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第82章『妻、そして女』
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第82章『妻、そして女』
鈍い腰の痛みに目を覚ませば、扉の向こうから聞こえて来る甥と兄嫁の声。凛はそれをまだまだぼんやりとした意識で受け止めながらゆっくりと身体を起こす。二人を胎に抱えている上に体格も大きくない所為で早くも寝返りもままならない様になっており、
「私の時はもっと月が進んでからだったんだけどねぇ、ほんとあのクズ間が悪いって言うか空気読まないって言うか……」
と、敦子が高根に対して見当違いの怒りを抱く様子を思い出し、小さく笑い、そして直ぐにくしゃりと顔を歪め両手で覆った。
「凛ちゃん?起きた?」
気配を感じ取ったらしい敦子がそう言いながら扉を開けて客間へと入って来て、凛が使っている、畳の上に敷かれた布団の脇へと膝を突く。
「大丈夫、きっともう直ぐ救出の連絡が有るから……ね?」
自分を気遣う敦子の言葉に
「……はい、そうですね」
そう返すのが精一杯だったものの、敦子もまた間接的には当事者なのだと思い出し凛は顔を上げた。
「そう言えば……お兄ちゃんは?こんな状況だから帰って来るのは無理だろうけど……何か連絡は有りましたか?」
敦子の夫でもある兄、所属組織の総司令官が人質となる様な事態とあっては帰宅は流石に無理だろうが、基地に泊まる様な時には必ず電話で連絡を入れていた事を思い出し、何か連絡が有ったのかと尋ねてみれば、返されたのは横に振られる首。そんな事も出来ない程に海兵隊内部は混乱しているのか、と凛が更に表情を曇らせれば、敦子はくすりと笑って凛の頭を軽く、ぽん、と叩いて口を開いた。
「たぶんね、仁ちゃん、大隊長の救出部隊に加わってると思うよ。元々仕事の事は何も話さないし私も聞かないけど、ここ最近新しい部隊が創設されたり訓練が始まったりとか、新聞でも読んだ事有るでしょう?それに連動するみたいに更に何も話さなくなったし、少佐に昇進して現場からは遠ざかる筈だったのに、未だに戦闘服汚して帰って来るどころか、戦闘服の汚れ方も変わってきてるから。それにね、身体つきも更に引き締まって逞しくなってる。妻の贔屓目差し引いてもあれでなかなか有能な海兵だし、たぶん、今頃突入の機会を窺ってる筈だよ」
敦子も結婚後妊娠が判明する迄は一兵卒とは言えど海兵隊員の立場に在った身、夫が何も言わずとも内部の事はよく分かっているだろうし、関連する報道を見聞きすれば多少の見当も付くのだろう。それに、帰宅すれば服の上からでも直接でも身体つきは毎日目にする筈で、肉体的な変化も感じ取っていて当たり前なのだと思い至り、思わず敦子の顔を凝視してしまう。
「ん?どうしたの?」
「……心配じゃ……ないですか?」
「そりゃ心配だけど……何かが有れば黙って見送って私は家と子供を守りつつ仁ちゃんの無事を祈る生活になるって事は分かってて結婚したし、って言うか、もしかしたら私だって仁ちゃんの立場になってたかも知れないしね。まぁ、軍ではもう随分前に戦闘職からは女性は外されてるけど」
それは自分も分かっている、結婚する時にその事を知ったわけでもなく、祖父と祖母の生き様を見ていた幼い頃から、海兵とは、そしてその家族とはどう在るべきものなのか、理解していた。けれどそれを実感する出来事の訪れは余りにも突然であり重い衝撃を与え、事情を告げにやって来てここ迄送ってくれた小此木には随分と心配と面倒を掛けてしまった。
「私……まだまだですね」
