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九州激闘編
第三百五十一話 真打ち登場
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「すまんなあ、島津の! 俺が行かしてもらうぜ!」
「相良、これを持って行け!!」
義弘様は相良様に真っ黒な棍を渡しました。
具足に装備されたアダマンタイト製の棍です。
見学だけを許されていたはずなのに、出てしまうようです。本陣の幔幕を出て行きました。
戦場の雰囲気は人の判断を狂わせてしまうようです。
女の私でも、この雰囲気はやばいです。血が騒いでいます。
「わが名は、相良晴広ーー!! お相手つかまつるーー!!」
そう叫ぶと走り出しました。
正面の島津隊の中央が左右に分かれ花道が出来ます。
「本陣に赤池殿の姿が見えたー! どうせなら、二人でかかってきたらどうだー。俺はかまわんぞー」
戸次様が言いました。
いけません!!
私は正気に戻りました。
そんな事をしては、死人が出ます。
「なにーーっ!! 貴様ーー!! あとで吠え面をかくなよ!! 赤池ーー!! おめーも参加しろーー」
「おおーう!!」
赤池様が本陣を出ました。
手には、黒い棍を持っています。
二人で行ったら、死者が出てしまいます。
「いけません。二人が殺されてしまいます」
「なにっ!!」
義弘様が驚いて声の方を見ました。
「……」
私は消していた姿をあらわして、大きくうなずきました。
「あいつらは、強いぞ!! それでもか?」
「はい、戸次様の強さは別次元です。深水様が一緒でも勝てません」
「桃井さん。貴方から見て我軍で、奴に匹敵する者はいるのですか」
「具足無しでは、一人を除いて戦えば全滅でしょう」
「な、なにっ!! って、一人いるのか。そっ、その者の名は?」
「真田隊、三好青海入道様にございます」
「なるほど。ちょっと待って下さい。具足無し?」
「はい、そうです。具足を装備していれば、皆さんは戸次様と同じ位の強さになっているはずです」
「なんだと!?」
「戸次様は驚きの強さですね」
「なっ!? ふむ。それも、そうだがこの具足の強さに驚いている」
まさか、義弘様が驚いたのはそっちですかーー!
そんな事驚く方がおかしいですよね。
むしろ戸次様の強さが、大殿の作った具足と同じ位の強さなのが驚きですよね。
「えっ!? そんなのは当たり前ですよ。大殿が作った物です。千人力位当たり前ですわ」
「せ、千人力!? ふははは。桃井さんの大殿に対する信頼の厚さはもはや笑うしかありませんな。そうですか。この具足は装備すれば千人力になるのですか」
「うふふ。はい」
「誰か、真田隊に走り、三好殿に助太刀をするようそれとなく頼んでくれ!」
「それなら私が参ります」
「おお、では、桃井さん頼む」
「はっ!!」
私は再び姿を消して、真田様の隊へ急ぎました。
「行くぞーーー!!!!」
あら、いけません。始まってしまいました。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」
相良様も赤池様も猛将です。
棍がうなりを上げて、戸次様の頭上に振り降ろされます。さすがですね。重い棍を具足無しで自由に振り回します。
ですが戸次様は最小限の動きでそれを避けました。完全に二人の動きを見切っています。
そして、二人の体が一瞬並んだ時に、戸次様は棍を二人の足めがけ振りました。
「ぎゃあああああーーーーっ!!!!」
大きな悲鳴と、ベキッと大きな何かが折れる音がしました。
「ふふふ、悪いですが、俺の手柄になって下さい」
戸次様は、高く棍を振り上げました。
二人からは逆光になり、戸次様の体が真っ黒な影に見えているはずです。
振りかぶった棍が太陽に照らされ、キラリと光ります。
相楽様も赤池様も、足に重傷を負ったのでしょう。
座り込んだまま動けません。
ごめんなさい、間に合いませんでした。
私は情けない事に目をつむってしまいました。
私にはこれから起る悲劇を直視する事が出来ませんでした。
女ですから。許して下さい。
ガキーーーン
高い金属音がします。
頭蓋骨が割れる音でしょう。
意外と高い音が出るのですね。
私は、ゆっくりまぶたを上げました。
「わるいなあ。水を差してしまった。その代わり戸次様を楽しませる事をお約束しましょう」
か、かっこいい。
相楽様と赤池様の頭の数ミリ上で、戸次様の棍を三好様が受けています。
さすが三好様です。
何も言っていないのに、あの距離を一瞬で移動してギリギリで助けました。
「お、おおおおっーー」
両軍から低い地をはうような、どよめきが起りました。
それにしても、すごい!!
