上 下
36 / 43

35話

しおりを挟む

「・・・俺さ、小さい頃からずっと、自分がいる世界とは別の世界があって、そこにはドキドキワクワクエロエロキュンキュンするようなことで溢れてるって思ってたんだ・・・」
「はあ」

 突然の俺の話に、さすがのファンナさんも困惑してるっぽい。
 まあでも聞いてくれ、俺の心の静かな叫びを・・・。

「でさ、ここがその別の世界なわけじゃん?」
「マコト様の憧れていた別の世界ですね」
「ところが蓋を開けてみると、そこは俺の思ってたのとは全ッッ然違う世界だったわけさ。いやわかってるよ? 俺が文句を言えるような筋合いはないって」

 ファンナさんは俺が何を言いたいのかわからず不思議そうな顔だけど、それでも何も言わずに聞いてくれてる。

「・・・たださ、ずっと憧れて、夢にまで見た世界が、こうも違ってたら涙の一粒も出ちゃうんだよ・・・だって、男の子だもん・・・」
「え~と・・・。ごめんなさい。マコト様が何を悲しんでいるのか、私には良くわからないんですけど?」
「うん、いいんだ。この世界は何も悪くない。もちろんファンナさんも悪くない。この世界では俺の方がイレギュラー。悪いのは俺。ただ、ちょっと愚痴りたかっただけなのさ・・・」
「・・・つまり、この世界が大好きということですね?」
「なんでっ!? 何処をどう聞いたらそう思えたっ!?」
「大丈夫ですよ! 私も大好きですから!」
「話し通じてねえ!! とにかくこの世界で俺に出来ることは何もなさそうだし、早く元の世界に帰りたいって思ってんだよ! ファンナさんに迷惑かけっぱなしも悪いしな」
「私のことは気にしなくても良いんですが、そう簡単にいくかどうか・・・」
「何だよ? 姫さんが俺をこの世界に引っ張り込んだんだから、姫さんに頼めばすぐ帰れるはずだろ?」
「実は、そのことなんですが――」
「失礼します。姫様がお見えになられます」

 俺より頭2つ分くらい小さい、メイド服を着た、上品そうな2足立ち白ネコがそう言いながら部屋に入って来た。
 ネコメイドはドアの横に立ち頭を下げると、今度はカワウソの着ぐるみを着たブルドッグ(元々ブルドッグなんだから着ぐるみいらなくね?)と、ゾウの着ぐるみを着た70歳くらいの人間のじいさんが入って来た。
 なんで着ぐるみ? って一瞬思ったけど、そういえば着ぐるみが正装なんだっけ。

「おおっ」

 そして最後に、子供っぽい歩き方で金髪の縦ロールをひょこひょこ動かし、思わず声が出てしまうくらい、可愛いドレスに身を包んだ可愛い姫さんが姿を現した。
 最初見た時も思ったけど、姫さんだけは普通に可愛い。見た感じ16~18だな。
 おっぱいは残念ながら残念な感じだけど、それも何か可愛く思えてしまう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした

月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。 それから程なくして―――― お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。 「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」 にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。 「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」 そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・ 頭の中を、凄まじい情報が巡った。 これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね? ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。 だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。 ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。 ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」 そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。 フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ! うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって? そんなの知らん。 設定はふわっと。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...