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プロローグ
災厄のエピローグ
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其れは生きた災厄である。
其れが地を駆ければ地は裂け
其れが息を吐けば大気が振るえ
其れが住まう地は全てが死する凍土と化す。
其れの名は終焉の魔獣、氷雪魔狼王『フェンリル』なり…
---------------------------
我の名はフェンリルというらしい。誰が呼び始めたが知らんが…まぁ、そういう名らしい。同族はいたが…いつの間にか我だけになっていた。別に滅んだわけではなく。我は同族なかでも恵まれた体躯と魔力をもっていた。我は氷雪狼という種族であり我らは絆を重んじておった。だから我も一族を守るために力を振るい続けて力をつけたが気がついたら誰も我の強さについてこれなくなってしまった。否、ちょっと調子に乗って古龍種や巨人族と戦い続けていた我も悪いのだ。
これが、結構楽しかったのだ。全力で戦い勝敗の見えぬ戦いに明け暮れていたら「いや、もうムリ」と群れが離れていってしまった。
ちょっとしたお茶目がまさかこのような結果になったが、我は暇つぶしと食事のために戦い続けた…それも数年とするとまともに戦えるものが居らぬ様になってしまった。いや、戦えるものも数名はいるのだが戦うと周りを破壊しすぎてしまうのでそうそう戦えなくなったともいう。確か最後に全力で戦ったのは最上級の古龍種の結界魔法の中でという条件で戦ったがアレは楽しかった確かバハムートといったか? 奴との戦いは悪くなかった。
だが、強くなるものではない。最近はそう思えて仕方がない。退屈なのだ。全てが…
我は強さなどにいらない…我は……
---------------------------
「災獣フェンリルだな?」
何度目かの思案をしていたフェンリルのねぐらの洞窟に槍をもった一人の青年がたっていた。
『亜神ではないな…あぁ半神か』
フェンリルは悠久の時を生きてきた。その中でも多くは戦いがしめそれだけ多くの敵と戦っておりその中には下位の神や神獣や魔神などもいたし、それこそ亜神と呼ばれる神のなりそこないや半神と呼ばれる神へのなりかけなどとも数えられないほど戦い、弱者も強者も関係なく屠ってきた。その過程で相手を見抜く目『真眼』と呼ばれることになる力を身に付けていた。
「そこまで解るとはな…」
『この程度なら誰でもわかると思うがな?』
これはフェンリルの大きな勘違いの一つ、常に孤独であったために比べる相手がいなかった為に自分の能力がどれほどの異端なのかまったく理解していないからこそ出た一言である。
『理由は解るが一応、お約束という奴なのでな「半神がなにようぞ」とでもいっておこうかの?』
「理由は解るか…だがあえて言わせてもらう俺が神の頂に立つ為の糧となれ」
男から覇気が立ち昇り裂ぱくの気迫がフェンリルを襲うがそれを受けながら
『良いのう、その覇気。久しき強者のようだ。いや「難行」に我を選ぶだけでも素晴らしき気骨とゆうべきか蛮勇と呼ぶべきか迷うが…まぁ、アレだ簡単に死んでくれるなよ?』
フェンリルは楽しそうに笑いながら軽めに突進する。全長が50mもあるフェンリルの突進は軽くても大岩程度なら簡単に粉砕する力はある。が、それを男は片手でもった槍で受け止めた。
『おお、受け止めるか良いぞ』
受け止めながらもそれが嬉しくてたまらないフェンリル
「コレくらいできねば…挑まんよ」
男もどこか嬉しそうに返す。
瞬きをする間の力比べ。どちらが上かではなく互いに戦うべく相手を認識する軽い挨拶を終えて互いに後方に跳ぶと同時に魔力を練り上げる力ある言葉を口にする。
『氷牙連歌』
「フレイムストライク」
フェンリルの繰り出した数百もの氷の牙を青年は劫火の一撃がなぎ払い相殺すると同時に
ガキン
堅い何かがぶつかり合う音が響きその余波だけでも洞窟には無数の亀裂が入る。まさに人外同士の桁外れの存在同士の戦いの序章が幕を開けた。
『くっくっ、これほどの力、いくつ難行を超えておる? 少なくとも半ばは超えているであろう?』
フェンリルがたびたび口にする「難行」それは半神が神にいたるための試練である10の課題のことであり。内容は3つの苦行と3つの宝物の入手と4種の難敵の討滅になる。半神は不完全な存在でありその力は成長しきるまでは人と変わらないが成長を難行を超えれば並みの神を超えた力を手にすることができる。半神は未完成であるが故に成長することができる。そして難行の難易度が高ければもちろん得られる力は強くなる。
「8つだ。14年間逆さ吊りで過ごし、片目を供物に魔法の力を、力を封じて剛槍での素振りと型を1万遍をそれを7年、3つの宝物を手にし既に巨人ユーミルと毒蛇ニドヘグを討ち取ってここにきた」
互いに並みのものなら何度死んでいるかわからない一撃を放ちながら言葉を交わす。
『なるほど、では我はその努力に敬意をはらい全力で行かせてもらうかの』
「望むところ!」
男とフェンリルの戦いはもはや天変地異といってよかった。
互いの繰り出す魔法が地を削り、繰り出される一撃一撃が大気を切り裂き触れたものを塵へと変える。そんな一撃を受けながらも互いに退くことなく戦い続ける。
しかも
「『ワハハハハハハ』」
互いに愉しそうに笑いながら戦っている。お互いが繰り出す一撃は今までほとんどの敵を一撃で屠るものばかりなのにそれでも倒れない相手に対して二人とも笑いがとまらなくなる。
嬉しいのだ自分の全力をだせる相手がいることが、幸せなのだ自分の全力をだせることが、そしてそれでも先が見えぬ戦いに両者ともに嬉しくて愉しくて笑いが止まらなくなる。
『よいぞ。この高揚感どれほど忘れて久しい。のう半神?』
「あぁ悪くないな。強者との戦い…俺の難行の相手にお前を選んでよかったと心からおもう」
『くくくくいうのぉ、しかし、我も主に感謝しよう。よくぞ我を選んだ』
心が思うままに互いに力と力を技と技をぶつけ術を競う互いをそして己を試すような熾烈という言葉が温く、苛烈という言葉がそよ風に感じる一人と一匹の戦いは5日5晩繰り広げられ…
『のう、愉しかったか?』
「あぁ、愉しかったな」
『我もだ』
互いに満身創痍、四肢が無事なのが不思議なくらい。いや、どちらもそうならないように致命傷だけは避けながら戦ってきたがそれも限界。次の一撃が最期の一撃になると互いに確信をし互いに距離をとる。
一人と一匹は全身全霊の神経と力を注ぎこみ最大限に高まった瞬間、それを知らせるかのように雷が落ち、それを合図に互いの姿が交差し結果は…男は右腕を喰いちぎられながらもその槍はフェンリルの心臓を貫いていた。
『見事な一撃だったぞ…あぁ…そういえば名を聴いていなかったの…』
今際の際もう、フェンリルに残された時間はない…その僅かな時での語らい
「オーディンだフェンリルよ…」
『カカカ…他者から名を呼ばれて会話などどれほどぶりかの…悪くないの』
それは今までにない不思議と安らいだ会話だった。
「そうか…」
『あぁ、本当に悪くないのぉ…』
「フェンリルよ。もし、最期に願いが叶うのならなにを望む?」
『そうよなぁ…我はこう見えても強欲でな…望むなら貴様は主神になれ…我を倒したものが小者の小神などでおさまられてはたまらんからの…』
「あぁ、貴様の名に恥じぬ戦神の頂に立って見せよう」
『ならば…よい…それと…次に生まれ変われるのなら人に生まれたのぅ…』
「人にか?」
『あぁ…人は弱い…だが……他者とともに力を合わせて困難を越えて行く…あれが羨ましくて堪らん…我は強い…だが…それだけじゃ…強いだけではつまらん…だから弱き人として生きてみたいものだ…』
「その願いかなえられるか分からないが…《我願う、創生の九神よ。かの魂に幸有らんことを希う》」
『ふぅ…その祈りありがたくもらって逝くとするかのう…さらばだ我が友オーディンよ…』
「さらばだ我が友フェンリル」
