150 / 180
第百五十話 まなの涙
しおりを挟む
メイとサエが座ると、追い立てるように。
「では、ゴラン将軍、ウカク将軍」
「私はこのあと、メイ殿とサエ殿と話しが」
「ありますので……」
ゴランは二人の忍者姿が気に入ったらしく二度見、三度見して出て行った。
ケーシーが手をあげるとケーシーの配下が、資料を持ってくる。
「こ、これは」
メイが驚くと、ケーシーは笑っている。
ゴルド国の軍の極秘資料だった。
「これを見せたのは」
「二人に軍の増員と再編を頼みたいのだ」
「ふふふ、この国をまとめる為」
「随分殺してしまったからな」
「これがこの国の戸籍だ」
「無理矢理招集して貰って」
「構わん」
メイが険しい表情になった。
ケーシーはその表情を見ると満足そうな顔をして話しを続けた。
「この部屋は二人が好きに使って貰って構わん」
「この城の中も自由に移動しても構わん」
「そんな変な服を着なくてもいいぞ」
「だが、城から出ることは許さん」
「国王の部屋に入ることも許さん」
「もし、守らないときは、人質を殺す」
ケーシーは軽い冗談を言うような笑顔でメイを見た。
サエはその笑顔が恐くて震えていた。
「では、俺は行く」
「今日は休んで」
「明日からで良いぞ」
「頼んだぞ、成果を期待している」
ケーシーが出て行くと、サエはメイに涙声で話しかけた。
「あの人、恐すぎます」
「見た目が恐い、ゴランさんが可愛く見えます」
「ふふふ」
メイは軽く笑い飛ばした。
そして、こそこそ忍者服で忍び込もうとしていた事が、バレていたことに怒っていた。
「あったま来たから」
「明日からずっとこの服でいてやる」
「まあ、今日は休もう」
「疲れた」
「はい」
サエは、今日一日緊張しまくりで、心底疲れていた。
「国王、また、つかまえたぜ」
「狙われすぎじゃねえのか」
オリ国で警備を担当している魔人ゲダが、マリアに報告をしてきた。
「生きているのですか」
「もう死んだぜ」
「ただ、組織名はわかった」
「ヨミだ」
「そうですか、ありがとうございます」
「一国の国王まで暗殺しようとは」
「おもい上がっていますね」
「くすくす」
「まなちゃんに相談しちゃいましょう」
この殺人集団と、メイとサエの行方がわからなくなった事が議題となり、まな会がオリ国で開催されることとなった。
開催場所はオリ国の宮殿三階。
マリアは宮殿の三階をこのため作ったのである。
今日が初回のまな会でマリアはうきうきしていた。
ホストのマリアは一番に会場入りして、まなの来るのを今や遅しと待っている。
「こんにちはマリアちゃん」
「ようこそまなちゃん」
「この部屋はこのために」
「用意されているのですね」
「そうですよ、大勢入れます」
「じゃあ、私は料理を用意します」
まなは会場に料理の準備をはじめた。
今日はキキとパイと先生の三人だけでサエの姿が無かった。
それだけで、心に大きな穴が開いているようでさみしかった。
そして大きく後悔していた。
自分も行けば良かったと。
キキとパイは二十四時間いつもまなと一緒に生活している。
先生は、学校がある為日中は一緒にいない。
だからキキとパイはずっと塞ぎ込むまなを見続けている。
二人の心も重く暗くなっていた。
「さあ、頑張って準備しましょう」
「折角、最初のお食事会です」
「明るく、楽しく、頑張りましょう」
無理して元気を出すまなの顔は作り笑顔で、とってもいい笑顔だった。
でも、両目からとうとう涙があふれだしてしまった。
「サエちゃんおいしいもの」
「食べられているかなー」
いま、一緒にいる三人はこんなに、心配して貰えるサエが羨ましかった。
「では、ゴラン将軍、ウカク将軍」
「私はこのあと、メイ殿とサエ殿と話しが」
「ありますので……」
ゴランは二人の忍者姿が気に入ったらしく二度見、三度見して出て行った。
ケーシーが手をあげるとケーシーの配下が、資料を持ってくる。
「こ、これは」
メイが驚くと、ケーシーは笑っている。
ゴルド国の軍の極秘資料だった。
「これを見せたのは」
「二人に軍の増員と再編を頼みたいのだ」
「ふふふ、この国をまとめる為」
「随分殺してしまったからな」
「これがこの国の戸籍だ」
「無理矢理招集して貰って」
「構わん」
メイが険しい表情になった。
ケーシーはその表情を見ると満足そうな顔をして話しを続けた。
「この部屋は二人が好きに使って貰って構わん」
「この城の中も自由に移動しても構わん」
「そんな変な服を着なくてもいいぞ」
「だが、城から出ることは許さん」
「国王の部屋に入ることも許さん」
「もし、守らないときは、人質を殺す」
ケーシーは軽い冗談を言うような笑顔でメイを見た。
サエはその笑顔が恐くて震えていた。
「では、俺は行く」
「今日は休んで」
「明日からで良いぞ」
「頼んだぞ、成果を期待している」
ケーシーが出て行くと、サエはメイに涙声で話しかけた。
「あの人、恐すぎます」
「見た目が恐い、ゴランさんが可愛く見えます」
「ふふふ」
メイは軽く笑い飛ばした。
そして、こそこそ忍者服で忍び込もうとしていた事が、バレていたことに怒っていた。
「あったま来たから」
「明日からずっとこの服でいてやる」
「まあ、今日は休もう」
「疲れた」
「はい」
サエは、今日一日緊張しまくりで、心底疲れていた。
「国王、また、つかまえたぜ」
「狙われすぎじゃねえのか」
オリ国で警備を担当している魔人ゲダが、マリアに報告をしてきた。
「生きているのですか」
「もう死んだぜ」
「ただ、組織名はわかった」
「ヨミだ」
「そうですか、ありがとうございます」
「一国の国王まで暗殺しようとは」
「おもい上がっていますね」
「くすくす」
「まなちゃんに相談しちゃいましょう」
この殺人集団と、メイとサエの行方がわからなくなった事が議題となり、まな会がオリ国で開催されることとなった。
開催場所はオリ国の宮殿三階。
マリアは宮殿の三階をこのため作ったのである。
今日が初回のまな会でマリアはうきうきしていた。
ホストのマリアは一番に会場入りして、まなの来るのを今や遅しと待っている。
「こんにちはマリアちゃん」
「ようこそまなちゃん」
「この部屋はこのために」
「用意されているのですね」
「そうですよ、大勢入れます」
「じゃあ、私は料理を用意します」
まなは会場に料理の準備をはじめた。
今日はキキとパイと先生の三人だけでサエの姿が無かった。
それだけで、心に大きな穴が開いているようでさみしかった。
そして大きく後悔していた。
自分も行けば良かったと。
キキとパイは二十四時間いつもまなと一緒に生活している。
先生は、学校がある為日中は一緒にいない。
だからキキとパイはずっと塞ぎ込むまなを見続けている。
二人の心も重く暗くなっていた。
「さあ、頑張って準備しましょう」
「折角、最初のお食事会です」
「明るく、楽しく、頑張りましょう」
無理して元気を出すまなの顔は作り笑顔で、とってもいい笑顔だった。
でも、両目からとうとう涙があふれだしてしまった。
「サエちゃんおいしいもの」
「食べられているかなー」
いま、一緒にいる三人はこんなに、心配して貰えるサエが羨ましかった。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。
みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる