姫さんは頬を膨らませ怒っているようだが、そんなことを気にするような余裕はない。

「勝手に俺をこっちに連れてきておいて今更帰せないってどういうことだよ!? じゃあどうすんだよ!? 俺は一生元の世界には帰れないのか!?」
「・・・ふ・・・」
「ふ?」
「ふぇ~~~ん!! 怒られた~~~!!」

 姫さんは大きな目から見る見る涙を溢れさせ、まるで小さい子供が泣くように、顔を覆うこともなくただ両手をぶらりと下げ、声をあげて泣きじゃくりだしてしまった。

「ちょ、な、泣くなよ! まるで俺が悪いみたいじゃんか!」
「姫様を泣かすとはなんたることブル!? よくて極刑ブル! 最悪極刑ブル!」
「どっちも極刑じゃねえか!」
「ふぇ~~~~~~ん!!!!」

 俺が怒鳴ったせいで姫さんは余計に泣いてしまう。

「ああもう! 悪かったよ言い過ぎた! ごめん! だからもう泣き止んでくれ!」
「ひっく・・・もう、怒らない~?」
「・・・たぶん?」
「ふぇええええん!!!」
「わかった! わかったよ! もう怒らない!!」

 別に俺は悪くないと思うんだけど、どんな理由であれ女の子を泣かすのはかなり後ろめたいというか・・・女はズルイよ・・・。

「姫様。この者もこうして反省し謝っているようなので、ここは1つ恩情を」
「う、ひっく・・・それじゃぁ、許してあげる~」
「さすがは姫様ブル。なんとお心の広いお言葉かブル。おぬし、今日このことを魂に深く刻み、日々姫様に感謝して生きるブルぞ」
「は、はぁ・・・ってちょっと待て! なんで俺が許されないといけないんだよ!? 元はといえばそっちが――!?」
「ふえっ――」
「あ~待て待て待て!! 怒ってない!! 別に怒ってないから泣くな!」

 また泣きそうになった姫さんに俺は慌てて弁解した。
 ・・・やれやれ。まるでわがままな子供を相手にしてるみたいだ。

「でも、それじゃこれから俺はどうなんだよ? 一生ここにいなきゃいけないのか?」
「それについては、私に心当たりがあります」

 今までほとんど喋らず、話しを聞いていたファンナさんが一歩前に出てきた。
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