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第八十二話 おじさんぽ

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「とうさん、少しは休憩しなよ。はい、お茶」

 あずさが、静岡のお茶を出してくれた。

「ありがとう。そうだ、あずさ、そろそろ駿府の大田大商店へ戻ってくれないか。商品を大量に出すからそれを収納して、はるさんをサポートしてほしい。ヒマリちゃんとシュラも一緒で」

「……はい」

 少し不服そうだが、理解してくれたようだ。

「そう言えば、ミサの姿がなかったな」

「そうですね」

「教祖様だからやっぱり忙しいのかな」

「そうですね」

 うん、あずさの返事に感情が入っていない。
 ミサが嫌いなのかな。
 それとも、駿府に行くのがそんなに嫌なのか。

「まだ少し、時間がかかりそうだから。あと一日くらい、一緒にいようか」

「はい!!!!」

 あっ、機嫌がなおった。
 一緒にいると言っても、ここで俺の変態研究を見ているだけなのだが、それでも良いのだろうか。

「あずさ、少し話してもいいか?」

「はい」

「俺は、鉄道を急いでいるのは、来年四月から学校を再開したいからなんだ」

「えっ!?」

「教育は、とても重要だと考えている。列車で遠くからでも学校に来られるようにしたい。学校は、全て無料にして食事も三食出す。智力も体作りも両立出来る様にしたい」

「……」

「当然、全寮制だ。自宅から通えるのなら、自宅からの通学も可能だがそんな人は少ないだろう」

「はい」

「がんばってくれるかな」

「……うん」

 少し嫌そうだが、納得はしてくれたようだ。
 翌日、あずさは、ヒマリとアメリ、シュラを連れて駿府の大田大商店へ移動した。



 列車を完成させて、試運転が終わると、正式運用を開始した。
 こうして、木田から駿府までの鉄道が開通した。
 しばらくは、全線無料で試験運用する予定だ。
 機関車はゴーレムで、顔でもつけようかと思ったがやめておいた。
 ゴーレム機関車は、自動で動くが一応運転手にも乗ってもらっている。

「さて、柳川、ようやく自由になった。甲州へ偵察に行きたい」

「そういうと思っていました」

「誰が空いている」

「あいにく、俺ぐらいしかいませんが」

「じゃあ、しょうがねえ。柳川で我慢するか」

 俺と柳川、クザンの三人旅がはじまった。
 まずは、ハワイで使ったUFOで真っ直ぐ西に向った。
 甲斐の上空から見た感じでは、農地がとても多く感じた。
 だが、相変わらず中央の人口密集地には、農地が無い。
 もうじき実りの秋が来る、収穫出来そうな物が入手出来ないだろうか。
 楽しみである。

 上空から駐車場を探したら、ゴルフ場の様な物が見える。
 そこにアスファルトの丁度良い駐車場が見つかった。
 良い感じに町から離れているので、そこに着陸した。

「人は、いないようですね」

「ちょっと待て。探って見る」

 俺は、体から糸を出すと、広範囲で調査した。
 全く人気は無い。

「どうですか」

「丁度良いのか、悪いのか、まわりに人はいない」

 俺たちは、のんびり甲斐の国の散歩をはじめた。
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