力無くそう呟けば、それだけで敦子には全てが伝わったのだろう、また頭を軽く叩かれ、
「新米奥さんが何言ってんの、子供出来て結婚したのにその子すらまだ生まれてないんだから、まだまだで当たり前でしょ。それと、敬語止めてってば、凛ちゃんは私の可愛い可愛い妹なんだから、他人行儀は嫌だよ?」
「あ……ごめんね?」
「ん、よし。じゃ、ご飯食べようか」
にっこり笑って立ち上がる敦子、その彼女が差し出した手を取り、凛はゆっくりと立ち上がる。
「お腹重くて……あ……そう言えば……敦子さ……あっこお姉ちゃん、女性って戦闘職には就かないって言ってたよね?」
「うん、そうだよ。陸軍の黒川総監、結婚式でも会ったでしょ?あの人の奥さんが海兵隊の人でね、凄く腕の立つ人で前線部隊にいたんだけど、十年位前かなぁ……戦死したの。分隊を預かってたんだけど自分の分隊全滅どころか周りにいた分隊も巻き添えにする様な状態でね、それ以降は女性は戦闘職からは完全に外される事になったんだよ。どうして?何か気になる?」
いきなり凛が言い出した内容はともかくとしてその意図する事が分からない敦子、何か有ったのかと問い掛ければ、その答えは少々理解に苦しむものだった。
「真吾さんと仲が良くて家に何度も来てくれた海兵さんがいるんだけど……多佳子さんっていう人、結婚式で敦賀さんと一緒にいた人なんだけど」
「先任と?……って、ああ、あの人ね、仁ちゃんが酔い潰れた時に先任が送って来てくれた人だ。先任が女連れとか何の冗談かと思ったけど……あの人がどうしたの?」
「博多の曝露の時……戦闘服着てうちに来てくれて、活骸と戦ってたよ、物凄く強かった。一人で全部倒しちゃったの」
女性が戦闘職へと復帰したという話は聞いていない、当時の事は今でもよく覚えているが、当時の司令と副司令だった高根は女性海兵からの猛烈な抗議にも一歩も引かなかった。それ以降女性は完全に排除されそれが続いて来た筈なのに凛の見たものは何だったのか、鬼の最先任が伴っていたあの女性は、一体何者なのか。
「凛ちゃん、それね、多分ね、あの人女に見えて実は男なんだよきっと。それか人間じゃない生き物」
「え……人間じゃないって……それに、多佳子さんは女の人だよ?真吾さんも多佳子さんと敦賀さんが付き合えば良いのにとか、そんな事言ってたし。敦賀さんも多佳子さんの事好きみたいだよ?」
「ちょっと待って、凛ちゃん、今、先任があの人の事好きみたいって言った?」
「え……うん、うちに黒川さんと敦賀さんと多佳子さんが泊まりに来た事有るんだけど、その時敦賀さんが多佳子さんの事凄く優しい目で見てたよ。その後も真吾さんが帰って来られない時に多佳子さんが夜来てくれて一緒にご飯食べたりして、敦賀さん、毎回それを迎えに来て一緒に基地に帰ってたよ」
自分の知る限りでは親しい付き合いの女性等一人もいなかった、大和海兵隊史上最強の鬼の最先任、敦賀。浮いた噂等一つも無く、興味が有るのは仕事だけ、花街に時折出掛けている様だという話は他の海兵から聞いた事が有り、女の扱いに関しては高根と似た様なものなのだと思っていた。その敦賀にまさかそんな相手がいたとは、と、何か別に気になっていた事が有った気もするがと思いつつ、敦子は凛へと向き直りその両肩をがっちりと掴む。
「凛ちゃん、ちょっとその話詳しく聞かせて?先任が女に惚れたとか、いや、男に惚れても大問題なんだけど、ともかく、先任に好きな人が出来たとか、それ一大事だから」
「お……お姉ちゃん?」
鼻息も荒く凛に迫る敦子、若干引き気味の相手の様子等委細構わず、これは詳しく聞かなければ、先ずは朝食だと凛を促し居間へと歩き始める。