戸次様の渾身の両手の攻撃を、片手で受けています。
この段階で、三好様が上と判断できます。
「アプザーゲ!」
い、いけません。何を考えているのでしょう。
三好様が武装を解いてしまいました。
三好様の横に赤い美しいプロポーションの女性型アンドロイドが立っています。
これが、三好様の装備の解除した姿です。
名前は確かー。そう! シュドウ!
呂瞬様の呂布装備の解除した姿が、美しい黒い女性型アンドロイドで影のようなので名前がシャドウ。
こっちの三好青海入道装備は赤いのでシュドウです。大殿は名前のセンスまで最高です。
三好様は、装備を解除すると棍も投げ捨てました。
そして、指をポキポキ鳴らします。
さっきまでは格好よかったのですが、装備を取るとゴリラ顔の悪の組織の親分みたいです。
対する戸次統虎様は、若くて美形です。
体の筋肉も極限まで発達してお見事です。
やばい、こっちを応援したくなりました。
どう見てもこっちが正義です。
戸次様はニヤリと笑うと、武器を投げ捨て、装備も外し身軽になりました。
「あんた、そっちの方がつえーのかい?」
戸次様が笑いながら聞きました。
「ふふふ、これだと、あんたぐれーの強さだ」
三好様が、余裕で返します。
いよいよ、本当の一騎打ちのはじまりです。
「相良、これを持って行け!!」
義弘様は相良様に真っ黒な棍を渡しました。
具足に装備されたアダマンタイト製の棍です。
見学だけを許されていたはずなのに、出てしまうようです。本陣の幔幕を出て行きました。
戦場の雰囲気は人の判断を狂わせてしまうようです。
女の私でも、この雰囲気はやばいです。血が騒いでいます。
「わが名は、相良晴広ーー!! お相手つかまつるーー!!」
そう叫ぶと走り出しました。
正面の島津隊の中央が左右に分かれ花道が出来ます。
「本陣に赤池殿の姿が見えたー! どうせなら、二人でかかってきたらどうだー。俺はかまわんぞー」
戸次様が言いました。
いけません!!
私は正気に戻りました。
そんな事をしては、死人が出ます。
「なにーーっ!! 貴様ーー!! あとで吠え面をかくなよ!! 赤池ーー!! おめーも参加しろーー」
「おおーう!!」
赤池様が本陣を出ました。
手には、黒い棍を持っています。
二人で行ったら、死者が出てしまいます。
「いけません。二人が殺されてしまいます」
「なにっ!!」
義弘様が驚いて声の方を見ました。
「……」
私は消していた姿をあらわして、大きくうなずきました。
「あいつらは、強いぞ!! それでもか?」
「はい、戸次様の強さは別次元です。深水様が一緒でも勝てません」
「桃井さん。貴方から見て我軍で、奴に匹敵する者はいるのですか」
「具足無しでは、一人を除いて戦えば全滅でしょう」
「な、なにっ!! って、一人いるのか。そっ、その者の名は?」
「真田隊、三好青海入道様にございます」
「なるほど。ちょっと待って下さい。具足無し?」
「はい、そうです。具足を装備していれば、皆さんは戸次様と同じ位の強さになっているはずです」
「なんだと!?」
「戸次様は驚きの強さですね」
「なっ!? ふむ。それも、そうだがこの具足の強さに驚いている」
まさか、義弘様が驚いたのはそっちですかーー!
