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第22章 死守せよ、ムィトゥーラウ―オチャルフ絶対防衛線編
第8話 発動直前に入るは、かの人の
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・・8・・
同日
12時15分
同戦域中央ブロック
マーチス元帥独自魔法発動まであと10分
「上空からの攻撃は何としてでも防いで! 対空攻撃強化を! 並行して帝国軍展開の魔法障壁を薄くさせるように! 密度を高められれば高められるほど、効果が減衰してしまう!」
『了解!!』
「戦線全体はそろそろ元帥閣下の『独自魔法』射程範囲外への後退を始めて! 発動時間にいても私達は何も出来ないわよ!」
「全体共有は既にしてますが、再度通達します!」
「よろしくお願いするわ!」
マーチス侯爵の『独自魔法』の発動準備が始まり、僕達の行動もマーチス侯爵の護衛や帝国軍に対する防衛的な攻勢をなって約二〇分が経過した。
独自魔法自体が発動までの準備と詠唱に時間がかかってしまう点、そして詠唱の時点で少なからず察知される点から帝国軍の動きに大きな変化が起きていた。
まず帝国軍は攻勢を強めるのは当然だった。特に強烈だったのは上空からの攻撃。洗脳化光龍は緒戦に比べて数は減ってきたはずなんだけど、今空にいる光龍はそうとは思えないくらいに多い。払底はまだ先ってことか、もしくはムィトゥーラウに集中させているかのどちらかか。
他にも陸の攻撃も激しい。ブカレシタで一度マーチス侯爵の『独自魔法』は発動されていて効果範囲は向こうにも知られている。今回はブカレシタの時の収束型では無くて拡散型だけど、どれくらいの威力かは知られているからね。どれだけ分析されているかまでは分かんないけどね。
まあいいや。今は他事を気にしてる場合じゃない。何せ僕自身も能力者化師団を最前線で率いている。ここは弾丸と砲撃と法撃の飛び交う戦場だ。
「報告。マーチス元帥閣下の『独自魔法』は、第五段階詠唱まで完了。残り二段階。帝国軍は攻勢強化。第八軍隷下師団を前面に出し前進を図りつつも魔法障壁を強化」
「くそっ、魔法障壁を破壊しても破壊してもすく修復か。なかなか密度が減らせない。あの旗印の師団は特に、ね……」
「あの女の第八近衛師団ね。こっちの能力者化師団とほぼ同じ編成じゃ、魔力量で押されるのは仕方ないわ。奴らは矛であり、盾にもなってるもの」
「にも関わらず、リシュカ・フィブラの存在は確認出来ていない……。そうだよね、エイジス」
「肯定。未だに魔力探知に引っかかりません。予測、こちらを警戒しての魔力隠蔽もしくはこの最前線にいない可能性」
「恐らくは前者だろうね。第八近衛まで引っ張り出して市街戦を決しようとするあたり、これまでのリシュカ・フィブラの行動から前線にいない可能性は低い。何より、僕がいる」
「そうね。私は一度あの女と相対したから分かるけど、旦那様への執着ぶりときたら凄まじいものがあったもの」
「だとすると、何故出てこないのかは分からないけれど、いつ現れてもいいようにしよう。元帥閣下の独自魔法発動まで、あと八分か。エイジス、リイナ、アレン大佐達。僕達は安全ラインの退避を意識しつつなるべく敵の魔法障壁を破壊するよ」
「了解したわ」
「サー、マイマスター。オフェンスへのリソースを増やします」
『了解!!』
僕は真正面にいる帝国軍を睨みつける。
(あの人がこの局面でいないわけが無い。部下に任せてある作戦ならともかく、自身が携わる作戦なら絶対にその場に身を置く。もしいないなら、あの人は悪い意味でも変わってしまったって事だ。けど、それはない。ありえない。じゃあどこにいるかって話だけど、検討がつかないな……)
