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序章(プロローグ)
第三話 『覚悟の時間』
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翌日の日曜日。
俺は約束通り、初恋の女性である青柳星那先輩の提案により試合に出場する
運びとなり、再びエスぺラルド第二会場へとやってきていた。
そうして案内された更衣室で私物であるジャージに着替え廊下へ出ると
しばらく。その道中で黒峰さんを発見した。
「やぁ、少年。調子はどうだい?」
彼女は俺を見かけるなり気さくな声と笑顔で応対する。
「特に問題はありません」
「へぇ言うねぇ。こういうのは普通誰しもが緊張するものだと思うのだがね」
「黒峰さんも昔は緊張したんですか?」
「いいや。私の場合は少し特殊でね、そういうのとは無縁なんだ」
「というと?」
「私はとある武道の家系でね。こういう血生臭いのは慣れっこなのさ」
「有名なところなんですか?」
「一般人にはあまり知られていないんだがね、無影流っていう武術なんだが」
「無影流……聞いたこともないですね」
「そうだろうね。その方がいいよ」
と黒峰さんは俺の質問をサラリと躱すと言葉を続ける。
「それはそうと桐生くん、試合勝てそうかい?」
「どうでしょうね。とはいえ最初に勝ち抜けないといけないというのは
プレッシャーですかね」
「――――それだけ君には期待しているということさ」
「そう……なんですかね」
『まもなく試合を開始します。出場選手はステージ待機所までお集まりください』
すると天井に設置されたスピーカーから試合の実況者による案内が響き渡る。
「おっとそろそろ時間だね。悪いね引き止めて、早くいくといい」
「そうします」
「あーそうそう桐生くん、最後に一ついいかな」
「なんでしょう?」
「私も君には期待してる――――」
そう言葉を残し歩き始める彼女に対して、俺は感謝の意を込めて一礼。
そうして踵を返しステージへと向かった。
◇
黒峰さんと別れてしばらく。
試合開始時刻が直前に迫った頃。
俺は会場内中心に設置された正方形型のステージの上に立っていた。
他の各出場選手も俺と同じくステージの端に一列に配置され
試合開始の合図を今か今かと待ちわびている。
「(アレがオブジェクトか)」
するとその時、徐に選手ではない者たちがステージ上に上がり、
選手たちが待機している場所とは反対のところに台座を設置し
その上に今回の景品であるオブジェクトを置いていく。
どうやら今回のオブジェクトは全部で三つあるようで、
それぞれ100ポイントが一つと50ポイントが二つあることから
この試合の勝利者は三人のみということになるらしい。
通常、勝つことを考えるならば敢えて激戦を避ける為に低いポイントを
取りに行くという戦術もあるようだが…………当然、俺の目標は100
ポイント一択。それ以外にはあり得ない。
チラリと横に並ぶ参加者に目を向ける。
「(10……いや俺を合わせて12人か)」
とすると単純計算で四分の一が敗者となるわけか。
先輩の出ていた試合と比べると随分と少ない数ではあるが油断はできない。
その中でも俺の近くにいる三人の男たち。
こちらに嘲笑うようにして視線を送っていることから新入生である俺を
標的としているようにも見える。
凡そ参加者の殆どは年上で試合経験も豊富、か。
「(なら手を抜く必要はないよな)」
なんて思案しているうちに会場吸ったによりオブジェクトの配置が終了し、
四方に設置されたスピーカーからアナウンスが流れ始める。
『さぁ、皆様お待たせしました。それではこれより本日第三試合
――――開始です!』
俺は約束通り、初恋の女性である青柳星那先輩の提案により試合に出場する
運びとなり、再びエスぺラルド第二会場へとやってきていた。
そうして案内された更衣室で私物であるジャージに着替え廊下へ出ると
しばらく。その道中で黒峰さんを発見した。
「やぁ、少年。調子はどうだい?」
彼女は俺を見かけるなり気さくな声と笑顔で応対する。
「特に問題はありません」
「へぇ言うねぇ。こういうのは普通誰しもが緊張するものだと思うのだがね」
「黒峰さんも昔は緊張したんですか?」
「いいや。私の場合は少し特殊でね、そういうのとは無縁なんだ」
「というと?」
「私はとある武道の家系でね。こういう血生臭いのは慣れっこなのさ」
「有名なところなんですか?」
「一般人にはあまり知られていないんだがね、無影流っていう武術なんだが」
「無影流……聞いたこともないですね」
「そうだろうね。その方がいいよ」
と黒峰さんは俺の質問をサラリと躱すと言葉を続ける。
「それはそうと桐生くん、試合勝てそうかい?」
「どうでしょうね。とはいえ最初に勝ち抜けないといけないというのは
プレッシャーですかね」
「――――それだけ君には期待しているということさ」
「そう……なんですかね」
『まもなく試合を開始します。出場選手はステージ待機所までお集まりください』
すると天井に設置されたスピーカーから試合の実況者による案内が響き渡る。
「おっとそろそろ時間だね。悪いね引き止めて、早くいくといい」
「そうします」
「あーそうそう桐生くん、最後に一ついいかな」
「なんでしょう?」
「私も君には期待してる――――」
そう言葉を残し歩き始める彼女に対して、俺は感謝の意を込めて一礼。
そうして踵を返しステージへと向かった。
◇
黒峰さんと別れてしばらく。
試合開始時刻が直前に迫った頃。
俺は会場内中心に設置された正方形型のステージの上に立っていた。
他の各出場選手も俺と同じくステージの端に一列に配置され
試合開始の合図を今か今かと待ちわびている。
「(アレがオブジェクトか)」
するとその時、徐に選手ではない者たちがステージ上に上がり、
選手たちが待機している場所とは反対のところに台座を設置し
その上に今回の景品であるオブジェクトを置いていく。
どうやら今回のオブジェクトは全部で三つあるようで、
それぞれ100ポイントが一つと50ポイントが二つあることから
この試合の勝利者は三人のみということになるらしい。
通常、勝つことを考えるならば敢えて激戦を避ける為に低いポイントを
取りに行くという戦術もあるようだが…………当然、俺の目標は100
ポイント一択。それ以外にはあり得ない。
チラリと横に並ぶ参加者に目を向ける。
「(10……いや俺を合わせて12人か)」
とすると単純計算で四分の一が敗者となるわけか。
先輩の出ていた試合と比べると随分と少ない数ではあるが油断はできない。
その中でも俺の近くにいる三人の男たち。
こちらに嘲笑うようにして視線を送っていることから新入生である俺を
標的としているようにも見える。
凡そ参加者の殆どは年上で試合経験も豊富、か。
「(なら手を抜く必要はないよな)」
なんて思案しているうちに会場吸ったによりオブジェクトの配置が終了し、
四方に設置されたスピーカーからアナウンスが流れ始める。
『さぁ、皆様お待たせしました。それではこれより本日第三試合
――――開始です!』
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