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36話

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「ご紹介します。神官長のブルドリア=ブルルイック=ブルッコ=ブルドドン様です」
「ブルドッグだからってブルにこだわりすぎじゃね!?」

 ブルドックは偉そうに立ってるけど、その名前のせいでネコメイドの恭しい紹介も台無しだ。

「そしてこちらが筆頭大臣の山田太郎様です」
「ザ・普通じゃね!? ここまでくると逆におかしいくらい、ザ・普通すぎじゃね!?」
「そしてこの方がこの国の姫様であられる、エスタリア=ル=セフィーナ=オハナバタケ様です」

 オハナバタケかよって思ったけど、国の名前なんだから、姫さんならついてて当然か。
 それに、まあ・・・変なツッコミして悪い印象を与えなくないからな・・・。

「・・・マコト様。お姫様に嫌われたくないとか考えてますね?」

 ファンナさんが姫さんの名前にだけツッコミを入れない俺をジト目で見てるけど、ここで変な印象を与えたくないし、誤解だと平常心で否定しておこう。

「そそそそそそんなことありませんのですけど!?」

 ・・・うむ。心の動揺を隠しきった素晴らしい平常心だった。

「この者が儀式で召喚されたという、伝説のお助けキャラですかな?」
「姫様。間違いなくこの者なのですかブル?」

 山田大臣と、語尾にブルを付けるブルドッグ神官長。そして姫さんが俺をじっと見る。
 大臣と神官長はどうでもいいけど、高貴な雰囲気と可憐さを併せ持つ姫さんが俺をジッと見るせいで、ドキドキしてしまって視線を横に逸らさずにはいられなかった。

「・・・忘れちゃった~」
「おいっ!! 昨日のことだろ!? そんな簡単に忘れんなよ!」
「だって~、好きなタイプじゃなかったから~」
「そういう問題じゃなくね!? つか何気に傷つくことをさらっと言うなよっ!! 告白してないのにフラれた気分だよっ!! 胸が痛いよっ!!」

 ファンナさんは俺の傍にそっと近寄ると・・・。

「肩をポンポン叩くな哀れんだ目で見んな慰めんなっ!!」
「外も中も貧弱そうなボーイですなぁ」
「事実だけどほっとけ! っていうか大臣と神官長がなんで儀式に出てねえんだよ!?」
「昨日はお休みで温泉に行っておった」
「お昼寝の時、ヨダレ垂らし過ぎてお洗濯してたブル」
「救世主召喚の儀式じゃなかったの!? なんなんだそのふざけた理由は!?」
「何を怒っておるんじゃ?」
「さあ? 最近の若者はすぐキレるからわからんブル」

 ・・・はいはいそうですか。俺がおかしいんですかそうですか。
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