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第8章 CT大群決戦編
第5話 CT大群大決戦Ⅳ〜九十九里方面軍〜
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・・5・・
CTの大群との戦闘においてもう一つの主戦線たる九十九里方面上陸軍は、東京方面の軍と比して状況や戦力に大きな違いが三つあった。
一つ目は交戦開始時間。転移門が銚子にあった事から孝弘や璃佳達のいる東京方面よりずっと早い午前一時半過ぎに交戦を開始し、既に九時間が経過していた。
二つ目は東京方面との地上兵力の違いだ。東京・神奈川・埼玉南西部に展開している兵力は約七〇〇〇〇。対して九十九里方面に展開している兵力は約四〇〇〇〇と、東京方面に比べて兵力は約六割弱となっている。
三つ目は交戦開始時点でのCT数の差だ。埼玉と東京方面で相手にしているCTの数は約五一〇〇〇〇。それに対し九十九里方面軍が相対しているCTの数は約三二〇〇〇〇。これを敵味方の兵力差比率に直すと東京方面が1:7.2。九十九里方面が1:8。単純に比較出来るものではないが、九十九里方面の方が一人あたりで相手するCTの数が多いのである。Sランク能力者の展開地が東京方面に偏っていることを加味すれば比率がもう少し変わってくるだろう。
ところが、九十九里方面上陸軍は東京方面以上の善戦を見せていた。
それが海軍の存在である。東京方面には東京湾に海軍艦艇が存在しているが、これは補助戦力程度だ。展開しているのはミサイル巡洋艦一隻と汎用駆逐艦が三隻。海上火力は限られている。
対して九十九里方面に展開しているのは、第一機動艦隊だけでも空母一・ミサイル巡洋艦二・汎用駆逐艦四・電磁投射砲搭載巡洋艦二・攻撃型潜水艦二の計一一隻が丸々展開している上に輸送艦隊の護衛艦艇(強襲揚陸艦一、ミサイル巡洋艦一、汎用駆逐艦三)もおり、まるで海上戦力の数が違う。
海上戦力の数が違うということは、海上火力も段違いだ。ドラゴンの空襲でいくらかは消耗してしまったが、ミサイルはまだあるし戦車並みかそれ以上の火力を持つ艦砲もある。電磁投射砲に至っては通常火砲と比較にならないほど強力だ。その上で艦載機を定数四八機も搭載している空母がいるのだからなおさらである。
地上兵力の差は海上戦力と航空戦力で埋める。それが交戦開始から九時間が経過してもなお戦線を維持し続けていた理由だった。
とはいえ、砲弾薬は無限ではなく魔力もまた有限である。
この地にいた帰還組の一人である慎吾と同行組のアルトやカレンも戦況の拮抗がいつまでも持たないことをひしひしと感じていた。
・・Φ・・
同日午前10時半過ぎ
千葉県・房総半島東部
山武市東部・交戦地帯
九十九里方面もまた激戦地だった。
銚子方面から迫るCTの数は約二六〇〇〇〇。第一波が約三〇〇〇〇でこれは難なく撃破。第二波の約四〇〇〇〇も海軍による集中砲火で消し潰すも、第三波の約三〇〇〇〇が到達した頃には死傷者が目立ち始めていた。空軍艦載機や攻撃ヘリにフェアル部隊による航空攻撃と、重砲による火力集中でこれも九割方撃破するが、CTの猛攻はまだまだ続く。
午前一〇時半を過ぎた今は、第四波約三五〇〇〇を相手にしていた。
「先生、カレン、また来やがった!! 数は一個大隊程度!! 数を減らしてくれないと前衛はしんどい!」
「もぉー、またー?!」
「二人とも文句を言いたい気持ちは分かるけど、今は集中! カレンさん、協調法撃!」
「ひぃー! 分かりました先生ぇー!」
「アルトくんは取りこぼしを殺るように!」
「はい先生っ!!」
カレンと慎吾がそれぞれ中級魔法をCTの一群にぶつけて吹き飛ばし、アルトが雷属性魔法で敵を灼いて近接戦闘でなぎ倒す。今日何度目か数えるのも馬鹿馬鹿しくなるほど繰り返しされた行動だ。カレンは律儀に数えていたらしく、これもう二三回目! と言っていたが。
カレンが大きな声で愚痴を出すのも無理はなかった。三人が交戦地帯に到着したのは午前三時。魔力回復を優先してやや遅れての参戦となったが、それから七時間少々の合間を除いてほぼ戦いっぱなしなのである。いい加減大休憩の一つでも取りたいところであったが、戦況はそれを許さなかった。
「先生、お兄様! 第二四回目! 数はさっきよりちょっと少ない二個中隊程度! 距離約九〇〇!」
「悪いカレン! 手が空いてない!」
「こっちも他を相手してて難しい! カレンさん、やれますか!」
「んもぉー! 分かりましたよぅー、せんせぇー!」
ぶつくさと言いながらもカレンは矢を番える。矢の先端に魔力反応爆薬が詰まった実態矢だ。
「ふっとべー!!」
射程延長の魔法を詠唱してカレンは矢を放つ。いくらコンパウンドボウとはいえ距離九〇〇は本来射程外なのだが、射程延長魔法を施したことでギリギリ届き、見事CT一群の中心で大爆発を巻き起こす。
「どっかーん!!」
「カレンのヤツ、戦闘続きでネジが飛んでんな……。ま、無理もないわな。俺もちょっとキツくなってきた」
アルトは中距離では雷属性魔法を、近距離では雷属性魔法を常時付与した長槍でCTを殺しつつも魔力残量を気にしていた。
(残量五二パーセントかぁ……。魔力回復薬の最終上限も緩和されたっつても、あと六本しか使えないし、ていうかそろそろ休みてぇ……)
朝までは息を切らすこともなく戦えていたアルトだったが、今では呼吸が少し乱れてきていることを彼は自覚していた。
魔力を半分使い、強壮魔法で半ば無理をさせてきた影響が出てきていたのだ。
慎吾はそれを見逃していなかった。
『アルトくん、一旦下がりなさい。味方が変わってくれる!』
「本当ですか!? 助かったぁ!!」
慎吾から通信が入った直後、魔法軍の近中距離戦闘を得意とする二個中隊が、アルトと彼と共に戦っていた魔法軍一個中隊入れ替わりとしてやってきた。
アルトや一緒に戦っていた一個中隊は心底ホッとした顔つきで最前線から下がっていく。アルトは慎吾の傍らにやってきた。
慎吾やカレンも一旦休憩を取る――遠距離専門の魔法軍部隊二個小隊が駆けつけてきたからだ――ようで、三人一緒に五〇〇メートルだけ下がる。
「や、やっと一息つける……」
「お疲れ様。息を整えておきなさい」
「は、はい先生……」
「お疲れ様、お兄様。大丈夫、じゃなさそうだね……」
「そらそうよ……。もう何体ぶっ倒したか分かんない……」
「アルトくんの今日のキルスコアは八一三だ。よく頑張ったね」
「はっぴゃく!? そりゃ回復薬使ってるのに魔力もこんだけ消費しますよ……」
「ずっと戦い続けてるからね。カレンさんのキルスコアは六九九。遠距離専門でコンパウンドボウ使いとしては破格のスコアだ」
「もうクタクタぁ……。先生、何分休めるのぉ……?」
「三〇分かな。今から海軍の火力集中投射と空軍艦載機部隊の爆撃が始まるみたいでね。その間だけは、かな」
「三〇分でも休めるのはありがてえ……。息は整えられますから」
「魔力もちょっとは回復するかな……。海軍には感謝してもしきれないよぉ……」
「カレンさんの言う通りですね。海軍があれだけ活躍してくれていなかったら、とっくに戦線が南に大きく下がってます」
慎吾は賢者の瞳で自身の魔力残量を確認しつつ、海の方に目を向けて言う。
三人の感想は陸軍と魔法軍と海兵隊全員共通の感想だった。交戦を開始してからというものの、海軍は常に陸上兵力の支援に引っ張りだこだ。艦砲でCTを吹き飛ばし、対地ミサイルでなぎ倒す。魔法科学電磁投射砲による砲撃は圧巻の一言で、命中弾がある度に陸では歓声が上がるほどだ。
しかし、海軍の支援があってもなお完璧な対処とは言い難い。三人以上に陸上兵力は疲労の色が濃くなってきているし、交戦開始からの死傷者は約二五〇〇と死傷率が六パーセントを超えていた。
それでも戦線が崩れていないのは海軍が昨日までの作戦を思えば過剰ともいえるほど砲弾薬を用意してきていたからであり、陸上兵力も可能な限り最大限の火力を発揮出来るよう用意したからだ。
とはいえ、先にも話したように弾薬は無限ではないし魔力もまた無限ではない。慎吾の感覚では、このまま戦闘が続けば夕方には戦線のどこかが破綻しかけるのではないかと思っていた。
(その時には自分達三人の出番だけど、三人じゃ限界がある。予備兵力は夕方を過ぎれば払底するだろうし、想定外がこんな大兵力なのは酷もいいところだよなあ……)
慎吾は最悪の場合は自分達三人が出張ることも厭わなかったが、彼自身の魔力残量は五〇パーセントを切って四八パーセント。カレンも五一パーセントと三人揃って半分も使っている状態であり、長い時間は戦えない。
となると、彼が期待する先は一つだった。
(上が言っていた切り札の投入予定時刻は一七時。あと六時間半もある。ギリギリ、本当にギリギリの戦いだ。出来れば少しでも早く来て欲しいけれど、それまでは踏ん張るしかないか……)
慎吾は空を見上げる。まるで祈るかのように。
九十九里方面でも激戦は続いている。そして、誰もが切り札と呼ばれるソレの投入を待ち望んでいた。
CTの大群との戦闘においてもう一つの主戦線たる九十九里方面上陸軍は、東京方面の軍と比して状況や戦力に大きな違いが三つあった。
一つ目は交戦開始時間。転移門が銚子にあった事から孝弘や璃佳達のいる東京方面よりずっと早い午前一時半過ぎに交戦を開始し、既に九時間が経過していた。
二つ目は東京方面との地上兵力の違いだ。東京・神奈川・埼玉南西部に展開している兵力は約七〇〇〇〇。対して九十九里方面に展開している兵力は約四〇〇〇〇と、東京方面に比べて兵力は約六割弱となっている。
三つ目は交戦開始時点でのCT数の差だ。埼玉と東京方面で相手にしているCTの数は約五一〇〇〇〇。それに対し九十九里方面軍が相対しているCTの数は約三二〇〇〇〇。これを敵味方の兵力差比率に直すと東京方面が1:7.2。九十九里方面が1:8。単純に比較出来るものではないが、九十九里方面の方が一人あたりで相手するCTの数が多いのである。Sランク能力者の展開地が東京方面に偏っていることを加味すれば比率がもう少し変わってくるだろう。
ところが、九十九里方面上陸軍は東京方面以上の善戦を見せていた。
それが海軍の存在である。東京方面には東京湾に海軍艦艇が存在しているが、これは補助戦力程度だ。展開しているのはミサイル巡洋艦一隻と汎用駆逐艦が三隻。海上火力は限られている。
対して九十九里方面に展開しているのは、第一機動艦隊だけでも空母一・ミサイル巡洋艦二・汎用駆逐艦四・電磁投射砲搭載巡洋艦二・攻撃型潜水艦二の計一一隻が丸々展開している上に輸送艦隊の護衛艦艇(強襲揚陸艦一、ミサイル巡洋艦一、汎用駆逐艦三)もおり、まるで海上戦力の数が違う。
