底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

文字の大きさ
上 下
156 / 428

第百五十六話 木田軍前進

しおりを挟む
 昼間は暑かったが、夜は冷える。
 アーケードの屋台村を挟むように、少し大きめのミスリルの箱を出した。
 ここから温風を出して屋台村全体を温めるようにした。
 これで真冬でも少しは暖かくなるだろう。
 俺は、皆が眠っている早朝に仙台を後にした。

 新潟で、上杉と別れると、山形、秋田、青森と農産物を収穫した。
 アメリカの小麦と違って、日本には生活している人がいるので、根こそぎ奪わないように、人の存在を確認しながらの作業になる。なので、時間がかかった。
 それでも、まずまずの収穫が出来た。
 そして、越中に入り、収穫をはじめた。
 越中は、住民がいなくなっているので、根こそぎ収穫している。

「す、すごいです」

 あづちが、目をまん丸にして驚いている。
 目の前で、田んぼの稲がパッと消えるのだから不思議なのだろう。
 ミサは、慣れてしまったのか何の感情の変化も無い。
 あづちは最近、少し低い声でぽつりぽつりと声を出すようになった。
 一緒にすごし始めて、すでに一週間以上たったので少しは慣れてくれたのだろうか。

 あづちが感情を無くしたのは、どうやら暴力ではなさそうだ。
 あずさは何か失敗をすると、すごく取り乱したが、あづちにはそれが無い。
 何が、原因なのだろうか。

「おっ、ここにもある。丁度良い、ここで休憩をしよう」

 越中富山には、道路脇に湧き水が出ているところがある。
 ひしゃくが置いてあり、飲むことも出来る。
 立山の湧水ということなのだろう。
 朝作った、おにぎりと湧き水で休憩をした。

 すでに柴田軍は、富山城に兵を入れ終わり、いよいよ越後に進軍するようだ。
 俺も、収穫が終ったので、今日あたりポン軍に合流して、決戦の準備に入ろうと思う。

 越中から越後への侵入は、海岸沿いを行くしか無い。
 軍での山越えは不可能だろう。
 国道八号線か県道六十号線を使って移動をする事になる。
 朝日の町をすぎると山と海岸の狭い隙間があるだけだ。
 守りやすく攻めにくい場所になる。

 守るならここで良いのだが、木田軍は越中の奪還が目的だ。
 ここはあえて、朝日の農地に出て戦う事にした。

 本陣は八号線のトンネルの上の山を切り開いて作った。
 これで、戦場が一望出来る。
 しかも真下が八号線なので、見張りも出来て一石二鳥だ。

 上杉家と伊達家には、新たに千五百体ずつ陸鎧を作って渡した。
 新型の陸鎧は、材料に隕鉄を使った。
 俺の体には巨大な隕石が有り、それをやっと消化し終わり、分離が終ったのだ。
 ほとんど、カロリーがなくて、蜂蜜さんがご立腹だが、色々な資源が手に入った。
 中でも主成分が鉄で大量に入手出来た。宇宙をさまよって色々な宇宙線を浴びた為か強くなっている。

 隕鉄で有名なのはあの、石川五ェ門の斬鉄剣だが、それと同じと言うことになる。
 それにミスリルと炭素をまぜて、隕鉄ミスリル炭素鋼が原料の陸鎧だ。
 そのままの状態では薄い水色に輝く鎧だったが、ゴーレム化のため魔力を付与したら、俺の黄色の魔力と反応して緑色に輝きだした。
 これを上杉家では天地と命名し、伊達家では天竜と名付けた。
 上杉家と伊達家には、それ以外に指揮官用として、天夕改、天紫改、天蒼をそれぞれ一体ずつ渡した。

 今回上杉家の機動陸鎧天地は、後詰めで越後の守りを固めてもらった。
 木田軍がやられた時のための守りを任せたのだ。

「来ましたーー!! 柴田軍です!!」

 物見が叫んだ。
 山の上にあるが、それでも一つ物見台を作った。
 そこにのぼると、県道六十号線を進軍してくる柴田軍が見えた。
 すでに昼を少し過ぎているので、戦いは明日になるだろう。
 柴田軍も、木田軍を確認すると進軍をやめ、陣を築き始めた。

 木田軍本陣は、大きな旗がパタタタと音を立てて揺れている。
 旗には、丸に木の字がかかれ、大きさから本陣と分かるだろう。
 柴田軍は、一際大きな建物、病院だろうか、そこを本陣にするつもりらしい。
 丸に柴の文字が書いた大きな旗があがった。
 あそこなら戦場が一望出来るだろう。

 戦場を見ていると、胸がザワザワしてなんとも言えない緊張感がある。
 まわりに、木田軍の重鎮が並んだ。
 ゲンに、ポン、藤吉、真田、加藤、そして伊達の姿がある。
 眼下には、刈り取りが終ったばかりの農地が広がり、どれだけ暴れても作物の心配はない。思う存分戦えるだろう。


 翌朝は、雲が少しあるが晴れだった。
 実は俺は、外に出るのが嫌いなのに晴れ男なのだ。
 柴田軍は、最前列に鉄砲隊を配置し、その後ろに歩兵を配置した。
 総勢六千人程度か。

 対する木田軍は、左に真田隊三百の赤備え。中央にポン軍、機動偵察陸鎧千五百、右に尾張の黒備え三百。総勢二千百人。
 それぞれに真田とポン、加藤の指揮官用陸鎧が続く。
 本陣したには、ゲンと藤吉の指揮官用陸鎧と伊達隊五百人が待機している

 木田軍は、横に広く展開し、柴田軍は丸く、鉄砲で迎え撃つ陣形を取った。
 恐らく、柴田軍は最初前に出ないつもりだろう。

 俺は物見台の上からそれを、じっと見つめている。
 横には伊達がいて、見学をしている。

「よっし、木田軍ゆっくり前進だ」

「ゆっくり前進」

「ゆっくり前進」

 声が次々前に送られる。
 俺は、ゲンじゃねえから大声は出ない。
 声を前に送ってもらい、伝える様にした。
 木田軍が、ゆっくり動き出した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...