こうして後に神話として語られる戦神と災厄の獣の戦いは幕をとじフェンリルの魂は天へと昇っていくのだった。
其れが地を駆ければ地は裂け
其れが息を吐けば大気が振るえ
其れが住まう地は全てが死する凍土と化す。
其れの名は終焉の魔獣、氷雪魔狼王『フェンリル』なり…
---------------------------
我の名はフェンリルというらしい。誰が呼び始めたが知らんが…まぁ、そういう名らしい。同族はいたが…いつの間にか我だけになっていた。別に滅んだわけではなく。我は同族なかでも恵まれた体躯と魔力をもっていた。我は氷雪狼という種族であり我らは絆を重んじておった。だから我も一族を守るために力を振るい続けて力をつけたが気がついたら誰も我の強さについてこれなくなってしまった。否、ちょっと調子に乗って古龍種や巨人族と戦い続けていた我も悪いのだ。
これが、結構楽しかったのだ。全力で戦い勝敗の見えぬ戦いに明け暮れていたら「いや、もうムリ」と群れが離れていってしまった。
ちょっとしたお茶目がまさかこのような結果になったが、我は暇つぶしと食事のために戦い続けた…それも数年とするとまともに戦えるものが居らぬ様になってしまった。いや、戦えるものも数名はいるのだが戦うと周りを破壊しすぎてしまうのでそうそう戦えなくなったともいう。確か最後に全力で戦ったのは最上級の古龍種の結界魔法の中でという条件で戦ったがアレは楽しかった確かバハムートといったか? 奴との戦いは悪くなかった。
だが、強くなるものではない。最近はそう思えて仕方がない。退屈なのだ。全てが…
我は強さなどにいらない…我は……
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「災獣フェンリルだな?」
何度目かの思案をしていたフェンリルのねぐらの洞窟に槍をもった一人の青年がたっていた。
『亜神ではないな…あぁ半神か』
フェンリルは悠久の時を生きてきた。その中でも多くは戦いがしめそれだけ多くの敵と戦っておりその中には下位の神や神獣や魔神などもいたし、それこそ亜神と呼ばれる神のなりそこないや半神と呼ばれる神へのなりかけなどとも数えられないほど戦い、弱者も強者も関係なく屠ってきた。その過程で相手を見抜く目『真眼』と呼ばれることになる力を身に付けていた。
「そこまで解るとはな…」
『この程度なら誰でもわかると思うがな?』
これはフェンリルの大きな勘違いの一つ、常に孤独であったために比べる相手がいなかった為に自分の能力がどれほどの異端なのかまったく理解していないからこそ出た一言である。
『理由は解るが一応、お約束という奴なのでな「半神がなにようぞ」とでもいっておこうかの?』
「理由は解るか…だがあえて言わせてもらう俺が神の頂に立つ為の糧となれ」
男から覇気が立ち昇り裂ぱくの気迫がフェンリルを襲うがそれを受けながら
『良いのう、その覇気。久しき強者のようだ。いや「難行」に我を選ぶだけでも素晴らしき気骨とゆうべきか蛮勇と呼ぶべきか迷うが…まぁ、アレだ簡単に死んでくれるなよ?』
フェンリルは楽しそうに笑いながら軽めに突進する。全長が50mもあるフェンリルの突進は軽くても大岩程度なら簡単に粉砕する力はある。が、それを男は片手でもった槍で受け止めた。
『おお、受け止めるか良いぞ』
受け止めながらもそれが嬉しくてたまらないフェンリル
「コレくらいできねば…挑まんよ」
男もどこか嬉しそうに返す。
瞬きをする間の力比べ。どちらが上かではなく互いに戦うべく相手を認識する軽い挨拶を終えて互いに後方に跳ぶと同時に魔力を練り上げる力ある言葉を口にする。
『氷牙連歌』
「フレイムストライク」
フェンリルの繰り出した数百もの氷の牙を青年は劫火の一撃がなぎ払い相殺すると同時に
ガキン
堅い何かがぶつかり合う音が響きその余波だけでも洞窟には無数の亀裂が入る。まさに人外同士の桁外れの存在同士の戦いの序章が幕を開けた。
『くっくっ、これほどの力、いくつ難行を超えておる? 少なくとも半ばは超えているであろう?』
フェンリルがたびたび口にする「難行」それは半神が神にいたるための試練である10の課題のことであり。内容は3つの苦行と3つの宝物の入手と4種の難敵の討滅になる。半神は不完全な存在でありその力は成長しきるまでは人と変わらないが成長を難行を超えれば並みの神を超えた力を手にすることができる。半神は未完成であるが故に成長することができる。そして難行の難易度が高ければもちろん得られる力は強くなる。
「8つだ。14年間逆さ吊りで過ごし、片目を供物に魔法の力を、力を封じて剛槍での素振りと型を1万遍をそれを7年、3つの宝物を手にし既に巨人ユーミルと毒蛇ニドヘグを討ち取ってここにきた」
互いに並みのものなら何度死んでいるかわからない一撃を放ちながら言葉を交わす。
『なるほど、では我はその努力に敬意をはらい全力で行かせてもらうかの』
「望むところ!」
男とフェンリルの戦いはもはや天変地異といってよかった。
互いの繰り出す魔法が地を削り、繰り出される一撃一撃が大気を切り裂き触れたものを塵へと変える。そんな一撃を受けながらも互いに退くことなく戦い続ける。
しかも
「『ワハハハハハハ』」
互いに愉しそうに笑いながら戦っている。お互いが繰り出す一撃は今までほとんどの敵を一撃で屠るものばかりなのにそれでも倒れない相手に対して二人とも笑いがとまらなくなる。
嬉しいのだ自分の全力をだせる相手がいることが、幸せなのだ自分の全力をだせることが、そしてそれでも先が見えぬ戦いに両者ともに嬉しくて愉しくて笑いが止まらなくなる。
『よいぞ。この高揚感どれほど忘れて久しい。のう半神?』
「あぁ悪くないな。強者との戦い…俺の難行の相手にお前を選んでよかったと心からおもう」
『くくくくいうのぉ、しかし、我も主に感謝しよう。よくぞ我を選んだ』
心が思うままに互いに力と力を技と技をぶつけ術を競う互いをそして己を試すような熾烈という言葉が温く、苛烈という言葉がそよ風に感じる一人と一匹の戦いは5日5晩繰り広げられ…
『のう、愉しかったか?』
「あぁ、愉しかったな」
『我もだ』
互いに満身創痍、四肢が無事なのが不思議なくらい。いや、どちらもそうならないように致命傷だけは避けながら戦ってきたがそれも限界。次の一撃が最期の一撃になると互いに確信をし互いに距離をとる。
一人と一匹は全身全霊の神経と力を注ぎこみ最大限に高まった瞬間、それを知らせるかのように雷が落ち、それを合図に互いの姿が交差し結果は…男は右腕を喰いちぎられながらもその槍はフェンリルの心臓を貫いていた。
『見事な一撃だったぞ…あぁ…そういえば名を聴いていなかったの…』
今際の際もう、フェンリルに残された時間はない…その僅かな時での語らい
「オーディンだフェンリルよ…」
『カカカ…他者から名を呼ばれて会話などどれほどぶりかの…悪くないの』
それは今までにない不思議と安らいだ会話だった。
「そうか…」
『あぁ、本当に悪くないのぉ…』
「フェンリルよ。もし、最期に願いが叶うのならなにを望む?」
『そうよなぁ…我はこう見えても強欲でな…望むなら貴様は主神になれ…我を倒したものが小者の小神などでおさまられてはたまらんからの…』
「あぁ、貴様の名に恥じぬ戦神の頂に立って見せよう」
『ならば…よい…それと…次に生まれ変われるのなら人に生まれたのぅ…』
「人にか?」
『あぁ…人は弱い…だが……他者とともに力を合わせて困難を越えて行く…あれが羨ましくて堪らん…我は強い…だが…それだけじゃ…強いだけではつまらん…だから弱き人として生きてみたいものだ…』
「その願いかなえられるか分からないが…《我願う、創生の九神よ。かの魂に幸有らんことを希う》」
『ふぅ…その祈りありがたくもらって逝くとするかのう…さらばだ我が友オーディンよ…』
「さらばだ我が友フェンリル」
こうして後に神話として語られる戦神と災厄の獣の戦いは幕をとじフェンリルの魂は天へと昇っていくのだった。
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