12 / 180
第十二話 メイの旅の目的
しおりを挟む
グエン商会
「おめでとうございます」
受付嬢が嬉しそうにいう。
「団の魔封石が満タンになったので、一階級上の魔封石に交換します。今度のは魔力十、金貨十枚分の容量の魔封石を貸与しまーす」
「はい、今日の売り上げは金貨八枚です」
金貨を受け取ると五人はベイに急いだ。
食堂ベイでは何故か個室に通された。
「カンパーイ」
あいは牛乳のおかわりをすぐに注文し、料理が来ると、手づかみで食べ出した。
あいちゃん一人じゃかわいそうだと、他の四人も手づかみで食べ出した。
「あっこれだ」
四人は個室に通された意味がわかった。
「まずは、おめでとう二人とも」
メイが上機嫌で話し出す。
何のことか分からずぽかんとする、四人。
「ロイ君とレイちゃんの目を見て」
二人の目が赤く光っている。
ロイの光はよく見ないと分からない程度だが、レイの光はよく分かる。
この世界では、魔力が増えて来ると、目が赤く光る。魔封石や魔獣の目が赤く光るのと同じだ。人間の場合、目が光る者を魔道士と呼ぶ。
さらに魔力が増えると、その光がなくなり人間なら魔女と呼ばれる。魔獣は姿も変り人と見た目が近くなるそのため魔人と呼ばれる。
「新しい魔道士が二人も誕生した記念すべき日よ」
「メイさんは目が光っていませんが」
「そうね、私とあいちゃんは魔女よ」
「これから私の話をしようと思うのだけれど、長くなるけどいいかな」
四人はふんふんと頷く。
「わたしはオリ国の北の、といってもあいちゃんには、分からないわね」
メイは北の方向を指さし、
「こっちの方向のずっと先の方」
メイがあいの顔を見る。
あいは急に見られ、口一杯に頬張った麺を二すじほど口から垂らしたまま。指の差す方向をみた。壁しか見えなかった。
あいちゃんは、食事中だけは幼児のようにかわいいなーと思う四人だった。
「その森の中に隠れ住む、お婆さんの魔女だったの」
「当時は弟子も百人位いる有名な魔女だったのよ。探究の魔女と呼ばれ調子に乗っていたのね」
「魔女の森からゲダという魔人が来て、私は弟子と共にゲダに戦いを挑んだの」
「魔人は強かったわ。弟子共々コテンパンに
やられちゃった」
「ゲダは遊びで、私に呪いを掛けて、楽しかったと言い残して森に帰っていったわ」
「本当に遊びだったのね、死んだ弟子は一人もいなかったし、呪いも私だけだったの」
「魔人の呪いは、魔法封じの魔法、魔法を全部封じられた私は、魔法を使うことは疎か、魔力の放出も封じられたの。」
「魔力は自分の貯められる量以上は、放出しているのだけど、それを封じられた私は限界以上の魔力のせいで、その日以来、年を逆行していったの」
「なんとか魔力を放出しようとあがいて、少しだけ魔法が使えるようになったけど、焼け石に水」
「年々若返って、きっと最後は赤ちゃんになって死んでしまうと思って、直す方法を探していたの」
「もう、百年以上旅してきたわ」
「皆に会えてここで最後でもいいかな、なんて思っていたとこだったのよ」
「あいちゃんの回復魔法で、元に戻るどころか、魔力が強力になったわ」
「これで私の旅の目的は終わったわ」
「ありがとう、あいちゃん、皆」
メイはガブガブと、酒を飲んだ。
普段は余り飲まないメイが一杯飲むのを見て、四人は不安になった。
メイさんこのまま、オリ国に帰っちゃうのかな。
不安になったレイがメイに聞く。
「メイさん、オリ国には、いつ帰るのですか」
「そうね、なるべくはやく帰りたいわね」
そう言うと、メイは席をたった。
お手洗いのようだった。
四人は皆、涙目だった。
「メイさん帰ってしまうって」
レイがぽろぽろ涙をこぼす。
「レイ、泣かずに笑顔で送ってやろう」
ガイがいうと、レイが
「そんなことは、わっかっているわ!」
「でも悲しいのだからしょうが無いでしょ」
伍イ団の仲間は、あいをのぞいてメイが集めた仲間だった。
あいの加入までは、ほとんど稼げないダメダメ登録者で、苦労ばかりしていた、思い出しかない。
でも、よく笑い合って、楽しかったと本当にそう思える日々だった。
「楽しかったね」
「そうだな」
レイの言葉にガイとロイが頷く。
三人を見てあいの手がずっと止まっている。
短い間の付き合いだったがあいも悲しかった。
めいが嬉しそうに戻って来て、
「全く今日はいい日だ」
「皆、乾杯しよう」
コップを皆のコップにぶつけ、一人上機嫌で酔っ払っている。
「あいちゃん、牛乳がもうないじゃないか」
「おねーさん牛乳、おかわりー」
あいの背中をパシパシ叩く。
五人はベイが閉店になったので、仕方なく店の前で分かれることにした。いつものように、ガイがレイとメイを送り、ロイがあいを送るため二手に分かれると、あいとロイはメイの姿が見えなくなるまで見送った。
「さようなら、メイさん」
「おめでとうございます」
受付嬢が嬉しそうにいう。
「団の魔封石が満タンになったので、一階級上の魔封石に交換します。今度のは魔力十、金貨十枚分の容量の魔封石を貸与しまーす」
「はい、今日の売り上げは金貨八枚です」
金貨を受け取ると五人はベイに急いだ。
食堂ベイでは何故か個室に通された。
「カンパーイ」
あいは牛乳のおかわりをすぐに注文し、料理が来ると、手づかみで食べ出した。
あいちゃん一人じゃかわいそうだと、他の四人も手づかみで食べ出した。
「あっこれだ」
四人は個室に通された意味がわかった。
「まずは、おめでとう二人とも」
メイが上機嫌で話し出す。
何のことか分からずぽかんとする、四人。
「ロイ君とレイちゃんの目を見て」
二人の目が赤く光っている。
ロイの光はよく見ないと分からない程度だが、レイの光はよく分かる。
この世界では、魔力が増えて来ると、目が赤く光る。魔封石や魔獣の目が赤く光るのと同じだ。人間の場合、目が光る者を魔道士と呼ぶ。
さらに魔力が増えると、その光がなくなり人間なら魔女と呼ばれる。魔獣は姿も変り人と見た目が近くなるそのため魔人と呼ばれる。
「新しい魔道士が二人も誕生した記念すべき日よ」
「メイさんは目が光っていませんが」
「そうね、私とあいちゃんは魔女よ」
「これから私の話をしようと思うのだけれど、長くなるけどいいかな」
四人はふんふんと頷く。
「わたしはオリ国の北の、といってもあいちゃんには、分からないわね」
メイは北の方向を指さし、
「こっちの方向のずっと先の方」
メイがあいの顔を見る。
あいは急に見られ、口一杯に頬張った麺を二すじほど口から垂らしたまま。指の差す方向をみた。壁しか見えなかった。
あいちゃんは、食事中だけは幼児のようにかわいいなーと思う四人だった。
「その森の中に隠れ住む、お婆さんの魔女だったの」
「当時は弟子も百人位いる有名な魔女だったのよ。探究の魔女と呼ばれ調子に乗っていたのね」
「魔女の森からゲダという魔人が来て、私は弟子と共にゲダに戦いを挑んだの」
「魔人は強かったわ。弟子共々コテンパンに
やられちゃった」
「ゲダは遊びで、私に呪いを掛けて、楽しかったと言い残して森に帰っていったわ」
「本当に遊びだったのね、死んだ弟子は一人もいなかったし、呪いも私だけだったの」
「魔人の呪いは、魔法封じの魔法、魔法を全部封じられた私は、魔法を使うことは疎か、魔力の放出も封じられたの。」
「魔力は自分の貯められる量以上は、放出しているのだけど、それを封じられた私は限界以上の魔力のせいで、その日以来、年を逆行していったの」
「なんとか魔力を放出しようとあがいて、少しだけ魔法が使えるようになったけど、焼け石に水」
「年々若返って、きっと最後は赤ちゃんになって死んでしまうと思って、直す方法を探していたの」
「もう、百年以上旅してきたわ」
「皆に会えてここで最後でもいいかな、なんて思っていたとこだったのよ」
「あいちゃんの回復魔法で、元に戻るどころか、魔力が強力になったわ」
「これで私の旅の目的は終わったわ」
「ありがとう、あいちゃん、皆」
メイはガブガブと、酒を飲んだ。
普段は余り飲まないメイが一杯飲むのを見て、四人は不安になった。
メイさんこのまま、オリ国に帰っちゃうのかな。
不安になったレイがメイに聞く。
「メイさん、オリ国には、いつ帰るのですか」
「そうね、なるべくはやく帰りたいわね」
そう言うと、メイは席をたった。
お手洗いのようだった。
四人は皆、涙目だった。
「メイさん帰ってしまうって」
レイがぽろぽろ涙をこぼす。
「レイ、泣かずに笑顔で送ってやろう」
ガイがいうと、レイが
「そんなことは、わっかっているわ!」
「でも悲しいのだからしょうが無いでしょ」
伍イ団の仲間は、あいをのぞいてメイが集めた仲間だった。
あいの加入までは、ほとんど稼げないダメダメ登録者で、苦労ばかりしていた、思い出しかない。
でも、よく笑い合って、楽しかったと本当にそう思える日々だった。
「楽しかったね」
「そうだな」
レイの言葉にガイとロイが頷く。
三人を見てあいの手がずっと止まっている。
短い間の付き合いだったがあいも悲しかった。
めいが嬉しそうに戻って来て、
「全く今日はいい日だ」
「皆、乾杯しよう」
コップを皆のコップにぶつけ、一人上機嫌で酔っ払っている。
「あいちゃん、牛乳がもうないじゃないか」
「おねーさん牛乳、おかわりー」
あいの背中をパシパシ叩く。
五人はベイが閉店になったので、仕方なく店の前で分かれることにした。いつものように、ガイがレイとメイを送り、ロイがあいを送るため二手に分かれると、あいとロイはメイの姿が見えなくなるまで見送った。
「さようなら、メイさん」
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。
みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる