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第十二話 メイの旅の目的
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グエン商会
「おめでとうございます」
受付嬢が嬉しそうにいう。
「団の魔封石が満タンになったので、一階級上の魔封石に交換します。今度のは魔力十、金貨十枚分の容量の魔封石を貸与しまーす」
「はい、今日の売り上げは金貨八枚です」
金貨を受け取ると五人はベイに急いだ。
食堂ベイでは何故か個室に通された。
「カンパーイ」
あいは牛乳のおかわりをすぐに注文し、料理が来ると、手づかみで食べ出した。
あいちゃん一人じゃかわいそうだと、他の四人も手づかみで食べ出した。
「あっこれだ」
四人は個室に通された意味がわかった。
「まずは、おめでとう二人とも」
メイが上機嫌で話し出す。
何のことか分からずぽかんとする、四人。
「ロイ君とレイちゃんの目を見て」
二人の目が赤く光っている。
ロイの光はよく見ないと分からない程度だが、レイの光はよく分かる。
この世界では、魔力が増えて来ると、目が赤く光る。魔封石や魔獣の目が赤く光るのと同じだ。人間の場合、目が光る者を魔道士と呼ぶ。
さらに魔力が増えると、その光がなくなり人間なら魔女と呼ばれる。魔獣は姿も変り人と見た目が近くなるそのため魔人と呼ばれる。
「新しい魔道士が二人も誕生した記念すべき日よ」
「メイさんは目が光っていませんが」
「そうね、私とあいちゃんは魔女よ」
「これから私の話をしようと思うのだけれど、長くなるけどいいかな」
四人はふんふんと頷く。
「わたしはオリ国の北の、といってもあいちゃんには、分からないわね」
メイは北の方向を指さし、
「こっちの方向のずっと先の方」
メイがあいの顔を見る。
あいは急に見られ、口一杯に頬張った麺を二すじほど口から垂らしたまま。指の差す方向をみた。壁しか見えなかった。
あいちゃんは、食事中だけは幼児のようにかわいいなーと思う四人だった。
「その森の中に隠れ住む、お婆さんの魔女だったの」
「当時は弟子も百人位いる有名な魔女だったのよ。探究の魔女と呼ばれ調子に乗っていたのね」
「魔女の森からゲダという魔人が来て、私は弟子と共にゲダに戦いを挑んだの」
「魔人は強かったわ。弟子共々コテンパンに
やられちゃった」
「ゲダは遊びで、私に呪いを掛けて、楽しかったと言い残して森に帰っていったわ」
「本当に遊びだったのね、死んだ弟子は一人もいなかったし、呪いも私だけだったの」
「魔人の呪いは、魔法封じの魔法、魔法を全部封じられた私は、魔法を使うことは疎か、魔力の放出も封じられたの。」
「魔力は自分の貯められる量以上は、放出しているのだけど、それを封じられた私は限界以上の魔力のせいで、その日以来、年を逆行していったの」
「なんとか魔力を放出しようとあがいて、少しだけ魔法が使えるようになったけど、焼け石に水」
「年々若返って、きっと最後は赤ちゃんになって死んでしまうと思って、直す方法を探していたの」
「もう、百年以上旅してきたわ」
「皆に会えてここで最後でもいいかな、なんて思っていたとこだったのよ」
「あいちゃんの回復魔法で、元に戻るどころか、魔力が強力になったわ」
「これで私の旅の目的は終わったわ」
「ありがとう、あいちゃん、皆」
メイはガブガブと、酒を飲んだ。
普段は余り飲まないメイが一杯飲むのを見て、四人は不安になった。
メイさんこのまま、オリ国に帰っちゃうのかな。
不安になったレイがメイに聞く。
「メイさん、オリ国には、いつ帰るのですか」
「そうね、なるべくはやく帰りたいわね」
そう言うと、メイは席をたった。
お手洗いのようだった。
四人は皆、涙目だった。
「メイさん帰ってしまうって」
レイがぽろぽろ涙をこぼす。
「レイ、泣かずに笑顔で送ってやろう」
ガイがいうと、レイが
「そんなことは、わっかっているわ!」
「でも悲しいのだからしょうが無いでしょ」
伍イ団の仲間は、あいをのぞいてメイが集めた仲間だった。
あいの加入までは、ほとんど稼げないダメダメ登録者で、苦労ばかりしていた、思い出しかない。
でも、よく笑い合って、楽しかったと本当にそう思える日々だった。
「楽しかったね」
「そうだな」
レイの言葉にガイとロイが頷く。
三人を見てあいの手がずっと止まっている。
短い間の付き合いだったがあいも悲しかった。
めいが嬉しそうに戻って来て、
「全く今日はいい日だ」
「皆、乾杯しよう」
コップを皆のコップにぶつけ、一人上機嫌で酔っ払っている。
「あいちゃん、牛乳がもうないじゃないか」
「おねーさん牛乳、おかわりー」
あいの背中をパシパシ叩く。
五人はベイが閉店になったので、仕方なく店の前で分かれることにした。いつものように、ガイがレイとメイを送り、ロイがあいを送るため二手に分かれると、あいとロイはメイの姿が見えなくなるまで見送った。
