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第百二十話 パレイ魔女商会
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イナ国に戻ったわたしは多忙でした。
住む場所、まな商会改め、パレイ魔女商会の商品開発とやること山積みです。
パレイと言う名はパイさんとレイさん、魔女二人の名前からとりました。
これには、腹黒まなの策略があります。
伍イ団のレイさんを問答無用、強引に巻き込んでしまうという作戦です。
もともと、山賊を雇うというのは、レイさんの考えなので責任もありますよね。
住む場所は、空き地を買い取り、鉄筋コンクリートでは無く、総石作り、水洗トイレ完備、四階建てを魔法で出しました。
一階、二階は商会スペース、三階は男性用居住スペース。
四階は女性用居住スペースです。
四階だけは侵入者が入れないように、階段や出入り口は作ってありません。
移動魔法のみで出入りをします。
そして、商品ですが、普段ポンコツのわたしは、こういう時には役に立ちます。
授業中だてに集中せず、他ごとを考えている訳ではありません。
全てはこのためなのです。
扱う商品は杖、それも魔法を強化する物では無く、魔力供給の為の杖です。
電気で例えるなら、電池の役目をする杖です。
最初は魔力が満タンで白く輝いていて、使うと赤になり、使えば使うほど赤い光が小さくなり、最期はただの木の棒になるという杖です。
形だけでも魔王の森の木から作っているかのように見えるよう、ヤパから木を買い入れ、ザンの工房で杖に加工します。
山賊さん達はこの工房で働いてもらう予定です。
利益が出れば工房を増やし、結果的に山賊を減らす。
そんな構想を提案しました。
パレイ商会では、満場一致でこの商売に着手することとなりました。
現場の指揮は全部レイさんに丸投げして、パレイ商会の二階を商品で一杯にし、わたしはパレイ商会の仕事から外れ、つまらない学校生活に戻りました。
学校では、キキちゃんが優勝したのは、もちろん全員が知っていますが、異常なほど、大会前と変わらない雰囲気が作られています。
御陰でわたしはとても快適に過ごせます。
数日、この雰囲気の中で通常の生活をしていましたが、とうとうこの日が来ました。
「まな様、国王陛下よりお呼び出しがきました」
伝えてくれたのは、国王の従姉妹でもある、サエちゃんです。
「とうとう来ましたか」
「いまから行けばよろしいのですか」
「まなちゃんさえよろしければ」
「大丈夫です」
学校の授業中なのでわたしはセーラー服です。
この服は、わたしの正装でもあります。
「クロさん移動をお願いします」
サエちゃんがクロちゃんに移動を依頼すると瞬時に、王様の特別室に移動しました。
当然わたしのお供は全員一緒です。
「いらっしゃい、まなちゃん」
王様のサキちゃんが笑顔を作りますが、やはりどこか暗さを感じます。
「あの件ですね」
「はい」
恐らくシバ家の件だ、きっとオリ国の有力貴族だったに違いない。
その家臣を五人も死亡させてしまった。
責任を追及されたのでしょう。
最悪わたしは死刑でしょうか。
「わたしに出来る事なら何でもします」
「ほんとうですか!」
「はい、ですから配下の者は許して下さい」
「……」
「あのーまなちゃん、なにか勘違いをしていませんか」
「えっ」
「私は、南トランが攻めて来る件についての相談ですけど」
「で、ですよね」
「違いますよね」
「何をしでかしたのですか」
サキちゃんが違和感に感づきました
「そのー、オリ国のシバ家の方と少し……」
「その件ですか、サエちゃんから聞きましたが、そんなことぐらい問題にはなりません」
「あなたは、まなちゃんですよ」
「は、はあ……」
あなたはまなちゃんですよって言われても喜んで良いのかどうか。
「それより南トランとの戦争のことです」
「今回は、南トランも本気で我国を滅ぼすつもりのようです」
「しかも私は初めての戦争で不安です」
「まなちゃんが助けてくれたら、心強いのですが」
「サキちゃん」
「はい」
「わたしが戦争で役に立つとは、おもえません」
「それでもよろしいですか」
この言葉を言った途端、サキちゃんの表情が緩み、少しの暗さもない本当の笑顔になりました。
「もちろんです、まなちゃんがいてくれるだけで」
「とても心強いです」
どうして、イナ国の国王がわたしをここまで信頼してくれるのかは、分りませんが本当に微力にしかならないと思うのですが。
「よかったーー」
サエちゃんが涙を流して喜んでいます。
この喜び方は異常です。
なにかあったのでしょうか。
わたしの表情を読んでかサエちゃんが話し始めました。
「今回のイナ軍の総指揮をわたしの父がすることになりました」
「えーー」
「これまでの五回の戦争はすべて総大将が敵に殺されています」
「だから父が死んでしまわないか心配していました」
ちょっとまって、わたしは、この世界のことになるべく介入したくないと思っているのに、何、このがっつり介入イベントー。
しかも、戦争なんて、どうすればいいとか見当もつかないよー。
でも、サキちゃんと、サエちゃんの顔を見るとそんなこといっていられませんね。
「開戦はいつですか」
「二週間後の日の出とともにです」
「学校は、お休みをもらって、今から現地に入ってもよろしいですか」
「はい、お願いします」
「クロちゃん邪魔にならないように、人気の無い場所に移動して下さい」
わたしが言い終わると、わたし達は森の中に移動していました。
回りに人の気配は全くありません。
「クーちゃん、わたしを透明にして抱えて空に飛んで下さい」
「上空から全体を見たいので」
「出来ますか」
「簡単です」
クーちゃんに抱えられ上空から全体を見渡すと、東側が草原、西側が森、
草原に長く木の柵が組まれ、大きめの布のテントが幾つも建てられています。
「なぜイナ国まで草原に柵を作り、陣を作っているのかしら」
「それは、草原の中央で戦う為ではありませんか」
「状況は分りました、一度地上へもどってちょうだい」
今、わたし達がいるこの森は、戦場とは関係が無い為に人がいないことが分りました。
わたしはここに総石造りの正方形の建物を築きました。
正方形の建物の中にもう一つ正方形の箱を入れてあるような構造で、中央の箱には窓は無く密室です。
当然入り口はありません、侵入方法は移動魔法だけです。
外の箱には破壊不可能の小さめのガラス窓を四方に配置しました。
お手洗い、流し台付です。
「全員中央の部屋に入って下さい」
全員が中央の部屋に入ると真っ暗です。
ここに、パレイ商会の商品の杖を出すと、丁度蛍光灯のように、部屋を照らしてくれます。
ここには今、パイさん、先生、サエちゃん、ロボダーさん、オデさん、キキちゃん、そしてわたしがいます。
中央に大きな机を出し、その上に大きな戦場の図と凸の形をした模型を出しました。
「この中で、戦争経験のある方はいますか」
「おれは、二回目の戦争で南トラン軍の登録者として傭兵をやった事がある」
「そこでイホウギ将軍を見た」
ロボダーさんです。
そういえばイホウギ将軍をみて本物とすぐ気が付いていました。
「その時の南トラン国軍の布陣を憶えていますか」
「いや、一兵卒だからなー、全体の事など全く分らない」
「だが、中央にイホウギ将軍の三千騎の騎馬隊がいたのは憶えている」
「こういうことですね」
わたしは馬形の模型を出して、図の中央に置いた。
その他の模型もそれらしく置いてみました。
「ま、まって下さい、まなちゃん」
「これは何ですか」
サエちゃんが驚いています。
「戦場全体の将兵の動きを視覚的に分りやすくした物ですよ」
「お父様を呼んできます少し待って下さい」
「クロさんササ領主の家へお願いします」
サエちゃんは移動魔法で姿を消しました。
その数分後、サイさんによく似た、四角い顔の優しそうな男とサエちゃんが戻ってきました。
「やあ、初めまして、サエの父、ササです」
「どちらが、まな様でしょうか」
「あのー、わたしですが、様はおやめ下さい」
「では、まなさんでよろしいでしょうか」
「あ、はい」
「それでお願いします」
「早速ですが拝見してもよろしいでしょうか」
そう言うと、模型の駒を並べ直しはじめました。
住む場所、まな商会改め、パレイ魔女商会の商品開発とやること山積みです。
パレイと言う名はパイさんとレイさん、魔女二人の名前からとりました。
これには、腹黒まなの策略があります。
伍イ団のレイさんを問答無用、強引に巻き込んでしまうという作戦です。
もともと、山賊を雇うというのは、レイさんの考えなので責任もありますよね。
住む場所は、空き地を買い取り、鉄筋コンクリートでは無く、総石作り、水洗トイレ完備、四階建てを魔法で出しました。
一階、二階は商会スペース、三階は男性用居住スペース。
四階は女性用居住スペースです。
四階だけは侵入者が入れないように、階段や出入り口は作ってありません。
移動魔法のみで出入りをします。
そして、商品ですが、普段ポンコツのわたしは、こういう時には役に立ちます。
授業中だてに集中せず、他ごとを考えている訳ではありません。
全てはこのためなのです。
扱う商品は杖、それも魔法を強化する物では無く、魔力供給の為の杖です。
電気で例えるなら、電池の役目をする杖です。
最初は魔力が満タンで白く輝いていて、使うと赤になり、使えば使うほど赤い光が小さくなり、最期はただの木の棒になるという杖です。
形だけでも魔王の森の木から作っているかのように見えるよう、ヤパから木を買い入れ、ザンの工房で杖に加工します。
山賊さん達はこの工房で働いてもらう予定です。
利益が出れば工房を増やし、結果的に山賊を減らす。
そんな構想を提案しました。
パレイ商会では、満場一致でこの商売に着手することとなりました。
現場の指揮は全部レイさんに丸投げして、パレイ商会の二階を商品で一杯にし、わたしはパレイ商会の仕事から外れ、つまらない学校生活に戻りました。
学校では、キキちゃんが優勝したのは、もちろん全員が知っていますが、異常なほど、大会前と変わらない雰囲気が作られています。
御陰でわたしはとても快適に過ごせます。
数日、この雰囲気の中で通常の生活をしていましたが、とうとうこの日が来ました。
「まな様、国王陛下よりお呼び出しがきました」
伝えてくれたのは、国王の従姉妹でもある、サエちゃんです。
「とうとう来ましたか」
「いまから行けばよろしいのですか」
「まなちゃんさえよろしければ」
「大丈夫です」
学校の授業中なのでわたしはセーラー服です。
この服は、わたしの正装でもあります。
「クロさん移動をお願いします」
サエちゃんがクロちゃんに移動を依頼すると瞬時に、王様の特別室に移動しました。
当然わたしのお供は全員一緒です。
「いらっしゃい、まなちゃん」
王様のサキちゃんが笑顔を作りますが、やはりどこか暗さを感じます。
「あの件ですね」
「はい」
恐らくシバ家の件だ、きっとオリ国の有力貴族だったに違いない。
その家臣を五人も死亡させてしまった。
責任を追及されたのでしょう。
最悪わたしは死刑でしょうか。
「わたしに出来る事なら何でもします」
「ほんとうですか!」
「はい、ですから配下の者は許して下さい」
「……」
「あのーまなちゃん、なにか勘違いをしていませんか」
「えっ」
「私は、南トランが攻めて来る件についての相談ですけど」
「で、ですよね」
「違いますよね」
「何をしでかしたのですか」
サキちゃんが違和感に感づきました
「そのー、オリ国のシバ家の方と少し……」
「その件ですか、サエちゃんから聞きましたが、そんなことぐらい問題にはなりません」
「あなたは、まなちゃんですよ」
「は、はあ……」
あなたはまなちゃんですよって言われても喜んで良いのかどうか。
「それより南トランとの戦争のことです」
「今回は、南トランも本気で我国を滅ぼすつもりのようです」
「しかも私は初めての戦争で不安です」
「まなちゃんが助けてくれたら、心強いのですが」
「サキちゃん」
「はい」
「わたしが戦争で役に立つとは、おもえません」
「それでもよろしいですか」
この言葉を言った途端、サキちゃんの表情が緩み、少しの暗さもない本当の笑顔になりました。
「もちろんです、まなちゃんがいてくれるだけで」
「とても心強いです」
どうして、イナ国の国王がわたしをここまで信頼してくれるのかは、分りませんが本当に微力にしかならないと思うのですが。
「よかったーー」
サエちゃんが涙を流して喜んでいます。
この喜び方は異常です。
なにかあったのでしょうか。
わたしの表情を読んでかサエちゃんが話し始めました。
「今回のイナ軍の総指揮をわたしの父がすることになりました」
「えーー」
「これまでの五回の戦争はすべて総大将が敵に殺されています」
「だから父が死んでしまわないか心配していました」
ちょっとまって、わたしは、この世界のことになるべく介入したくないと思っているのに、何、このがっつり介入イベントー。
しかも、戦争なんて、どうすればいいとか見当もつかないよー。
でも、サキちゃんと、サエちゃんの顔を見るとそんなこといっていられませんね。
「開戦はいつですか」
「二週間後の日の出とともにです」
「学校は、お休みをもらって、今から現地に入ってもよろしいですか」
「はい、お願いします」
「クロちゃん邪魔にならないように、人気の無い場所に移動して下さい」
わたしが言い終わると、わたし達は森の中に移動していました。
回りに人の気配は全くありません。
「クーちゃん、わたしを透明にして抱えて空に飛んで下さい」
「上空から全体を見たいので」
「出来ますか」
「簡単です」
クーちゃんに抱えられ上空から全体を見渡すと、東側が草原、西側が森、
草原に長く木の柵が組まれ、大きめの布のテントが幾つも建てられています。
「なぜイナ国まで草原に柵を作り、陣を作っているのかしら」
「それは、草原の中央で戦う為ではありませんか」
「状況は分りました、一度地上へもどってちょうだい」
今、わたし達がいるこの森は、戦場とは関係が無い為に人がいないことが分りました。
わたしはここに総石造りの正方形の建物を築きました。
正方形の建物の中にもう一つ正方形の箱を入れてあるような構造で、中央の箱には窓は無く密室です。
当然入り口はありません、侵入方法は移動魔法だけです。
外の箱には破壊不可能の小さめのガラス窓を四方に配置しました。
お手洗い、流し台付です。
「全員中央の部屋に入って下さい」
全員が中央の部屋に入ると真っ暗です。
ここに、パレイ商会の商品の杖を出すと、丁度蛍光灯のように、部屋を照らしてくれます。
ここには今、パイさん、先生、サエちゃん、ロボダーさん、オデさん、キキちゃん、そしてわたしがいます。
中央に大きな机を出し、その上に大きな戦場の図と凸の形をした模型を出しました。
「この中で、戦争経験のある方はいますか」
「おれは、二回目の戦争で南トラン軍の登録者として傭兵をやった事がある」
「そこでイホウギ将軍を見た」
ロボダーさんです。
そういえばイホウギ将軍をみて本物とすぐ気が付いていました。
「その時の南トラン国軍の布陣を憶えていますか」
「いや、一兵卒だからなー、全体の事など全く分らない」
「だが、中央にイホウギ将軍の三千騎の騎馬隊がいたのは憶えている」
「こういうことですね」
わたしは馬形の模型を出して、図の中央に置いた。
その他の模型もそれらしく置いてみました。
「ま、まって下さい、まなちゃん」
「これは何ですか」
サエちゃんが驚いています。
「戦場全体の将兵の動きを視覚的に分りやすくした物ですよ」
「お父様を呼んできます少し待って下さい」
「クロさんササ領主の家へお願いします」
サエちゃんは移動魔法で姿を消しました。
その数分後、サイさんによく似た、四角い顔の優しそうな男とサエちゃんが戻ってきました。
「やあ、初めまして、サエの父、ササです」
「どちらが、まな様でしょうか」
「あのー、わたしですが、様はおやめ下さい」
「では、まなさんでよろしいでしょうか」
「あ、はい」
「それでお願いします」
「早速ですが拝見してもよろしいでしょうか」
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