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第百二十九話 高みの見物
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「何これ、誰か死んだの?」
大量に造り出されて、綺麗に並んでいる具足を見て、ミサが言った。
「あー俺が死んだら、一緒に埋めてくれ。じゃねーんだよ、始皇帝陵の兵馬俑じゃねえんだよ! 俺はこれから、しばらく具足作りだ。ミサはすまないけど、しばらく自由時間だ。のんびりしてくれ。あずさとヒマリはお勉強だな」
「えええーーっ!!」
あずさとヒマリが声を上げた。
「ここでやったら良いじゃ無いの」
ミサが優しく微笑んで言った。
「えええーーっ!!」
こ、こんな所でやるのかよーー!!
今度は俺が叫んだ。
何が楽しいのか、ミサと古賀さんは俺の後ろでじっと俺の作業を見つめている。
あずさとヒマリちゃんは、学校の授業で使っていた教科書を持って来て勉強を始めた。
時々、ミサと古賀さんが二人の勉強を見ている。
「じゃあな、皆」
具足の制作が終り、そのまま東北へ向うことにした。
東北の収穫は夜のうちに、こっそりやっておきたかったので、時間的に丁度良い。このままむかう事にした。
ミサも行った事が無い所なので直接テレポートでは行けない。
木田産業本社にテレポートして、小型UFOでむかう事にした。
同行者はシュラだけで、ミサと三人で出かけることにした。子守は古賀さんに任せてしまった。
すでに日が沈むのがはやくて、木田産業を出る頃には真っ暗になっていた。
木田産業の留守番に、ゲンの場所を聞いたら、東北新幹線をたどるように言われたので線路の上を飛んで行く。
「あずさちゃんには、来てもらった方が良かったのじゃないかしら」
あずさにも来てもらえば、移動が楽になると思ってのことだろうけど、今回は、ゲンの戦いを見学するつもりだ。
子供に殺し合いを見せる訳にはいかない。
「いや、今回はゲンの戦いを高みの見物するつもりだ」
「そうなのね。そう言うことか、わかったわ」
福島の駅に明かりが付いている。
人がいるので、そこに寄ってみた。
「ああ、木田さん、ミサさん」
どうやら、ゲン一家のようだ。
「ゲン達は、どこにいますか」
「国道四号線を北上して下さい」
「わかりました」
言われるまま、国道四号線を北上した。
しばらく進むと、ゲン達がいるであろう明かりが小さく見えてくる。
ミスリルライトの光は蛍光灯のように白い。
近づくと白い点々がいくつも見えてきた。
両側を山に囲まれた幅六百メートル、長さ二キロほどの平地だ。
そしてその向こうにも、光が見える。
だがそちらはオレンジ色の光だ。
かがり火を付けているらしい。敵対勢力の光だろう。
どうやら明日あたり、ここでゲン一家と敵対勢力は激突するつもりなのだろう。
丁度ゲン一家と敵の中央に小高い丘がある。
木々に包まれた丘にこっそり俺は降りて、様子を見ることにした。
まわりからコロコロ秋の虫の声が聞こえる。
決戦の地なのに稲がしっかり実を付けている。
「ミサ、ここが戦いの場所になりそうだ。俺は、決戦の邪魔になりそうなので、まずは米の収穫をする。ミサはゆっくり休んでくれ」
「うふふ、決戦の邪魔になるならしょうが無いわね」
ミサは、そう言うと、座席に横になり眠ってくれた。
決戦の邪魔になる米と、ついでに陸奥全体のお米を刈り取っておくとしよう。無駄にすると、もったいないからな。
「うおおおーーっ」
翌朝、日が昇ると声が上がった。
敵対勢力からの声だ。
「い、稲が刈り取られている。どうなっているのだ?」
昨日までは金色だった田んぼが、すべて綺麗に刈り取られているため、驚いているのだ。
そんなことで驚くような事かよー、俺が刈り取っただけじゃねえか。
稲が無くなると、両陣営が、お互いを良く見えるようになった。
当然、俺からもよく見える。
敵の本陣には、丸に伊の字が書かれた旗が風に揺れている。
「まさか、伊達家じゃないでしょうね」
ミサが俺の視線を見て、同じ所を見てつぶやいた。
「まあ、たぶんそうだろうな」
敵は、約三千五百人程だ。
食事を始めるようだ。
対するゲン一家は二千人程だ。同じく食事を始めるようだ。
ついでにミサが食事を始めた。
お互いが牽制しながら、食事を済ますと兵を移動し始めた。
伊達家は、最前列千人に銃を持たせている。
その後ろは、棒に刃物をくくりつけ槍を手作りで、用意したようだ。まるで昔の一揆の農民のように見える。
その槍部隊を、銃の部隊の後方に並べている。
残った数百人の兵士が、一番上等な武器を持って本陣を守るようだ。
「な、なんだ、あれは!」
俺は声が出てしまった。
ゲンの陣営は、最前列に五百人。
この五百人が銀色の機動偵察陸鎧を装備して整列している
「あれは、偵察用で戦う為には、出来ていないのだがなー」
「あら、きっと戦って見たら、結構強かったんじゃ無いかしら」
「そうかなー」
そして、後ろに千人が素手で整列し、その後ろにポンの青い機動防御陸鎧、蒼天が結界を作り千人を守っている。
結界の後ろには、赤い機動戦闘陸鎧、天夕改を装備したゲンが立っている。
その回りに、銃を装備したゲンの手下が数百人いる。
「全軍戦闘開始だーーー!!!」
伊達家の大将が大声を出した。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」
伊達家の兵士が雄叫びを上げ走り出した。
「聞けーーーー!!!!!」
ゲンが大声を出した。
その声は敵の大将の声どころか、敵兵の雄叫びをもかき消すほどの大音声だった。
大量に造り出されて、綺麗に並んでいる具足を見て、ミサが言った。
「あー俺が死んだら、一緒に埋めてくれ。じゃねーんだよ、始皇帝陵の兵馬俑じゃねえんだよ! 俺はこれから、しばらく具足作りだ。ミサはすまないけど、しばらく自由時間だ。のんびりしてくれ。あずさとヒマリはお勉強だな」
「えええーーっ!!」
あずさとヒマリが声を上げた。
「ここでやったら良いじゃ無いの」
ミサが優しく微笑んで言った。
「えええーーっ!!」
こ、こんな所でやるのかよーー!!
