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第百七十四話 魔女の怒り
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早々にケーシーはウカクにしんがりを任せると、城塞都市ヒガクへ移動した。
ヒガクには、ゴルド軍のイーメ、エーサ、カイクーと言う将軍が防衛の為駐留していた。
イーメとカイクーは可愛い少女の姿をしている。
「メイ、ではなくイーメ、あとは任せた」
「ふふふ、まあ、やるだけやってみるけど、あまり期待しないでちょうだい」
ケーシーは城塞都市ヒガクでイーメに、オリ軍の足止めを頼むと、王都へ引き上げていった。
イーメとはメイであり、メイのままオリ軍と戦いたく無かったので偽名を使っているのだ。
同じように、サエはエーサ、クーカイはカイクーと名前を変えている。
「そろそろ来ても良さそうだけど遅いねー」
メイはまなを敵にして戦うことを少し楽しみにしていたのだ。
黒い忍者服を着て顔を隠し、今や遅しと待っている。
だが、そのとき追撃していたオリ軍は、信じられない光景を目の当たりにしていたのだった。
ゴルド国の南端はファン国とヤパ国さらにオリ国と接しており、その国境は狭い範囲で接している。
オリ軍はゴルド国の国境を越えると、国境に駐留するヤパ軍とファン軍の姿が目視できた。
西の国境にファン軍、南の国境にヤパ軍、そして北へ逃げるゴルド軍、その中央にオリ軍がゴルド軍を追う形で進軍してきた。
ファン軍とヤパ軍は国境の手前で駐留している。
もし、国境を侵犯するのであれば、容赦はしないという姿勢である。
オリ軍は、ヤパ国とは同盟関係だが、ファン国とは友好関係は無い。
ファン国には手出し無用という事はオリ軍の誰もが理解している。
しかし、まながファン軍にいる、あいの姿を見つけてしまったのだ。
そのあいの頭は半分つぶれ、目まで失うほど陥没していた。
「キキちゃん、あいちゃんがいるわ」
「ガウ」
キキにもあいの姿が見えたらしい。
あいの姿は、ファン軍の一番奥の物見台の上、ガンエイ将軍の横にあった。
その横にはセイの姿もあった。
フードをかぶっていたが、風にひらひらなびき、中の顔がチラチラのぞいていたのだ。
「くそう、酷い、ファン国はあいちゃんにいったい何をしたんだ」
「ききちゃん、あいちゃんを助けます。思う存分暴れて下さい」
「……」
ニヤリ
キキは返事もせず、狂気に満ちた笑顔をうかべた。
その笑顔は、普段の美しく可愛いキキの顔からは想像も出来ない恐ろしい顔だった。
そして恐ろしい勢いで走り出した。
まなは、かつて無い程の怒りが全身を駆け巡っていた。
最初、薄く赤く全身が光りそれがどんどん膨れ上がり、白い光に変わっていった。
これが、怒りに我を忘れた、まなの体からあふれ出した魔力だと言うことは誰の目からみても明らかだった。
「いったい何が起っている?」
その光は少し離れたメイの目からも見ることが出来た。
ヒガクには、ゴルド軍のイーメ、エーサ、カイクーと言う将軍が防衛の為駐留していた。
イーメとカイクーは可愛い少女の姿をしている。
「メイ、ではなくイーメ、あとは任せた」
「ふふふ、まあ、やるだけやってみるけど、あまり期待しないでちょうだい」
ケーシーは城塞都市ヒガクでイーメに、オリ軍の足止めを頼むと、王都へ引き上げていった。
イーメとはメイであり、メイのままオリ軍と戦いたく無かったので偽名を使っているのだ。
同じように、サエはエーサ、クーカイはカイクーと名前を変えている。
「そろそろ来ても良さそうだけど遅いねー」
メイはまなを敵にして戦うことを少し楽しみにしていたのだ。
黒い忍者服を着て顔を隠し、今や遅しと待っている。
だが、そのとき追撃していたオリ軍は、信じられない光景を目の当たりにしていたのだった。
ゴルド国の南端はファン国とヤパ国さらにオリ国と接しており、その国境は狭い範囲で接している。
オリ軍はゴルド国の国境を越えると、国境に駐留するヤパ軍とファン軍の姿が目視できた。
西の国境にファン軍、南の国境にヤパ軍、そして北へ逃げるゴルド軍、その中央にオリ軍がゴルド軍を追う形で進軍してきた。
ファン軍とヤパ軍は国境の手前で駐留している。
もし、国境を侵犯するのであれば、容赦はしないという姿勢である。
オリ軍は、ヤパ国とは同盟関係だが、ファン国とは友好関係は無い。
ファン国には手出し無用という事はオリ軍の誰もが理解している。
しかし、まながファン軍にいる、あいの姿を見つけてしまったのだ。
そのあいの頭は半分つぶれ、目まで失うほど陥没していた。
「キキちゃん、あいちゃんがいるわ」
「ガウ」
キキにもあいの姿が見えたらしい。
あいの姿は、ファン軍の一番奥の物見台の上、ガンエイ将軍の横にあった。
その横にはセイの姿もあった。
フードをかぶっていたが、風にひらひらなびき、中の顔がチラチラのぞいていたのだ。
「くそう、酷い、ファン国はあいちゃんにいったい何をしたんだ」
「ききちゃん、あいちゃんを助けます。思う存分暴れて下さい」
「……」
ニヤリ
キキは返事もせず、狂気に満ちた笑顔をうかべた。
その笑顔は、普段の美しく可愛いキキの顔からは想像も出来ない恐ろしい顔だった。
そして恐ろしい勢いで走り出した。
まなは、かつて無い程の怒りが全身を駆け巡っていた。
最初、薄く赤く全身が光りそれがどんどん膨れ上がり、白い光に変わっていった。
これが、怒りに我を忘れた、まなの体からあふれ出した魔力だと言うことは誰の目からみても明らかだった。
「いったい何が起っている?」
その光は少し離れたメイの目からも見ることが出来た。
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