海上戦力の数が違うということは、海上火力も段違いだ。ドラゴンの空襲でいくらかは消耗してしまったが、ミサイルはまだあるし戦車並みかそれ以上の火力を持つ艦砲もある。電磁投射砲に至っては通常火砲と比較にならないほど強力だ。その上で艦載機を定数四八機も搭載している空母がいるのだからなおさらである。
地上兵力の差は海上戦力と航空戦力で埋める。それが交戦開始から九時間が経過してもなお戦線を維持し続けていた理由だった。
とはいえ、砲弾薬は無限ではなく魔力もまた有限である。
この地にいた帰還組の一人である慎吾と同行組のアルトやカレンも戦況の拮抗がいつまでも持たないことをひしひしと感じていた。
・・Φ・・
同日午前10時半過ぎ
千葉県・房総半島東部
山武市東部・交戦地帯
九十九里方面もまた激戦地だった。
銚子方面から迫るCTの数は約二六〇〇〇〇。第一波が約三〇〇〇〇でこれは難なく撃破。第二波の約四〇〇〇〇も海軍による集中砲火で消し潰すも、第三波の約三〇〇〇〇が到達した頃には死傷者が目立ち始めていた。空軍艦載機や攻撃ヘリにフェアル部隊による航空攻撃と、重砲による火力集中でこれも九割方撃破するが、CTの猛攻はまだまだ続く。
午前一〇時半を過ぎた今は、第四波約三五〇〇〇を相手にしていた。
「先生、カレン、また来やがった!! 数は一個大隊程度!! 数を減らしてくれないと前衛はしんどい!」
「もぉー、またー?!」
「二人とも文句を言いたい気持ちは分かるけど、今は集中! カレンさん、協調法撃!」
「ひぃー! 分かりました先生ぇー!」
「アルトくんは取りこぼしを殺るように!」
「はい先生っ!!」
カレンと慎吾がそれぞれ中級魔法をCTの一群にぶつけて吹き飛ばし、アルトが雷属性魔法で敵を灼いて近接戦闘でなぎ倒す。今日何度目か数えるのも馬鹿馬鹿しくなるほど繰り返しされた行動だ。カレンは律儀に数えていたらしく、これもう二三回目! と言っていたが。
カレンが大きな声で愚痴を出すのも無理はなかった。三人が交戦地帯に到着したのは午前三時。魔力回復を優先してやや遅れての参戦となったが、それから七時間少々の合間を除いてほぼ戦いっぱなしなのである。いい加減大休憩の一つでも取りたいところであったが、戦況はそれを許さなかった。
「先生、お兄様! 第二四回目! 数はさっきよりちょっと少ない二個中隊程度! 距離約九〇〇!」
「悪いカレン! 手が空いてない!」
「こっちも他を相手してて難しい! カレンさん、やれますか!」
「んもぉー! 分かりましたよぅー、せんせぇー!」
ぶつくさと言いながらもカレンは矢を番える。矢の先端に魔力反応爆薬が詰まった実態矢だ。
「ふっとべー!!」
射程延長の魔法を詠唱してカレンは矢を放つ。いくらコンパウンドボウとはいえ距離九〇〇は本来射程外なのだが、射程延長魔法を施したことでギリギリ届き、見事CT一群の中心で大爆発を巻き起こす。
「どっかーん!!」
「カレンのヤツ、戦闘続きでネジが飛んでんな……。ま、無理もないわな。俺もちょっとキツくなってきた」
アルトは中距離では雷属性魔法を、近距離では雷属性魔法を常時付与した長槍でCTを殺しつつも魔力残量を気にしていた。
(残量五二パーセントかぁ……。魔力回復薬の最終上限も緩和されたっつても、あと六本しか使えないし、ていうかそろそろ休みてぇ……)
朝までは息を切らすこともなく戦えていたアルトだったが、今では呼吸が少し乱れてきていることを彼は自覚していた。
魔力を半分使い、強壮魔法で半ば無理をさせてきた影響が出てきていたのだ。
慎吾はそれを見逃していなかった。
『アルトくん、一旦下がりなさい。味方が変わってくれる!』
「本当ですか!? 助かったぁ!!」
慎吾から通信が入った直後、魔法軍の近中距離戦闘を得意とする二個中隊が、アルトと彼と共に戦っていた魔法軍一個中隊入れ替わりとしてやってきた。
アルトや一緒に戦っていた一個中隊は心底ホッとした顔つきで最前線から下がっていく。アルトは慎吾の傍らにやってきた。
慎吾やカレンも一旦休憩を取る――遠距離専門の魔法軍部隊二個小隊が駆けつけてきたからだ――ようで、三人一緒に五〇〇メートルだけ下がる。
「や、やっと一息つける……」
「お疲れ様。息を整えておきなさい」
「は、はい先生……」
「お疲れ様、お兄様。大丈夫、じゃなさそうだね……」
「そらそうよ……。もう何体ぶっ倒したか分かんない……」
「アルトくんの今日のキルスコアは八一三だ。よく頑張ったね」
「はっぴゃく!? そりゃ回復薬使ってるのに魔力もこんだけ消費しますよ……」
「ずっと戦い続けてるからね。カレンさんのキルスコアは六九九。遠距離専門でコンパウンドボウ使いとしては破格のスコアだ」
「もうクタクタぁ……。先生、何分休めるのぉ……?」
「三〇分かな。今から海軍の火力集中投射と空軍艦載機部隊の爆撃が始まるみたいでね。その間だけは、かな」
「三〇分でも休めるのはありがてえ……。息は整えられますから」
「魔力もちょっとは回復するかな……。海軍には感謝してもしきれないよぉ……」
「カレンさんの言う通りですね。海軍があれだけ活躍してくれていなかったら、とっくに戦線が南に大きく下がってます」
慎吾は賢者の瞳で自身の魔力残量を確認しつつ、海の方に目を向けて言う。
三人の感想は陸軍と魔法軍と海兵隊全員共通の感想だった。交戦を開始してからというものの、海軍は常に陸上兵力の支援に引っ張りだこだ。艦砲でCTを吹き飛ばし、対地ミサイルでなぎ倒す。魔法科学電磁投射砲による砲撃は圧巻の一言で、命中弾がある度に陸では歓声が上がるほどだ。
しかし、海軍の支援があってもなお完璧な対処とは言い難い。三人以上に陸上兵力は疲労の色が濃くなってきているし、交戦開始からの死傷者は約二五〇〇と死傷率が六パーセントを超えていた。
それでも戦線が崩れていないのは海軍が昨日までの作戦を思えば過剰ともいえるほど砲弾薬を用意してきていたからであり、陸上兵力も可能な限り最大限の火力を発揮出来るよう用意したからだ。
とはいえ、先にも話したように弾薬は無限ではないし魔力もまた無限ではない。慎吾の感覚では、このまま戦闘が続けば夕方には戦線のどこかが破綻しかけるのではないかと思っていた。
(その時には自分達三人の出番だけど、三人じゃ限界がある。予備兵力は夕方を過ぎれば払底するだろうし、想定外がこんな大兵力なのは酷もいいところだよなあ……)
慎吾は最悪の場合は自分達三人が出張ることも厭わなかったが、彼自身の魔力残量は五〇パーセントを切って四八パーセント。カレンも五一パーセントと三人揃って半分も使っている状態であり、長い時間は戦えない。
となると、彼が期待する先は一つだった。
(上が言っていた切り札の投入予定時刻は一七時。あと六時間半もある。ギリギリ、本当にギリギリの戦いだ。出来れば少しでも早く来て欲しいけれど、それまでは踏ん張るしかないか……)
慎吾は空を見上げる。まるで祈るかのように。
九十九里方面でも激戦は続いている。そして、誰もが切り札と呼ばれるソレの投入を待ち望んでいた。
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