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激闘九州猛将伝
第四百十一話 選手交代
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「きゃはははははは!!!!」
私の祈りなど通じるはずもありません。
風の刃は、狂気を帯びた笑い声を出しているサエコには、届くまでも無くかき消されました。
次の瞬間、サエコの目が妖しく光ったように感じました。
私は寒気を感じて、素早く体を移動しました。
ガサッという音が足元で聞こえます。
足元の草が、何かにつかまれたように変化します。
「くそっ!!」
サエコが吐き捨てるように言いました。
――やばい!! 何かをやっている。
全身に鳥肌が立ちました。
私は、とにかく動きを止めないように、そして動きを読まれないように動き続けます。
足元の草がそのたびに音をたてます。
――よかったーー!! 足元に草があって
もし、アスファルトの道路の上なら、なにも気づけないまま足がどうにかなっていたでしょう。
「すげーーっ!! さすがは桃井ちゃんだ。俺達なら瞬殺されているのに、余裕でかわしているぞ!!」
ナカヅイ隊長が言いました。
何を言うのですか! 余裕でかわしてなどいません。
ギリギリかわせているだけです。
いったい何が起きているのかさえわかりません。
「しかし、なんでサエコさんは、今日はパンツ丸出しじゃねえんだ!! 楽しみにしてきたのによう!!」
マボリ隊長が言いました。
ええっ、パンツ丸出しってなんの事でしょう。
「ひゃはははは、好きな男でも出来たんじゃねえのかー」
ミズ隊長です。
「気の毒になあ」
ナカヅイ隊長が、本当に気の毒そうです。
そうかなあ。顔は可愛いので、男の人なら好かれたら嬉しいのじゃないかしら。
「お前らーーっ!! すこし黙れーー!!」
サエコがチラリと隊長達の方を見ました。
「いまだっ!!!!」
サエコに隙が出来ました。
私は飛び上がり空中のサエコの太ももに、忍者コスチュームに装備されている短刀を突き立てました。
この忍者コスチュームは薄く体を覆います。黒い金属の総量が少ないので飛ぶことが出来ません。だからジャンプするしかないのです。
「ふっ! なにが『いまだっ!!』だ!! お前程度に傷付けられるはずがないだろう!!」
「くっ……」
私の短刀はサエコの太ももの前で、何か強い力で止められました。
それだけではありません。
……しくじりました。
「終わりだ!!!!」
「がはっ!!」
私の体に強い衝撃が走ります。
まるで高速で動いている鉄球が、体にぶつかって来たような衝撃です。
忍者コスチュームが全力で衝撃を吸収しようと、エアバックのように膨らんでくれました。
それがなければ、即死だったかも知れません。
私は衝撃のまま数十メートル吹飛ばされました。
「ふふふ、お前は中々やるなあ!! どうだ、私の配下にならないか? それなら命を助けてやろう、どうだ?」
「おおおー!! そりゃあいい!! 桃井ちゃーん、そうしろーー!! 仲間になるんだーー!! そうすりゃあ俺達の同僚だーーーー!!!!」
三人の隊長が叫んでいます。
「ちっ! 馬鹿がっ!! ふざけるな!! 誰がお前達の同僚だーー!! こいつは私の直属の部下にする。お前達の上官だーー!!」
私は、草の中に体を沈めて動けません。
ですが、口だけは動かせそうです。
「おっ、お断りいたします」
「ふふふ、そう言わずに、よく考えな……」
サエコがそう言うと、数メートル横に有る草が、平らに切れていきます。
まるで、鋭い刃物が少しずつ草を切りながら、私の方に移動しているようです。
このままだと、見えない刃物で私の体が二つに切り裂かれてしまいます。
「ぐっ!!」
私は歯を食い縛り、体を動かそうとしましたが全く動きません。
体に受けた衝撃はかなり深刻なダメージだったようです。
「ふふふ、考え直しな!! どうだ?」
見えない刃はあと少しで、私にとどきます。
「お、お断りします」
「きゃはははははーー!!!! 残念!!」
またサエコが、背筋が寒くなるような、狂気を帯びた笑い声を出して言いました。
私は覚悟を決めて目を閉じました。
「うふふ!! どうやら選手交代のようね!!」
目を開くと、私はサンダーワールドさんの胸に抱かれていました。
なんだか、白馬の王子様に助け出され、お姫様抱っこをされているみたいで、キュンキュンしています。
「あ、ありがとうございます」
「うふふふ、あなたはあいつらと同じで後ろで見学ね」
「あいつら……?」
後ろを見たら、三人の鎧武者が倒れています。
「ほいっ!!」
「きゃああああーーーーーっ!!!!」
なんて、雑な扱いでしょう。
サンダーワールドさんは私を三人の鎧武者のところへ投げ飛ばしました。
さっきのキュンキュンを返してください!!
桜木の方を見ると、フォード教授が桜木の前で仁王立ちです。
その後ろで倒れている鎧武者を幼女のアメリちゃんが抱き上げました。
「ほいっ!!」
あーーっ!!
アメリちゃんまで、ケガ人を投げ飛ばしました。
「ぐはっ!!」
私の隣で投げ飛ばされた鎧武者が声を出しました。
扱いが雑すぎます。
どうやらベッキーのようですね。ならいいですか。
なったく、アメリカ人は日本人を雑に扱いすぎです。
私は、サエコに集中していたので分かりませんでしたが、どうやら桜木はとんでも無いほど強いようです。
武器を装備したこの四人を、軽々と倒してしまったようです。
無念ですが、選手が交代して、サエコとはサンダーワールドさん、桜木とはフォード教授が戦うようです。
四人が静かに向かい合うと、後方からザザザッと音を立て、緑の波が四人に向って進んできます。
その様子を九州雄藩連合の兵士と新政府軍の兵士が固唾を飲んで見つめます。
長門の田園は風が揺らす草の音だけになりました。
私の祈りなど通じるはずもありません。
風の刃は、狂気を帯びた笑い声を出しているサエコには、届くまでも無くかき消されました。
次の瞬間、サエコの目が妖しく光ったように感じました。
私は寒気を感じて、素早く体を移動しました。
ガサッという音が足元で聞こえます。
足元の草が、何かにつかまれたように変化します。
「くそっ!!」
サエコが吐き捨てるように言いました。
――やばい!! 何かをやっている。
全身に鳥肌が立ちました。
私は、とにかく動きを止めないように、そして動きを読まれないように動き続けます。
足元の草がそのたびに音をたてます。
――よかったーー!! 足元に草があって
もし、アスファルトの道路の上なら、なにも気づけないまま足がどうにかなっていたでしょう。
「すげーーっ!! さすがは桃井ちゃんだ。俺達なら瞬殺されているのに、余裕でかわしているぞ!!」
ナカヅイ隊長が言いました。
何を言うのですか! 余裕でかわしてなどいません。
ギリギリかわせているだけです。
いったい何が起きているのかさえわかりません。
「しかし、なんでサエコさんは、今日はパンツ丸出しじゃねえんだ!! 楽しみにしてきたのによう!!」
マボリ隊長が言いました。
ええっ、パンツ丸出しってなんの事でしょう。
「ひゃはははは、好きな男でも出来たんじゃねえのかー」
ミズ隊長です。
「気の毒になあ」
ナカヅイ隊長が、本当に気の毒そうです。
そうかなあ。顔は可愛いので、男の人なら好かれたら嬉しいのじゃないかしら。
「お前らーーっ!! すこし黙れーー!!」
サエコがチラリと隊長達の方を見ました。
「いまだっ!!!!」
サエコに隙が出来ました。
私は飛び上がり空中のサエコの太ももに、忍者コスチュームに装備されている短刀を突き立てました。
この忍者コスチュームは薄く体を覆います。黒い金属の総量が少ないので飛ぶことが出来ません。だからジャンプするしかないのです。
「ふっ! なにが『いまだっ!!』だ!! お前程度に傷付けられるはずがないだろう!!」
「くっ……」
私の短刀はサエコの太ももの前で、何か強い力で止められました。
それだけではありません。
……しくじりました。
「終わりだ!!!!」
「がはっ!!」
私の体に強い衝撃が走ります。
まるで高速で動いている鉄球が、体にぶつかって来たような衝撃です。
忍者コスチュームが全力で衝撃を吸収しようと、エアバックのように膨らんでくれました。
それがなければ、即死だったかも知れません。
私は衝撃のまま数十メートル吹飛ばされました。
「ふふふ、お前は中々やるなあ!! どうだ、私の配下にならないか? それなら命を助けてやろう、どうだ?」
「おおおー!! そりゃあいい!! 桃井ちゃーん、そうしろーー!! 仲間になるんだーー!! そうすりゃあ俺達の同僚だーーーー!!!!」
三人の隊長が叫んでいます。
「ちっ! 馬鹿がっ!! ふざけるな!! 誰がお前達の同僚だーー!! こいつは私の直属の部下にする。お前達の上官だーー!!」
私は、草の中に体を沈めて動けません。
ですが、口だけは動かせそうです。
「おっ、お断りいたします」
「ふふふ、そう言わずに、よく考えな……」
サエコがそう言うと、数メートル横に有る草が、平らに切れていきます。
まるで、鋭い刃物が少しずつ草を切りながら、私の方に移動しているようです。
このままだと、見えない刃物で私の体が二つに切り裂かれてしまいます。
「ぐっ!!」
私は歯を食い縛り、体を動かそうとしましたが全く動きません。
体に受けた衝撃はかなり深刻なダメージだったようです。
「ふふふ、考え直しな!! どうだ?」
見えない刃はあと少しで、私にとどきます。
「お、お断りします」
「きゃはははははーー!!!! 残念!!」
またサエコが、背筋が寒くなるような、狂気を帯びた笑い声を出して言いました。
私は覚悟を決めて目を閉じました。
「うふふ!! どうやら選手交代のようね!!」
目を開くと、私はサンダーワールドさんの胸に抱かれていました。
なんだか、白馬の王子様に助け出され、お姫様抱っこをされているみたいで、キュンキュンしています。
「あ、ありがとうございます」
「うふふふ、あなたはあいつらと同じで後ろで見学ね」
「あいつら……?」
後ろを見たら、三人の鎧武者が倒れています。
「ほいっ!!」
「きゃああああーーーーーっ!!!!」
なんて、雑な扱いでしょう。
サンダーワールドさんは私を三人の鎧武者のところへ投げ飛ばしました。
さっきのキュンキュンを返してください!!
桜木の方を見ると、フォード教授が桜木の前で仁王立ちです。
その後ろで倒れている鎧武者を幼女のアメリちゃんが抱き上げました。
「ほいっ!!」
あーーっ!!
アメリちゃんまで、ケガ人を投げ飛ばしました。
「ぐはっ!!」
私の隣で投げ飛ばされた鎧武者が声を出しました。
扱いが雑すぎます。
どうやらベッキーのようですね。ならいいですか。
なったく、アメリカ人は日本人を雑に扱いすぎです。
私は、サエコに集中していたので分かりませんでしたが、どうやら桜木はとんでも無いほど強いようです。
武器を装備したこの四人を、軽々と倒してしまったようです。
無念ですが、選手が交代して、サエコとはサンダーワールドさん、桜木とはフォード教授が戦うようです。
四人が静かに向かい合うと、後方からザザザッと音を立て、緑の波が四人に向って進んできます。
その様子を九州雄藩連合の兵士と新政府軍の兵士が固唾を飲んで見つめます。
長門の田園は風が揺らす草の音だけになりました。
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