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第十六話 新たな討伐
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結局、兵士は三百人程が生還、残りは行方不明となった。登録者からは犠牲者無しという結果だった。
「本当にそれでよろしいのですか」
隊長がたずねる。
「それ以外ならあなたたちを助けた意味が無くなります」
「私たちは目立たないように言われいてますので」
メイが代表で話す。
隊長と交渉した結果、この討伐は、兵士と伍イ団の協力により魔獣を倒したということにしてもらった。
分かれるとき髭の兵士が、ずっと見え無くなるまで頭を下げている姿があった。
あの人だけあいちゃんの魔法を一人で受けていたのよねー。この先出世しそう。レイはそう思った。
その後、グエン商会に行き、魔力を納品した。
「金貨二十五枚ですね」
「魔封石は階級上昇です。金貨五十枚用になります。個人用も金貨一枚から十枚に上昇です」
「伍イ団はこれでイネスの、順位四番になりましたよ。掲示板に順位表がありますので、見ておいてくださいね」
順位は魔封石の階級で決まる。
確認したら、
一位 青龍団
二位 赤龍団
三位 猛虎団
四位 伍イ団
となっていた。
他は皆、百人以上の団員がいるのに、伍イ団は五人だから凄い事だと言われた。
「今回の報酬は無しだ」
「えーーえ」
アド商会への報告は、女性三人で来ていた。
この後宝飾店へ行くためだ。
「目立たないようにと言ったはずだ」
「しかも、兵士が失敗したらと、いったはずだ」
「王室が支払わないと言ってきた」
「そうですか」
三人はしょんぼりした。
「なーーんてな」
「冗談だ」
シャムは上機嫌だった。
「兵士まで助けるとはな、全部見ていたよ」
「あいちゃんは死にそうな者を無視するのが嫌みたいだね」
「それでは隠密活動ができなくて、今後の仕事の幅が狭くなるから困るけど、それがあいちゃんだからしょうが無いのかな」
「お金はグエン商会の口座へ預けておいた、後で確認しておいてほしい」
「今回はお疲れ様でした」
シャムが頭を下げた。
三人も頭を下げた。
青龍団本部
団長は青龍を名乗っている。
熊のようにずんぐりした大男だ。
「あれはやべーえって」
副団長のギドがいう。
浅黒い肌の鋭い目の男だ。
「あの魔獣を一人で、やりゃあがった」
「それだけじゃねー、岩や水を出し、死者まで復活させやあがった」
「それは、北の魔女ということか」
「わからねー」
「まあ、伍イ団はやべえって事だ」
「団員に、伍イ団には喧嘩は売らねえように言っておかねえとな」
「俺からも話がある」
団長の青龍がいう
「ササ領から連絡が来た、団員が百人以上やられた」
「領兵は三千人以上、やられている」
「そんなにすげーのか」
「人間でどうこう出来るもんじゃねえらしい」
「赤龍も猛虎も、もう団員を出さねえらしい、グエン商会も募集をださねえってことだ」
「ひょっとすると伍イ団の出番かな」
「それで死んでくれるとおもしれえけどな」
二人が嫌な笑いを浮かべていた。
アド宝飾店で買い物を済ました三人は、ベイに向かっていた。
「ぶっ」
「レイちゃん笑っちゃだめだよ」
「だってシャム様が、あの黒いパンツを履いているんだよ」
「想像しただけで笑えてくる」
「くすくす」
三人は笑っている。シャムを笑っているようでそういう訳ではなく、新しいパンツを買って嬉しくって、何でも可笑しいのだ。
ベイに着くといつもの個室に案内された。
ガイとロイが飲み物を飲んでいる。
隣に美しい女性がいる。
「あー皆さんお邪魔しています」
グエン商会の受付嬢だった。服装がきちっとしているだけで分からなかった。声を聞いてやっとわかった。
「もう、皆さんにしか頼めないのです」
「とりあえず、食事をしませんか」
メイが提案する。
あいが美味そうに牛乳を飲み、料理に手を付ける。
全員手づかみで、料理を食べ出すと受付嬢も手で食べ出した。
「あのー、話してもよろしいですか」
皆が無言で頷く。
「ササ領から討伐の依頼が来ていまして」
ササ領はイナ国の南端にある。
現王の弟の領地だ。
「最初、人員の募集でしたが、参加した人が大勢死んでしまって、討伐に変わりました」
「ですが、受ける人が誰もいません」
「既に幾つも村が滅ぼされ、領民も困っています」
「金貨三万枚の報酬です」
「どうでしょうやって頂けませんか」
「三万枚か、今回の討伐より安いな」
「あいちゃんどうする」
ガイがあいに視線を移すと、あいは手に一杯料理を持ったまま止まっている。
あーこれは受けるなーと、四人は思った。
「困っている人がいるなら、やります」
「よかった」
「すぐに領主様に連絡します。明日グエン商会に来てください」
受付嬢は嬉しそうに帰っていった。
この日の食事代はグエン商会が出してくれた。
「本当にそれでよろしいのですか」
隊長がたずねる。
「それ以外ならあなたたちを助けた意味が無くなります」
「私たちは目立たないように言われいてますので」
メイが代表で話す。
隊長と交渉した結果、この討伐は、兵士と伍イ団の協力により魔獣を倒したということにしてもらった。
分かれるとき髭の兵士が、ずっと見え無くなるまで頭を下げている姿があった。
あの人だけあいちゃんの魔法を一人で受けていたのよねー。この先出世しそう。レイはそう思った。
その後、グエン商会に行き、魔力を納品した。
「金貨二十五枚ですね」
「魔封石は階級上昇です。金貨五十枚用になります。個人用も金貨一枚から十枚に上昇です」
「伍イ団はこれでイネスの、順位四番になりましたよ。掲示板に順位表がありますので、見ておいてくださいね」
順位は魔封石の階級で決まる。
確認したら、
一位 青龍団
二位 赤龍団
三位 猛虎団
四位 伍イ団
となっていた。
他は皆、百人以上の団員がいるのに、伍イ団は五人だから凄い事だと言われた。
「今回の報酬は無しだ」
「えーーえ」
アド商会への報告は、女性三人で来ていた。
この後宝飾店へ行くためだ。
「目立たないようにと言ったはずだ」
「しかも、兵士が失敗したらと、いったはずだ」
「王室が支払わないと言ってきた」
「そうですか」
三人はしょんぼりした。
「なーーんてな」
「冗談だ」
シャムは上機嫌だった。
「兵士まで助けるとはな、全部見ていたよ」
「あいちゃんは死にそうな者を無視するのが嫌みたいだね」
「それでは隠密活動ができなくて、今後の仕事の幅が狭くなるから困るけど、それがあいちゃんだからしょうが無いのかな」
「お金はグエン商会の口座へ預けておいた、後で確認しておいてほしい」
「今回はお疲れ様でした」
シャムが頭を下げた。
三人も頭を下げた。
青龍団本部
団長は青龍を名乗っている。
熊のようにずんぐりした大男だ。
「あれはやべーえって」
副団長のギドがいう。
浅黒い肌の鋭い目の男だ。
「あの魔獣を一人で、やりゃあがった」
「それだけじゃねー、岩や水を出し、死者まで復活させやあがった」
「それは、北の魔女ということか」
「わからねー」
「まあ、伍イ団はやべえって事だ」
「団員に、伍イ団には喧嘩は売らねえように言っておかねえとな」
「俺からも話がある」
団長の青龍がいう
「ササ領から連絡が来た、団員が百人以上やられた」
「領兵は三千人以上、やられている」
「そんなにすげーのか」
「人間でどうこう出来るもんじゃねえらしい」
「赤龍も猛虎も、もう団員を出さねえらしい、グエン商会も募集をださねえってことだ」
「ひょっとすると伍イ団の出番かな」
「それで死んでくれるとおもしれえけどな」
二人が嫌な笑いを浮かべていた。
アド宝飾店で買い物を済ました三人は、ベイに向かっていた。
「ぶっ」
「レイちゃん笑っちゃだめだよ」
「だってシャム様が、あの黒いパンツを履いているんだよ」
「想像しただけで笑えてくる」
「くすくす」
三人は笑っている。シャムを笑っているようでそういう訳ではなく、新しいパンツを買って嬉しくって、何でも可笑しいのだ。
ベイに着くといつもの個室に案内された。
ガイとロイが飲み物を飲んでいる。
隣に美しい女性がいる。
「あー皆さんお邪魔しています」
グエン商会の受付嬢だった。服装がきちっとしているだけで分からなかった。声を聞いてやっとわかった。
「もう、皆さんにしか頼めないのです」
「とりあえず、食事をしませんか」
メイが提案する。
あいが美味そうに牛乳を飲み、料理に手を付ける。
全員手づかみで、料理を食べ出すと受付嬢も手で食べ出した。
「あのー、話してもよろしいですか」
皆が無言で頷く。
「ササ領から討伐の依頼が来ていまして」
ササ領はイナ国の南端にある。
現王の弟の領地だ。
「最初、人員の募集でしたが、参加した人が大勢死んでしまって、討伐に変わりました」
「ですが、受ける人が誰もいません」
「既に幾つも村が滅ぼされ、領民も困っています」
「金貨三万枚の報酬です」
「どうでしょうやって頂けませんか」
「三万枚か、今回の討伐より安いな」
「あいちゃんどうする」
ガイがあいに視線を移すと、あいは手に一杯料理を持ったまま止まっている。
あーこれは受けるなーと、四人は思った。
「困っている人がいるなら、やります」
「よかった」
「すぐに領主様に連絡します。明日グエン商会に来てください」
受付嬢は嬉しそうに帰っていった。
この日の食事代はグエン商会が出してくれた。
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