123 / 250
第9章 つかの間の休息編
第6話 孝弘達が訪れるは七条本家
しおりを挟む「結局マルク様は私のことを離す事ができないのね」
「ポーレットだってやる気だったろう」
ワインをかけられたポーレットは、ドレスの染み抜きのために休憩室にマルクと入ったが結局脱がす段階でマルクもポーレットも火がついてしまい、そのままなし崩しとなった。
「それにしても、ミカエル団長に近付くにしたってやり方があるだろ。前と同じじゃダメだ」
「だってマルク様が悪いんじゃない。私をきちんと売り込んでくださらないから」
結局は欲に負け悦楽に耽ってしまったものの、この頭の足りないポーレットは何をやらかすか分からず、その都度自分の立場が危うくならないかハラハラしなければならないマルクは考え込んだ。
「リュシエンヌを殺しちゃえばどうかしら?」
可愛い顔をしたままで、ポーレットは物騒な事を口にした。
「そうすればミカエル様も目が覚めるわよ。そこに私が誘惑すればきっと上手くいくわ」
「俺にとってはメリットが少ないだろう。俺はリュシエンヌと婚姻を結んで伯爵家に婿入りするんだから。リュシエンヌが居なくなれば困る」
「そうねえ、マルク様のことを考えたならば殺しちゃうのはだめね。うーん……。まあ考えておくわ」
この子リス令嬢と呼ばれた娘は可愛らしい顔のままでリュシエンヌを殺すなどと平気で宣う性格であった。
さすがのマルクも、義理とはいえ姉を殺すことに微塵も罪悪感を感じていないポーレットに空恐ろしいものを感じた。
「おい、勝手なことはするんじゃないぞ」
「だから、マルク様に色々言われる筋合いはないわ。私はミカエル様と婚姻を結ぶ事ができればそれで良いのだから。正直、貴方とお姉様がどうなろうがどうでも良いのよね」
「お前……! よくそんなことが言えるな!」
やはりこの毒婦とは組めないと、マルクはさっさと衣服を着て休憩室から出て行った。
「あらあら、どうしましょう。ドレスを誰かに着せてもらわないといけないわ」
ポーレットは呼び鈴を鳴らしてこの邸の使用人を呼びつけた。
そしてその使用人がなかなか良い男であったから、またしばらく休憩室から出ることはなかった。
「ふうむ。なかなかの好色具合だ。近頃の女は明け透けで慎みがないんだな。姉のことを躊躇いもなく殺せるという豪胆なところは認めるが」
ポーレットの様子をずっと見ていたのはファブリスだった。
マリアも途中までは一緒にいたが、ミカエルのところへ戻ったので自分はこの毒婦と屑がリュシエンヌによからぬことを企むのではないかと心配し、見張っていたのだ。
「屑はまだしも、毒婦の方はリュシエンヌに害を及ぼすこともあるかも知れん。リュシエンヌとミカエルに伝えておこう」
まだ休憩室で過ごすポーレットを放ってファブリスはミカエルとリュシエンヌのところへと戻った。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる