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第百四十四話 先生のところへ

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「なー、お前達、少し聞いてくれ」

「ふざけるな! そんなことより、てめー、俺達十二人がそれぞれバラバラに逃げたら、捕まえる事が出来るのかー?」

 人が、聞けっちゅーのに、聞きゃあしねー。
 しかもバラバラに逃げたら、とか言っているし。
 てめーら程度がバラバラに逃げても捕まえられるから、けがもしないように集めたんだっちゅーの。
 俺は、あきれて黙っていた。

「ふふふ、やってみなさいよ! 私達が捕まえます」

 突然何も無いところから女性の声がした。

「な、何だ!? 何者だ」

 男達がキョロキョロしている。
 男達を囲むように十二人の黒い忍者が現れた。
 どうやら、光学迷彩のように透明になっていたようだ。

「ふふふ、私達は、駿河古賀忍軍、忍者部隊だ」

 どうやらこの前、古賀さんに託した、忍者コスチューム五十体の適任者の中の十二人のようだ。
 しかし、透明になれるとは驚いた。
 考えてみれば出来るはずだ、機動陸鎧のコックピットは外が透けて見える。後ろの景色を前に写し込んでいるのだ。

「なにーー!! 伊賀忍者だとー」

「違うわーー!! どういう耳してるのよ! 古賀忍者!!」

「なんだ、甲賀忍者か!」

「ちがーーう!! 古賀忍者よ」

「しゃらくせーー!!」

 男達の中から、体の一番大きい男がミニスカートの忍者に襲いかかった。
 ま、まさか、あのミニスカートの下には……

「ぐああーーっ」

 忍者の動きを、男は見切ることは出来なかったようだ。
 腹にきつい一撃を受けて、吹飛ばされた。

 うえーーっ

 男が、うつむいて腹の中の物を出している。
 忍者のおねーさんは、パンチだったのでパンチラはお預けのようだ。

「あなた達では、私達にかなわないと思うわよ」

 男達は静かになった。
 どうやら、この体の大きな男が、この中で一番強かったようだ。

「す、すごいです。アンナメーダーマン様。こんな所で誰にも知られず、たった一人で悪党達と戦っているなんて、かっこよすぎです」

 まあ、シュラと二人だけどな。

「あんた達は、いつからそこに?」

「そこに、ではありません。コンサート会場から出た時から、首領古賀様から追うように指示されましたので、距離を取って追跡していました」

「さ、最初からいたのかよ」



「ぜってー逃がすなーー!! 爆弾魔だーー!! まわりこめーー!!」

 何やら美術館の外が騒がしい。

「柳川!! 気をつけろそっちへ行ったぞ」

「ぐああああーーーっ」

「へっ、助かったぜ、忍者のねーちゃん。っていうか、あんた達、コスチュームの上にパンツをはいているのか。なんか、すげーなあ」

 くそう、柳川の奴、いつも良い思いしてやーがるなー。
 見てしまったようだ。
 コスチュームの上に、はいたパンツを。あれは、前に水着の上に下着をつけたのを見た時のようなエロスがある。

「は、はい。これが正装なものですから」

 ふふふ、忍者のお姉さんの頬が、赤くなっている所が目に浮かぶようだ。

「三人が美術館の中に逃げ込むぞーー!! にがすなーー」

 その声と同時に、男が三人俺達の前に現れた。

「なっ、何だこれは!?」

 入ってきた男達が、ビックリ仰天している。

「ぎゃあーーはっはっはっ!! やっぱり兄弟はおもしれえ!!」

「よう、ゲン」

「俺達が、必死で捜索していた爆弾魔共を、もう捕まえていやあがる」

「ははは。たまたまだよ」

「まあ、そういうことにしておくさ」

 いや、いや、そういう事じゃなくて、本当なんだよ。
 まっいいか。

「とうっ」

 中にいた古賀忍者の一人が、入ってきた三人の男を蹴り飛ばし、十二人の所に飛ばした。

 まっ、待っていました。
 パ、パンチラの登場です。
 美しいピンクのパンツに、白のふちどりが有り、白いリボンに白い水玉です。ちょっと子供っぽいデザインです。
 黒いボディーには淡い色がよく似合う。

「やっぱりですか」

 柳川があきれた顔をして俺を見る。

「んっ!?」

「こんな、けしからん事を考えるのは誰かと思ったら、あなたでしたか」

 柳川が、俺を見て笑っている。
 中の十二人の忍者に、外の忍者十二人が合流した。
 そして、ゲンの部隊が二十人入ってきた。
 これで、こっちが圧倒的に優勢だ。

「まったくーー。とうさんが見ていると思って、必死でステージをやっていたのに、気づいたらいないのだからー」

 あずさまで来た。
 その後ろには、ミサもヒマリも、古賀さんもいる。

「兄弟、こいつらをどうするつもりだ」

「うん、どうやら、あの先生のところへ行ってもらうのが一番のような気がする」

「あの先生?」

「ああ、ゾンビ先生だ。人を殺す事しか考えず、何を言っても聞いてくれない。こいつらに恐怖を教えてくれるとても良い先生だと思う」

「兄弟、東京のゾンビはすべて始末したじゃねえか」

「ふふふ、日本以外には、うじゃうじゃいるのさ」

「あずさ、こいつら全員、ハワイのゾンビ先生のところへ送ってやってくれ」

「はい」

「と、その前に、お前達なにか言いたい事はあるか」

「けっ、ゾンビなんているかよー。ありゃあ映画の中のもんだ。なあみんな」

「ぎゃあーはっはっはっ!! やれるもんならやってみろ! 逆に俺達が皆殺しにしてやるぜ」

 その言葉を聞くと、ミサやヒマリの顔が暗い表情になり、その中に哀れみが込められた。

「ま、まじなのか」

 その表情に、数人の男達がつぶやいた。

「まあ、それだけ元気があれば、ゾンビ先生も教え甲斐があるだろう。美術館にある武器や爆弾も一緒に送ってやる。少ないが食糧も分けてやる。しっかり先生に教育してもらうようにな」

「あずさ、ハワイの海岸に送ってやりなさい。部屋の隅の武器も一緒にな」

「はい」

 男達の姿と武器が消えた。
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