勇者が街にやってきた

覧都

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第一話 魔女との契約

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この辺りの道はどこも狭い。歩行者と車がすれ違うだけでも大変だ。それだけに車の通行は少ない。まあ、ド田舎の町だ。俺の名前は加藤治正。朝の通学途中の高校生だ。今日もいつものように通学をしている。

俺の通っている高校は変わっていて、学校の敷地の南西角にちんまりと神社がある。朝のこの時間には、この神社でいつも幼なじみが二人で茶話会をしている。地元の老人会を味方に付け、神社の掃除を言い訳にここでお菓子を食っているのだ。掃除なんか、五十秒もやってねーくせに。

垣根越しに中を見ると今日もやってやーがる。だが、どうもいつもと様子が違う。
ツインテの愛(マナ)が、ぶかぶかの黒い水着のようなのを着ている。しかも、それが脱げそうで、いけないものがポロリしそうである。尻なんか半分出てしまっている。

こここ、高校生、しかも健全な高校生なら見てしまうでしょう。と、おもったら、急にセーラー服になった。おいおい、マジックショーかよ。でも愛(マナ)にそんな趣味はない。大体あいつはどんくさい。出来るわけが無い。

「い、いまのはなんだー!!」

俺は思わず声を上げてしまった。

「うわあ何だ! 治正かー、驚かさないでよー」

オカッパ、セーラー服の愛(アイ)が急に大きな声を出した俺に驚いている。

「まさか今の、見ていた。ああ、見ていた。変態、えっち」

愛(アイ)が赤い顔をしている。

「おめーのを見たわけじゃねーだろー!! それより、今のは何だ!」

「うるさいのー。こんなもん、魔法に決まっておるじゃろーがー! んん……。おお、ガドではないか。そんな変な格好で何をしている」

なんか愛(マナ)の話し方が年寄りみてーだ

「まてまて、俺は変な格好じゃねえし。そもそも、ガドでもねー」

「そうか、それにしてはよく似ておるのー。良し決めた。愛(アイ)はたしか親友だったな。ガドは眷属、魔女の契約をしてやる。ありがたく思え」

なんか、愛(マナ)の言っていることがよく分らねー。
まじで言っているのか。

「では、わしに忠誠を誓い、手を握れ。それで、魔法が使えるようになる。やって見ろ!」

まあなー、女の子の手が握れるなら、握るけどねーー。
どうせならもっと美人の方が良かったけどねー。
で、「忠誠を誓う」ってどうすんだ、隣の愛(アイ)を見ると。

「まなちゃんと一生大切な親友でいます」

そうかー
じゃあ俺も

「一生裏切りません」

こんなもんか。
そして、お手々を握ると。

「ちーっ、ガドめー、気持ち悪い握り方をするなー。軽くで良いのじゃー、軽くでー。北の魔女の名において、愛(アイ)を親友、ガドを眷属とする」

「ぐあーー」

俺の全身に強烈な痛みが走った。
もう何も考えられねー。
すげー痛みだ。

「くぅ」

愛(アイ)も痛いらしい。

「…………」

もう、声も出せね、くそーー愛(マナ)の奴、何をしやーーがったーーー。
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