底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第二百三十八話 宿敵との共闘

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「では、行きましょうか」

 そう言うと、桜木は普通に歩いて、堂々と小屋に近づいていく。

「えっ!? いいのか?」

 あまりにも自然体で、友達の家にでも行く雰囲気なので、俺は慌てて後ろを追った。
 きっと、羽柴軍と何か話しがついているのだろう。

「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!! さ、さ桜木だーーー!!!」

 様子がおかしい。
 桜木の姿を見つけた護衛達が慌てている。

「ききき、きさまーーあ!! 性懲りも無くまた来たのかーー!!」

 警備の兵士達が騒ぎ出した。
 次々と、かがり火に火が入ると、あたりの景色がオレンジ色に浮かびだした。まるで夕方の明るさだ。

「出会えーー!! 出会えーー!! 新政府軍の桜木が来たぞーー!!!」

「お、おい、桜木。話しがついているんじゃねえのか。なんだか物々しい雰囲気だぞ」

「話しなんかしませんよ。前回来たときに百人ぐらいぶっ飛ばして、無理矢理姫に会ったからそれで、慌てているのじゃないでしょうか」

「いやいや、まてまて、それで良く堂々と来られたもんだなあ。あいつらの目が充血して、待ち構えていたように見えるぞ」

「羽柴様ー! 奴が現れましたー!!」

「来るとは思っていたが、また一人で来たのか? どれだけ、自分に自信があるっちゅーんだ。なめられっぱなしにするなー。囲めーー!! 囲めーー!!」

「お、おいおい。桜木! すげー数だぞ! 大丈夫なのか?」

 羽柴が手勢を連れて出て来た。
 羽柴には初めて会ったが、身なりに気を使わないタイプなのか、ボサボサの髪にボロボロの服を着ている。
 顔も垢で汚れて、真っ黒になっている。風呂嫌いなのかもしれない。
 出っ歯で目のまわりに酷いクマが有りまるで、妖怪ネズミ男の様な男だ。俺も、豚顔で女に嫌われているが、あいつも女には嫌われていそうだ。

 ――可哀想に。

「おい、糞ザル!! てめーの目は節穴か! 二人居るだろうが、見えねえのかー」

 うわあ、いつも丁寧な話し方の桜木が怒鳴ると、ギャップでこええー。

「てめーこそ、これが見えねーのか、八百人くらいは集めてあるぞ!」

「お前こそわかっているのか。いいか、この方こそ、アンナメーダーマン様だぞ」

「ひゃあ、はっはっはっ、何がアンナメーダーマンだ。ジャージを着たただのデブじゃねえか」

「なにーーっ、デブだとーー」

 小屋から、女の声がした。
 その声と共に、小屋の板が割れる音がして吹飛んだ。

「なっ!!!!!」

 俺達を囲んでいる羽柴の兵士が驚いている。
 どうやら、冴子さんは逃げる気になればいつでも逃げられたようだ。

「おおお、シュウ! 豚顔のシュウじゃ無いかーーー!!!」

 冴子さんが、嬉しそうな顔をして俺を見つめている。
 だが、顔はわからないはずだ。俺はフルフェースのヘルメットをかぶっている。

「いいえ、豚顔のシュウなどと言う方は知りません。私は正義の味方アンナメーダーマンです」

「きゃははは、お前の体から出ている金色の巨大な守護霊はシュウと同じ物じゃ。間違えようが無い!!」

 あー駄目だ。誤魔化しきれないみたいだ。
 桜木が、苦笑している。
 やべー、桜木にシュウとバレてしまった。

「くそーー、これを狙っていたのか。かまわねえ、やっちまえーー!!」

 これを、狙っていたのかって、なんのことだ?

「おおおおーーーーっ!!」

 羽柴の掛け声で俺達を囲んでいた兵士達が襲いかかって来た。
 兵士達は、桜木と冴子さんめがけて突進する。
 兵士達の手には日本刀が握られている。

「うぎゃああああーーー」

 桜木は、一人目の男から、刀を奪いとると次々斬り倒していく。
 大量の血を吹き出しながら、羽柴の兵士がバタバタ倒れる。
 冴子さんに襲いかかる兵士は、空中に高く飛ばされて地面に落ちて次々動かなくなった。

 あっと言う間に数十人が、倒れている。
 やばい、ありゃあ死んでいるぞ。このまま放置したら何人死ぬかわからない。
 俺は蜂蜜さんを、細く兵士の数だけ伸ばした。
 そして、兵士の首筋にきつい一撃を加えた。

「うぎゃあ!!」

 叫び声を上げて、兵士達全員が音を立てて倒れた。

「なっ、なっ、なっ!!」

 羽柴が、汚い顔をして驚いている。

「全くよう、あの二人と来たら、殺したらあかんというのになあ。殺されるといけねえから。眠ってもらったぜ!!」

「な、なんだ。お前は、何なんだー! す、凄すぎる」

「本当になあ。あの二人はよう、力加減を知らねえ。殺しすぎだっちゅうの、驚いちまうぜ」

「ち、違う。お前だよ! 何をしたんだ。五百人以上が一瞬で気絶しちまった」

「お、俺? 何を言っているんだ。俺なんか何にも凄くねえ。ただ気絶させただけだ」

「ぶっ!!」

 桜木が吹き出した。

「さ、桜木。この程度凄くねえよな」

「はははは、そ、そうですね。アンナメーダーマンにとっては簡単な事でしょう」

「くそーー!! 清正ーー!! 正則ーー!! いつも、もっと強ー奴とやりてーと言っていただろう。ぶちころせーー!!」

 羽柴の後ろに、筋肉隆々の青年が二人、織田家自慢の三間槍を片手で持って控えている。
 左馬之助並には、やりそうだ。
 だが、二人は尻込みして顔を振っている。
 まあ、桜木と冴子さんの、あの、暴れっぷりを見たらそうなるだろうな。

「なあ、羽柴さんよう。俺達は、冴子さんを助けに来ただけだ。大人しく帰るから許しちゃあくれねえか」

「わああー!!」

 俺は、ちょっと素早く羽柴の横に動いて、耳元に話しかけた。
 羽柴はペタンと腰を抜かしたように地面に尻餅をついた。
 そして、コクコクうなずいている。

「冴子さーん、帰ってもいいってよ。一緒に帰りましょう」

「はーー、なんで私が、お前みたいな醜い豚顔と帰らなくちゃあならないんだ! うぬぼれるな!」

「えっ! 運命の人って……」

「はーっ、気持ちわりーは! 豚はしゃべるな! 桜木帰るぞ」

「は、はい」

 桜木と、冴子さんは、俺を置いてさっさと帰ってしまった。

「えっ!?」

 羽柴が驚いている。
 いやいや、俺が「えっ!?」ですよ。
 どういうこと?

 あーーっ、やなことを思い出してしまった。
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