底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

文字の大きさ
上 下
110 / 428

第百十話 悪魔の影

しおりを挟む
「素早いぞーー!!」

 いったい何者でしょうか。
 深夜の暗闇で、真っ黒な四人をこんなに速く見つけることが出来るなんて。
 金華山は、木が生い茂り視界も悪く、昼間でも人の気配などわかるはずが無さそうですが。

 私は全身に悪寒を感じた。

「こんな暗闇でこれだけ動けるなど、人間業じゃねえ。火を付けろ! あれの準備をしろー!」

 大声とともに火の手が上がった。
 暗さに慣れている目に火の光は眩しく感じた。
 私は少し離れた木の上にのぼり、葉の中に身を隠し様子を見る事にした。

 ――うわっ

 心の中で叫んだ。
 どうやら蜘蛛の巣があったようです。
 でも、すごいです。変身しているので直接肌に触っていないのに、こんなに小さな変化を感じることが出来るなんて。

 バチバチバチ

 この物資不足の中なのにガソリンでもまいたのか、勢いよく木が燃え始めた。
 山火事のように山が燃え始める。
 あらかじめこういうことを想定していたのか、山頂の城のまわりだけ、広く木が切り倒されている。
 城のまわりに、かがり火が焚かれた。

 オレンジ色に染まったお城の屋根に、四つの影が浮かび上がった。

「これを見ろーー!!!!」

 二十人ぐらいのボロボロの女性が拘束されて、城の外に運び出された。
 声の主は、身長が二メートルをはるかに超えている、角刈りの男だ。
 そんな大きな男が一人だけじゃ無い。
 四人いる。

 そのうちの一人は、他の三人よりさらに一回り大きい。
 手下が十五人、女性に刃物を突きつけている。
 手下も二メートルくらい身長がある。
 どいつもこいつも、筋肉が発達していて強そうです。

「どこにいる。出てこないと、女を殺すぞ!!」

「ひ、ひいいーーー」

 女性のおびえ方が普通じゃ無い。
 恐らく、こいつらの残虐性を見せつけられているのでしょう。
 かわいそう。
 四人は屋根の上で、しゃがんで、体を低くしている。
 男達は、まさかそんなところにいるとは思っていないのか、まだ気が付いていないようです。

「ふん、よし端から一人殺せ!!」

 ザッ

 坂本さんが城から高くジャンプして、どこから来たのか分からないように誤魔化して着地した。

「待ちなさい!!」

「ひゅーー、女だー!!」

 手下の一人が下品な声を出した。

「お前一人か?」

「そうよ」

 坂本さんは、自分が犠牲になって三人を守るつもりだ。

「おい、一人ころせーーー!!!」

「待ってーー!!」

「ふふふ、二人だったのか。一人じゃねえのは分かっていた」

 古賀さんも姿を見せた。

「隊長、体のシルエットだけでもいい女ですぜ!!」

 隊長と言われた角刈りも、二人の姿をじっくりゆっくり見ている。
 すごく気持ち悪い。
 腕に鳥肌がたちました。

「お前達は、美濃の人間なのか」

「いいえ、尾張の人間です」

 坂本さんが毅然と答えます。
 でも良く見ると、太ももが少しだけ震えています。
 古賀さんも、少しも動じていないように振る舞っていますが、指先が少しだけ震えています。

「ひゃああー、はっはっはっ」

 角刈りが、勝ち誇った様に笑います。
 恐らく、二人のおびえを肌で感じ取っているようです。

「お前達は、縁もゆかりも無い人間の為に出て来たのか? 正義の味方気取りか! 反吐がでるぜ!!」

「縁は、あります。同じ日本人です」

 今度は古賀さんが答えた。
 素敵な返事です。
 とうさんが喜びそう。

 とうさん! どうしよう。
 思えばいつもとうさんと一緒でした。涙が出そうになっています。
 私にはこの状況をどうすることも出来ません。
 男達だけなら倒す事が出来ると思います。
 でも、人質全員を助けることが出来ないと思います。
 人質の数が多すぎます。二,三人なら助けられるのに……。

 今から戻ってとうさんに来てもらおうかしら。
 私の移動魔法なら、数分のはず。
 でも、その間に何かあったら……。

 うっ、うっ、うっ

 声を出せずに泣いてしまいました。
 涙が、頬を流れます。
 きっと、愛美ちゃんもヒマリちゃんも同じだと思います。

「ガー! もういい。今、言ったこの馬鹿を殺せ」

「ガーーーッ!!」

 一番体の大きな男が大声を出した。
 その頭には毛がなく、でこぼこしている。
 顔もでこぼこで、目は全体が黒く、不気味に光っている。

「こいつはなあ、ハルラ様の強化魔法が強すぎて、脳が壊れている。今ではガーーしか言えねえ。だが、俺達の中では一番強え。こいつに一対一で勝ったら人質は解放してやる。せいぜい頑張りな!」

 角刈りの隊長が言うと。

「へへへへへ」

 部下の男達が不気味に笑った。
 勝ちを確信しているようだ。
 こいつらは皆、ハルラの強化魔法を受けている、ハルラの部下のようです。最悪です。控えめに言って、最悪です。
 人質も全員助けてもらえるとは思えません。

 ガーが古賀さんを目指して、一歩一歩近づく。
 古賀さんも覚悟を決めて前に出た。
 坂本さんが少し動いた。

「てめーは、馬鹿なのか! 一対一と言っただろうが」

「待ってほしい。私が代わりに戦う。たのむ」

 坂本さんは土下座した。

「ひひひ!! ならば尚更、そのままだ。どうせお前の方が強いのだろう。弱い奴が自分の目の前で死んでいくのを黙って見ていろ! アホが! 今度少しでも動いたら、女を一人殺すからな! 憶えておけ! ガーー!!! ころせーーー!!!!」

 隊長の声を聞くとガーが走り出した。
 巨体とは思えないほどのスピードで走り出す。
 そして、巨大なこぶしを振り上げ、古賀さんの頭の上に目にも止まらぬ速さで振り降ろしました。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

実はこれ実話なんですよ

tomoharu
恋愛
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!1年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎ智伝説&夢物語】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎ智久伝説&夢物語】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【智久】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

処理中です...