16 / 428
第十六話 招待状
しおりを挟む
「お前らのやっている事は、弱者から金を無理やり、むしり取っている様なもんだぞ。どれだけ泣いている人がいると思うんだ」
麻薬には二種類ある。
一つは上級国民が使う麻薬。大麻など常習性が弱い種類の物だ。
大麻は、アルコールより健康被害が少ないと言われている。
合法な国があるくらいだ。
これらは俳優やアーティストなどがよく使って、逮捕されている方の麻薬だ。
そしてもう一つの麻薬、覚醒剤はシャブともよばれ、低所得者に牙をむく麻薬だ。
常習性が強く、副作用も強い。
金を持っていない低所得者が、間違って使ってしまうと、借金をしてでも薬をほしがってしまう。もはや待っているのは破滅しか無い。
ゲンはこの事を言っている様だ。
「ぎゃあははは、何を言うかと思やあ、くそくだらねえ。てめえは正義の味方のつもりか! 弱者なんぞは俺様の役に立って、のたれ死んでいけば良いんだ。アホなのか聞いて損した」
「同じ日本人が、日本人を苦しめてどうする。子供が大勢泣く事になる」
そ、そうだ。その通りだ。
「だから、それがどうした。関係あるか。てめーはもうちょっとましな野郎かと思っていたが、糞だな」
――どっちがだ!!
どっちがだーー!!!
「どっちがだーー!!! 糞野郎はてめーだーー!!!!」
し、しまった。
あんまり怒りがこみ上げて、心の中で思っていた事が、口から出てしまった。
おかげで、注意が俺に向いた。
仕方が無いので隠れていた柱から姿を出した。
俺は黒いフルフェイスのヘルメットに黒のジャージを着ている。
驚いた表情で俺を見ている為に、銃を持つ男達に隙が出来た。
「ぎゃあああああああああーーーー」
俺は細く伸ばしていた体で、銃を持つ者達の人差し指と親指を、左右両方ともつぶした。
ギュッと手で握りつぶす様に。
骨は砕くことに成功した様だ。
これで銃を使えなくなるだろう。
ガチャガチャと男達は銃を落とし、しゃがみ込んだ。
ゴッ!!!
おおよそ人が殴られたとは思えない様な音が何度か聞こえた。
ボスと護衛の男達が一瞬で倒れた。
全員顔の右側の肉が裂け、顔が血だらけになっている。
ゲンはこのチャンスを逃さず、糞野郎に怒りの鉄拳をたたき込んだようだ。
――滅茶苦茶つえー
ゲンは普通の人間なのだろうか。
俺の様に特殊能力があるようにしか見えない。
その後は、両手を押さえて苦しむ男達の頭を、横から蹴った。
蹴りまくった。
全く表情の変わらないゲンに、屈強な男達が恐怖におびえだした。
「ひいいいいい」
両足が動くのだから逃げる事も出来るはずなのに、パニックに陥っているのか、腰が抜けているのか、後ずさるだけで逃げる事が出来ない。
あっと言う間に全員の意識が飛んだ。
そして顔を俺の方に向けた。
その顔は、いつも通り表情が無い。
「なんで、兄弟がいるんだ。さては、柳川だな、口止めしたはずなのに。あいつには説教が必要だな。兄弟にはあずさちゃんがいる。こんな所に来ちゃあいけねえぜ」
「ふふふ、ゲン、説教は無しだ。柳川が教えてくれ無かったら、この世の中で最も大切な3つの物の内、一つを失う所だった」
「3つ?」
「ああ、3つだ。一つがあずさ。一つがゲン。そしてもう一つが柳川だ。俺はこの三つが同じぐらい大切だ。一つも失いたくない」
「へへへ」
ゲンの口から笑い声が聞こえる。
だが、相変わらず表情は変わらない。
「木田さん、ひでーぜ。そこに俺も入れてもらわねえと」
「そ、そうだぜ。俺も一緒だぜ」
ダーとポンが足を引きずりながら近寄ってきた。
まあ、この二人もあずさと同じ日に知り合った腐れ縁かー。
「し、しかたねー。お前達をいれて、五人だ。もう、これ以上は増やさねえ。ぜってーだからな」
「へへへ」
ダーとポンがゲンと同じような笑い方をした。
この二人の顔は、大けがをしているのにも拘わらず、痛そうな素振りも見せず心から嬉しそうだった。
「なあ、兄弟。なにか御礼がしたい。何がほしいか言ってくれ」
うーーん、言ってくれといわれてもなー。特に無いし。
ここで言わねえとまた、「それでは俺の気が済まねー」とか言うしなー。
どうしたもんか。
――そうだ。
「ゲン、頼みがあるんだがいいか」
「ああ、聞かせてくれ」
「あの中華料理屋へ行きたい。あずさと二人でだ。頼めるか」
「ふふふ、兄弟はおもしれー。近いうちに招待させてもらうぜ。但し俺も一緒だ」
ダーとポンも自分を人差し指でさしている。
俺は、こくりとうなずいてやった。
「ふふふ、楽しみだ。あの日以来一度も行ってないからな。あずさが喜んでくれるといいなー」
俺の心は、あずさが「懐かしー」と言って喜んでいる姿で一杯になった。
数日が過ぎた。
ゲンからの招待状が来た。
俺は、柳川に頼んであずさのドレスを新調してもらった。
「ねえ、今日は何があるの」
「行ってからのお楽しみだ」
――あーしまった。
ゲンに殺し屋は無しだって言うのを忘れたー。
やばい、また、殺し屋が来たらどうしようか。
店に着くと、あずさの様子がおかしい。
「うわー、高そうなお店。こんなお店はじめて来るー」
いやいや、そんなはずは無い。
初めてじゃないぞー。
どうなっているんだー?
麻薬には二種類ある。
一つは上級国民が使う麻薬。大麻など常習性が弱い種類の物だ。
大麻は、アルコールより健康被害が少ないと言われている。
合法な国があるくらいだ。
これらは俳優やアーティストなどがよく使って、逮捕されている方の麻薬だ。
そしてもう一つの麻薬、覚醒剤はシャブともよばれ、低所得者に牙をむく麻薬だ。
常習性が強く、副作用も強い。
金を持っていない低所得者が、間違って使ってしまうと、借金をしてでも薬をほしがってしまう。もはや待っているのは破滅しか無い。
ゲンはこの事を言っている様だ。
「ぎゃあははは、何を言うかと思やあ、くそくだらねえ。てめえは正義の味方のつもりか! 弱者なんぞは俺様の役に立って、のたれ死んでいけば良いんだ。アホなのか聞いて損した」
「同じ日本人が、日本人を苦しめてどうする。子供が大勢泣く事になる」
そ、そうだ。その通りだ。
「だから、それがどうした。関係あるか。てめーはもうちょっとましな野郎かと思っていたが、糞だな」
――どっちがだ!!
どっちがだーー!!!
「どっちがだーー!!! 糞野郎はてめーだーー!!!!」
し、しまった。
あんまり怒りがこみ上げて、心の中で思っていた事が、口から出てしまった。
おかげで、注意が俺に向いた。
仕方が無いので隠れていた柱から姿を出した。
俺は黒いフルフェイスのヘルメットに黒のジャージを着ている。
驚いた表情で俺を見ている為に、銃を持つ男達に隙が出来た。
「ぎゃあああああああああーーーー」
俺は細く伸ばしていた体で、銃を持つ者達の人差し指と親指を、左右両方ともつぶした。
ギュッと手で握りつぶす様に。
骨は砕くことに成功した様だ。
これで銃を使えなくなるだろう。
ガチャガチャと男達は銃を落とし、しゃがみ込んだ。
ゴッ!!!
おおよそ人が殴られたとは思えない様な音が何度か聞こえた。
ボスと護衛の男達が一瞬で倒れた。
全員顔の右側の肉が裂け、顔が血だらけになっている。
ゲンはこのチャンスを逃さず、糞野郎に怒りの鉄拳をたたき込んだようだ。
――滅茶苦茶つえー
ゲンは普通の人間なのだろうか。
俺の様に特殊能力があるようにしか見えない。
その後は、両手を押さえて苦しむ男達の頭を、横から蹴った。
蹴りまくった。
全く表情の変わらないゲンに、屈強な男達が恐怖におびえだした。
「ひいいいいい」
両足が動くのだから逃げる事も出来るはずなのに、パニックに陥っているのか、腰が抜けているのか、後ずさるだけで逃げる事が出来ない。
あっと言う間に全員の意識が飛んだ。
そして顔を俺の方に向けた。
その顔は、いつも通り表情が無い。
「なんで、兄弟がいるんだ。さては、柳川だな、口止めしたはずなのに。あいつには説教が必要だな。兄弟にはあずさちゃんがいる。こんな所に来ちゃあいけねえぜ」
「ふふふ、ゲン、説教は無しだ。柳川が教えてくれ無かったら、この世の中で最も大切な3つの物の内、一つを失う所だった」
「3つ?」
「ああ、3つだ。一つがあずさ。一つがゲン。そしてもう一つが柳川だ。俺はこの三つが同じぐらい大切だ。一つも失いたくない」
「へへへ」
ゲンの口から笑い声が聞こえる。
だが、相変わらず表情は変わらない。
「木田さん、ひでーぜ。そこに俺も入れてもらわねえと」
「そ、そうだぜ。俺も一緒だぜ」
ダーとポンが足を引きずりながら近寄ってきた。
まあ、この二人もあずさと同じ日に知り合った腐れ縁かー。
「し、しかたねー。お前達をいれて、五人だ。もう、これ以上は増やさねえ。ぜってーだからな」
「へへへ」
ダーとポンがゲンと同じような笑い方をした。
この二人の顔は、大けがをしているのにも拘わらず、痛そうな素振りも見せず心から嬉しそうだった。
「なあ、兄弟。なにか御礼がしたい。何がほしいか言ってくれ」
うーーん、言ってくれといわれてもなー。特に無いし。
ここで言わねえとまた、「それでは俺の気が済まねー」とか言うしなー。
どうしたもんか。
――そうだ。
「ゲン、頼みがあるんだがいいか」
「ああ、聞かせてくれ」
「あの中華料理屋へ行きたい。あずさと二人でだ。頼めるか」
「ふふふ、兄弟はおもしれー。近いうちに招待させてもらうぜ。但し俺も一緒だ」
ダーとポンも自分を人差し指でさしている。
俺は、こくりとうなずいてやった。
「ふふふ、楽しみだ。あの日以来一度も行ってないからな。あずさが喜んでくれるといいなー」
俺の心は、あずさが「懐かしー」と言って喜んでいる姿で一杯になった。
数日が過ぎた。
ゲンからの招待状が来た。
俺は、柳川に頼んであずさのドレスを新調してもらった。
「ねえ、今日は何があるの」
「行ってからのお楽しみだ」
――あーしまった。
ゲンに殺し屋は無しだって言うのを忘れたー。
やばい、また、殺し屋が来たらどうしようか。
店に着くと、あずさの様子がおかしい。
「うわー、高そうなお店。こんなお店はじめて来るー」
いやいや、そんなはずは無い。
初めてじゃないぞー。
どうなっているんだー?
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる