9 / 428
第九話 偶然の重なり
しおりを挟む
「いったい何が、大変なんですか」
「あずさちゃんが……」
「なっ、なにーーっ」
あずさちゃんと聞いて何の事か分からなかったが、驚いてしまった。
「落ち着いて下さい。まだ何も言っていませんよ」
それはこっちの台詞だー。
「何なんですか。スッと言ってください」
「はい。実は、あずさちゃんが四月から小学生になります」
「なーーーっ! た、大変じゃ無いかー」
「事務員さんからさっき聞きました。俺は手続きについて調べますから、木田さんは必要な物を買ってきてください」
「わ、わかった。あずさちゃーーん!! おっ」
思わず大声で呼んでしまったが、あずさちゃんは俺のすぐ横にいた。
もう四月はすぐそこだ。ランドセルなどを用意しないと間に合わない。
近所のショッピングセンターに出かけた。
買い物をしていると、俺はどす黒い恐怖に襲われている。
もし、あずさちゃんと出会わなければ、一生感じることがなかった恐ろしさだ。
ランドセル、文房具、体操服に上履きなどなど、凄まじいお金が消えていく。そしてそれには、無慈悲に消費税という税金がかかる。
悪魔の手下が、「ふふふ、底辺所得者から消費税という税金を巻き上げてやりました」と報告をしている様に感じる。
世の中の、子供を、いや、国の宝の子供を育てている皆さん、これは酷いですね。
なんで子供の為に必要な物に、こんな税金がかかるのでしょうか。
すでに千兆円以上の借金がありそれを減らす気も無いのに、こんな物にまで税金をかける意味が分かりません。
学校へ行く為に必要な物は国から支給すれば良いのにと、本気で思った。
少子化が止らないはずです。この国は大丈夫なのでしょうか心配になります。
物価は上がるのに、給料は上がらない。
子供にかかるお金も実質増えています。
そこに消費税では、子供は育てられませんよね。
少子化と、物価上昇、低賃金は密接に関係していますね。
シングルマザーなどで苦労して子育てをしておられる方には、心からエールを送りたいと思います。
俺はあずさちゃんの学校用品を買ってみて、まずは国民の低所得者の収入を増やす事が最重要だとまたも痛感した。
「ただいまー」
俺は社長室に戻ると、買ってきた物を柳川に見せ確認して貰った。
「まあ、足りない物はまた追加すれば良いでしょう」
こうして、バタバタしましたが、無事あずさちゃんを小学校へ入学させる事が出来ました。
あずさちゃんが学校へ行く様になると、俺は自由な時間が少し出来た。
俺はある日、あずさちゃんが帰る時間に、三階の社員寮の風呂に入っていた。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
すごい悲鳴が聞こえた。
急いで声の元へ行くと、あずさちゃんがパニックにおちいっている。
すごい荒い呼吸で、目玉がぐりぐり動いて、正気を失っているのが分かる。
「あずさちゃん、大丈夫か?」
「とうさーーん、とうさーーん。うわーーん。わーーん」
俺にしがみつき大泣きです。
学校へ行く時はなんともなかったのですが、帰って来た時、いると思っていた場所にいないと、捨てられたとでも思うのか、パニックにおちいったようです。
これは今後、あずさちゃんが学校から帰ってくる時には、社長室にいないといけないようです。気を付けよう。
翌日、あずさちゃんは僕から離れようとしなかった。
この辺は田舎で、学校への通学は集団登校をしている。
集合場所という公園に集まり、そこから集団で学校へ行く。
通常集合場所からは、児童だけで学校へ行くのだが、今日はあずさちゃんが手を離さないので、格好が悪いけど学校まで同行する事にした。
偶然とは、積み重なる物だ。
もし、生徒達が数分早く歩いていたら。
もし、居眠り運転のトラックが、数分遅くこの場所に来ていたら。
事故は起らなかっただろうに。
集団登校の児童の列に、居眠り運転のトラックが突っ込んできたのだ。
「あ、危ない!!」
俺は突っ込んでくるトラックの前に飛び込んだ。
俺の脳裏に走馬灯が浮かんできた。
ここで俺はトラックにはねられ、異世界転生して、お姫様と出会いチートスキルで無双するのかーと考えていた。
ドゴオォーーン
九十八キロの俺の体にぶつかったトラックから大きな音がした。
まるで巨大な鉄の塊にぶつかったような音だ。
不思議な事に俺は全く無傷で、なんともなかった。
トラックの運転手も、優秀な国産車だったことと、エアーバッグのおかげで気を失っただけで、けがはなさそうだった。
「やばいなー」
トラックの助手席側が見るも無惨に大きくへこんでいる。
俺はトラックを引きずって、近くの電柱の前に動かした。
へこんだ助手席が、電柱にぶつかった様に偽装したのだ。
でも、トラックが大きくへこんでいるのに、電柱はなんともないというおかしな状態になっている。
「すげーーっ」
子供達から声が上がった。
「みんなー、今見た事は内緒だよ」
一応お願いして置いた。
この事件は、その日のうちにSNSにドライブレコーダー映像が流された。
ドライブレコーダー映像は児童の列に突っ込む直前、どこから現れたのか金髪のデブの後ろ姿が写り、衝撃でカメラが壊れて、画像が乱れ消えるという映像だった。
SNSでは、心霊現象では、などと騒がれていた。
チューブな動画では、学校で行われた子供達のインタビューが出ていた。
ぼかし加工をしてあったのだが、あきらかにあずさちゃんと思える子供が
「誰だったか分かりますか?」
と言うインタビューに
「アンナメーダーマン。かっこよかった」
と答えていた。
偶然とは積み重なる物だ。
この事故に、俺が同行していた事。
インタビューにあずさちゃんが答えた事。
これも全くの偶然だった。
「あずさちゃんが……」
「なっ、なにーーっ」
あずさちゃんと聞いて何の事か分からなかったが、驚いてしまった。
「落ち着いて下さい。まだ何も言っていませんよ」
それはこっちの台詞だー。
「何なんですか。スッと言ってください」
「はい。実は、あずさちゃんが四月から小学生になります」
「なーーーっ! た、大変じゃ無いかー」
「事務員さんからさっき聞きました。俺は手続きについて調べますから、木田さんは必要な物を買ってきてください」
「わ、わかった。あずさちゃーーん!! おっ」
思わず大声で呼んでしまったが、あずさちゃんは俺のすぐ横にいた。
もう四月はすぐそこだ。ランドセルなどを用意しないと間に合わない。
近所のショッピングセンターに出かけた。
買い物をしていると、俺はどす黒い恐怖に襲われている。
もし、あずさちゃんと出会わなければ、一生感じることがなかった恐ろしさだ。
ランドセル、文房具、体操服に上履きなどなど、凄まじいお金が消えていく。そしてそれには、無慈悲に消費税という税金がかかる。
悪魔の手下が、「ふふふ、底辺所得者から消費税という税金を巻き上げてやりました」と報告をしている様に感じる。
世の中の、子供を、いや、国の宝の子供を育てている皆さん、これは酷いですね。
なんで子供の為に必要な物に、こんな税金がかかるのでしょうか。
すでに千兆円以上の借金がありそれを減らす気も無いのに、こんな物にまで税金をかける意味が分かりません。
学校へ行く為に必要な物は国から支給すれば良いのにと、本気で思った。
少子化が止らないはずです。この国は大丈夫なのでしょうか心配になります。
物価は上がるのに、給料は上がらない。
子供にかかるお金も実質増えています。
そこに消費税では、子供は育てられませんよね。
少子化と、物価上昇、低賃金は密接に関係していますね。
シングルマザーなどで苦労して子育てをしておられる方には、心からエールを送りたいと思います。
俺はあずさちゃんの学校用品を買ってみて、まずは国民の低所得者の収入を増やす事が最重要だとまたも痛感した。
「ただいまー」
俺は社長室に戻ると、買ってきた物を柳川に見せ確認して貰った。
「まあ、足りない物はまた追加すれば良いでしょう」
こうして、バタバタしましたが、無事あずさちゃんを小学校へ入学させる事が出来ました。
あずさちゃんが学校へ行く様になると、俺は自由な時間が少し出来た。
俺はある日、あずさちゃんが帰る時間に、三階の社員寮の風呂に入っていた。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
すごい悲鳴が聞こえた。
急いで声の元へ行くと、あずさちゃんがパニックにおちいっている。
すごい荒い呼吸で、目玉がぐりぐり動いて、正気を失っているのが分かる。
「あずさちゃん、大丈夫か?」
「とうさーーん、とうさーーん。うわーーん。わーーん」
俺にしがみつき大泣きです。
学校へ行く時はなんともなかったのですが、帰って来た時、いると思っていた場所にいないと、捨てられたとでも思うのか、パニックにおちいったようです。
これは今後、あずさちゃんが学校から帰ってくる時には、社長室にいないといけないようです。気を付けよう。
翌日、あずさちゃんは僕から離れようとしなかった。
この辺は田舎で、学校への通学は集団登校をしている。
集合場所という公園に集まり、そこから集団で学校へ行く。
通常集合場所からは、児童だけで学校へ行くのだが、今日はあずさちゃんが手を離さないので、格好が悪いけど学校まで同行する事にした。
偶然とは、積み重なる物だ。
もし、生徒達が数分早く歩いていたら。
もし、居眠り運転のトラックが、数分遅くこの場所に来ていたら。
事故は起らなかっただろうに。
集団登校の児童の列に、居眠り運転のトラックが突っ込んできたのだ。
「あ、危ない!!」
俺は突っ込んでくるトラックの前に飛び込んだ。
俺の脳裏に走馬灯が浮かんできた。
ここで俺はトラックにはねられ、異世界転生して、お姫様と出会いチートスキルで無双するのかーと考えていた。
ドゴオォーーン
九十八キロの俺の体にぶつかったトラックから大きな音がした。
まるで巨大な鉄の塊にぶつかったような音だ。
不思議な事に俺は全く無傷で、なんともなかった。
トラックの運転手も、優秀な国産車だったことと、エアーバッグのおかげで気を失っただけで、けがはなさそうだった。
「やばいなー」
トラックの助手席側が見るも無惨に大きくへこんでいる。
俺はトラックを引きずって、近くの電柱の前に動かした。
へこんだ助手席が、電柱にぶつかった様に偽装したのだ。
でも、トラックが大きくへこんでいるのに、電柱はなんともないというおかしな状態になっている。
「すげーーっ」
子供達から声が上がった。
「みんなー、今見た事は内緒だよ」
一応お願いして置いた。
この事件は、その日のうちにSNSにドライブレコーダー映像が流された。
ドライブレコーダー映像は児童の列に突っ込む直前、どこから現れたのか金髪のデブの後ろ姿が写り、衝撃でカメラが壊れて、画像が乱れ消えるという映像だった。
SNSでは、心霊現象では、などと騒がれていた。
チューブな動画では、学校で行われた子供達のインタビューが出ていた。
ぼかし加工をしてあったのだが、あきらかにあずさちゃんと思える子供が
「誰だったか分かりますか?」
と言うインタビューに
「アンナメーダーマン。かっこよかった」
と答えていた。
偶然とは積み重なる物だ。
この事故に、俺が同行していた事。
インタビューにあずさちゃんが答えた事。
これも全くの偶然だった。
1
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。


俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる