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第六十一話 お酒魔法完成
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森に夕日の赤い光の筋が差し込む。
今日は、朝一お腹が重くて動きが悪かったが、いざ動き出すとどんどん突き進むことができた。
「今日の寝床はあそこにしましょう」
大地に水平な丁度いい倒木を見つけ、本日の寝床に決めた。
寝床が決まれば魔法の練習だ。
本日は朝一失敗した餃子とお酒に挑戦する予定だ。
倒木に腰掛けると、朝出した岩を出した。
「餃子出現」
大皿の餃子が現れる。
流石に朝、たらふく食べたのでミドムラサキも飛びつかない。
餃子を一個口に入れる。
肉の味、野菜の味、複雑な隠し味、皮の小麦粉の味、すべてを脳に刻み込む。
「出でよ餃子」
見た目は同じ餃子がでた。
「問題は、味よねー」
恐る恐る、口に入れる。
「……」
「やっぱり、私は、天才だわ」
「全く同じ」
「次はいよいよこれよね」
「酒出現」
一升瓶に入った清酒が出る。
「ワイングラス」
ワイングラスが出る。これは、あいが錬金魔法で作り出した。
ワイングラスに清酒を注ぐ。
「そういえば、私、初めて飲むのよね」
ゴクリ
「なーーーああーーあ」
「すごくおいしい」
貧民は、普段から腐ったものを食べている。
酒の味はこの腐った味を清んで綺麗にした感じの味がした。
「美しい味」
「これをすべて頭に入れて」
「出でよお酒」
一升瓶がでる。
「同じ味だといいのだけど」
ワイングラスに注ぎ口に含む。
「美しい味」
「おなじだー」
「あっ、あいさま私も頂いてよろしいですか」
我慢していたミドムラサキがとうとう声をあげた。
「両方を飲み比べて見て下さい」
「はい」
ミドムラサキは、きゅーっと、まなの酒を一気に飲んでしまった。
そして、あいのお酒をまた、一気に飲んだ。
「駄目です、よくわかりません」
「もう一杯飲んでみます」
「私もよくわかりません」
「もう一杯飲んでみます」
小さな白い少女クロの本体が、いつの間にかちょこんと座って、お酒を飲んでいる。
感想を聞きたいあいははらはら、ドキドキして見守っていたが感想を言わない。
「あなたたち、感想を言ってから飲んでー」
「えっ、感想を言ってからも飲んでいいのですか」
ミドムラサキ達は感想をいったら、終わりと思って言っていなかったのだ。
「同じです、おいしいです」
「よろしい、どんどん飲んでー」
あいは忘れないうちにと思って次々、酒と餃子を作り、次々消去した。
時々ミドムラサキとクロの手が伸びるので、一升瓶を際限なく渡した。
ミドムラサキとクロは飲み過ぎて酔い潰れてしまった。
大量に消去をして満足をし、あいは、クロを抱き枕にしてねむった。
「嘘でしょー」
「どうしました、ミドムラサキさん」
朝になり、目を覚ましたミドムラサキは、クロがあいに膝枕をされているのをみて愕然とした。
そ、それは私がやってもらうのを、毎朝すごく楽しみにしていたのにー。
ミドムラサキの心の声である。
「い、いいえなんでもありません」
ミドムラサキは泣き出したいのをぐっとこらえた。
「さあ、朝ご飯を出しましょう」
岩の上に人肉パンが出された。
キキのためにこれも出来ないといけないので練習である。
岩の上の程よくぐちゃぐちゃに腐ったパンを見た。
「くすくす、これは毎日食べていたから、味は食べなくても分かるわ」
あいは両手の手の平を上に向けた。
「出でよ人肉パン」
両手の手の平に程よく、ぐちゃぐちゃに腐ったパンがでる。
そのパンをミドムラサキとクロの口に放り込んだ。
あいが作り出す食べ物だから、おいしい物だろうと思って、二人は大きな口を開けて待っていたのだ。
「ごえーーえーーえええ」
ミドムラサキとクロのお口から、噴水が発射された。
突然の事に胃袋が驚き、豆粒位に縮んだため、凄い勢いで飛び出した。
人肉パンとは、程よくぐちゃぐちゃに腐ったパンのことなのだ。
「えええーー」
あいはすごく驚いた。
グエン商会の窓際で朝食をする後イ団。
ケンは三階から降りてきていない。
そこにコウとチュウとモリが尋ねてきた。
「すみません、朝早くから」
「いえ、いいですよ」
「どうしました」
「メイさん、確認がとれたのでその報告です」
コウが答える。
「はやいですね」
「チュウさんから聞いて頂きましたか」
「この街一番のゴルド一家と戦うと聞きました」
「驚きました」
「……」
「ケンと同じ事を言っていることに」
「えっ」
今度はメイが驚いた。
「まあケンはいつも一番じゃ無いと、気が済まないだけだと、思いますがね」
「今まで調べていたことが役に立つと思います」
「シマ」
「はい」
シマと呼ばれたのは女性で全身が黒い動きやすそうな服で覆われていた。
可愛い感じの整った顔立ちをしている。
顔に目立つ大きな傷跡が二つあった。
「こいつは情報集めを専門にやってもらっている者です」
「女性なのですね」
「私は女としては終わっています」
「こんな人間を女性とは呼ばないで下さい」
レイが立ち上がりシマに抱きついた。
「いっ、痛いです」
「何をするのですか」
「ごめんなさい」
メイが謝り、話を続ける。
「この子もあなたと同じ境遇なの許してあげて」
「うっうう」
レイが泣いてしまっている。
「うわーあーーあー」
今度はシマが大声で泣き出してしまった。
同じ境遇と聞いて、いままでずっと堰き止めていた思いが一気に噴出してしまったのである。
「うわあーー、うわああーー」
レイも大声になった、レイも普段明るく振る舞い、湧き上がる悲しみに蓋をしていた、それが取れてしまったのだ。
レイとシマはこの後しばらく泣き続けた、その後二人は水魚之交の間柄となる。
「うむ、シマがこれほどの激情を持っていたとは」
「人間とは分からぬ物だ」
コウがつぶやく。
シマはいつも冷静で落ち着きのある女性なのだ。
「シマさん何処まで情報を掴んでいますか」
「はい、ゴルド一家のアジトは、すべて掴めていると思います」
「ですが、いまだ本拠がつかめていません」
「それだけでも、すごいです」
「どうやってそこまでの情報を掴んでいるのですか」
「私は、魔法使いで、消える魔法が使えます」
「じゃあクロさんと一緒ね」
「クロさん、少し姿を見せて下さい」
机の上に白い妖精のようなクロが現れる。
だがいつもと少し様子が違う。
青い顔をしてふらふらしている。
「まさか、二日酔い」
メイがクロに顔を近づける。
なにか酸っぱい匂いがした。
「はい、それもありますが、色々あります」
「クロさん、あいちゃんがお酒を造れるようになったと、思っていいのかな」
「はい、造れるようになりました」
「よっし、これで私の計画が前進する」
「ミッド一家を世界一の金持ちにできる」
メイの顔がキラキラしている。
今日は、朝一お腹が重くて動きが悪かったが、いざ動き出すとどんどん突き進むことができた。
「今日の寝床はあそこにしましょう」
大地に水平な丁度いい倒木を見つけ、本日の寝床に決めた。
寝床が決まれば魔法の練習だ。
本日は朝一失敗した餃子とお酒に挑戦する予定だ。
倒木に腰掛けると、朝出した岩を出した。
「餃子出現」
大皿の餃子が現れる。
流石に朝、たらふく食べたのでミドムラサキも飛びつかない。
餃子を一個口に入れる。
肉の味、野菜の味、複雑な隠し味、皮の小麦粉の味、すべてを脳に刻み込む。
「出でよ餃子」
見た目は同じ餃子がでた。
「問題は、味よねー」
恐る恐る、口に入れる。
「……」
「やっぱり、私は、天才だわ」
「全く同じ」
「次はいよいよこれよね」
「酒出現」
一升瓶に入った清酒が出る。
「ワイングラス」
ワイングラスが出る。これは、あいが錬金魔法で作り出した。
ワイングラスに清酒を注ぐ。
「そういえば、私、初めて飲むのよね」
ゴクリ
「なーーーああーーあ」
「すごくおいしい」
貧民は、普段から腐ったものを食べている。
酒の味はこの腐った味を清んで綺麗にした感じの味がした。
「美しい味」
「これをすべて頭に入れて」
「出でよお酒」
一升瓶がでる。
「同じ味だといいのだけど」
ワイングラスに注ぎ口に含む。
「美しい味」
「おなじだー」
「あっ、あいさま私も頂いてよろしいですか」
我慢していたミドムラサキがとうとう声をあげた。
「両方を飲み比べて見て下さい」
「はい」
ミドムラサキは、きゅーっと、まなの酒を一気に飲んでしまった。
そして、あいのお酒をまた、一気に飲んだ。
「駄目です、よくわかりません」
「もう一杯飲んでみます」
「私もよくわかりません」
「もう一杯飲んでみます」
小さな白い少女クロの本体が、いつの間にかちょこんと座って、お酒を飲んでいる。
感想を聞きたいあいははらはら、ドキドキして見守っていたが感想を言わない。
「あなたたち、感想を言ってから飲んでー」
「えっ、感想を言ってからも飲んでいいのですか」
ミドムラサキ達は感想をいったら、終わりと思って言っていなかったのだ。
「同じです、おいしいです」
「よろしい、どんどん飲んでー」
あいは忘れないうちにと思って次々、酒と餃子を作り、次々消去した。
時々ミドムラサキとクロの手が伸びるので、一升瓶を際限なく渡した。
ミドムラサキとクロは飲み過ぎて酔い潰れてしまった。
大量に消去をして満足をし、あいは、クロを抱き枕にしてねむった。
「嘘でしょー」
「どうしました、ミドムラサキさん」
朝になり、目を覚ましたミドムラサキは、クロがあいに膝枕をされているのをみて愕然とした。
そ、それは私がやってもらうのを、毎朝すごく楽しみにしていたのにー。
ミドムラサキの心の声である。
「い、いいえなんでもありません」
ミドムラサキは泣き出したいのをぐっとこらえた。
「さあ、朝ご飯を出しましょう」
岩の上に人肉パンが出された。
キキのためにこれも出来ないといけないので練習である。
岩の上の程よくぐちゃぐちゃに腐ったパンを見た。
「くすくす、これは毎日食べていたから、味は食べなくても分かるわ」
あいは両手の手の平を上に向けた。
「出でよ人肉パン」
両手の手の平に程よく、ぐちゃぐちゃに腐ったパンがでる。
そのパンをミドムラサキとクロの口に放り込んだ。
あいが作り出す食べ物だから、おいしい物だろうと思って、二人は大きな口を開けて待っていたのだ。
「ごえーーえーーえええ」
ミドムラサキとクロのお口から、噴水が発射された。
突然の事に胃袋が驚き、豆粒位に縮んだため、凄い勢いで飛び出した。
人肉パンとは、程よくぐちゃぐちゃに腐ったパンのことなのだ。
「えええーー」
あいはすごく驚いた。
グエン商会の窓際で朝食をする後イ団。
ケンは三階から降りてきていない。
そこにコウとチュウとモリが尋ねてきた。
「すみません、朝早くから」
「いえ、いいですよ」
「どうしました」
「メイさん、確認がとれたのでその報告です」
コウが答える。
「はやいですね」
「チュウさんから聞いて頂きましたか」
「この街一番のゴルド一家と戦うと聞きました」
「驚きました」
「……」
「ケンと同じ事を言っていることに」
「えっ」
今度はメイが驚いた。
「まあケンはいつも一番じゃ無いと、気が済まないだけだと、思いますがね」
「今まで調べていたことが役に立つと思います」
「シマ」
「はい」
シマと呼ばれたのは女性で全身が黒い動きやすそうな服で覆われていた。
可愛い感じの整った顔立ちをしている。
顔に目立つ大きな傷跡が二つあった。
「こいつは情報集めを専門にやってもらっている者です」
「女性なのですね」
「私は女としては終わっています」
「こんな人間を女性とは呼ばないで下さい」
レイが立ち上がりシマに抱きついた。
「いっ、痛いです」
「何をするのですか」
「ごめんなさい」
メイが謝り、話を続ける。
「この子もあなたと同じ境遇なの許してあげて」
「うっうう」
レイが泣いてしまっている。
「うわーあーーあー」
今度はシマが大声で泣き出してしまった。
同じ境遇と聞いて、いままでずっと堰き止めていた思いが一気に噴出してしまったのである。
「うわあーー、うわああーー」
レイも大声になった、レイも普段明るく振る舞い、湧き上がる悲しみに蓋をしていた、それが取れてしまったのだ。
レイとシマはこの後しばらく泣き続けた、その後二人は水魚之交の間柄となる。
「うむ、シマがこれほどの激情を持っていたとは」
「人間とは分からぬ物だ」
コウがつぶやく。
シマはいつも冷静で落ち着きのある女性なのだ。
「シマさん何処まで情報を掴んでいますか」
「はい、ゴルド一家のアジトは、すべて掴めていると思います」
「ですが、いまだ本拠がつかめていません」
「それだけでも、すごいです」
「どうやってそこまでの情報を掴んでいるのですか」
「私は、魔法使いで、消える魔法が使えます」
「じゃあクロさんと一緒ね」
「クロさん、少し姿を見せて下さい」
机の上に白い妖精のようなクロが現れる。
だがいつもと少し様子が違う。
青い顔をしてふらふらしている。
「まさか、二日酔い」
メイがクロに顔を近づける。
なにか酸っぱい匂いがした。
「はい、それもありますが、色々あります」
「クロさん、あいちゃんがお酒を造れるようになったと、思っていいのかな」
「はい、造れるようになりました」
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