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プロローグ
しおりを挟む「ゴアアアア!!!」
「キシャーーーッ!!!」
「うおおおおお!!!」
巨大な鷲のグリフォン。
子鬼のような姿のゴブリン。
1つ目巨人のサイクロプス。
低級の悪魔リトルデーモン。
石の悪魔ガーゴイル。
ネクロマンサーが作り出したゾンビ。
錬金術師が生み出した岩石巨人ゴーレム。
3つ首の犬ケルベロス。
さらに剣や槍を持って戦う人間やドワーフなども加わり、広い平原は多種多様な種族が入り混じる、武器と魔法が飛び交う激戦の戦場と化していた。
「さっさと殺せ!! まだ敵はいるんだぞ!! グズグズすんなっ!!」
そんな戦場の一角で、土埃で薄汚れた、旅装束のようなものを着た、金髪で若い女性の姿。
自らクロスボウを用いてモンスターと戦いながら、さらにすぐ近くで戦っているモンスターたちに、激しい口調で命令を出して戦わせていた。
「グルアァ(みんな、もう一頑張りじゃ)」
「キュリュルー(やれやれ)」
「フニャー(ネコ使いが荒いにゃ~)」
そんな女性の命令を、何処か冷めた様子で聞くモンスターたち。
3つ目の獅子トライレオン。
4本の尾を持つ狐の四尾狐(しびきつね)。
人間のようなネコのような姿の猫又(ねこまた)。
そして・・・。
「(相変わらず雑に扱ってくれるよ。ま、あいつからすりゃ、しょせんオレらは戦う道具でしかないからな)」
そんな風に心の中でぼやきながら、女性の命令通りに戦う、体長2m強、全身が緑色の鱗に覆われ、槍を持った2足歩行のトカゲ「リザードマン」。
女性の命令を喜んで聞いている様子ではなかったが、それでも彼らは女性の命令に従って戦っていた。
そうして戦い続けるうちに、ようやく勝敗が決し、薄汚れた女性がいる側が勝利を掴んだ。
女性の命令を受けて戦っていたモンスターたちも全員何とか生き残り、今はお互いの無事を確認するように一箇所に集まっている。
(注・以降、モンスター同士の会話は通常の言語でお送りします)
「お疲れさん。今回もなんとか生き残れたな」
リザードマンが集まったモンスターたちに労うような言葉をかけると、
「ケルベロスに噛まれた時はどうなるかと思ったが、おぬしのお陰で助かったわい」
毛並みを撫でられ、気持ちよさそうな声で答えるトライレオン。
「それにしても、今回の戦いもきつかったな」
四尾狐が自分の毛並みを舐めて整えながらそう言い、
「ご主人も、戦えーとか、突っ込めーくらいしか言わないからにゃぁ」
猫又は疲れたように地面に四つん這いになって、体を伸ばしている。
「戦術もクソもねえからな、オレらのゴシュジンサマは。性格と一緒で、ガサツに加えて自分勝手と来たもんだ」
リザードマンの軽口にモンスターたちがおかしそうに笑っていると、突然自分たちの足元に、光を放つ複雑な幾何学模様の魔法陣が現れた。
そして有無を言わせず彼らの姿が魔法陣に飲み込まれていく。
「戦いが終わったらオレらは用済みだから、さっさと元いた場所に帰れってよ」
「いつものことだ。それじゃ、またな」
「次に呼ばれる時まで、ゆっくり体を休めておくれ」
「みんな元気でにゃ~」
戦場にいた大勢のモンスターたちが、同様の魔法陣の中に次々と姿が消えていく。
最終的にその場に残ったのは、数十名の人間やドワーフなど【人種】と呼ばれる者たちだけだった。
人間やモンスターなど、多種多様な種族が生きる世界【ハースヴェルド】。
様々な種族や文化が入り混じるこの世界には、召喚術と呼ばれる術がある。
召喚術とは、召喚術者が召喚奴隷を自由に呼び寄せ意のままに操る術。
時には条件次第。時には服従か死を迫る力ずく。 そうして相手が服従する意思を持つと、召喚契約が施されて、相手は召喚術者の召喚奴隷となる。
そして召喚奴隷となったモノたちを待つのは、戦争。治安維持。テロなど、およそ平和とは言えない場所で、戦力として使われることがほとんどだった。
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