底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

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学園生活編

第二百九十八話 にらみ合い

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「す、すごいです。すごすぎです」

 美代ちゃんの目がキラキラかがやいています。
 でも、私はあせっています。
 やり過ぎました。教室のガラスが全部割れてしまったのは想定外です。

「はぁーっ! かたづけなきゃあね」

「うふふ」

 美代ちゃんは、うれしそうにホウキを持って来てくれました。
 せっかく早く帰れるはずなのに遅くなりそうです。
 とうさんがいれば、すぐに終るのにがっかりです。
 教室には何故かほとんどの生徒が残っていて、いくつかのグループにわかれて話をしています。

 十人ぐらいのグループにノブ君とライちゃんがいます。
 あれは、関西グループと呼んでいいのじゃないかしら。
 ノブ君とライちゃん以外の人達は、掃除を始めた私と美代ちゃんをいまだに驚いた表情で見ています。
 でも、ノブ君とライちゃんは冷ややかに見つめます。
 当然ですね。あの二人はこんなことはたやすくやってのけます。
 なんと言っても、ノブ君はアンナメーダーマンjr、ライちゃんはアンナメーダーマンライファなのですから。

 きっと、『馬鹿な事をしやあがって』なんて思っているのじゃないかしら。やれやれです。

「ちっ、俺にも貸せよ。俺は中川雷太だ。あんたの下につく」

「はっ!??」

 美代ちゃんの元彼が掃除を手伝ってくれるようです。

「俺は高畑です」
「俺は荒子です」
「僕は烏森です」

「タカハタ君にアラコ君、カスモリ君。よし、憶えた!」

 元彼の取り巻きが名字を言ってホウキを持ちました。
 三人ともちゃんとした不良顔です。目つきが悪いです。
 でも、掃除を手伝ってくれるのだからいい子達なのでしょう。

「ふふふ、あんたは知らないかもしれねえが、あの真ん中の坊ちゃんみてえな奴は、鶴見信秀だ。見た目と違ってやべえ奴なんだ。大阪で子供だけで盗賊をやっていたリーダーなのさ、大人の兵士を襲って物資を奪っていたらしい。その時兵士は皆殺しにしたと言っていた。とにかくやべえ気をつけろ」

 ノブ君の事だ。
 結構有名なのね。
 今は心を入れ替えていい子なのに、恐れられているのね。

「ありがとう。わかったぜ」

 ふふふ、とうさんの言い方の真似をして見ました。

「あっちは、今川家の連中だ。たいして強え奴はいねえが人数が多い、気をつけた方がいい」

「元彼、よく知っているなあ。助かるぜ」

「ちょ、ちょい待ってくれ」

「んっ、なんだ?」

「元彼はやめてくれねえかなあ」

「ああそうか。じゃあチュー太郎だ」

「そ、それもやめてくれーーー!!」

 真っ赤な顔をしている。
 美代ちゃんまで微妙な雰囲気になってしまった。
 ちょっと失言しちゃったかなあ。

「ちっ、じゃあ中川だ」

 ふーっ、なかなか、男の子の言い方はつかれます。

「ああっ!!! アスカさん、俺達も呼び捨てにしてください!!!」

 中川の取り巻きの三人があわててそう言いました。

「美代が、いや美代さんがアスカさんを好きになるとは思いませんでした」

「何を言っているの、ちょっとこっちに来なさい」

 美代ちゃんが壁際に行き全員を呼びました。
 四人が私のまわりで、丸くなり他から見えない様に囲みました。
 そして、美代ちゃんが、私の顔を隠す髪の毛を少し上にあげました。

「な、何をする!!」

「ご、ごめんなさい!!」

 私の剣幕にすかさず美代ちゃんが謝ります。
 どうやら怒られる事は分かっていたようです。

「う、うつくしいーーー!!!!」

 四人が声を出しました。

「なるほど、美代さんがほれるわけだ。顔は美しい、頭も良い、そして何より強い。三拍子そろっている」

 中川達が納得していると。

「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」

 すごい叫び声が聞こえました。

「!?」

 驚いて教室の全員が声の方を見ました。

「みなしゃんは、なにが不満なんでしゅかーー!!!!」

 叫び声の主は、アメリ先生でした。

「これはすごい!」

 古賀校長先生です。

「や、やべー!」

 私の頬を冷たい汗が流れます。

「誰がやったのですか。あっ……いいえ、気にしないで」

 そういって、古賀校長先生は生徒の姿を一人一人確認します。

「ケガはなさそうね。それならいいわ。しかし、一年A組が、恐らく東京校も含めて一番すごいクラスじゃないかしら。確認しなきゃね。初日で教室の窓ガラスを全部叩き割りましたか。ふふふ、担任をアメリちゃんにしてよかった」

「!!」

 アメリ先生が、大きな口を開けてパクパクしています。
 だから、幼児がそんな顔をしては駄目です。
 もっと、かわいい顔じゃなきゃあねー。

「子供は元気よく遊ぶのが仕事です。かっかっか!!」

 古賀先生が笑いながら、教室を後にしました。

「私も手伝いましゅ」

 ガックリと首をうなだれて幼女がホウキを持ちました。
 落ち込んで掃除をするアメリちゃんは滅茶苦茶かわいいです。

「おい! 俺達も手伝うぞ!!」

 ノブ君が言いました。
 関西グループが全員手伝いを始めます。
 関西グループが動き出すと、他のグループも動きだしました。
 関西グループの中から、ライちゃんがこっちへ歩いて来ます。

「な、なによ! あんた」

 すかさず美代ちゃんが、立ちふさがってくれました。

「どけっ! ぶす!」

 そう言うと美代ちゃんを払いのけました。

「きゃっ!!」

 美代ちゃんが床にペタンと尻餅をつきます。
 ライちゃんは美代ちゃんをチラッと見ると、視線を私に移します。
 そして、少し吊り目ですが、美しい顔立ちのライちゃんが私をにらみ付けます。
 なんだか恐い雰囲気です。とうさんと一緒の時と全然違います。
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