220 / 250
第14章 仙台方面奪還作戦編Ⅱ
第20話 度重なる結界内での激闘を終えて
しおりを挟む「なにか騒ぎになっていると思って来てみれば、こんなところに、叔父様が……、しかも、オーバン・ノアイユととても仲良くしていらっしゃった、とか……?」
ヒィイイイイ! なんか知らないけど、テオドールの後ろから禍々しい黒いオーラがが立ち上っているっ!!
「きゃああああああああ!!!! テオドール様よっ!」
「叔父様の貞操の危機に駆けつけていらっしゃったのよっ!!」
「叔父様のテオ呼び! 早速いただきましたわっ!!」
「尊い! 尊すぎる! このスリーショット、眼福以外の何者でもありませんわっ!!」
「オーバンっ、頑張るのですっ! 当て馬としての役目を立派に果たしなさい!! 私がここで見守っていますからねっ!」
ーーほんと、何言ってるの? この娘たち……。
「やあ、テオドール。遅かったね。おかげで、ジュール叔父様とすごく楽しいひとときを過ごすことができたよ」
また意地悪公爵令息仕様に戻ったオーバンが、挑戦的な目つきでテオドールに近づいていく。
「オーバン、貴様っ、俺の叔父様に無理やり口づけしたというのは本当かっ?」
オーバンを凌ぐほどの凶悪な視線を向けるテオドール。
え、テオドールってば、こんな怖い顔もできるんだ……。なんか、新鮮……。
「見られちゃったんだね。秘密にしておくつもりだったのに。ねえ、ジュール叔父様」
俺にウィンクしてくるオーバン。やめてくれ、俺を、巻き込まないでくれ……。
「叔父様、本当、なんですか? 俺だって、まだしたことがないのに……、こんな下衆な男と……、叔父様はこういう男が好みだったんですかっ!?」
テオドールの絶望の表情。
「いやっ、違う、違うよ、テオ。誤解だっ! 口づけっていうけど、ほら、ほっぺたにちょっとかすっただけ、みたいな? テオの考えているようなことじゃ、全然、ないから……!」
「ほっぺた、かすった……!?」
しかしテオドールの後ろの黒いオーラは、ますますその禍々しさを増していき……、
「貴様っ、オーバンっ! 今日という今日は許しはしないっ!」
テオドールは、腰に刺していたその長剣に手をかける。
「うわあああ、やめろ、テオドール!」
学園内での流血沙汰など、テオドールの評価がだだ下がりになってしまう!
俺は後ろからテオドールに飛びついて制止した。
「「「「きゃあああああ!!!!」」」」
なぜか上がる絶叫。しかし、そんなことにかまっていられない。
「テオ、俺は大丈夫だから、ね? 俺の用事も済んだし、一緒に帰ろう? 帰ったら、なんでもテオの好きなこと、してあげるから!」
耳元で語りかけるように言うと、俺の腕のなかで、テオドールがピクリと反応した。
「俺の、好きなこと……?」
「うん、なんでもいいよ。ボードゲームでも、一緒に本を読んでも……」
「わかりました……、約束、ですよ、叔父様」
低く言うと、テオドールは長剣を戻した。
「オーバン、次に叔父様に近づいたら、殺す!」
テオドールはオーバンに向き直った。
「怖いなあ、テオドールは。じゃあ、ジュール叔父様、またね!」
オーバンがひらひらと俺に手を降ってくる。
「はは、またね、オーバン君」
「叔父様っ、あんなヤツ、相手にしないでくださいっ!!」
そして、俺たちのやり取りを、なぜか両手を組んで祈るような姿でじっと見守っている王女とご令嬢たち……。
「帰ろうか……、テオ」
「はい、叔父様……」
ーーなんか、色々疲れた……。
ヒィイイイイ! なんか知らないけど、テオドールの後ろから禍々しい黒いオーラがが立ち上っているっ!!
「きゃああああああああ!!!! テオドール様よっ!」
「叔父様の貞操の危機に駆けつけていらっしゃったのよっ!!」
「叔父様のテオ呼び! 早速いただきましたわっ!!」
「尊い! 尊すぎる! このスリーショット、眼福以外の何者でもありませんわっ!!」
「オーバンっ、頑張るのですっ! 当て馬としての役目を立派に果たしなさい!! 私がここで見守っていますからねっ!」
ーーほんと、何言ってるの? この娘たち……。
「やあ、テオドール。遅かったね。おかげで、ジュール叔父様とすごく楽しいひとときを過ごすことができたよ」
また意地悪公爵令息仕様に戻ったオーバンが、挑戦的な目つきでテオドールに近づいていく。
「オーバン、貴様っ、俺の叔父様に無理やり口づけしたというのは本当かっ?」
オーバンを凌ぐほどの凶悪な視線を向けるテオドール。
え、テオドールってば、こんな怖い顔もできるんだ……。なんか、新鮮……。
「見られちゃったんだね。秘密にしておくつもりだったのに。ねえ、ジュール叔父様」
俺にウィンクしてくるオーバン。やめてくれ、俺を、巻き込まないでくれ……。
「叔父様、本当、なんですか? 俺だって、まだしたことがないのに……、こんな下衆な男と……、叔父様はこういう男が好みだったんですかっ!?」
テオドールの絶望の表情。
「いやっ、違う、違うよ、テオ。誤解だっ! 口づけっていうけど、ほら、ほっぺたにちょっとかすっただけ、みたいな? テオの考えているようなことじゃ、全然、ないから……!」
「ほっぺた、かすった……!?」
しかしテオドールの後ろの黒いオーラは、ますますその禍々しさを増していき……、
「貴様っ、オーバンっ! 今日という今日は許しはしないっ!」
テオドールは、腰に刺していたその長剣に手をかける。
「うわあああ、やめろ、テオドール!」
学園内での流血沙汰など、テオドールの評価がだだ下がりになってしまう!
俺は後ろからテオドールに飛びついて制止した。
「「「「きゃあああああ!!!!」」」」
なぜか上がる絶叫。しかし、そんなことにかまっていられない。
「テオ、俺は大丈夫だから、ね? 俺の用事も済んだし、一緒に帰ろう? 帰ったら、なんでもテオの好きなこと、してあげるから!」
耳元で語りかけるように言うと、俺の腕のなかで、テオドールがピクリと反応した。
「俺の、好きなこと……?」
「うん、なんでもいいよ。ボードゲームでも、一緒に本を読んでも……」
「わかりました……、約束、ですよ、叔父様」
低く言うと、テオドールは長剣を戻した。
「オーバン、次に叔父様に近づいたら、殺す!」
テオドールはオーバンに向き直った。
「怖いなあ、テオドールは。じゃあ、ジュール叔父様、またね!」
オーバンがひらひらと俺に手を降ってくる。
「はは、またね、オーバン君」
「叔父様っ、あんなヤツ、相手にしないでくださいっ!!」
そして、俺たちのやり取りを、なぜか両手を組んで祈るような姿でじっと見守っている王女とご令嬢たち……。
「帰ろうか……、テオ」
「はい、叔父様……」
ーーなんか、色々疲れた……。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
札束艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
生まれついての勝負師。
あるいは、根っからのギャンブラー。
札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。
時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。
そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。
亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。
戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。
マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。
マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。
高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。
科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる