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夏休み編

第三百七十四話 夏だー! 屋台だー! 

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「赤穂さん何か食べますか? 木田家の屋台は無料ですよ」

「では、私も焼きそばを」

「ふふ、すぐにできます。お待ち下さい。そういえば、ゲンはどうしていますか?」

「はい。特に北海道国を攻める動きはありませんが、機動陸鎧で細い道まで道路を封鎖しています」

「なるほど、そう来ましたか」

「えっ? どういうことですか?」

「ふふふ、ゲンは既に北海道国を追い詰めていると言うことです。出来ましたよ。どうぞ」

「は、はい。ありがとうございます」

 赤穂さんは、まだ聞きたそうでしたが、焼きそばを食べたいのかタープテントのテーブルに、うきうきしながらスキップをするように向かいました。

「ちがーーう!!」

 先に食べたミサと坂本さん、古賀さんの三人から同時に声が上がった。
 焼きそばを手にして、怒りの表情でこっちへ来ました。
 ミサは意識しているのか知らないが、胸が揺れまくっています。
 もっと、全体を包むような水着にしてもらいたいものだ。

「この、焼きそばは違います!!!」

 どうやら、うちの焼きそばに文句のようです。
 しかし、うちの焼きそばは、そこいらの焼きそばとはわけがちがう。
 北海道産の豚肉と、木田産のキャベツをふんだんに使い、さらにソースも名古屋の工場で作った濃い奴だ。最後に落とした玉子だって、木田の玉子だ。黄身は、とろとろにしてある。

「なにが……??」

「美味し過ぎます。海の家で食べる焼きそばは、肉が一かけ、キャベツも一かけ、後はソースだけの、まずい焼きそばが定番です」

 そ、そっちー!!

 俺が言っているわけではありませんからねー。
 この水着美女三人の個人的な意見です。

「やれやれ、おやじー。やっちまったなー。そんな焼きそばが食いたいわけじゃねえんだ。くそ不味い焼きそばこそが、海でくう焼きそばなんだよ!!」

 海で遊び疲れたのか、腹が減ったのかあずさがやって来て首を突っ込んできた。
 はあ、めんどくせー。

「ば、馬鹿なのかー! お、おまえらーー!! ちゃんと海で食べる焼きそばもおいしいわーー!! お、恐ろしい事を言うんじゃ無い。で、そちらのうるさいお客様は何をしに来たのですか?」

 美味いと言うだけ言って、三人の美女が尻をフリフリしながら帰っていく。フリすぎだろう。

「おいおい、うるさいとはなんだ。俺はぜんぜんうるさくないぞ」

 あずさの奴は、どうやらめんどくさいお客がやりたいようだ。
 少し付き合うか。

「では、お客様。注文をお願いします」

「うむ、俺はお好み焼きを頼む、但しキャベツは二割減らしてくれ、豚肉も少しでいい、揚げ玉は増量してくれ、紅ショウガは半分だ。そして……」

「あーーやかましいわーー!! 本当にうるさいなーー!!」

「ぎゃはははははーーーーー!!!!」

 あずさが腹を抱えて笑っている。
 まあ、俺はお前がそんなに楽しそうならそれだけで十分だ。
 少し目頭があつくなった。あの骸骨がこんなに美しくなって……。

「私は、普通のお好み焼きで」

 カノンちゃんが言った。
 俺は少し飛び上がった。
 一緒に来ていたヒマリも、あずさも飛び上がっている。
 カノンちゃんの普通は声が滅茶苦茶でかかったのだ。

「あーー、うるさーーい!!!」

 俺とあずさとヒマリの声がそろった。

「うふふふ」

 カノンちゃんも楽しそうだ。
 まあ、この子もいろいろあった子だ。
 楽しんでくれているのなら、俺も満足だ。また目頭があつくなった。
 俺はお好み焼きを二つ焼き始めた。

「私は、あっさりしたものが良いので……」

 ヒマリが人差し指でほっぺに触れて上目遣いになった。

「そうですか。いいですね」

 そう言いながら、ヒマリの仕草に釘付けになった。
 全てがパーフェクトだよ。この美少女可愛すぎる。

「うふふ、げんこつハンバーグがいいです」

 駿河名物、あのレストランのハンバーグかーー。
 って、一番あっさりしてねーー。むしろこってりだよ。

「あーーっ!! 私もーーーー!!!!」

 あずさと、カノンちゃんまで便乗してきた。

「では、私はステーキをお願いします」

 響子さんが美しい水着姿でやって来た。
 うん、美熟女もいいもんだ。
 追加で、ハンバーグ三個と、ステーキを焼き始めると、足元がモゾモゾする。

「アドか、姿を見せてくれ」

「ニャーー」

 アドが、姿を現すと猫耳と尻尾の着いた黒いビキニを着ている。
 ご、合法ロリだがまじでいいのかーー。
 布がめっさ小さいぞーー。

「ほら!!」

「やったニャーー!!!!」

 焼きそばやお好み焼きに使う、削ったカツオブシの入れ物を渡してやったら喜んで走り去った。
 お前、いつから本当の猫になったんだー。

「あの、私もよろしいですか」

 オオエが姿をあらわした。
 オオエはビキニタイプだが、上にも下にもひらひらが付いていて露出が少ない。
 なんか、ほっこりするなあ。
 つい、じっと見つめてしまった。
 オオエが赤くなってくねくねしている。
 くそ! 熟女なのに可愛いじゃねえか。

「なにがいい?」

「爆玉とご飯でお願いします。なんだか忘れられなくて」

「私もーーー!!!!!!」

 全員から「私もー」が出た。
 ふふふ、あずさと二人で囲んだ食卓が目に浮かんだ。
 ご飯に爆玉だけの日が結構あったよなあ。

 その後、海で散々遊んでスイカも食べて、夜もたっぷりご飯を食べ英気を養った。
 明日からは、いよいよ函館入りをする。
 遊び疲れて眠っている女性達をそのままにして、俺は夜の海をながめて明日からのことを考えていた。

 ――北海道共和国が、いい国だといいなあ

 そんなことを考えていると、空の三日月が雲から顔を出して、あたりを明るくてらした。

「いい国だといいですね」

「し、信さん、寝ないのかい」

「ふふ、すぐに寝ますよ」

 そう言いながら、信さんが俺の横に座った。
 月に照らされた信さんの顔は神秘的で、男にしておくのはもったいないほど美しかった。
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