後日、火力発電所占拠事件が解決した後、敦子が発信源となり現役退役含めた女性海兵の情報網を『鬼の最先任』の艶聞が駆け巡る事となった。
鈍い腰の痛みに目を覚ませば、扉の向こうから聞こえて来る甥と兄嫁の声。凛はそれをまだまだぼんやりとした意識で受け止めながらゆっくりと身体を起こす。二人を胎に抱えている上に体格も大きくない所為で早くも寝返りもままならない様になっており、
「私の時はもっと月が進んでからだったんだけどねぇ、ほんとあのクズ間が悪いって言うか空気読まないって言うか……」
と、敦子が高根に対して見当違いの怒りを抱く様子を思い出し、小さく笑い、そして直ぐにくしゃりと顔を歪め両手で覆った。
「凛ちゃん?起きた?」
気配を感じ取ったらしい敦子がそう言いながら扉を開けて客間へと入って来て、凛が使っている、畳の上に敷かれた布団の脇へと膝を突く。
「大丈夫、きっともう直ぐ救出の連絡が有るから……ね?」
自分を気遣う敦子の言葉に
「……はい、そうですね」
そう返すのが精一杯だったものの、敦子もまた間接的には当事者なのだと思い出し凛は顔を上げた。
「そう言えば……お兄ちゃんは?こんな状況だから帰って来るのは無理だろうけど……何か連絡は有りましたか?」
敦子の夫でもある兄、所属組織の総司令官が人質となる様な事態とあっては帰宅は流石に無理だろうが、基地に泊まる様な時には必ず電話で連絡を入れていた事を思い出し、何か連絡が有ったのかと尋ねてみれば、返されたのは横に振られる首。そんな事も出来ない程に海兵隊内部は混乱しているのか、と凛が更に表情を曇らせれば、敦子はくすりと笑って凛の頭を軽く、ぽん、と叩いて口を開いた。
「たぶんね、仁ちゃん、大隊長の救出部隊に加わってると思うよ。元々仕事の事は何も話さないし私も聞かないけど、ここ最近新しい部隊が創設されたり訓練が始まったりとか、新聞でも読んだ事有るでしょう?それに連動するみたいに更に何も話さなくなったし、少佐に昇進して現場からは遠ざかる筈だったのに、未だに戦闘服汚して帰って来るどころか、戦闘服の汚れ方も変わってきてるから。それにね、身体つきも更に引き締まって逞しくなってる。妻の贔屓目差し引いてもあれでなかなか有能な海兵だし、たぶん、今頃突入の機会を窺ってる筈だよ」
敦子も結婚後妊娠が判明する迄は一兵卒とは言えど海兵隊員の立場に在った身、夫が何も言わずとも内部の事はよく分かっているだろうし、関連する報道を見聞きすれば多少の見当も付くのだろう。それに、帰宅すれば服の上からでも直接でも身体つきは毎日目にする筈で、肉体的な変化も感じ取っていて当たり前なのだと思い至り、思わず敦子の顔を凝視してしまう。
「ん?どうしたの?」
「……心配じゃ……ないですか?」
「そりゃ心配だけど……何かが有れば黙って見送って私は家と子供を守りつつ仁ちゃんの無事を祈る生活になるって事は分かってて結婚したし、って言うか、もしかしたら私だって仁ちゃんの立場になってたかも知れないしね。まぁ、軍ではもう随分前に戦闘職からは女性は外されてるけど」
それは自分も分かっている、結婚する時にその事を知ったわけでもなく、祖父と祖母の生き様を見ていた幼い頃から、海兵とは、そしてその家族とはどう在るべきものなのか、理解していた。けれどそれを実感する出来事の訪れは余りにも突然であり重い衝撃を与え、事情を告げにやって来てここ迄送ってくれた小此木には随分と心配と面倒を掛けてしまった。
「私……まだまだですね」
力無くそう呟けば、それだけで敦子には全てが伝わったのだろう、また頭を軽く叩かれ、
「新米奥さんが何言ってんの、子供出来て結婚したのにその子すらまだ生まれてないんだから、まだまだで当たり前でしょ。それと、敬語止めてってば、凛ちゃんは私の可愛い可愛い妹なんだから、他人行儀は嫌だよ?」
「あ……ごめんね?」
「ん、よし。じゃ、ご飯食べようか」
にっこり笑って立ち上がる敦子、その彼女が差し出した手を取り、凛はゆっくりと立ち上がる。
「お腹重くて……あ……そう言えば……敦子さ……あっこお姉ちゃん、女性って戦闘職には就かないって言ってたよね?」
「うん、そうだよ。陸軍の黒川総監、結婚式でも会ったでしょ?あの人の奥さんが海兵隊の人でね、凄く腕の立つ人で前線部隊にいたんだけど、十年位前かなぁ……戦死したの。分隊を預かってたんだけど自分の分隊全滅どころか周りにいた分隊も巻き添えにする様な状態でね、それ以降は女性は戦闘職からは完全に外される事になったんだよ。どうして?何か気になる?」
いきなり凛が言い出した内容はともかくとしてその意図する事が分からない敦子、何か有ったのかと問い掛ければ、その答えは少々理解に苦しむものだった。
「真吾さんと仲が良くて家に何度も来てくれた海兵さんがいるんだけど……多佳子さんっていう人、結婚式で敦賀さんと一緒にいた人なんだけど」
「先任と?……って、ああ、あの人ね、仁ちゃんが酔い潰れた時に先任が送って来てくれた人だ。先任が女連れとか何の冗談かと思ったけど……あの人がどうしたの?」
「博多の曝露の時……戦闘服着てうちに来てくれて、活骸と戦ってたよ、物凄く強かった。一人で全部倒しちゃったの」
女性が戦闘職へと復帰したという話は聞いていない、当時の事は今でもよく覚えているが、当時の司令と副司令だった高根は女性海兵からの猛烈な抗議にも一歩も引かなかった。それ以降女性は完全に排除されそれが続いて来た筈なのに凛の見たものは何だったのか、鬼の最先任が伴っていたあの女性は、一体何者なのか。
「凛ちゃん、それね、多分ね、あの人女に見えて実は男なんだよきっと。それか人間じゃない生き物」
「え……人間じゃないって……それに、多佳子さんは女の人だよ?真吾さんも多佳子さんと敦賀さんが付き合えば良いのにとか、そんな事言ってたし。敦賀さんも多佳子さんの事好きみたいだよ?」
「ちょっと待って、凛ちゃん、今、先任があの人の事好きみたいって言った?」
「え……うん、うちに黒川さんと敦賀さんと多佳子さんが泊まりに来た事有るんだけど、その時敦賀さんが多佳子さんの事凄く優しい目で見てたよ。その後も真吾さんが帰って来られない時に多佳子さんが夜来てくれて一緒にご飯食べたりして、敦賀さん、毎回それを迎えに来て一緒に基地に帰ってたよ」
自分の知る限りでは親しい付き合いの女性等一人もいなかった、大和海兵隊史上最強の鬼の最先任、敦賀。浮いた噂等一つも無く、興味が有るのは仕事だけ、花街に時折出掛けている様だという話は他の海兵から聞いた事が有り、女の扱いに関しては高根と似た様なものなのだと思っていた。その敦賀にまさかそんな相手がいたとは、と、何か別に気になっていた事が有った気もするがと思いつつ、敦子は凛へと向き直りその両肩をがっちりと掴む。
「凛ちゃん、ちょっとその話詳しく聞かせて?先任が女に惚れたとか、いや、男に惚れても大問題なんだけど、ともかく、先任に好きな人が出来たとか、それ一大事だから」
「お……お姉ちゃん?」
鼻息も荒く凛に迫る敦子、若干引き気味の相手の様子等委細構わず、これは詳しく聞かなければ、先ずは朝食だと凛を促し居間へと歩き始める。
後日、火力発電所占拠事件が解決した後、敦子が発信源となり現役退役含めた女性海兵の情報網を『鬼の最先任』の艶聞が駆け巡る事となった。
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