底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

文字の大きさ
上 下
216 / 428

第二百十六話 美術館

しおりを挟む
 俺は一人美術館を目指し歩いた。
 人のいない街を歩き、美術館の正面にたどり着くと、階段を上り正面玄関から中に入った。
 建物は鉄筋コンクリート製で、きっと有名な建築家が作ったのであろう洋風のデザインだ。
 玄関を入ると高い天井と豪華なシャンデリアが迎えてくれる。

 照明が付いていないので薄暗いが、玄関の窓から太陽光が入ってくるので真っ暗では無い。
 まずはいくつか照明を付けるところから始めた。
 俺がここにきた目的は、美術品をありがたがって見に来たわけでは無い。
 ここに俺の作った、美術品を展示するためだ。

 世界が崩壊する前なら、考えられないことだったが、今なら自由に展示が出来る。
 そのために来たのだ。
 鉄にクロムをまぜてステンレスにする。
 そして、ミスリルをまぜてミスリル合金にする。
 ステンレスは業界ではサスという。名付けて、サスリルだ。

 まずは、サスリル製のゴーレムメイドを作ろう。
 美術館の清掃員兼警備員だ。
 薄いブルーの人型を作り出した。
 シュラに似ている。頭は小さく胸も小さく、足は長くだ。
 まあこれが、俺が最も美しいと感じる女性のシルエットなのだからしょうが無い。
 完成したら裸は可哀想だ。

 ――やっぱりまずは、パンツからかな

 床に各種パンツを並べてみた。
 何やら嫌な予感がする。

「だれだ!!」

 俺は、適当に指をさしてみた。
 カタッと指の先で音がした。
 チッどうやら透明人間がいたようだ。

「なっ、何故わかったのですか?」

 現れたのは、古賀さんだった。

「忍者の首領様でしたか」

「完璧に気配は消していたはずなのに」

「そして、アドはそこだ!」

 俺は、名探偵ドイルの様に指をもう一度さした。

「ニャははは、外れニャ」

 九十度ずれた位置からアドが現れた。

「ふふふ、古賀さん。気にしないでください。たまたま当たっただけです。ふふ、当てずっぽうです」

「本当ですか?」

 古賀さんは少しほっとした表情で近寄ってきた。
 本当は一人でこっそり楽しみたかったのだが、こうなってしまえばしょうが無い。

「この子に、服を着させようと思うのですがどれが良いでしょうか」

 二人が選んだ下着を、自分でつけさせてメイド服を着せた。

「まあ、美しい。名前は何と言うのですか?」

 古賀さんも美しいと思ってくれたようだ。
 古賀さんの様な美人が言うのだから、美しいはずだ間違いない。
 これなら、美術館にふさわしいだろう。

「名前なんてありませんよ」

「そ、それは可哀想です」

「じゃあ、リルだ」

 俺は、サスリル製なので、そこから名前を付けた。

「リルちゃん、よろしくね」

 古賀さんは優しく抱きしめた。
 どうやら、リルは古賀さんに一目惚れしてしまったようだ。
 それとも、生まれたばかりの生命は刷り込みで、最初に見たものを親と思うらしいが、それなのかもしれない。

「リル、まずは掃除からだ。ゴミは収納魔法で収納してくれ。後で俺が処理する」

 リルは素直に掃除を始めた。
 時々手を止めず、チラチラ素早く古賀さんを見ている。
 リルが掃除し終った床に直接座り込んだ。
 そしたら、アドが俺のヒザの上に座ってきた。
 古賀さんはそれを見ると、何を勘違いしたのか、俺に体をぴったりくっつけて横に座った。

 ――ど、どうすんだこれ。

 横を見ると、柔らかそうな古賀さんの髪があって、優しい笑顔が見えた。とにかく甘くて優しい顔立ちをしている。
 そう言えば、一緒の時間は多いがゆっくり話したことが無かった。控えめな人なのだ。

「今日は、ヒマリちゃんは?」

「名古屋です。あずさ様と二人で、むくれてお勉強中ですわ」

「そうですか」

 むくれていると言う事は、来たかったのか?
 だがだめだ、子供が参加するものじゃない。

「大殿は……」

「待ってください。古賀さん、こんな所で大殿はやめてください。そうですねー、基本はシュウでお願いします。黄色い服の商人の時は大田、家臣の前だけでは大殿又は木田さんでお願いします」

「そうですか。では、改めましてシュウさん。……なんだか、恥ずかしいですね」

 そう言うと、頬が少し赤くなった。

「なんですか」

「捕らえた間者の数が増えてきました」

「はい」

「恐らく、入り込んでいる間者の数はまだまだ増えると思います」

「なるほど、増員が必要ですね?」

「はい。現在古賀忍軍は、いろはにの四組四十八人です。全員ずいぶんたくましくなりました。それぞれに配下を持たせたいと思います」

「なるほど、そうですね。では、忍者服を用意しましょう。配下は四人、五人組ぐらいが丁度良さそうですね。二百着用意しましょう」

「はい、ありがたき幸せ」

 ふふふ、古賀さんまで時代劇に毒されていますね。

「それと、古賀さんにはいつも感謝をしています。忍者の里を運営してもらいましょうか」

「え!?」

「伊賀とか甲賀でしょうか。どうにも違う気がしますね。そうだ。もうじき飛騨の地が平定すると思います。飛騨の古賀家。山奥ですし、いいですね。ここに忍者の里を作って下さい」

「はい、皆が喜びます」

「きゃー!!」

 女性の声がして、拍手の音が聞こえた。

「もしかして……」

「ええ、います。みんな姿を見せて下さい」

 十二人のくノ一が姿を現した。

「十二人もいたのですね」

「はい、古賀忍軍、い組の十二人です。一番の精鋭です」

「はははは」

 俺は、美術品をあきらめて、忍者服の製作に取りかかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

少年少女たちの日々

原口源太郎
恋愛
とある大国が隣国へ武力侵攻した。 世界の人々はその行為を大いに非難したが、争いはその二国間だけで終わると思っていた。 しかし、その数週間後に別の大国が自国の領土を主張する国へと攻め入った。それに対し、列国は武力でその行いを押さえ込もうとした。 世界の二カ所で起こった戦争の火は、やがてあちこちで燻っていた紛争を燃え上がらせ、やがて第三次世界戦争へと突入していった。 戦争は三年目を迎えたが、国連加盟国の半数以上の国で戦闘状態が続いていた。 大海を望み、二つの大国のすぐ近くに位置するとある小国は、激しい戦闘に巻き込まれていた。 その国の六人の少年少女も戦いの中に巻き込まれていく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...