「さようなら、メイさん」
「おめでとうございます」
受付嬢が嬉しそうにいう。
「団の魔封石が満タンになったので、一階級上の魔封石に交換します。今度のは魔力十、金貨十枚分の容量の魔封石を貸与しまーす」
「はい、今日の売り上げは金貨八枚です」
金貨を受け取ると五人はベイに急いだ。
食堂ベイでは何故か個室に通された。
「カンパーイ」
あいは牛乳のおかわりをすぐに注文し、料理が来ると、手づかみで食べ出した。
あいちゃん一人じゃかわいそうだと、他の四人も手づかみで食べ出した。
「あっこれだ」
四人は個室に通された意味がわかった。
「まずは、おめでとう二人とも」
メイが上機嫌で話し出す。
何のことか分からずぽかんとする、四人。
「ロイ君とレイちゃんの目を見て」
二人の目が赤く光っている。
ロイの光はよく見ないと分からない程度だが、レイの光はよく分かる。
この世界では、魔力が増えて来ると、目が赤く光る。魔封石や魔獣の目が赤く光るのと同じだ。人間の場合、目が光る者を魔道士と呼ぶ。
さらに魔力が増えると、その光がなくなり人間なら魔女と呼ばれる。魔獣は姿も変り人と見た目が近くなるそのため魔人と呼ばれる。
「新しい魔道士が二人も誕生した記念すべき日よ」
「メイさんは目が光っていませんが」
「そうね、私とあいちゃんは魔女よ」
「これから私の話をしようと思うのだけれど、長くなるけどいいかな」
四人はふんふんと頷く。
「わたしはオリ国の北の、といってもあいちゃんには、分からないわね」
メイは北の方向を指さし、
「こっちの方向のずっと先の方」
メイがあいの顔を見る。
あいは急に見られ、口一杯に頬張った麺を二すじほど口から垂らしたまま。指の差す方向をみた。壁しか見えなかった。
あいちゃんは、食事中だけは幼児のようにかわいいなーと思う四人だった。
「その森の中に隠れ住む、お婆さんの魔女だったの」
「当時は弟子も百人位いる有名な魔女だったのよ。探究の魔女と呼ばれ調子に乗っていたのね」
「魔女の森からゲダという魔人が来て、私は弟子と共にゲダに戦いを挑んだの」
「魔人は強かったわ。弟子共々コテンパンに
やられちゃった」
「ゲダは遊びで、私に呪いを掛けて、楽しかったと言い残して森に帰っていったわ」
「本当に遊びだったのね、死んだ弟子は一人もいなかったし、呪いも私だけだったの」
「魔人の呪いは、魔法封じの魔法、魔法を全部封じられた私は、魔法を使うことは疎か、魔力の放出も封じられたの。」
「魔力は自分の貯められる量以上は、放出しているのだけど、それを封じられた私は限界以上の魔力のせいで、その日以来、年を逆行していったの」
「なんとか魔力を放出しようとあがいて、少しだけ魔法が使えるようになったけど、焼け石に水」
「年々若返って、きっと最後は赤ちゃんになって死んでしまうと思って、直す方法を探していたの」
「もう、百年以上旅してきたわ」
「皆に会えてここで最後でもいいかな、なんて思っていたとこだったのよ」
「あいちゃんの回復魔法で、元に戻るどころか、魔力が強力になったわ」
「これで私の旅の目的は終わったわ」
「ありがとう、あいちゃん、皆」
メイはガブガブと、酒を飲んだ。
普段は余り飲まないメイが一杯飲むのを見て、四人は不安になった。
メイさんこのまま、オリ国に帰っちゃうのかな。
不安になったレイがメイに聞く。
「メイさん、オリ国には、いつ帰るのですか」
「そうね、なるべくはやく帰りたいわね」
そう言うと、メイは席をたった。
お手洗いのようだった。
四人は皆、涙目だった。
「メイさん帰ってしまうって」
レイがぽろぽろ涙をこぼす。
「レイ、泣かずに笑顔で送ってやろう」
ガイがいうと、レイが
「そんなことは、わっかっているわ!」
「でも悲しいのだからしょうが無いでしょ」
伍イ団の仲間は、あいをのぞいてメイが集めた仲間だった。
あいの加入までは、ほとんど稼げないダメダメ登録者で、苦労ばかりしていた、思い出しかない。
でも、よく笑い合って、楽しかったと本当にそう思える日々だった。
「楽しかったね」
「そうだな」
レイの言葉にガイとロイが頷く。
三人を見てあいの手がずっと止まっている。
短い間の付き合いだったがあいも悲しかった。
めいが嬉しそうに戻って来て、
「全く今日はいい日だ」
「皆、乾杯しよう」
コップを皆のコップにぶつけ、一人上機嫌で酔っ払っている。
「あいちゃん、牛乳がもうないじゃないか」
「おねーさん牛乳、おかわりー」
あいの背中をパシパシ叩く。
五人はベイが閉店になったので、仕方なく店の前で分かれることにした。いつものように、ガイがレイとメイを送り、ロイがあいを送るため二手に分かれると、あいとロイはメイの姿が見えなくなるまで見送った。
「さようなら、メイさん」
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