異世界帰還組の英雄譚〜ハッピーエンドのはずだったのに故郷が侵略されていたので、もう一度世界を救います〜

金華高乃

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第12章 福島方面奪還作戦編

設定資料集XⅡ  人物紹介・専門用語解説集

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 設定資料集XⅡ
 人物紹介・専門用語解説集

【人物紹介】
◾︎山岸芳樹《やまぎしよしき》
 転移前能力者ランクD+→帰還後能力者ランクA+(ただしSランク水準にかなり近い)。

 孝弘達や宏光達と同じ異世界からの帰還組の一人。ただし孝弘達と真逆で、『問題有り』サイドの帰還組の一人と日本国政府・日本軍内で評価されている人物。
 転移前は能力者であることを除けばどこにでもいる一般人で小心者。異世界に行って数々の苦難を経験したこともあって多少は改善されたようだが、転移前の彼はよく言えば大人しい。悪く言うと陰気臭く協調性の無い感じだったらしい。
 異世界から不本意な帰還をしてから暫くは特に問題行動もなく、政府の支援を受けながらも普通の生活をしていたが、大戦に巻き込まれてから状況が変わってしまう。
 東京における戦闘で軍人なら軍法会議モノの問題行動を起こしてからは公安及び魔法情報からの監視――実質的な軟禁――処分を受けていたが、ある日を境に行方不明となる。未だ現在発見されておらず、上越地方に僅かな痕跡が残っていた以外に足取りは掴めていない。

 能力者としての実力はA+とかなり高いのだが、自身の力を過大評価している点、命令を無視する点、協調性が無い点などから現代的軍人としては全くの不適格。
 性格の悪さも含めて孝弘が珍しくかなり手厳しい評価をした人物でもある。


◾︎岡大尉
 本名:岡宗則《おかむねのり》。魔法能力者ランクはA-。得意属性は火・風。
 福島市に対する空爆前強行偵察の部隊長をつとめたが、普段の所属は第一特務連隊第二大隊の中隊長である。第二大隊に所属していて中隊長をしているだけあって、フェアルの扱いに長けており大隊内の模擬空戦ではベスト8に入るほど。速度面ではなく空戦機動面で特に秀でており、低高度高機動戦闘においては大隊内で片手に入るほど。ビルとビルの間の隙間を縫っての空戦もお手の物だとか。
 趣味はB級グルメを堪能することをメインとした旅行。岡大尉オススメのB級グルメは上官や部下関わらず旅行の際に何を食べるかの参考にされているらしい。


◾︎フィンセンフルト・ドゥシェ・ルータイル・シュレイダー
 神聖帝国軍本国軍大将で、日本軍の役職で例えると方面軍指揮官に値する人物。神聖帝国現皇帝の遠戚にあたるため、貴族としては公爵クラスの家系でもあるらしい。
 詳しい情報が乏しく、不明な点が多い人物である。


◾︎加茂野曹長
 本名:加茂野英明《かものひであき》。
 第一〇一魔法旅団戦闘団第一特務連隊第三大隊所属の熟練工兵。魔法能力者ランクはB-と魔法旅団戦闘団の中では高くないが、魔法関連に留まらず非魔法関連のトラップ処理の腕前は一流で、大隊長の長浜だけでなく旅団長の璃佳からもその腕を認められている。部隊に欠かせない貴重な人材の一人。手先が非常に器用で、趣味のDIYで作った数々の品は店に出しても売れるレベルであるほど。息子と娘が一人ずついる良きパパさんでもある。奥さんをとても愛しており、まめに手紙を出しているとか。


◾︎セレネ
 山岸がエルフィーナの何らかの手段によって洗脳された時に視ていた女性の名前。彼が異世界にいた時に深く関係する人物のようだが詳細は一切不明。


◾︎エルフィーナ
『皇帝陛下の一五人衆』が一席の女性魔法能力者。洗脳や変装を得意とし、攻撃能力も魔法能力者としては高いようだが詳細は不明。山岸をたぶらかし、同行している理由も分からないことが多い。当然誰を目標としているのかも現時点では不明。

【専門用語解説集】
◾︎公安
 正式名称『警察庁公安部』。作中世界の公安は現実世界における公安とはやや形が違うものの任務などは概ね現実に沿うものとなっている。大戦前は先進各国と遜色無い組織力・能力を持っていたが、大戦開始直後に貴重な人材のいくらかを失い捜査能力が低下している。他国でも戦争によって同様の状況になっているため一概には言えないが、山岸が行方をくらましてからすぐに見つけ出すことが出来なかったのも捜査能力の低下が原因と言われている。東日本においては一部地域を除いて公安の監視網が崩壊しているのも山岸を追えなかった原因とも。
 なお山岸の監視には彼の軟禁先付近に数人が配置されていた。


◾︎魔法情報
 正式名称『魔法軍情報部』。
 魔法軍内に置かれている戦略的情報・戦術的情報の収集・分析・管理等を目的とした部門のこと。諜報や捕虜への尋問も任務の一つである。佐渡は元々ここの所属だった。
 同様の組織は日本軍参謀本部情報部があるが魔法関連については一般情報系と分野がかなり違う点、従って専門性が強い点、諜報については能力者でないと任務を遂行するのに難しい点などから魔法軍内の組織として参謀本部情報部とは別に置かれている。もちろん連携はなされているが、畑が違うということもあり微妙な対立があったりする。組織と組織の常である。


◾︎S号聴取
 セルトラに対して行った尋問の総称。
 彼から得た情報のうち広く知られるべき内容に関しては丙級機密(海外だとレベル2相当など、軍人で下士官クラスならアクセスしやすい程度)とやや低めに設定されている。しかし情報の中身によっては乙級や甲級機密に指定されるなど、一口にS号聴取といっても閲覧出来る情報は階級によってかなり差がある内容となっている。

※補記
 軍の機密レベルは高い順から『特甲→甲→乙→丙→丁』となっており、分かりやすく表現すると、特甲がレベル5。乙がレベル3。丁がレベル1である。


◾︎マルトク
 正式な名称は特別機密。甲級機密とも。
 機密レベルの高い情報のことで、言いにくいわけでは無いのだが内々ではマルトクと呼ばれている。
 今回のマルトク(山岸行方不明に関する情報)は佐官クラス以上しか完全アクセス出来ないようになっており、さらに細かい情報については大佐以上のみアクセスが可能。
 孝弘は中佐であるから本来は全情報のアクセス権限を持っていないのだが、帰還組である点と璃佳が特別閲覧権限を上層部に申請しこれが受理された為、全ての情報にアクセスすることが可能になっている。
 別件であるが、セルトラに関する情報も一部を除きマルトク扱い。こちらも孝弘は尋問当事者である点から特別閲覧権限にて全情報を見ることが出来ている。また水帆、大輝、知花も特別閲覧権限保持者となっている。(補記:孝弘達四人が帰還組かつSランク魔法能力者で軍最上層部から信頼されている面もある。)


◾︎キラービー
 角田盆地の戦いで出現した蜂型の召喚生命体。国外ではスペインで一例のみ確認されており、国内では未確認だった為、情報があまり多くない召喚生命体でもある。
 体長は数十センチと蜂としては余りにも大きい。昆虫類が嫌いな人が見たら失神するのでは無いかと思えるほど。
 攻撃手段は凶悪極まりない。鋭利な口部での噛み砕き。尾部にある針により刺突。針による刺突と同時に毒液の注入。召喚士命令による自爆と、厄介が飛んでいるようなもの。
 数の多さもキラービーが手強く感じる点の一つ。一体一体は大した強さでは無いが、群体で襲ってくるため小部隊だと全滅させられる危険性が高い。加えてキラービークイーンによる大まかな指揮に応えて行動するため、この点も脅威である。
 以上の点よりキラービーは個体実力以上の危険度A-の判定を受けている。


◾︎キラービークイーン
 前述のキラービーの指揮官型個体。女王蜂。
 体長は成人男性サイズと、虫嫌いからするとトラウマモノになる大きさ。
 個体の実力はキラービーを大幅に上回る。防御力もキラービーと比較してかなり高く、小銃では倒すのに相当な苦労を要する。基本的にキラービークイーンについては攻撃ヘリが搭載している機関銃または機関砲クラスでの攻撃が妥当とされており、魔法能力者であれば中級魔法程度の法撃が望ましい。
 指揮官型個体の為、数は非常に少ない。またキラービークイーンを討伐するとキラービーの統制力が低下し統率の取れた行動が出来なくなるので、今後キラービークイーンが確認出来たら優先して潰す目標と全部隊に共有された。個体危険度はA。


◾︎福島市
 福島県の県庁所在地。作中世界における人口は29.2万人。
 福島県における政治・行政の中心地。新幹線開業後からは南東北の交通結節点の一つにもなった。昨年より流行しているウマのソーシャルゲームで福島の地名を見掛けるようになった人もいると思うが、福島市には競馬場があり作中世界でも健在。大戦前も現実世界と同様に定期的にレースが行われていた。
 作中世界においては大戦で神聖帝国軍に占領されてしまっていた。二月下旬には奪還するも、神聖帝国軍が残した多数のトラップや水道設備の破壊・毒物投下によりインフラ復旧が大幅に遅延。最低限の機能回復にも時間を要した。
 二月末現在においても予定していた機能の復旧には至っていない。

◾︎戦術級魔法
 璃佳が行使した闇属性広域範囲魔法もこれに分類されており、各属性複数の呪文が確認・登録されている。
 戦術級の名に相応しく局地的な戦闘において一発で状況をひっくり返せる魔法のこと。基本的に戦術級魔法は最低でも分隊単位、通常は小隊から中隊単位で行うのだが、璃佳は単独でこれを行使した。彼女の規格外さが分かる所の一つである。ちなみに水帆や知花も戦術級魔法は単独行使が可能。

 戦術級魔法は並外れた威力を誇るが、その分魔力消費も非常に大きい。膨大な魔力を持つ璃佳ですら一発で四〇パーセントも魔力を消費している。水帆や知花も単独行使なら約四五パーセントから五〇パーセントは消費するほど。これだけ一度に魔力を消費すると魔法酔い(別名:魔力酔い)を起こしてしまう。璃佳は案の定というべきか魔法酔いを起こした。


◾︎角田盆地
 宮城県南部・阿武隈高地北端にある盆地のこと。中心都市は角田市で阿武隈川が盆地中央から東にかけて流れている。
 遺跡や古墳などの歴史的な場所が多いが、田園地帯が広がるなど基本的にはのどかな土地。
 周辺に住む方にとっては公園にロケットがあるとこの辺りの方が通じやすいかもしれないと作者は設定資料をまとめる上で感じた。
 作中世界においてもロケットの公園はあるもよう。ただし戦争中にどうなってしまったかについては描写していない。目立つ施設なので神聖帝国軍に破壊されている可能性が高い。
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