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第十九話 実力試験
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翌日になっても、僕たちは帰れないでいた。
帰ろうとするとヒュアちゃんが、悲しそうな顔をするのでずっと帰れなかった。
「失礼します」
女性の美しい衛兵が、メイドさんに何か耳打ちをしている。
あー、なんか厄介ごとの予感。
「あのーノコ様、闘技場へ来ていただきたいと、ホベルト様からの伝言です」
「分かりました」
僕はメイドさんに服を着替えさせてもらって、皆で闘技場へむかった。
途中、美人衛兵さんが、僕をしきりに気にしている。
まさか、男というのがばれたのか。
「あの、なにか付いていますか」
「あ、いえ、余りにも美しいので見とれてしまいました。申し訳ありません」
んー、それって僕のことか……。
美人衛兵さんの顔が赤くなった。
僕は、美人に興味無しだからごめんなさい。
闘技場に着くと二人の女性と、ホベルトさんが待っていた。
闘技場は全面に石が敷き詰められ、ぐるりと観客席があった。
石畳は所々ヒビが入っていて、激しい戦闘が行われていた事が分かる。
「ホベルトさん、相手はか弱い美女じゃ無いか、しかもF級。やるまで無いだろう」
S級冒険者の一人が心配そうな顔をしている。
「ノコさん、姫の護衛をするのなら、S級冒険者位の強さは必要です。まさか男の私が、相手をするわけには行きませんので、女性のS級冒険者に来ていただきました」
「ホベルトさん、それが試験ということですか?」
「そうですね」
「断るなら今のうちだぞ。ケガをしないうちに帰りな!」
黒髪のS級冒険者が嫌な笑いを浮かべて、こっちを見る。
「ふふふ、いつ攻撃をしたらいいのでありんすか」
「余裕あるじゃねえか。いつでもこい!」
ドン、ビリビリ
一瞬でアクエラさんがS級冒険者の胸に一撃を入れた。
拳だと殺してしまうので、手のひらで胸を押したのだ。
S級冒険者は闘技場の壁の一メートル手前まで飛ばされた。
闘技場の石畳が二メートル程割れて陥没した。
しばらく、ビリビリという地響きが続いた。
「次は私が行くのじゃ」
「ちょっと、まってくれ。いや、ま、待ってほしい」
ドン、ビリビリビリ
ユーリさんが一瞬でアクエラさんと同じような攻撃を加えた。
S級冒険者は闘技場の壁の五十センチ手前まで飛ばされた。
同じように石畳が細かくヒビ割れた。
「ふふふ、私の勝ちじゃーー」
ユーリさんが喜んでいる。どうやら二人はどちらが壁の近くまで飛ばせるか競争していたようだ。
「まだ、喜ぶのは早いですよ。私が残っています」
「えっ、ぎゃーあー」
ドン、ビリビリビリ
ローズがホベルトさんを飛ばした。
ホベルトさんの体は、闘技場の壁の十センチ手前で止まっていた。
「ふふふ、やはり私が勝ちましたね」
だがホベルトさんの体は、座った形で止まっていた為、ぐらりと揺れて壁に倒れ込んでしまった。
トン。
壁に背中がくっついた。
「わあーはっはっはー、ローズ様は失格じゃー。私の勝ちなのじゃー。ノコ様からの褒美は私のものなのじゃー」
「あの、ユーリさん、僕は何も聞いていませんよ」
「何でもいいのじゃー、買い物を一緒に行くだけでもいいのじゃー」
「ああ、この際です。少し聞いて下さい。」
三人はコクコクうなずいた。
「皆さんが僕に好意を寄せるのは、僕のスキルのせいです。だから、本当の皆さんの気持ちはたぶん、僕を憎んでいるはずです」
「ぶっ、あはははー」
三人が笑い出した。
帰ろうとするとヒュアちゃんが、悲しそうな顔をするのでずっと帰れなかった。
「失礼します」
女性の美しい衛兵が、メイドさんに何か耳打ちをしている。
あー、なんか厄介ごとの予感。
「あのーノコ様、闘技場へ来ていただきたいと、ホベルト様からの伝言です」
「分かりました」
僕はメイドさんに服を着替えさせてもらって、皆で闘技場へむかった。
途中、美人衛兵さんが、僕をしきりに気にしている。
まさか、男というのがばれたのか。
「あの、なにか付いていますか」
「あ、いえ、余りにも美しいので見とれてしまいました。申し訳ありません」
んー、それって僕のことか……。
美人衛兵さんの顔が赤くなった。
僕は、美人に興味無しだからごめんなさい。
闘技場に着くと二人の女性と、ホベルトさんが待っていた。
闘技場は全面に石が敷き詰められ、ぐるりと観客席があった。
石畳は所々ヒビが入っていて、激しい戦闘が行われていた事が分かる。
「ホベルトさん、相手はか弱い美女じゃ無いか、しかもF級。やるまで無いだろう」
S級冒険者の一人が心配そうな顔をしている。
「ノコさん、姫の護衛をするのなら、S級冒険者位の強さは必要です。まさか男の私が、相手をするわけには行きませんので、女性のS級冒険者に来ていただきました」
「ホベルトさん、それが試験ということですか?」
「そうですね」
「断るなら今のうちだぞ。ケガをしないうちに帰りな!」
黒髪のS級冒険者が嫌な笑いを浮かべて、こっちを見る。
「ふふふ、いつ攻撃をしたらいいのでありんすか」
「余裕あるじゃねえか。いつでもこい!」
ドン、ビリビリ
一瞬でアクエラさんがS級冒険者の胸に一撃を入れた。
拳だと殺してしまうので、手のひらで胸を押したのだ。
S級冒険者は闘技場の壁の一メートル手前まで飛ばされた。
闘技場の石畳が二メートル程割れて陥没した。
しばらく、ビリビリという地響きが続いた。
「次は私が行くのじゃ」
「ちょっと、まってくれ。いや、ま、待ってほしい」
ドン、ビリビリビリ
ユーリさんが一瞬でアクエラさんと同じような攻撃を加えた。
S級冒険者は闘技場の壁の五十センチ手前まで飛ばされた。
同じように石畳が細かくヒビ割れた。
「ふふふ、私の勝ちじゃーー」
ユーリさんが喜んでいる。どうやら二人はどちらが壁の近くまで飛ばせるか競争していたようだ。
「まだ、喜ぶのは早いですよ。私が残っています」
「えっ、ぎゃーあー」
ドン、ビリビリビリ
ローズがホベルトさんを飛ばした。
ホベルトさんの体は、闘技場の壁の十センチ手前で止まっていた。
「ふふふ、やはり私が勝ちましたね」
だがホベルトさんの体は、座った形で止まっていた為、ぐらりと揺れて壁に倒れ込んでしまった。
トン。
壁に背中がくっついた。
「わあーはっはっはー、ローズ様は失格じゃー。私の勝ちなのじゃー。ノコ様からの褒美は私のものなのじゃー」
「あの、ユーリさん、僕は何も聞いていませんよ」
「何でもいいのじゃー、買い物を一緒に行くだけでもいいのじゃー」
「ああ、この際です。少し聞いて下さい。」
三人はコクコクうなずいた。
「皆さんが僕に好意を寄せるのは、僕のスキルのせいです。だから、本当の皆さんの気持ちはたぶん、僕を憎んでいるはずです」
「ぶっ、あはははー」
三人が笑い出した。
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