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19話
しおりを挟む「おおっ。めちゃくちゃ本がある」
この世界のことが少しでもわかればと思って、ポン太に案内されて書庫に入った。
そこは結構広い部屋にも関わらず、ほとんどが本棚と、そこに入りきらない数の本で埋め尽くされていた。
「そういえば、ファンナさんはここで神官になるための勉強してるって言ってたけど、ここにある本を読んで勉強してるんだな」
「ここには神官として必要な知識だけでなく、この国の歴史や、他にも様々な知識がある。ただ全ての神官候補がここで勉強出来るわけじゃない。ここで神殿の管理人として勉強出来るのは、一握りの将来を期待されている者だけだ」
「それって、やっぱりファンナさんはエリートってことか?」
「代々神官の家系で、神官長も多く輩出している家柄。それに本人も努力家で、まだ神官見習いではあるが、すでに知識だけなら大神官クラスだろう」
「血筋も本人の能力もマジのエリートってわけか。可愛くておっぱいが大きいだけじゃなかったんだな・・・ん?」
本棚の本の背表紙を見て、まず嫌な予感その1。
そして本を手に取りタイトルを見て嫌な予感その2。
「・・・ああ、やっぱり・・・」
そういえば看板もそうだったと思いながら手近にあった本を手に取り、その本を開いてみて、その予感が寸分違わず当たっていたことに愕然とした・・・。
「どうした?」
「・・・全く読めない」
考えてみれば、異世界なのに言葉が通じてることの方が奇跡なのか。
ならついでに文字もわかるようにしてくれれば良かったのに、サービスの悪い奇跡があったもんだ。
なんて、そんな見当違いのクレームをつけながら、それでも何か読める本はないかと探したけど、結局、読める本は一冊もなかった。
「・・・せめて異世界のエロ本の一冊でもあれば、文字が読めなくても俺も息子も満足したのに・・・」
「なにか言ったか?」
「なんでもないっす」
・・・・・・・・・
「何か気になる本はありました?」
リビングに戻ってくると、ちょうどファンナさんも支度を終えて来たところだった。
神官っぽい服装に変わりはないけど、昨日見たのが普段着だとすると、今着てるのはそれよりも少し頑丈そうな、外出用みたいな服装。
ただそれでも、胸にある2つのスイカだけは相変わらず自己主張が激しいけど。
「色んな意味で期待ハズレだったよ。唯一、文字がわからないってわかったのが収穫かな」
「言葉は通じるのに文字はわからないんですか? それは興味深いですね」
「出来たら文字もわかりたかったけどね」
「2人で大丈夫か? オレも付いて行こうか?」
「大丈夫ですよ。お姫様にお話を聞いて来るだけですから」
「・・・そうか。なら良いが」
「マコト様の方がよろしければ、そろそろ行きましょうか。ではポン太さん。後はお願いしますね」
「・・・・・・・・・」
ポン太はそっぽ向いたまま、ファンナさんの方を見ようとしない。
「ポン太さん?」
「・・・ここにはポン太なんていない」
「ぷっ」
「笑うなっ!!」
ポン太のスネかたが思いの他可愛かったので、思わず笑ってしまった。
「ごめんごめん」
「ごめんなさい。それでは、後はよろしくお願いしますね、ジークさん」
「ああ。任せておけ」
・・・ポン太、可愛い奴め。
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