今度は俺が叫んだ。
何が楽しいのか、ミサと古賀さんは俺の後ろでじっと俺の作業を見つめている。
あずさとヒマリちゃんは、学校の授業で使っていた教科書を持って来て勉強を始めた。
時々、ミサと古賀さんが二人の勉強を見ている。
「じゃあな、皆」
具足の制作が終り、そのまま東北へ向うことにした。
東北の収穫は夜のうちに、こっそりやっておきたかったので、時間的に丁度良い。このままむかう事にした。
ミサも行った事が無い所なので直接テレポートでは行けない。
木田産業本社にテレポートして、小型UFOでむかう事にした。
同行者はシュラだけで、ミサと三人で出かけることにした。子守は古賀さんに任せてしまった。
すでに日が沈むのがはやくて、木田産業を出る頃には真っ暗になっていた。
木田産業の留守番に、ゲンの場所を聞いたら、東北新幹線をたどるように言われたので線路の上を飛んで行く。
「あずさちゃんには、来てもらった方が良かったのじゃないかしら」
あずさにも来てもらえば、移動が楽になると思ってのことだろうけど、今回は、ゲンの戦いを見学するつもりだ。
子供に殺し合いを見せる訳にはいかない。
「いや、今回はゲンの戦いを高みの見物するつもりだ」
「そうなのね。そう言うことか、わかったわ」
福島の駅に明かりが付いている。
人がいるので、そこに寄ってみた。
「ああ、木田さん、ミサさん」
どうやら、ゲン一家のようだ。
「ゲン達は、どこにいますか」
「国道四号線を北上して下さい」
「わかりました」
言われるまま、国道四号線を北上した。
しばらく進むと、ゲン達がいるであろう明かりが小さく見えてくる。
ミスリルライトの光は蛍光灯のように白い。
近づくと白い点々がいくつも見えてきた。
両側を山に囲まれた幅六百メートル、長さ二キロほどの平地だ。
そしてその向こうにも、光が見える。
だがそちらはオレンジ色の光だ。
かがり火を付けているらしい。敵対勢力の光だろう。
どうやら明日あたり、ここでゲン一家と敵対勢力は激突するつもりなのだろう。
丁度ゲン一家と敵の中央に小高い丘がある。
木々に包まれた丘にこっそり俺は降りて、様子を見ることにした。
まわりからコロコロ秋の虫の声が聞こえる。
決戦の地なのに稲がしっかり実を付けている。
「ミサ、ここが戦いの場所になりそうだ。俺は、決戦の邪魔になりそうなので、まずは米の収穫をする。ミサはゆっくり休んでくれ」
「うふふ、決戦の邪魔になるならしょうが無いわね」
ミサは、そう言うと、座席に横になり眠ってくれた。
決戦の邪魔になる米と、ついでに陸奥全体のお米を刈り取っておくとしよう。無駄にすると、もったいないからな。
「うおおおーーっ」
翌朝、日が昇ると声が上がった。
敵対勢力からの声だ。
「い、稲が刈り取られている。どうなっているのだ?」
昨日までは金色だった田んぼが、すべて綺麗に刈り取られているため、驚いているのだ。
そんなことで驚くような事かよー、俺が刈り取っただけじゃねえか。
稲が無くなると、両陣営が、お互いを良く見えるようになった。
当然、俺からもよく見える。
敵の本陣には、丸に伊の字が書かれた旗が風に揺れている。
「まさか、伊達家じゃないでしょうね」
ミサが俺の視線を見て、同じ所を見てつぶやいた。
「まあ、たぶんそうだろうな」
敵は、約三千五百人程だ。
食事を始めるようだ。
対するゲン一家は二千人程だ。同じく食事を始めるようだ。
ついでにミサが食事を始めた。
お互いが牽制しながら、食事を済ますと兵を移動し始めた。
伊達家は、最前列千人に銃を持たせている。
その後ろは、棒に刃物をくくりつけ槍を手作りで、用意したようだ。まるで昔の一揆の農民のように見える。
その槍部隊を、銃の部隊の後方に並べている。
残った数百人の兵士が、一番上等な武器を持って本陣を守るようだ。
「な、なんだ、あれは!」
俺は声が出てしまった。
ゲンの陣営は、最前列に五百人。
この五百人が銀色の機動偵察陸鎧を装備して整列している
「あれは、偵察用で戦う為には、出来ていないのだがなー」
「あら、きっと戦って見たら、結構強かったんじゃ無いかしら」
「そうかなー」
そして、後ろに千人が素手で整列し、その後ろにポンの青い機動防御陸鎧、蒼天が結界を作り千人を守っている。
結界の後ろには、赤い機動戦闘陸鎧、天夕改を装備したゲンが立っている。
その回りに、銃を装備したゲンの手下が数百人いる。
「全軍戦闘開始だーーー!!!」
伊達家の大将が大声を出した。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」
伊達家の兵士が雄叫びを上げ走り出した。
「聞けーーーー!!!!!」
ゲンが大声を出した。
その声は敵の大将の声どころか、敵兵の雄叫びをもかき消すほどの大音声だった。
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