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第九話 偶然の重なり
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「いったい何が、大変なんですか」
「あずさちゃんが……」
「なっ、なにーーっ」
あずさちゃんと聞いて何の事か分からなかったが、驚いてしまった。
「落ち着いて下さい。まだ何も言っていませんよ」
それはこっちの台詞だー。
「何なんですか。スッと言ってください」
「はい。実は、あずさちゃんが四月から小学生になります」
「なーーーっ! た、大変じゃ無いかー」
「事務員さんからさっき聞きました。俺は手続きについて調べますから、木田さんは必要な物を買ってきてください」
「わ、わかった。あずさちゃーーん!! おっ」
思わず大声で呼んでしまったが、あずさちゃんは俺のすぐ横にいた。
もう四月はすぐそこだ。ランドセルなどを用意しないと間に合わない。
近所のショッピングセンターに出かけた。
買い物をしていると、俺はどす黒い恐怖に襲われている。
もし、あずさちゃんと出会わなければ、一生感じることがなかった恐ろしさだ。
ランドセル、文房具、体操服に上履きなどなど、凄まじいお金が消えていく。そしてそれには、無慈悲に消費税という税金がかかる。
悪魔の手下が、「ふふふ、底辺所得者から消費税という税金を巻き上げてやりました」と報告をしている様に感じる。
世の中の、子供を、いや、国の宝の子供を育てている皆さん、これは酷いですね。
なんで子供の為に必要な物に、こんな税金がかかるのでしょうか。
すでに千兆円以上の借金がありそれを減らす気も無いのに、こんな物にまで税金をかける意味が分かりません。
学校へ行く為に必要な物は国から支給すれば良いのにと、本気で思った。
少子化が止らないはずです。この国は大丈夫なのでしょうか心配になります。
物価は上がるのに、給料は上がらない。
子供にかかるお金も実質増えています。
そこに消費税では、子供は育てられませんよね。
少子化と、物価上昇、低賃金は密接に関係していますね。
シングルマザーなどで苦労して子育てをしておられる方には、心からエールを送りたいと思います。
俺はあずさちゃんの学校用品を買ってみて、まずは国民の低所得者の収入を増やす事が最重要だとまたも痛感した。
「ただいまー」
俺は社長室に戻ると、買ってきた物を柳川に見せ確認して貰った。
「まあ、足りない物はまた追加すれば良いでしょう」
こうして、バタバタしましたが、無事あずさちゃんを小学校へ入学させる事が出来ました。
あずさちゃんが学校へ行く様になると、俺は自由な時間が少し出来た。
俺はある日、あずさちゃんが帰る時間に、三階の社員寮の風呂に入っていた。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
すごい悲鳴が聞こえた。
急いで声の元へ行くと、あずさちゃんがパニックにおちいっている。
すごい荒い呼吸で、目玉がぐりぐり動いて、正気を失っているのが分かる。
「あずさちゃん、大丈夫か?」
「とうさーーん、とうさーーん。うわーーん。わーーん」
俺にしがみつき大泣きです。
学校へ行く時はなんともなかったのですが、帰って来た時、いると思っていた場所にいないと、捨てられたとでも思うのか、パニックにおちいったようです。
これは今後、あずさちゃんが学校から帰ってくる時には、社長室にいないといけないようです。気を付けよう。
翌日、あずさちゃんは僕から離れようとしなかった。
この辺は田舎で、学校への通学は集団登校をしている。
集合場所という公園に集まり、そこから集団で学校へ行く。
通常集合場所からは、児童だけで学校へ行くのだが、今日はあずさちゃんが手を離さないので、格好が悪いけど学校まで同行する事にした。
偶然とは、積み重なる物だ。
もし、生徒達が数分早く歩いていたら。
もし、居眠り運転のトラックが、数分遅くこの場所に来ていたら。
事故は起らなかっただろうに。
集団登校の児童の列に、居眠り運転のトラックが突っ込んできたのだ。
「あ、危ない!!」
俺は突っ込んでくるトラックの前に飛び込んだ。
俺の脳裏に走馬灯が浮かんできた。
ここで俺はトラックにはねられ、異世界転生して、お姫様と出会いチートスキルで無双するのかーと考えていた。
ドゴオォーーン
九十八キロの俺の体にぶつかったトラックから大きな音がした。
まるで巨大な鉄の塊にぶつかったような音だ。
不思議な事に俺は全く無傷で、なんともなかった。
トラックの運転手も、優秀な国産車だったことと、エアーバッグのおかげで気を失っただけで、けがはなさそうだった。
「やばいなー」
トラックの助手席側が見るも無惨に大きくへこんでいる。
俺はトラックを引きずって、近くの電柱の前に動かした。
へこんだ助手席が、電柱にぶつかった様に偽装したのだ。
でも、トラックが大きくへこんでいるのに、電柱はなんともないというおかしな状態になっている。
「すげーーっ」
子供達から声が上がった。
「みんなー、今見た事は内緒だよ」
一応お願いして置いた。
この事件は、その日のうちにSNSにドライブレコーダー映像が流された。
ドライブレコーダー映像は児童の列に突っ込む直前、どこから現れたのか金髪のデブの後ろ姿が写り、衝撃でカメラが壊れて、画像が乱れ消えるという映像だった。
SNSでは、心霊現象では、などと騒がれていた。
チューブな動画では、学校で行われた子供達のインタビューが出ていた。
ぼかし加工をしてあったのだが、あきらかにあずさちゃんと思える子供が
「誰だったか分かりますか?」
と言うインタビューに
「アンナメーダーマン。かっこよかった」
と答えていた。
偶然とは積み重なる物だ。
この事故に、俺が同行していた事。
インタビューにあずさちゃんが答えた事。
これも全くの偶然だった。
「あずさちゃんが……」
「なっ、なにーーっ」
あずさちゃんと聞いて何の事か分からなかったが、驚いてしまった。
「落ち着いて下さい。まだ何も言っていませんよ」
それはこっちの台詞だー。
「何なんですか。スッと言ってください」
「はい。実は、あずさちゃんが四月から小学生になります」
「なーーーっ! た、大変じゃ無いかー」
「事務員さんからさっき聞きました。俺は手続きについて調べますから、木田さんは必要な物を買ってきてください」
「わ、わかった。あずさちゃーーん!! おっ」
思わず大声で呼んでしまったが、あずさちゃんは俺のすぐ横にいた。
もう四月はすぐそこだ。ランドセルなどを用意しないと間に合わない。
近所のショッピングセンターに出かけた。
買い物をしていると、俺はどす黒い恐怖に襲われている。
もし、あずさちゃんと出会わなければ、一生感じることがなかった恐ろしさだ。
ランドセル、文房具、体操服に上履きなどなど、凄まじいお金が消えていく。そしてそれには、無慈悲に消費税という税金がかかる。
悪魔の手下が、「ふふふ、底辺所得者から消費税という税金を巻き上げてやりました」と報告をしている様に感じる。
世の中の、子供を、いや、国の宝の子供を育てている皆さん、これは酷いですね。
なんで子供の為に必要な物に、こんな税金がかかるのでしょうか。
すでに千兆円以上の借金がありそれを減らす気も無いのに、こんな物にまで税金をかける意味が分かりません。
学校へ行く為に必要な物は国から支給すれば良いのにと、本気で思った。
少子化が止らないはずです。この国は大丈夫なのでしょうか心配になります。
物価は上がるのに、給料は上がらない。
子供にかかるお金も実質増えています。
そこに消費税では、子供は育てられませんよね。
少子化と、物価上昇、低賃金は密接に関係していますね。
シングルマザーなどで苦労して子育てをしておられる方には、心からエールを送りたいと思います。
俺はあずさちゃんの学校用品を買ってみて、まずは国民の低所得者の収入を増やす事が最重要だとまたも痛感した。
「ただいまー」
俺は社長室に戻ると、買ってきた物を柳川に見せ確認して貰った。
「まあ、足りない物はまた追加すれば良いでしょう」
こうして、バタバタしましたが、無事あずさちゃんを小学校へ入学させる事が出来ました。
あずさちゃんが学校へ行く様になると、俺は自由な時間が少し出来た。
俺はある日、あずさちゃんが帰る時間に、三階の社員寮の風呂に入っていた。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
すごい悲鳴が聞こえた。
急いで声の元へ行くと、あずさちゃんがパニックにおちいっている。
すごい荒い呼吸で、目玉がぐりぐり動いて、正気を失っているのが分かる。
「あずさちゃん、大丈夫か?」
「とうさーーん、とうさーーん。うわーーん。わーーん」
俺にしがみつき大泣きです。
学校へ行く時はなんともなかったのですが、帰って来た時、いると思っていた場所にいないと、捨てられたとでも思うのか、パニックにおちいったようです。
これは今後、あずさちゃんが学校から帰ってくる時には、社長室にいないといけないようです。気を付けよう。
翌日、あずさちゃんは僕から離れようとしなかった。
この辺は田舎で、学校への通学は集団登校をしている。
集合場所という公園に集まり、そこから集団で学校へ行く。
通常集合場所からは、児童だけで学校へ行くのだが、今日はあずさちゃんが手を離さないので、格好が悪いけど学校まで同行する事にした。
偶然とは、積み重なる物だ。
もし、生徒達が数分早く歩いていたら。
もし、居眠り運転のトラックが、数分遅くこの場所に来ていたら。
事故は起らなかっただろうに。
集団登校の児童の列に、居眠り運転のトラックが突っ込んできたのだ。
「あ、危ない!!」
俺は突っ込んでくるトラックの前に飛び込んだ。
俺の脳裏に走馬灯が浮かんできた。
ここで俺はトラックにはねられ、異世界転生して、お姫様と出会いチートスキルで無双するのかーと考えていた。
ドゴオォーーン
九十八キロの俺の体にぶつかったトラックから大きな音がした。
まるで巨大な鉄の塊にぶつかったような音だ。
不思議な事に俺は全く無傷で、なんともなかった。
トラックの運転手も、優秀な国産車だったことと、エアーバッグのおかげで気を失っただけで、けがはなさそうだった。
「やばいなー」
トラックの助手席側が見るも無惨に大きくへこんでいる。
俺はトラックを引きずって、近くの電柱の前に動かした。
へこんだ助手席が、電柱にぶつかった様に偽装したのだ。
でも、トラックが大きくへこんでいるのに、電柱はなんともないというおかしな状態になっている。
「すげーーっ」
子供達から声が上がった。
「みんなー、今見た事は内緒だよ」
一応お願いして置いた。
この事件は、その日のうちにSNSにドライブレコーダー映像が流された。
ドライブレコーダー映像は児童の列に突っ込む直前、どこから現れたのか金髪のデブの後ろ姿が写り、衝撃でカメラが壊れて、画像が乱れ消えるという映像だった。
SNSでは、心霊現象では、などと騒がれていた。
チューブな動画では、学校で行われた子供達のインタビューが出ていた。
ぼかし加工をしてあったのだが、あきらかにあずさちゃんと思える子供が
「誰だったか分かりますか?」
と言うインタビューに
「アンナメーダーマン。かっこよかった」
と答えていた。
偶然とは積み重なる物だ。
この事故に、俺が同行していた事。
インタビューにあずさちゃんが答えた事。
これも全くの偶然だった。
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