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第四十三話 養女マイ
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遅れてシュウがやってきて、王様の介抱をする。
王様にはあいが治癒を施して、すでに精神支配は解けている。
「シュウ様、王様に全軍撤退の命令をだしてもらって下さい」
メイが言う。
「その後、詳しい事情の説明をしてください」
「分かりました」
シュウが王様を連れて部屋をでていく。
「さて、魔人ゲダ、あんたがあいちゃんに」
「どんな思いでいるのかは知りませんが」
「ここまでやったことは、無視出来ませんよ」
「罪の償いをする必要があります」
「配下共々、オリ国の王に百年仕えなさい」
「その後、もう一度どうするか考えなさい」
「それで許されるなら、おとなしく従おう」
ゲダは素直にしたがった。
よほどあいの配下になりたかったようだ。
メイは、ゲダをもっと恐ろしい魔人だと思っていた。
あいちゃんに、跪き一緒に連れていってほしいなんて、恨みも消えたわ。
むしろ、私の方こそあいちゃんに会わせてくれて、
「ありがとう」
そんな気持ちね。
メイのありがとうを聞いて、ゲダが反応した。
「マリ、マオ」
こうして、オリの一日がおわった。
翌朝
「すごいわねー、王宮で寝た貧民って私がはじめてだって」
今日も、あいのそばにはハイがいる。
「魔王軍の最高幹部も私がはじめてでしょうか」
「絶対はじめてだよ」
「おはよーあいちゃん」
「おはようございます、メイさん、レイさん」
「時間だよ行きましょう」
今日は朝一から、王に呼ばれている。
長い机の部屋に通されると、後イ団、イホウギ、シュウがいた。
王様の回りには、魔人の四人が立っていた。
末席には二人の男女が立っている。
一人はがっしりとした、体躯の男で強そうである。
もう一人は、上品な雰囲気だが、少し勝ち気な感じのお嬢様だ。
「この度は迷惑をかけた」
「しかし、このことは極秘事項だ」
「だが予としても、そなた達の労に報いたい」
「そこで予の子を養子としてもらってほしい」
王が手のひらを差し出すと末席の男女の方に向けた。
「イホウギ殿には、息子ゼンを」
「南トランに対する人質と、とってもらってよい」
「あい殿には、娘マイを」
「どうかね」
あいは、いりませんと答えたかったがメイを見た。
メイも驚いていたようだが、コクコク頷いている。
断る選択肢は無いようだ。
「はい」
あいはそう答えるしかなかった。
王との話はそれで終わった。
王が退室すると、そのまま南トランとの戦場の話になる。
「あい殿、オリの兵は無事でしょうか」
シュウが心配そうに訪ねた。
「大丈夫です、すぐに解放したいのですが、皆さんの予定は大丈夫ですか」
「少し時間を頂きたい」
イホウギが答える。
「では、二時間後に私の部屋の前で」
「わかりました」
少し早めに来た、シュウとゼンが話している。
「シュウ将軍、まいったぜ、田舎将軍のところへ養子とはよ」
ゼンがぼやく。
それをたしなめるようにシュウが話す。
「なにを言われます、イホウギ様は私より遙かに強いですよ」
「あの魔人より強かった」
「本当かよ」
シュウの言葉を聞いてゼンは目を輝かせている。
「お待たせしました」
あいが部屋から出てくる。
ハイとマイも付いてきた。
少し遅れてイホウギも到着し、戦場へ出発した。
戦場に到着すると、あいが出現魔法を使う。
「出現」
両軍約三十万の軍勢が出現する。
「治癒」
これですべて元通り。
イホウギとシュウの撤退の合図で、両軍撤退を開始した。
ゼンはこの日より、イホウゼンを名乗った。
マイはこの魔法を平然とやってのけたあいを見て
「お母様」
あいの手をとっていた。
これまでツンとすまし、心の中では貧民の養子なんて、ありえないと激怒していた。
マイは王位継承権第二位のお姫様なのだ。
ただ、性格に難があり、王は、なんとかしてやりたいと思っていたとこだった。
あいという少女ならマイを良い方へ導いてくれると信じていた。
「クロちゃん、私たちを後イ団の所へお願い」
「はい」
白い妖精が、あいの肩に現れる。
それを見つけたマイが目を輝かせる、可愛いほしい。
「マイさん手をつないで下さい」
「移動します」
マイが見ると、ハイという女はあいとさっさと手をつなぎ赤くなっていた。
ムッとして、あいとハイの間に割り込んだ。
ハイはすごく悲しそうな顔をした。
後イ団の所に移動すると、いつまでも王宮には、いられないので、皆で街に歩き出した。
オリ国王都オオリ
イネスとは比べものにならない大きさの都市である。
「ここからどーすればいいのー」
あいが泣きそうになっている。
「私は一度家に寄って見たいのだがだめかな」
「じゃあ、私もメイさんについて行く」
「じゃあ私も」
レイもあいに続いた。
「俺はグエン商会によって、団員募集について話して来たいのだが」
さすがリーダのガイさん、あいが見つめる。
「じゃあ俺はそっちだな、サイさんはどうする」
ロイがサイに話を振った。
「わしも、そっちに同行しよう」
「じゃあ、男性と女性に別れる感じね」
「クロちゃん」
「ガイさんについてあげて下さい」
「はい、わかりました」
白い妖精が分裂してガイの肩に止まった。
「なにかあったらクロちゃん経由で連絡ください」
「わかった、滞在先とか連絡するよ」
こうして後イ団は二つに分かれて行動を開始した。
王様にはあいが治癒を施して、すでに精神支配は解けている。
「シュウ様、王様に全軍撤退の命令をだしてもらって下さい」
メイが言う。
「その後、詳しい事情の説明をしてください」
「分かりました」
シュウが王様を連れて部屋をでていく。
「さて、魔人ゲダ、あんたがあいちゃんに」
「どんな思いでいるのかは知りませんが」
「ここまでやったことは、無視出来ませんよ」
「罪の償いをする必要があります」
「配下共々、オリ国の王に百年仕えなさい」
「その後、もう一度どうするか考えなさい」
「それで許されるなら、おとなしく従おう」
ゲダは素直にしたがった。
よほどあいの配下になりたかったようだ。
メイは、ゲダをもっと恐ろしい魔人だと思っていた。
あいちゃんに、跪き一緒に連れていってほしいなんて、恨みも消えたわ。
むしろ、私の方こそあいちゃんに会わせてくれて、
「ありがとう」
そんな気持ちね。
メイのありがとうを聞いて、ゲダが反応した。
「マリ、マオ」
こうして、オリの一日がおわった。
翌朝
「すごいわねー、王宮で寝た貧民って私がはじめてだって」
今日も、あいのそばにはハイがいる。
「魔王軍の最高幹部も私がはじめてでしょうか」
「絶対はじめてだよ」
「おはよーあいちゃん」
「おはようございます、メイさん、レイさん」
「時間だよ行きましょう」
今日は朝一から、王に呼ばれている。
長い机の部屋に通されると、後イ団、イホウギ、シュウがいた。
王様の回りには、魔人の四人が立っていた。
末席には二人の男女が立っている。
一人はがっしりとした、体躯の男で強そうである。
もう一人は、上品な雰囲気だが、少し勝ち気な感じのお嬢様だ。
「この度は迷惑をかけた」
「しかし、このことは極秘事項だ」
「だが予としても、そなた達の労に報いたい」
「そこで予の子を養子としてもらってほしい」
王が手のひらを差し出すと末席の男女の方に向けた。
「イホウギ殿には、息子ゼンを」
「南トランに対する人質と、とってもらってよい」
「あい殿には、娘マイを」
「どうかね」
あいは、いりませんと答えたかったがメイを見た。
メイも驚いていたようだが、コクコク頷いている。
断る選択肢は無いようだ。
「はい」
あいはそう答えるしかなかった。
王との話はそれで終わった。
王が退室すると、そのまま南トランとの戦場の話になる。
「あい殿、オリの兵は無事でしょうか」
シュウが心配そうに訪ねた。
「大丈夫です、すぐに解放したいのですが、皆さんの予定は大丈夫ですか」
「少し時間を頂きたい」
イホウギが答える。
「では、二時間後に私の部屋の前で」
「わかりました」
少し早めに来た、シュウとゼンが話している。
「シュウ将軍、まいったぜ、田舎将軍のところへ養子とはよ」
ゼンがぼやく。
それをたしなめるようにシュウが話す。
「なにを言われます、イホウギ様は私より遙かに強いですよ」
「あの魔人より強かった」
「本当かよ」
シュウの言葉を聞いてゼンは目を輝かせている。
「お待たせしました」
あいが部屋から出てくる。
ハイとマイも付いてきた。
少し遅れてイホウギも到着し、戦場へ出発した。
戦場に到着すると、あいが出現魔法を使う。
「出現」
両軍約三十万の軍勢が出現する。
「治癒」
これですべて元通り。
イホウギとシュウの撤退の合図で、両軍撤退を開始した。
ゼンはこの日より、イホウゼンを名乗った。
マイはこの魔法を平然とやってのけたあいを見て
「お母様」
あいの手をとっていた。
これまでツンとすまし、心の中では貧民の養子なんて、ありえないと激怒していた。
マイは王位継承権第二位のお姫様なのだ。
ただ、性格に難があり、王は、なんとかしてやりたいと思っていたとこだった。
あいという少女ならマイを良い方へ導いてくれると信じていた。
「クロちゃん、私たちを後イ団の所へお願い」
「はい」
白い妖精が、あいの肩に現れる。
それを見つけたマイが目を輝かせる、可愛いほしい。
「マイさん手をつないで下さい」
「移動します」
マイが見ると、ハイという女はあいとさっさと手をつなぎ赤くなっていた。
ムッとして、あいとハイの間に割り込んだ。
ハイはすごく悲しそうな顔をした。
後イ団の所に移動すると、いつまでも王宮には、いられないので、皆で街に歩き出した。
オリ国王都オオリ
イネスとは比べものにならない大きさの都市である。
「ここからどーすればいいのー」
あいが泣きそうになっている。
「私は一度家に寄って見たいのだがだめかな」
「じゃあ、私もメイさんについて行く」
「じゃあ私も」
レイもあいに続いた。
「俺はグエン商会によって、団員募集について話して来たいのだが」
さすがリーダのガイさん、あいが見つめる。
「じゃあ俺はそっちだな、サイさんはどうする」
ロイがサイに話を振った。
「わしも、そっちに同行しよう」
「じゃあ、男性と女性に別れる感じね」
「クロちゃん」
「ガイさんについてあげて下さい」
「はい、わかりました」
白い妖精が分裂してガイの肩に止まった。
「なにかあったらクロちゃん経由で連絡ください」
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