そんな事驚く方がおかしいですよね。
むしろ戸次様の強さが、大殿の作った具足と同じ位の強さなのが驚きですよね。
「えっ!? そんなのは当たり前ですよ。大殿が作った物です。千人力位当たり前ですわ」
「せ、千人力!? ふははは。桃井さんの大殿に対する信頼の厚さはもはや笑うしかありませんな。そうですか。この具足は装備すれば千人力になるのですか」
「うふふ。はい」
「誰か、真田隊に走り、三好殿に助太刀をするようそれとなく頼んでくれ!」
「それなら私が参ります」
「おお、では、桃井さん頼む」
「はっ!!」
私は再び姿を消して、真田様の隊へ急ぎました。
「行くぞーーー!!!!」
あら、いけません。始まってしまいました。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」
相良様も赤池様も猛将です。
棍がうなりを上げて、戸次様の頭上に振り降ろされます。さすがですね。重い棍を具足無しで自由に振り回します。
ですが戸次様は最小限の動きでそれを避けました。完全に二人の動きを見切っています。
そして、二人の体が一瞬並んだ時に、戸次様は棍を二人の足めがけ振りました。
「ぎゃあああああーーーーっ!!!!」
大きな悲鳴と、ベキッと大きな何かが折れる音がしました。
「ふふふ、悪いですが、俺の手柄になって下さい」
戸次様は、高く棍を振り上げました。
二人からは逆光になり、戸次様の体が真っ黒な影に見えているはずです。
振りかぶった棍が太陽に照らされ、キラリと光ります。
相楽様も赤池様も、足に重傷を負ったのでしょう。
座り込んだまま動けません。
ごめんなさい、間に合いませんでした。
私は情けない事に目をつむってしまいました。
私にはこれから起る悲劇を直視する事が出来ませんでした。
女ですから。許して下さい。
ガキーーーン
高い金属音がします。
頭蓋骨が割れる音でしょう。
意外と高い音が出るのですね。
私は、ゆっくりまぶたを上げました。
「わるいなあ。水を差してしまった。その代わり戸次様を楽しませる事をお約束しましょう」
か、かっこいい。
相楽様と赤池様の頭の数ミリ上で、戸次様の棍を三好様が受けています。
さすが三好様です。
何も言っていないのに、あの距離を一瞬で移動してギリギリで助けました。
「お、おおおおっーー」
両軍から低い地をはうような、どよめきが起りました。
それにしても、すごい!!
戸次様の渾身の両手の攻撃を、片手で受けています。
この段階で、三好様が上と判断できます。
「アプザーゲ!」
い、いけません。何を考えているのでしょう。
三好様が武装を解いてしまいました。
三好様の横に赤い美しいプロポーションの女性型アンドロイドが立っています。
これが、三好様の装備の解除した姿です。
名前は確かー。そう! シュドウ!
呂瞬様の呂布装備の解除した姿が、美しい黒い女性型アンドロイドで影のようなので名前がシャドウ。
こっちの三好青海入道装備は赤いのでシュドウです。大殿は名前のセンスまで最高です。
三好様は、装備を解除すると棍も投げ捨てました。
そして、指をポキポキ鳴らします。
さっきまでは格好よかったのですが、装備を取るとゴリラ顔の悪の組織の親分みたいです。
対する戸次統虎様は、若くて美形です。
体の筋肉も極限まで発達してお見事です。
やばい、こっちを応援したくなりました。
どう見てもこっちが正義です。
戸次様はニヤリと笑うと、武器を投げ捨て、装備も外し身軽になりました。
「あんた、そっちの方がつえーのかい?」
戸次様が笑いながら聞きました。
「ふふふ、これだと、あんたぐれーの強さだ」
三好様が、余裕で返します。
いよいよ、本当の一騎打ちのはじまりです。
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