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第九十七話 統一
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「もう少し、お待ち下さい」
僕は、真っ黒な服に身を包み、同じく、真っ黒なドレスを着ているフォリスさんに声をかけられた。
今日は、魔王国が統一され、玉座の間に重臣が一同に集結している。
扉の向こうで少し、ごそごそ人の動いている気配がする。
そして、その音が消えた。
「準備はよろしいですか」
僕は、ゆっくりうなずいた。
扉の向こうには、大勢の人がいるはずなのに、その呼吸音すら聞こえないほど鎮まりかえっている。
でも、そこから感じる、気配は重く僕の体にまとわりついている。
「大丈夫ですか?」
フォリスさんが心配そうにのぞき込んで来た。
僕は笑顔を作った。でも、その笑顔はきっと引きつった笑顔だったと思います。
静かに扉が開いた。
扉の隙間から見える、部屋の中には、何千人もの人が体を丸め平伏している。
フォリスさんは、何もちゅうちょせず部屋に入っていきます。
僕はすこし震えながらついていく。
全員平伏していてくれて助かりました。
「一同の者、おもてをあげよ!!」
僕が玉座に腰を落すと、クザンが低い声で声をかけた。
クザンの声が部屋全体に響き、壁まで振動している。
あまり大きな声には聞こえませんでしたが、クザンの重低音は力があるようです。
ザッ
部屋に一音だけ音が響いた。
全員がそろって顔を上げた音だ。
さっきまで僕は、足がガクガクするほど震えていましたが、顔を上げた重臣の顔が皆、引きつっていて、その顔を見ると緊張が解けました。
「皆さん、楽にして下さい」
僕の言葉で皆、姿勢を崩した。
「最初に、西の辺境五領主の皆さん、無血開城ありがとうございます。魔人の血が一滴も流れなかった事に、心から感謝いたします。感謝の印に、シュザクとスザク、シュドウとシャドウを配下に与えます。皆さんの護衛として働かせて下さい」
「おっおおおおおーーーー!!!」
五人の領主が、大喜びしています。
モンスターをもらってこんなに喜んでもらえるとは、いい人達なのでしょう。
良く見たら、他の皆はシュザクに綺麗なドレスを着せています。
魔石モンスターの性別は無いはずなのに、全員女性扱いです。困ったものです。
僕がドワーフの国にいる間に、西の辺境五領は、領主の帰順によりアスラ魔王国の一員になっていたのです。
「そして、皆さんここまでご苦労様でした。魔人国はここに統一されました」
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー」
ぐはーっ、鼓膜が破れそうなほどの大声が上がりました。
「いま、ここに魔人国の統一と、第六代の魔王になることを宣言いたします」
「おおおおおーーーー」
拍手喝采が起こった。
「ふふふ、では、ここから先は無礼講です。皆さん楽しんで下さい。最高幹部の方は、別室に食事を用意しました。そちらにお願いします」
即位の宣言も早々に、僕は最高幹部を別室に呼んだ。
別室には百人分の食事を用意してある。
席が埋まるとすぐに、僕は全員の顔をゆっくり見渡した。
そして、重い口を開いた。
僕は、真っ黒な服に身を包み、同じく、真っ黒なドレスを着ているフォリスさんに声をかけられた。
今日は、魔王国が統一され、玉座の間に重臣が一同に集結している。
扉の向こうで少し、ごそごそ人の動いている気配がする。
そして、その音が消えた。
「準備はよろしいですか」
僕は、ゆっくりうなずいた。
扉の向こうには、大勢の人がいるはずなのに、その呼吸音すら聞こえないほど鎮まりかえっている。
でも、そこから感じる、気配は重く僕の体にまとわりついている。
「大丈夫ですか?」
フォリスさんが心配そうにのぞき込んで来た。
僕は笑顔を作った。でも、その笑顔はきっと引きつった笑顔だったと思います。
静かに扉が開いた。
扉の隙間から見える、部屋の中には、何千人もの人が体を丸め平伏している。
フォリスさんは、何もちゅうちょせず部屋に入っていきます。
僕はすこし震えながらついていく。
全員平伏していてくれて助かりました。
「一同の者、おもてをあげよ!!」
僕が玉座に腰を落すと、クザンが低い声で声をかけた。
クザンの声が部屋全体に響き、壁まで振動している。
あまり大きな声には聞こえませんでしたが、クザンの重低音は力があるようです。
ザッ
部屋に一音だけ音が響いた。
全員がそろって顔を上げた音だ。
さっきまで僕は、足がガクガクするほど震えていましたが、顔を上げた重臣の顔が皆、引きつっていて、その顔を見ると緊張が解けました。
「皆さん、楽にして下さい」
僕の言葉で皆、姿勢を崩した。
「最初に、西の辺境五領主の皆さん、無血開城ありがとうございます。魔人の血が一滴も流れなかった事に、心から感謝いたします。感謝の印に、シュザクとスザク、シュドウとシャドウを配下に与えます。皆さんの護衛として働かせて下さい」
「おっおおおおおーーーー!!!」
五人の領主が、大喜びしています。
モンスターをもらってこんなに喜んでもらえるとは、いい人達なのでしょう。
良く見たら、他の皆はシュザクに綺麗なドレスを着せています。
魔石モンスターの性別は無いはずなのに、全員女性扱いです。困ったものです。
僕がドワーフの国にいる間に、西の辺境五領は、領主の帰順によりアスラ魔王国の一員になっていたのです。
「そして、皆さんここまでご苦労様でした。魔人国はここに統一されました」
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー」
ぐはーっ、鼓膜が破れそうなほどの大声が上がりました。
「いま、ここに魔人国の統一と、第六代の魔王になることを宣言いたします」
「おおおおおーーーー」
拍手喝采が起こった。
「ふふふ、では、ここから先は無礼講です。皆さん楽しんで下さい。最高幹部の方は、別室に食事を用意しました。そちらにお願いします」
即位の宣言も早々に、僕は最高幹部を別室に呼んだ。
別室には百人分の食事を用意してある。
席が埋まるとすぐに、僕は全員の顔をゆっくり見渡した。
そして、重い口を開いた。
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