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第十話 夜更けの電話
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「ぴゃああ」
心霊映像を見ている夜更けに、不意に電話の呼び出し音がして、私は驚いてしまい、変な声が出てしまいました。
「はい」
気を取り直して受話器を取り、落ち着いた口調で返事をします。
「あーもしもし、安崎です」
ですよね、私は友達がいないので電話が来るなら安崎さんしかいません。
「はい、どうされました」
「実は、ザブが入院しまして」
「えっ」
「何があったんですか」
私は、ザブさんのくまの出来た顔と、こけた頬を思い浮かべました。
「体に、異常は無いのですが、衰弱が激しいと言うことで……」
「そうですか」
心霊映像を見ていた私は、すぐにそちらに関連付けてしまいますが、でも、これって……。
「出来たら、もう一枚ディスクをお渡ししたいので、明日お時間をいただけませんか」
「はい、大丈夫です。いつもの所でいつもの時間でよろしいですか」
「はい、お願いします」
翌日、居酒屋貴賓席。
私はいつもの席で、美味しくお刺身を食べています。
「恵美子さん、お待たせしました」
「いえ、約束の五分前です」
「これが、ディスクです」
私は忘れないうちにそれをカバンに入れた。
「あのー、安崎さんはこの映像を見ておられるのですか」
安崎さんは椅子に座り、ウーロン茶を頼んだ。
「全部見ています。ですが私にはこの映像からは、薄気味悪さはわかりますがそれ以上は何もわかりません」
「そうですか」
「ザブは大丈夫でしょうか」
「あの部屋から、出たのでしたら。良くなると思います」
私は、小さな鏡の事を言うべきかどうか、悩んでいます。
「そうですか」
しばらく、雑談をして、私は家に帰った。
「うわっ、何これ!」
私は渡されたディスクの再生をして、椅子から落ちそうになった。
映っている映像は、チェストのある部屋の天井カメラの映像だ。
そこには、倒れているザブさんの姿があった。
でも、驚いたのは、それでは無い。
チェストの上。
小さい鏡の横に、白い物体が乗っているのだ。
それはダルマのようなシルエットの白いぬいぐるみ。
全身に寒気が走った。
「なんでここにあるの」
私は、もう一度最初のディスクの再生を始めました。
三軒目の廃墟の映像。
三面鏡の上、そこに映っているぬいぐるみ。
「同じだ」
何故ここにあるの?
考えられることは一つです。
私は夜の廃墟の映像を再生します。
三面鏡は上手に映らないようにしています。
でもザブさんが、「帰りますー」といってカメラを引っかけた時、カメラが倒れる瞬間に、一瞬三面鏡が映っていたはずです。
まあ恐怖の人影も映り込んでいますが……。
「あーこれだ、ずっと感じていた違和感、すべて謎が解けました」
カメラが倒れる時、チラリと映った三面鏡の上には、ぬいぐるみがありません。
私は、ぬいぐるみが無いことを違和感として感じていたのでした。
そして、その一瞬の三面鏡の中を必死で見つめています。
そこにはザブさんがどうしても隠したいものが映っているとおもったからです。
でも、暗すぎて私が見たいものを、映像は写しだしてはくれませんでした。
これだけでも安崎さんには伝わると思うけど、もっとはっきり映っている方がいいわよねー。
私は、深夜の廃墟映像を、繰り返し、繰り返し見ました。
この廃墟映像は、繰り返せば繰り返すほど、変な影を感じるようになり、泣きたくなりましたが、決定的瞬間を見つけることが出来ました。
私は、電話の受話器を取ると安崎さんに電話をかけました。
「あの、恵美子です」
「あー、恵美子さんですか」
「なにか、わかりましたか」
「はい、あまり良い知らせではありませんが……」
「わかりました。明日、いつもの時間、いつもの所でよろしいですか」
「はい。あのー、映像再生が出来るノートパソコンを用意していただきたいのですが出来ますか」
「大丈夫です。では、明日よろしくお願いします」
居酒屋貴賓席
「生ビール三つ、お刺身、つくねをお願いします」
「生三つ、刺身、つくね十本」
マスターが私の注文を通してくれました。
心霊映像を見ている夜更けに、不意に電話の呼び出し音がして、私は驚いてしまい、変な声が出てしまいました。
「はい」
気を取り直して受話器を取り、落ち着いた口調で返事をします。
「あーもしもし、安崎です」
ですよね、私は友達がいないので電話が来るなら安崎さんしかいません。
「はい、どうされました」
「実は、ザブが入院しまして」
「えっ」
「何があったんですか」
私は、ザブさんのくまの出来た顔と、こけた頬を思い浮かべました。
「体に、異常は無いのですが、衰弱が激しいと言うことで……」
「そうですか」
心霊映像を見ていた私は、すぐにそちらに関連付けてしまいますが、でも、これって……。
「出来たら、もう一枚ディスクをお渡ししたいので、明日お時間をいただけませんか」
「はい、大丈夫です。いつもの所でいつもの時間でよろしいですか」
「はい、お願いします」
翌日、居酒屋貴賓席。
私はいつもの席で、美味しくお刺身を食べています。
「恵美子さん、お待たせしました」
「いえ、約束の五分前です」
「これが、ディスクです」
私は忘れないうちにそれをカバンに入れた。
「あのー、安崎さんはこの映像を見ておられるのですか」
安崎さんは椅子に座り、ウーロン茶を頼んだ。
「全部見ています。ですが私にはこの映像からは、薄気味悪さはわかりますがそれ以上は何もわかりません」
「そうですか」
「ザブは大丈夫でしょうか」
「あの部屋から、出たのでしたら。良くなると思います」
私は、小さな鏡の事を言うべきかどうか、悩んでいます。
「そうですか」
しばらく、雑談をして、私は家に帰った。
「うわっ、何これ!」
私は渡されたディスクの再生をして、椅子から落ちそうになった。
映っている映像は、チェストのある部屋の天井カメラの映像だ。
そこには、倒れているザブさんの姿があった。
でも、驚いたのは、それでは無い。
チェストの上。
小さい鏡の横に、白い物体が乗っているのだ。
それはダルマのようなシルエットの白いぬいぐるみ。
全身に寒気が走った。
「なんでここにあるの」
私は、もう一度最初のディスクの再生を始めました。
三軒目の廃墟の映像。
三面鏡の上、そこに映っているぬいぐるみ。
「同じだ」
何故ここにあるの?
考えられることは一つです。
私は夜の廃墟の映像を再生します。
三面鏡は上手に映らないようにしています。
でもザブさんが、「帰りますー」といってカメラを引っかけた時、カメラが倒れる瞬間に、一瞬三面鏡が映っていたはずです。
まあ恐怖の人影も映り込んでいますが……。
「あーこれだ、ずっと感じていた違和感、すべて謎が解けました」
カメラが倒れる時、チラリと映った三面鏡の上には、ぬいぐるみがありません。
私は、ぬいぐるみが無いことを違和感として感じていたのでした。
そして、その一瞬の三面鏡の中を必死で見つめています。
そこにはザブさんがどうしても隠したいものが映っているとおもったからです。
でも、暗すぎて私が見たいものを、映像は写しだしてはくれませんでした。
これだけでも安崎さんには伝わると思うけど、もっとはっきり映っている方がいいわよねー。
私は、深夜の廃墟映像を、繰り返し、繰り返し見ました。
この廃墟映像は、繰り返せば繰り返すほど、変な影を感じるようになり、泣きたくなりましたが、決定的瞬間を見つけることが出来ました。
私は、電話の受話器を取ると安崎さんに電話をかけました。
「あの、恵美子です」
「あー、恵美子さんですか」
「なにか、わかりましたか」
「はい、あまり良い知らせではありませんが……」
「わかりました。明日、いつもの時間、いつもの所でよろしいですか」
「はい。あのー、映像再生が出来るノートパソコンを用意していただきたいのですが出来ますか」
「大丈夫です。では、明日よろしくお願いします」
居酒屋貴賓席
「生ビール三つ、お刺身、つくねをお願いします」
「生三つ、刺身、つくね十本」
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