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第12章 福島方面奪還作戦編
第11話 白石・角田・仙台平野方面奪還作戦会議①
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・・9・・
2037年2月25日
午前9時過ぎ
福島市中心部第101魔法旅団戦闘団前線司令部・仮設ブリーフィングルーム
福島の問題にようやく一定の目処が立ち、第二戦線部隊が相馬市を確保した頃。いよいよ第一戦線では次なる作戦に備えて最終準備が進められていた。既に十日近くの遅れが出ているからか、あちこちから慌ただしい動きが見られる。それは璃佳が率い孝弘達のいる第一〇一魔法旅団戦闘団も同じで、間もなく始まる作戦のブリーフィングが行われていた。
ブリーフィングルームには魔法旅団戦闘団の各大隊長クラスと特務小隊の隊長として孝弘もいた。
璃佳は全員が揃い電子資料が行き届き、ホログラム地図を起動して全員を見回すと口を開いた。
「それじゃあ明後日明朝から始まる作戦の説明を始めようか。まずは私達の役目説明の前に彼我の勢力状態から。ホログラム地図に注目して」
璃佳はボタンを押すと、マップに敵味方の兵力と配置が表示される。
「日本軍は現在二手に分かれた状態だね。私達がいる第一戦線に相馬まで進出した第二戦線。第一戦線は陸軍五七〇〇〇、海兵隊一三五〇〇、魔法軍はウチの一〇一含めて一六六〇〇。合計で八〇六〇〇。これまでの戦いで戦力の一部が消耗しているから少しだけど兵力補充した後の数だね。続けて第二戦線。陸軍二四〇〇〇。海兵隊四五〇〇。魔法軍二四〇〇。合計三〇九〇〇。こちらも兵力補充後の数だよ」
第一戦線と第二戦線の合計で一一一二〇〇。数だけ見れば大軍勢といっても差支えのない兵力だ。
「対して神聖帝国軍はこんな感じ。今回の作戦対象地域から説明しよっか。まず第一戦線本隊が相対するのが白石・蔵王・大河原・柴田方面。CTが約四〇〇〇〇。神聖帝国軍は一個旅団。神聖帝国軍は大河原から柴田にかけての地点に布陣を確認済み。次に私達の作戦地域になる角田・丸森方面。こっちはCTが約四〇〇〇〇。神聖帝国軍は一個旅団。神聖帝国軍は角田方面への布陣を確認済み。二方面合計で約八〇〇〇〇と神聖帝国軍が計一個師団規模。さらに補足で第二戦線のいる山元・亘理方面。CT約二五〇〇〇。ただしこの数は今回の作戦にあたって実施された強行航空偵察前に判明しているから要注意。ざっとこんなもんだね。これだけ見れば大したことないように見えるけど、驚くべきことに、この数は仙台奪還で絡んでくる仙台平野方面にいる兵力とは別枠だと思っていい。つまり、前哨戦にも関わらずこれだけの数を相手しなければいけないってこと」
仙台平野方面にいる敵兵力はこれに含まれていない。仙台奪還という本番前ですらこの兵力という事実を彼等は重く受け止め、顔つきが険しくなる。CTの何割かは二型だと思われる要素もあるからだ。
「じゃあ仙台平野方面はどうかっていうと、こんな感じだね。ボタン押すよ」
璃佳が言うと、仙台平野方面に敵兵力が表示される。仙台平野全体が真っ赤になった。視覚で表されると果てしない数だと実感した孝弘含む全員が険しい表情がさらに厳しくなる。中には露骨にしかめっ面をする者もいた。
「今回は前哨戦のブリーフィングだし各地の兵力配置はあんまりにも地点が多いから割愛するけど、全体でCTが約二二〇〇〇〇から約二七〇〇〇〇。神聖帝国軍が約四〇〇〇〇から五〇〇〇〇〇。ざっと一個軍だね。ちなみにこの内、前哨戦部にあたる作戦地域に近い戦力はCTが約二割程度、神聖帝国軍は一個師団程度。つまり、CTは約四〇〇〇〇以上六〇〇〇〇未満が、神聖帝国軍は一個師団が即応で動いてくる可能性が高いってことだね」
数だけ見れば東京のCT大群決戦並か……。と誰かが呟く声が聞こえた。黙っていた者達はその独り言に誰もが同意していた。璃佳もである。
「確かに数だけ見ればCT大群決戦並と言ってもいい。しかも連中のCTは何割かが強化タイプの二型だろうし、神聖帝国軍も一個軍いる。けど、私達もあの時に比べて数は多いし何より補給はバッチリ。魔法軍も前哨戦開始時は魔力が万全の状態だから、臆することは無いよ」
璃佳はそう言うものの半分嘘をついていた。多数の航空機とフェアル部隊を用意したとはいえ一回の強行航空偵察でこれだけ判明したのだ。おまけに不確定要素が間違いなくある。仙台の指揮官は大崎方面などから兵力を抽出したのだろうか。当初の見立てより敵兵力が多いのも気にかかる。だが、旅団長として部下に弱気を見せるつもりは毛頭なかった。だから臆することは無いと言ったのだ。
その効果はあった。部下達はいつもの顔つきに戻ったからだ。
璃佳は彼等をもう一度見回すと説明を続けた。
「じゃあここからは全体の動きに加えて私達が任された作戦地域での行動について話してくよ」
2037年2月25日
午前9時過ぎ
福島市中心部第101魔法旅団戦闘団前線司令部・仮設ブリーフィングルーム
福島の問題にようやく一定の目処が立ち、第二戦線部隊が相馬市を確保した頃。いよいよ第一戦線では次なる作戦に備えて最終準備が進められていた。既に十日近くの遅れが出ているからか、あちこちから慌ただしい動きが見られる。それは璃佳が率い孝弘達のいる第一〇一魔法旅団戦闘団も同じで、間もなく始まる作戦のブリーフィングが行われていた。
ブリーフィングルームには魔法旅団戦闘団の各大隊長クラスと特務小隊の隊長として孝弘もいた。
璃佳は全員が揃い電子資料が行き届き、ホログラム地図を起動して全員を見回すと口を開いた。
「それじゃあ明後日明朝から始まる作戦の説明を始めようか。まずは私達の役目説明の前に彼我の勢力状態から。ホログラム地図に注目して」
璃佳はボタンを押すと、マップに敵味方の兵力と配置が表示される。
「日本軍は現在二手に分かれた状態だね。私達がいる第一戦線に相馬まで進出した第二戦線。第一戦線は陸軍五七〇〇〇、海兵隊一三五〇〇、魔法軍はウチの一〇一含めて一六六〇〇。合計で八〇六〇〇。これまでの戦いで戦力の一部が消耗しているから少しだけど兵力補充した後の数だね。続けて第二戦線。陸軍二四〇〇〇。海兵隊四五〇〇。魔法軍二四〇〇。合計三〇九〇〇。こちらも兵力補充後の数だよ」
第一戦線と第二戦線の合計で一一一二〇〇。数だけ見れば大軍勢といっても差支えのない兵力だ。
「対して神聖帝国軍はこんな感じ。今回の作戦対象地域から説明しよっか。まず第一戦線本隊が相対するのが白石・蔵王・大河原・柴田方面。CTが約四〇〇〇〇。神聖帝国軍は一個旅団。神聖帝国軍は大河原から柴田にかけての地点に布陣を確認済み。次に私達の作戦地域になる角田・丸森方面。こっちはCTが約四〇〇〇〇。神聖帝国軍は一個旅団。神聖帝国軍は角田方面への布陣を確認済み。二方面合計で約八〇〇〇〇と神聖帝国軍が計一個師団規模。さらに補足で第二戦線のいる山元・亘理方面。CT約二五〇〇〇。ただしこの数は今回の作戦にあたって実施された強行航空偵察前に判明しているから要注意。ざっとこんなもんだね。これだけ見れば大したことないように見えるけど、驚くべきことに、この数は仙台奪還で絡んでくる仙台平野方面にいる兵力とは別枠だと思っていい。つまり、前哨戦にも関わらずこれだけの数を相手しなければいけないってこと」
仙台平野方面にいる敵兵力はこれに含まれていない。仙台奪還という本番前ですらこの兵力という事実を彼等は重く受け止め、顔つきが険しくなる。CTの何割かは二型だと思われる要素もあるからだ。
「じゃあ仙台平野方面はどうかっていうと、こんな感じだね。ボタン押すよ」
璃佳が言うと、仙台平野方面に敵兵力が表示される。仙台平野全体が真っ赤になった。視覚で表されると果てしない数だと実感した孝弘含む全員が険しい表情がさらに厳しくなる。中には露骨にしかめっ面をする者もいた。
「今回は前哨戦のブリーフィングだし各地の兵力配置はあんまりにも地点が多いから割愛するけど、全体でCTが約二二〇〇〇〇から約二七〇〇〇〇。神聖帝国軍が約四〇〇〇〇から五〇〇〇〇〇。ざっと一個軍だね。ちなみにこの内、前哨戦部にあたる作戦地域に近い戦力はCTが約二割程度、神聖帝国軍は一個師団程度。つまり、CTは約四〇〇〇〇以上六〇〇〇〇未満が、神聖帝国軍は一個師団が即応で動いてくる可能性が高いってことだね」
数だけ見れば東京のCT大群決戦並か……。と誰かが呟く声が聞こえた。黙っていた者達はその独り言に誰もが同意していた。璃佳もである。
「確かに数だけ見ればCT大群決戦並と言ってもいい。しかも連中のCTは何割かが強化タイプの二型だろうし、神聖帝国軍も一個軍いる。けど、私達もあの時に比べて数は多いし何より補給はバッチリ。魔法軍も前哨戦開始時は魔力が万全の状態だから、臆することは無いよ」
璃佳はそう言うものの半分嘘をついていた。多数の航空機とフェアル部隊を用意したとはいえ一回の強行航空偵察でこれだけ判明したのだ。おまけに不確定要素が間違いなくある。仙台の指揮官は大崎方面などから兵力を抽出したのだろうか。当初の見立てより敵兵力が多いのも気にかかる。だが、旅団長として部下に弱気を見せるつもりは毛頭なかった。だから臆することは無いと言ったのだ。
その効果はあった。部下達はいつもの顔つきに戻ったからだ。
璃佳は彼等をもう一度見回すと説明を続けた。
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