僕は前方にいる帝国軍へ向かってエイジスの魔法メインで攻撃を行いながら、あの人がどこにいるのか思案を巡らす。
しかし、両陣営がひしめき合うこの戦場で魔力探知出来なければ見つけ出すのは困難だ。
この場にいるのは間違いないとだけ予測を立て、周囲への警戒は厳として今は目の前に集中する。
相変わらず魔法障壁は分厚い。第八近衛と近衛の名を冠するだけあって、密度が減る様子がほとんどない。
元々マーチス侯爵の独自魔法は帝国軍がこれであわよくば撤退してくれればというもので、囮の要素が強いとはいえなるべく効果は出しておきたい。
けど、やはり戦場はそう上手くいくものでもないか。
「報告。マーチス元帥閣下の独自魔法発動まであと五分。推奨、安全ラインへの後退」
「敵の攻撃が厳しいから難しいよエイジス。あと何分なら粘れる?」
「あまりお勧め出来ませんが、あと一分半なら」
「了解。あと一分半ね。なら、ここで火力を極力まで上げてぶち当ててやろう。リイナ、エイジス」
「サー。瞬間最大火力を展開します」
「任せなさいな、旦那様」
「頼むね。アレン大佐達も、離脱前に最大限の火力で!」
『了解しました!』
隣にいるエイジスは魔法障壁の厚い箇所に対しての集中法撃の準備を、リイナは『アブソリュート』の抜剣をする。アブソリュート・デュオの発動準備だろうね。僕達よりやや前面にいるアレン大佐達も大隊統制射撃の準備を行う。
僕とリイナやエイジスも、アレン大佐達のいる辺りまで前に出る。
この攻撃を最後に、下がろう。僕達の集中投射からの離脱の際には後方の砲撃支援は要請してあるし。
「報告。ロック完了」
「私もあとは詠唱だけよ」
「了解。総員、タイミングを合わせるよ! カウント二〇!」
僕がカウントを始めると、エイジス、リイナ、アレン大佐達の順に準備完了。自分も詠唱を終える。
そして。
「最大火力展開。発射」
「――『炎球大乱舞』!!」
「――銀世界、極地をも凍てつかせる光をここに。『アブソリュート・デュオ』!!」
「大隊、斉射!!」
ここへさらに周りにいた部隊も含めて一斉攻撃。
帝国軍の魔法障壁はいくつかを破壊して、一部は直撃弾も認められる。
けど、吶喊はしない。ここで後退だ。まだ砲撃にロケットもあるし、ココノエ陛下達含めて上空からの空爆もある。
「報告。『独自魔法』発動まであと三分半。推奨、後退」
「よし、後退開始!!」
エイジスの情報共有からも後方支援攻撃がすぐに行われる事が示されてるし、僕達は早速安全圏内への退避を始めた。
帝国軍は直前の攻撃もあって追いかけては来ない。魔法障壁の再展開をしているけど、それも無駄だ。どうせ今から展開したところで、砲撃とロケットが降り注ぐしその後に独自魔法だ。防ぎきれるとも思えない。
「報告。周辺部隊の退避完了を確認。『独自魔法』まであと一分」
「総員、魔法障壁展開開始! 衝撃波に備えるように!」
『了解!』
発動まであと一分を切って、全員が付近にある塹壕なり身を隠せる所に回避する。後方からの支援攻撃は直前まで行われるから今もひっきりなしに砲撃音などが聞こえる。
「注意。発動まであと三〇秒。カウント開始」
いよいよマーチス侯爵の『独自魔法』、『神光閃火』の拡散型が発動する。
「二〇、一九、一八――」
カウントは順調に進んでいた。後方からもひしひしと絶大な魔力を感じる。
でも、残り一〇秒になる前だった。
「…………!! 警告!! 超高濃度魔力反応と共に統合軍通信に横入りで通信あり!!」
「なんだって!? …………!?!? これは!?」
エイジスの情報共有画面に表示された通信内容。
エイジスはしてやられたという顔をしていたし、僕も同じ顔をしていたと思う。
通信内容を、エイジスは読み上げた。
内容はこうだった。
『お前の思い通りにいくと思うなよ、バーカ』
同日
12時15分
同戦域中央ブロック
マーチス元帥独自魔法発動まであと10分
「上空からの攻撃は何としてでも防いで! 対空攻撃強化を! 並行して帝国軍展開の魔法障壁を薄くさせるように! 密度を高められれば高められるほど、効果が減衰してしまう!」
『了解!!』
「戦線全体はそろそろ元帥閣下の『独自魔法』射程範囲外への後退を始めて! 発動時間にいても私達は何も出来ないわよ!」
「全体共有は既にしてますが、再度通達します!」
「よろしくお願いするわ!」
マーチス侯爵の『独自魔法』の発動準備が始まり、僕達の行動もマーチス侯爵の護衛や帝国軍に対する防衛的な攻勢をなって約二〇分が経過した。
独自魔法自体が発動までの準備と詠唱に時間がかかってしまう点、そして詠唱の時点で少なからず察知される点から帝国軍の動きに大きな変化が起きていた。
まず帝国軍は攻勢を強めるのは当然だった。特に強烈だったのは上空からの攻撃。洗脳化光龍は緒戦に比べて数は減ってきたはずなんだけど、今空にいる光龍はそうとは思えないくらいに多い。払底はまだ先ってことか、もしくはムィトゥーラウに集中させているかのどちらかか。
他にも陸の攻撃も激しい。ブカレシタで一度マーチス侯爵の『独自魔法』は発動されていて効果範囲は向こうにも知られている。今回はブカレシタの時の収束型では無くて拡散型だけど、どれくらいの威力かは知られているからね。どれだけ分析されているかまでは分かんないけどね。
まあいいや。今は他事を気にしてる場合じゃない。何せ僕自身も能力者化師団を最前線で率いている。ここは弾丸と砲撃と法撃の飛び交う戦場だ。
「報告。マーチス元帥閣下の『独自魔法』は、第五段階詠唱まで完了。残り二段階。帝国軍は攻勢強化。第八軍隷下師団を前面に出し前進を図りつつも魔法障壁を強化」
「くそっ、魔法障壁を破壊しても破壊してもすく修復か。なかなか密度が減らせない。あの旗印の師団は特に、ね……」
「あの女の第八近衛師団ね。こっちの能力者化師団とほぼ同じ編成じゃ、魔力量で押されるのは仕方ないわ。奴らは矛であり、盾にもなってるもの」
「にも関わらず、リシュカ・フィブラの存在は確認出来ていない……。そうだよね、エイジス」
「肯定。未だに魔力探知に引っかかりません。予測、こちらを警戒しての魔力隠蔽もしくはこの最前線にいない可能性」
「恐らくは前者だろうね。第八近衛まで引っ張り出して市街戦を決しようとするあたり、これまでのリシュカ・フィブラの行動から前線にいない可能性は低い。何より、僕がいる」
「そうね。私は一度あの女と相対したから分かるけど、旦那様への執着ぶりときたら凄まじいものがあったもの」
「だとすると、何故出てこないのかは分からないけれど、いつ現れてもいいようにしよう。元帥閣下の独自魔法発動まで、あと八分か。エイジス、リイナ、アレン大佐達。僕達は安全ラインの退避を意識しつつなるべく敵の魔法障壁を破壊するよ」
「了解したわ」
「サー、マイマスター。オフェンスへのリソースを増やします」
『了解!!』
僕は真正面にいる帝国軍を睨みつける。
(あの人がこの局面でいないわけが無い。部下に任せてある作戦ならともかく、自身が携わる作戦なら絶対にその場に身を置く。もしいないなら、あの人は悪い意味でも変わってしまったって事だ。けど、それはない。ありえない。じゃあどこにいるかって話だけど、検討がつかないな……)
僕は前方にいる帝国軍へ向かってエイジスの魔法メインで攻撃を行いながら、あの人がどこにいるのか思案を巡らす。
しかし、両陣営がひしめき合うこの戦場で魔力探知出来なければ見つけ出すのは困難だ。
この場にいるのは間違いないとだけ予測を立て、周囲への警戒は厳として今は目の前に集中する。
相変わらず魔法障壁は分厚い。第八近衛と近衛の名を冠するだけあって、密度が減る様子がほとんどない。
元々マーチス侯爵の独自魔法は帝国軍がこれであわよくば撤退してくれればというもので、囮の要素が強いとはいえなるべく効果は出しておきたい。
けど、やはり戦場はそう上手くいくものでもないか。
「報告。マーチス元帥閣下の独自魔法発動まであと五分。推奨、安全ラインへの後退」
「敵の攻撃が厳しいから難しいよエイジス。あと何分なら粘れる?」
「あまりお勧め出来ませんが、あと一分半なら」
「了解。あと一分半ね。なら、ここで火力を極力まで上げてぶち当ててやろう。リイナ、エイジス」
「サー。瞬間最大火力を展開します」
「任せなさいな、旦那様」
「頼むね。アレン大佐達も、離脱前に最大限の火力で!」
『了解しました!』
隣にいるエイジスは魔法障壁の厚い箇所に対しての集中法撃の準備を、リイナは『アブソリュート』の抜剣をする。アブソリュート・デュオの発動準備だろうね。僕達よりやや前面にいるアレン大佐達も大隊統制射撃の準備を行う。
僕とリイナやエイジスも、アレン大佐達のいる辺りまで前に出る。
この攻撃を最後に、下がろう。僕達の集中投射からの離脱の際には後方の砲撃支援は要請してあるし。
「報告。ロック完了」
「私もあとは詠唱だけよ」
「了解。総員、タイミングを合わせるよ! カウント二〇!」
僕がカウントを始めると、エイジス、リイナ、アレン大佐達の順に準備完了。自分も詠唱を終える。
そして。
「最大火力展開。発射」
「――『炎球大乱舞』!!」
「――銀世界、極地をも凍てつかせる光をここに。『アブソリュート・デュオ』!!」
「大隊、斉射!!」
ここへさらに周りにいた部隊も含めて一斉攻撃。
帝国軍の魔法障壁はいくつかを破壊して、一部は直撃弾も認められる。
けど、吶喊はしない。ここで後退だ。まだ砲撃にロケットもあるし、ココノエ陛下達含めて上空からの空爆もある。
「報告。『独自魔法』発動まであと三分半。推奨、後退」
「よし、後退開始!!」
エイジスの情報共有からも後方支援攻撃がすぐに行われる事が示されてるし、僕達は早速安全圏内への退避を始めた。
帝国軍は直前の攻撃もあって追いかけては来ない。魔法障壁の再展開をしているけど、それも無駄だ。どうせ今から展開したところで、砲撃とロケットが降り注ぐしその後に独自魔法だ。防ぎきれるとも思えない。
「報告。周辺部隊の退避完了を確認。『独自魔法』まであと一分」
「総員、魔法障壁展開開始! 衝撃波に備えるように!」
『了解!』
発動まであと一分を切って、全員が付近にある塹壕なり身を隠せる所に回避する。後方からの支援攻撃は直前まで行われるから今もひっきりなしに砲撃音などが聞こえる。
「注意。発動まであと三〇秒。カウント開始」
いよいよマーチス侯爵の『独自魔法』、『神光閃火』の拡散型が発動する。
「二〇、一九、一八――」
カウントは順調に進んでいた。後方からもひしひしと絶大な魔力を感じる。
でも、残り一〇秒になる前だった。
「…………!! 警告!! 超高濃度魔力反応と共に統合軍通信に横入りで通信あり!!」
「なんだって!? …………!?!? これは!?」
エイジスの情報共有画面に表示された通信内容。
エイジスはしてやられたという顔をしていたし、僕も同じ顔をしていたと思う。
通信内容を、エイジスは読み上げた。
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『お前の思い通りにいくと思うなよ、バーカ』
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