上 下
24 / 428

第二十四話 地球滅亡まで三ヶ月

しおりを挟む
「私は、ウルトラウーマン。よろしくね」

 ミサの呼びかけに最初に反応して駆けつけたのは、金髪で胸の大きな美女だった。
 あまりの大きな胸に、目が釘付けになった。

「俺はアンナメーダーマンです。よ、よろしく」

「あ、ああこれ、これはライトタイマー。普段は青色で、体力が消耗してピンチになると赤くなるのよ。地球上では体力の消耗が激しくて、一分で赤くなってしまうわ。でも、ここは宇宙空間だからずっと青のままね」

 俺の視線に気が付いて説明してくれた。
 良く見たら、胸の谷間の奥で少しだけ顔を出している。
 これがライトタイマーか。確かに青く光っている。
 でも、俺はそんなの気がついてもいませんでした。
 純粋に胸の方が気になって、胸だけを見ていました。

「俺は、アイアンバリアだ、ここのバリアを作っているのが俺だ。アイアンファングの双子の兄弟だ。他にテレポートも使える」

 ガリガリに痩せた、貧相な男があいさつをしてきた。
 他にもあいさつをしてきたが、すぐに上の空になった。
 何故なら、現れた超能力者達が全部で二十八人いるからだ。
 ミサを入れると二十九人、あずさを入れれば三十人だ。

 俺のような特殊な者が現れれば、他に三十人は、いると思ったが現実のものとなった。
 何故か俺は、それがむしょうに嬉しかった。
 まるで数学者が、自分の見つけた法則が証明されたときのように。

「あずさ、三十人いるぞ!!」

 あまりのうれしさに、そのうれしさを分かち合おうと、あずさにこの事を伝えた。

「はっ!?」

 だが、何の事かわからなかった様だ。
 そりゃあそうか。突然三十人いると言われても、はあぁー! だわな。

「何だか、呼吸が楽になっていませんか」

 ミサが、気付いた様だ。
 さっきから、ここの空気が汚れているので、俺の体内の空気と入れ替えていたのだ。

「とうさ……アンナメーダーマンが、空気を入れ換えてくれているのよ」

 あずさはわかってくれている様だ。

「あなた、そんな事が出来るの。すごすぎる」

 ミサが驚いている。

「まあ、俺にはその位しか出来ないからな。そうだあずさ……アスラーマン、ハンバーガーを皆で食べよう」

「そうね。抽出!!」

 ハンバーガーとポテトとコーラのセットが三十一セット出て来た。

「うわーーっ、な、何なんだこれは」

 超能力者達が驚いている。

「くすくす、お近づきのしるしです。遠慮せずに食べて下さい」

 驚いた事にハンバーガーは熱々で出来たてのまま、コーラは氷もそのままでキンキンに冷えている。

「な、何これ! こんなのアニメで良くある収納魔法じゃないのー」

 ミサが驚いている。
 鋭いなー。

「魔法ではありません。私の超能力です」

「ふふふ、まあいいわ。そういう事にしておきましょう」

 食事が終ると、全員持ち場に戻って行く。
 ゴミは当然俺が処分する。

「真面目な人達ばかり、素敵です」

 あずさが、感動しているようだ。
 まあ、実際俺もすごいと感心している。
 隕石が衝突するとわかったその日から、ずっとここで作業をしているのだ。
 ありがたくて俺は自然に頭を下げていた。

「さて、俺はこの人達の邪魔にならないところから、作業に入るとするかな」

「はい」

 俺たちは、あずさの魔法で、この場所の正反対から作業を始めた。
 俺は右手を前に出すと、体内の蜂蜜さんに隕石を食べる様にお願いした。
 右手がブワッと広がり、隕石の表面を覆い出す。
 まるで蜂蜜が表面にこぼれて、広がっているようだ。
 少しずつ、広がっていく。

「やっぱりか」

「とうさん、どうしたの」

「うん、蜂蜜さんのやる気がない」

「大丈夫?」

「まあ、ここから先は蜂蜜さんに任せるしかない。様子見だ」





 三ヶ月が過ぎた。
 隕石の半分を覆い尽くす事に成功しているが、このままでは間に合わないかもしれない。

「大丈夫なの?」

 心配してミサが様子を見に来てくれた。

「うむ、ギリギリだが何とかなると思う」

 ふふふ、無理だとは言えないよな。

「くす、無理とは言えないわよね。あーあ、こんな宇宙のゴミに地球が破壊され、最期を迎えるなんて……」

「お、おおおおーーーっ!!!」

「ど、どうしたの?」

「ミサ、でかした。蜂蜜さんのやる気スイッチが入った!」

 どうやら、ミサのゴミに反応したようだ。
 蜂蜜さんは、ゴミならやる気が出るが、ゴミではないものは基本食べたくない様だ。いままで、いやいや、やらされている感があったが、今は、がぜんやる気が出ているようだ。
 倍速で表面を覆い始めている。
 地球滅亡まで三ヶ月だが、この調子なら滅亡せずにすみそうだ。

 作業は蜂蜜さん任せなので、俺とあずさは基本暇だ。
 あずさは、バリアの中で机と椅子を出して、そこで勉強をしている。

「とうさん、私すごい事に気が付いちゃった」

「んーーっ、いったい何に気が付いたんだ」

 どうせ、ろくなことじゃないはずだ。

「うふふ、あのねとうさん……」

 あずさは、俺の耳に顔を近づけて小さな声で話し始めた。

「なっ、なにっーーーー」

 俺は、その内容に、仰天した。
 そ、そんなの、アニメでも初めて聞くぞーー。
 俺が知らないだけなのかもしれないが、あずさの話は驚きの内容だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~

暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。  しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。 もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。 ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。 しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。 他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。 本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。 贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。 そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。 家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...