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第百二十五話 浜松の巫女
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チリン、チリン「はままつー! はままつーー!!」
列車が止まると、ハンドベルをならしながらおじさんが駅名を言って通りすぎました。
浜松駅へ到着です。駅の景観はどこの駅でもあまり変わりがありません。でもそれが良いです。
大勢の人が列車からおりました。まるで終点のようです。
やっぱり浜松も人口が多いです。
駅の改札を出るとすぐに駅ビルが有り、そこにスーパーが開店しています。
「スーパー大田!」
大田大商店のお店みたいです。
スーパーが出来るほど商品があるのでしょうか。
ビックリしました。
名古屋にはまだありません。
ドアは自動ではありません。
お金は持っていませんが、興味津々です。
入場料はいらないと思いますのでのぞいて見ましょう。
「わーー、キャベツ、そして玉子。玉子は一パック十個入りです。うふふ、どちらも百円です」
お店に入ると、キャベツと玉子が出迎えてくれました。
とうさんのこだわりがわかります。うふっ、これはとうさん監修のおみせです。
とってもとうさんの存在感を感じます。
キャベツは渥美産、玉子は木田産です。
他にも大根、白菜、タマネギ、にんじんがあります。
「あっ、葡萄です。きっと甲斐が産地ですね。うそーー!! 試食があります」
た、食べても良いのでしょうか。
金属のザルに一杯、ほぐした葡萄の粒が入れてあります。
多くの人が食べられるように、葡萄祭りぐらい置いてあります。とうさんの仕業ですね。きっと何粒でもどうぞと言っている気がします。さすがは、とうさんです。はーと。
私は、一粒口に入れました。
紫、いいえ黒に近い実を一つ口に入れました。
「おいしーい!!」
甘くて、少し酸っぱいです。
貧乏育ちの私は、皮も食べます。
皮の渋みもとても良いです。
こっそり、もう二粒食べてしまいました。
きれいな緑の実もありましたので、そちらも食べました。
とてもおいしいです。
リンゴに柿もあります。
信州産と、美濃産です。
当然試食があります。
「あとは、お肉とお魚。お肉は鶏肉ですね。もうじき牛肉も並ぶはずです。ミスリルの冷蔵棚で冷やされています。お魚はマグロのお刺身かー。いわしとか、あじもありますねー」
お刺身の試食がありますが、これはパスです。
昨日、駿府で沢山食べました。
その後、お米に、小麦、トウモロコシがありました。
でも、調味料は塩しかありません。
おかしや、スイーツもありません。
寂しいですね。
でも、尾張には味噌も醤油もお酒もソースも工場があると、とうさんが喜んでいました。
もうじきここに並ぶと思います。
私は、もう一度、フルーツコーナーに戻って試食を食べました。
スーパーは思ったより充実しています。
駅ビルを出ると、太陽が高くなっています。
良い天気です。
風は爽やか。
秋ですね。
「さて、どこへ行こうかな」
私は、独り言を言っているみたいですが、クザンに話しかけています。
クザンは、話せないゴーレムなので、返事は返ってきませんが、ちゃんと私の話を聞いてくれています。
「まずは、ミサさんの家に行きましょう」
私はミサさんのいた、和風の綺麗な、おもむきのあるお家に行こうと思い立ちました。
ミサさんは、とうさんのお供をしています。
だから、お留守のはずですが、たまたまいるかもしれません。
ついでにとうさんもいるかもしれ……
やばいです。二人きりだと何をしていることやら。
そう思ったら、走り出していました。
クザンが慌てて追いかけてきます。
「とーーさーーん!! はあ、はあ、はあ……」
玄関を開けるなり叫んでいました。
「はっ、えーっと、あの」
見た事の無い同い年くらいの、女の子が巫女姿で掃除をしています。
ちょっと、チャラい感じの子ですが、明るそうで良い子そうです。
「とうさんは?」
「あの、ここは教祖様の家ですが」
「じゃあ、ミサさんは」
「はい、おとついまでいましたが」
「なんですって、おとついー!!」
私が、アイドルをしなければー! でも後悔はありません。
とても楽しかったから。
「出て行かれました」
「いっ、一緒にいた人の事は憶えていますか」
「はい、赤いロボットのようなメイドさんと、金髪の黄色いジャージを着た、気持ちの悪い脂ぎったオタクの豚のように太った、豚のような人と一緒でした」
じゃあ、とうさんじゃないわね。
とうさんは、気持ち悪くはありません。
爽やかで、とても感じのいい人です。
ついでに優しいし、私の理想の人です。
「そう言えば、ズボンが脱げた時、激豚とパンツに書いてありました」
へーー。
世の中には、似た人が二人はいるといいます。
……って、激豚ならとうさんじゃないですかー。
こっ、この子、さらっととうさんの悪口を言いやがりましたわ。
二回も豚と言いました。
まあ、そっちはどうでもいいですね。本人も言っていますから。
じゃねー!! なんで女の子の前でズボンをぬいでいるのよーー。
「あのー、二人で何をしていました?」
「そうですねー、夜遅くまで二人並んで……」
「ふ、二人並んで」
「あっ、そうそう、胸から……」
「胸からーー!!」
私が、一段大きな声を出すと、女の子は嬉しそうな顔をして、私の顔を見ています。
「胸から地図を出して、畳に広げてのぞき込んでいました。その時ヒザで移動して、ズボンが脱げました」
話しの順番に悪意を感じます。
ミサさんはとうさんの、よだれで汚れた地図を嫌がりもせず胸の谷間にしまっていたんですね。
「うふふっ」
女の子は私を見て笑っています。
か、可愛いです。
「あの、何か言っていませんでしたか?」
「えーーっと」
女の子は虚空を見つめて、思いだしている様です。
列車が止まると、ハンドベルをならしながらおじさんが駅名を言って通りすぎました。
浜松駅へ到着です。駅の景観はどこの駅でもあまり変わりがありません。でもそれが良いです。
大勢の人が列車からおりました。まるで終点のようです。
やっぱり浜松も人口が多いです。
駅の改札を出るとすぐに駅ビルが有り、そこにスーパーが開店しています。
「スーパー大田!」
大田大商店のお店みたいです。
スーパーが出来るほど商品があるのでしょうか。
ビックリしました。
名古屋にはまだありません。
ドアは自動ではありません。
お金は持っていませんが、興味津々です。
入場料はいらないと思いますのでのぞいて見ましょう。
「わーー、キャベツ、そして玉子。玉子は一パック十個入りです。うふふ、どちらも百円です」
お店に入ると、キャベツと玉子が出迎えてくれました。
とうさんのこだわりがわかります。うふっ、これはとうさん監修のおみせです。
とってもとうさんの存在感を感じます。
キャベツは渥美産、玉子は木田産です。
他にも大根、白菜、タマネギ、にんじんがあります。
「あっ、葡萄です。きっと甲斐が産地ですね。うそーー!! 試食があります」
た、食べても良いのでしょうか。
金属のザルに一杯、ほぐした葡萄の粒が入れてあります。
多くの人が食べられるように、葡萄祭りぐらい置いてあります。とうさんの仕業ですね。きっと何粒でもどうぞと言っている気がします。さすがは、とうさんです。はーと。
私は、一粒口に入れました。
紫、いいえ黒に近い実を一つ口に入れました。
「おいしーい!!」
甘くて、少し酸っぱいです。
貧乏育ちの私は、皮も食べます。
皮の渋みもとても良いです。
こっそり、もう二粒食べてしまいました。
きれいな緑の実もありましたので、そちらも食べました。
とてもおいしいです。
リンゴに柿もあります。
信州産と、美濃産です。
当然試食があります。
「あとは、お肉とお魚。お肉は鶏肉ですね。もうじき牛肉も並ぶはずです。ミスリルの冷蔵棚で冷やされています。お魚はマグロのお刺身かー。いわしとか、あじもありますねー」
お刺身の試食がありますが、これはパスです。
昨日、駿府で沢山食べました。
その後、お米に、小麦、トウモロコシがありました。
でも、調味料は塩しかありません。
おかしや、スイーツもありません。
寂しいですね。
でも、尾張には味噌も醤油もお酒もソースも工場があると、とうさんが喜んでいました。
もうじきここに並ぶと思います。
私は、もう一度、フルーツコーナーに戻って試食を食べました。
スーパーは思ったより充実しています。
駅ビルを出ると、太陽が高くなっています。
良い天気です。
風は爽やか。
秋ですね。
「さて、どこへ行こうかな」
私は、独り言を言っているみたいですが、クザンに話しかけています。
クザンは、話せないゴーレムなので、返事は返ってきませんが、ちゃんと私の話を聞いてくれています。
「まずは、ミサさんの家に行きましょう」
私はミサさんのいた、和風の綺麗な、おもむきのあるお家に行こうと思い立ちました。
ミサさんは、とうさんのお供をしています。
だから、お留守のはずですが、たまたまいるかもしれません。
ついでにとうさんもいるかもしれ……
やばいです。二人きりだと何をしていることやら。
そう思ったら、走り出していました。
クザンが慌てて追いかけてきます。
「とーーさーーん!! はあ、はあ、はあ……」
玄関を開けるなり叫んでいました。
「はっ、えーっと、あの」
見た事の無い同い年くらいの、女の子が巫女姿で掃除をしています。
ちょっと、チャラい感じの子ですが、明るそうで良い子そうです。
「とうさんは?」
「あの、ここは教祖様の家ですが」
「じゃあ、ミサさんは」
「はい、おとついまでいましたが」
「なんですって、おとついー!!」
私が、アイドルをしなければー! でも後悔はありません。
とても楽しかったから。
「出て行かれました」
「いっ、一緒にいた人の事は憶えていますか」
「はい、赤いロボットのようなメイドさんと、金髪の黄色いジャージを着た、気持ちの悪い脂ぎったオタクの豚のように太った、豚のような人と一緒でした」
じゃあ、とうさんじゃないわね。
とうさんは、気持ち悪くはありません。
爽やかで、とても感じのいい人です。
ついでに優しいし、私の理想の人です。
「そう言えば、ズボンが脱げた時、激豚とパンツに書いてありました」
へーー。
世の中には、似た人が二人はいるといいます。
……って、激豚ならとうさんじゃないですかー。
こっ、この子、さらっととうさんの悪口を言いやがりましたわ。
二回も豚と言いました。
まあ、そっちはどうでもいいですね。本人も言っていますから。
じゃねー!! なんで女の子の前でズボンをぬいでいるのよーー。
「あのー、二人で何をしていました?」
「そうですねー、夜遅くまで二人並んで……」
「ふ、二人並んで」
「あっ、そうそう、胸から……」
「胸からーー!!」
私が、一段大きな声を出すと、女の子は嬉しそうな顔をして、私の顔を見ています。
「胸から地図を出して、畳に広げてのぞき込んでいました。その時ヒザで移動して、ズボンが脱げました」
話しの順番に悪意を感じます。
ミサさんはとうさんの、よだれで汚れた地図を嫌がりもせず胸の谷間にしまっていたんですね。
「うふふっ」
女の子は私を見て笑っています。
か、可愛いです。
「あの、何か言っていませんでしたか?」
「えーーっと」
女の子は虚空を見つめて、思いだしている様です。
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