底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

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学園生活編

第二百九十七話 ラッキー少女

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「手を離しなさい」

 美代ちゃんが肩をつかんだ不良男子生徒に悪役令嬢のように言いました。
 立派です。コソコソ逃げようとしている私とは大違いです。

「なあ、嘘だろ!! あんな冴えない男が彼氏なんて」

 ようやく教室から出られる所まで来たのに、視線がこっちに来ました。A組の問題児達の視線が集ります。
 はい。私が今、紹介にあずかりました冴えない男です。なんでやねん。

「嘘じゃ無いわ。本当よ!!」

「おい!! てめー! なに帰ろうとしているんだ。逃げるんじゃねえ!!!!」

 私は不良男子生徒の取り巻きの三人に囲まれました。

「わた、わたし、いや、僕は関係ないですー」

「てめー! かんけーねーわけが無いだろうー、このやろーー!!!! なあ、あんなやろーのどこがいいんだー! だいたい美代の彼氏は俺じゃねえのかよ」

 えーー!!
 あんたたち付き合っていたのーー!!
 中一なのに付き合うなんてー! だめですよ。まだ早いです。
 私なんていまだに、隙あらばとうさんのひざの上に座ってご飯を食べようとするのにーー。大違いだわ。
 あーーそれで大人って事ね。

「それは、もう終った事よ」

「なっ!! ちゅ、ちゅーだってしたじゃねえかよ」

 ちゅ! ちゅーですってーーー!!!!
 すごく大人です。
 今の中学生は進んでいます。口と口でしょうか?

「だから、あなたとは、もう終っているの。アスカ君との出会いはまさに衝撃的な出会いなの。胸を剣で突き刺されたような衝撃でした。心がアスカ君で満ちあふれています。もうアスカ君無しでは生きられません」

 えーーっ!! そ、そんなにーー!!
 重いです。重すぎます。
 それに、私は女の子ですよーー!!
 やばいです。中学初日が飛んでも無い事になっています。
 ど、どーーしよう。

「嘘だろー! それを言うなら俺だって、桑名で初めて会ったときに雷に打たれたような衝撃を受けたんだ。運命の出会いを感じたんだ。美代から告白されたときは、うれしくて心臓が止まりそうだったんだぞ」

「ちっ、その時死ねば良かったのに」

 こ、こらーー!! この悪役令嬢は何てことを言うのでしょう。
 しかもあなたから告白したのですかーー。
 まあ、落雷君は男らしい顔をしています。背も高くて今は栄養失調で痩せていますが、これからドンドン筋肉がついていきそうです。充分かっこいいですよ。
 あーだめだ。なんだか少し落雷君に同情しています。

「あ、あのーー」

 私は、とりあえず落ち着かせようと恐る恐る二人に声をかけました。

「うるせーーんだよ!! 部外者は黙っとけーー!!!!」

 あーはい、部外者いただきました。
 アホらしい、痴話げんかになど付き合っていられません。
 帰りましょう。

「だから、なんで帰るんだーーー!!」

 落雷君と美代ちゃんの声がそろいました。
 どうしろというのでしょうか。
 私に出来る事はありませんよ。

「よし! わかった。ちょんまげ。俺と勝負しろ! それで俺が負けたらスッパリ諦める」

 そうきましたかーー。

「うふふ、それなら、わた、僕が一発黙って殴られましょう。本気で一発殴ってください。それで立っていられなかったら、あなたの勝ちでいいです。どうですか?」

「ほ、本気か? よし! いいだろう」

 落雷君は、指をポキポキ鳴らして、ニヤニヤしています。
 自信満々のようです。
 私は、落雷君が殴り倒すのに丁度いい位置まで近づきました。
 そして、立ち止まります。

「どうぞ」

 私は目を閉じて歯をくいしばりました。

「いくぞおーーー!! おりゃあああああぁぁーーーーー!!!!」

 人を殴るのにすごい気合いです。
 それ、当たったら死んじゃいませんか?
 きっとあり得ないほど振りかぶっているはずです。
 落雷君には同情していましたが、もう怒りました。黙って殴られると言っている人間をそんな風に殴る事ってありますか。
 もう意地でも倒れてあげませんから。

 私の頬に落雷君の拳が近づきます。
 肌に触れる瞬間がわかりました。

「ああっ!!」

 教室で様子を見ていた生徒達の驚きの声が聞こえます。
 そして、沈黙しました。
 教室内が静寂に包まれます。
 私は、ゆっくり目を開けました。

「あっ!?」

 私は驚いて声が出ました。
 なんと落雷君の体が天井に突き刺さってブラブラしています。
 私は右手の平を開いて、上にあげています。

 ドスン!

 天井から落雷君が落ちてきました。
 どうやら、拳が当たる瞬間、無意識に掌底で落雷君のあごを押し上げたようです。
 でも良かったです。無意識なのに、ちゃんと手加減しています。
 落雷君は白目をむいていますが、命には別状が無いみたいです。

「な、なんだー、あの攻撃は」

 ヒソヒソ話している声が聞こえます。
 そうですよね。卑怯ですよね。
 でも仕方がありません。勝手に体が動いてしまったのですから。
 それとも威力が弱かったのでしょうか?

「ち、違います。すごく手加減しました。ほとんど力は入れていません」

「ええっ!!」

 教室中の生徒が驚いています。

「あの、アスカ君。あなたの本気の力はどの位なの?」

 美代ちゃんが聞いてきました。

「ここでは、本気を出せませんが、ちょっぴりの力でこの位です」

 私は手のひらを胸の前にもどして、軽く前に出しました。

「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」

 教室中に叫び声が聞こえます。

「しまった。これでも強かったかしら」

 あーーっ、失敗です!
 女の子みたいにしゃべってしまいました。
 教室内に暴風が吹き荒れて、窓ガラスが全部割れて吹飛んでしまいました。
 おかげで、私の女の子のような話し方は気付かれませんでした。
 よかったー。ラッキーです。
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