99 / 250
第7章 決戦! 首都奪還作戦編
第10話 新たな白ローブの正体は双子
しおりを挟む
・・9・・
ローブを下ろして現れた瓜二つの顔は、二人が一卵性双生児、つまりは双子である事を表していた。髪色は白銀で、璃佳よりやや短い程度のロングヘアー。身長は一七〇センチ程度と日本人女性の平均より一回り大きい。体型は白ローブを身に纏っているから分かりにくいが、ちらりと覗く脚と前腕から、程々に鍛えられた体躯と分かる。
いずれの特徴も二人共ほぼ同じであるためにどちらが姉か妹か判別がやや難しいが、お姉様と呼ばれた槍を持った方はやや声が高いのでそれが見分ける手段になるだろうか。妹であろう長杖を持った方は孝弘達を見つめてくすくすと笑っていた。
「一、二、三、四。ちょっと足りナイみたいねぇ、お姉様」
「そうねェ、あと二人くらイいない気がするけれど、まあいいわァ。四人釣れたナラ十分よぉ」
「警戒すべキ六人、だったかしラァ。あのおじ様がこっぴどくやられたのも、そこにいル四人の中にいるのよネェ」
「確か、あそこの銃持ちと召喚体だったはずヨ。お姉様」
二人の会話は今までの神聖帝国人に比べて随分と流暢に聞こえた。賢者の瞳による翻訳が初期に比べてかなり進展していた事が一番の理由だが、だとしてもかなり聞き取りやすいものになっていたのだ。
ただ、孝弘達は言語学者ではない。今は目の前の敵に集中していたし、何よりすぐ前に転がっている小柄白ローブが死体になった理由の方を気にしていた。
様々な謎はともかくとして、最初に口を開いたのは璃佳だった。
「ペラペラ喋っているけど、随分と余裕ぶっこいてるみたいだね?」
「アレと同じくらいか小さイの、七条リカ、だったかしらァ。いきなり突っかかってコナイあたり、冷静ナ人間みたいネェ。そこにいるのトは大違い」
「ふぅん。随分と買ってくれているみたいじゃない。で、ソレをやったのは貴様達か?」
「ええ、ええ、そうヨぉ」
「お姉様の邪魔をしたもの、死んで当然よォ」
「ソイツったら、作戦通り動かないもノ。タイミングってものがあるでしョウ? その癖返り討ちに遭ったンじゃ、作戦は変わってしまウシ、我々の面汚しもいいとコろ。だから陛下に変わって罰を下したのぉ。資格は事前に頂いているしィ」
「その代償がこれって、随分手厳しいもんだね」
璃佳はチラリと死体になった少女をみやって皮肉って言うと、双子の姉の方はけらけらと笑う。
「当然じゃなイ。畏れ多くも、皇帝陛下の命に逆らったンだものォ」
「そうよ、そうよ。だから死んで当たり前ェ」
「ちっ、話が通じそうで通じない相手だ。まぁ、いい。一人分手間を省いてくれた事だけは感謝するけど、どの道こっから出るためには貴様らが結界を張った本人だろうがそうじゃなかろうが、殺すしかなさそうだね」
「アナタ達が降伏してくれるなら、その限りジャ無いけどぉ」
「結界も解いてあげるわよぉ? ねぇ、お姉様ぁ?」
「ええ、ええ。そうねぇ」
「ふざけるな」
「あらあら、ちっさいのに怖いったらァ」
ハナから交渉する気がなかったであろう双子はわざとらしく勧告してから嘲笑する。
璃佳は一蹴すると大鎌を構え、孝弘達も魔法障壁を全力展開し準備詠唱を完了。戦闘態勢を整え終わる。
「アナタ達は強いらしいから、帝国の流儀に則って名乗ってあげるゥ。私の名は『モルスターズ・ドゥタール・セリン・アルクレア』。皇帝陛下直属、『皇帝陛下の十五人衆』が一人よぉ」
「私の名は『モルスターズ・ドゥタール・セリン・イルクレア』。お姉様と同じく、『皇帝陛下の十五人衆』が一人。さァ、美しい死に様を見せてちょうダい?」
「古風なことに名乗ってくれてありがと。でも、こっちは名乗るつもりは無いよ。知ってそうだし、ねっっ!!」
璃佳は言い切ると、身体強化魔法で一気に近づく。
事前に打ち合わせをハンドサインで終えており、孝弘達も璃佳の動きは織り込み済みだった。日本刀を持つ茜は璃佳と同じ前衛へ。召喚符を用意し終えた大輝は薙刀を持っているから中衛に。二丁拳銃を持つ孝弘は後衛に。
四対二。数の上では有利。全員がSランクか戦術級召喚体。
しかし一切の油断と隙も許されぬ戦いが始まった。
ローブを下ろして現れた瓜二つの顔は、二人が一卵性双生児、つまりは双子である事を表していた。髪色は白銀で、璃佳よりやや短い程度のロングヘアー。身長は一七〇センチ程度と日本人女性の平均より一回り大きい。体型は白ローブを身に纏っているから分かりにくいが、ちらりと覗く脚と前腕から、程々に鍛えられた体躯と分かる。
いずれの特徴も二人共ほぼ同じであるためにどちらが姉か妹か判別がやや難しいが、お姉様と呼ばれた槍を持った方はやや声が高いのでそれが見分ける手段になるだろうか。妹であろう長杖を持った方は孝弘達を見つめてくすくすと笑っていた。
「一、二、三、四。ちょっと足りナイみたいねぇ、お姉様」
「そうねェ、あと二人くらイいない気がするけれど、まあいいわァ。四人釣れたナラ十分よぉ」
「警戒すべキ六人、だったかしラァ。あのおじ様がこっぴどくやられたのも、そこにいル四人の中にいるのよネェ」
「確か、あそこの銃持ちと召喚体だったはずヨ。お姉様」
二人の会話は今までの神聖帝国人に比べて随分と流暢に聞こえた。賢者の瞳による翻訳が初期に比べてかなり進展していた事が一番の理由だが、だとしてもかなり聞き取りやすいものになっていたのだ。
ただ、孝弘達は言語学者ではない。今は目の前の敵に集中していたし、何よりすぐ前に転がっている小柄白ローブが死体になった理由の方を気にしていた。
様々な謎はともかくとして、最初に口を開いたのは璃佳だった。
「ペラペラ喋っているけど、随分と余裕ぶっこいてるみたいだね?」
「アレと同じくらいか小さイの、七条リカ、だったかしらァ。いきなり突っかかってコナイあたり、冷静ナ人間みたいネェ。そこにいるのトは大違い」
「ふぅん。随分と買ってくれているみたいじゃない。で、ソレをやったのは貴様達か?」
「ええ、ええ、そうヨぉ」
「お姉様の邪魔をしたもの、死んで当然よォ」
「ソイツったら、作戦通り動かないもノ。タイミングってものがあるでしョウ? その癖返り討ちに遭ったンじゃ、作戦は変わってしまウシ、我々の面汚しもいいとコろ。だから陛下に変わって罰を下したのぉ。資格は事前に頂いているしィ」
「その代償がこれって、随分手厳しいもんだね」
璃佳はチラリと死体になった少女をみやって皮肉って言うと、双子の姉の方はけらけらと笑う。
「当然じゃなイ。畏れ多くも、皇帝陛下の命に逆らったンだものォ」
「そうよ、そうよ。だから死んで当たり前ェ」
「ちっ、話が通じそうで通じない相手だ。まぁ、いい。一人分手間を省いてくれた事だけは感謝するけど、どの道こっから出るためには貴様らが結界を張った本人だろうがそうじゃなかろうが、殺すしかなさそうだね」
「アナタ達が降伏してくれるなら、その限りジャ無いけどぉ」
「結界も解いてあげるわよぉ? ねぇ、お姉様ぁ?」
「ええ、ええ。そうねぇ」
「ふざけるな」
「あらあら、ちっさいのに怖いったらァ」
ハナから交渉する気がなかったであろう双子はわざとらしく勧告してから嘲笑する。
璃佳は一蹴すると大鎌を構え、孝弘達も魔法障壁を全力展開し準備詠唱を完了。戦闘態勢を整え終わる。
「アナタ達は強いらしいから、帝国の流儀に則って名乗ってあげるゥ。私の名は『モルスターズ・ドゥタール・セリン・アルクレア』。皇帝陛下直属、『皇帝陛下の十五人衆』が一人よぉ」
「私の名は『モルスターズ・ドゥタール・セリン・イルクレア』。お姉様と同じく、『皇帝陛下の十五人衆』が一人。さァ、美しい死に様を見せてちょうダい?」
「古風なことに名乗ってくれてありがと。でも、こっちは名乗るつもりは無いよ。知ってそうだし、ねっっ!!」
璃佳は言い切ると、身体強化魔法で一気に近づく。
事前に打ち合わせをハンドサインで終えており、孝弘達も璃佳の動きは織り込み済みだった。日本刀を持つ茜は璃佳と同じ前衛へ。召喚符を用意し終えた大輝は薙刀を持っているから中衛に。二丁拳銃を持つ孝弘は後衛に。
四対二。数の上では有利。全員がSランクか戦術級召喚体。
しかし一切の油断と隙も許されぬ戦いが始まった。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの俺は、スキル『ゲート』で現実世界を楽しむ
十本スイ
ファンタジー
ある日、唐突にバスジャック犯に殺されてしまった少年――同本日六(どうもとひろく)。しかし目が覚めると、目の前には神と名乗る男がいて、『日本に戻してもらう』ことを条件に、異世界を救うことになった。そして二年後、見事条件をクリアした日六は、神の力で日本への帰還を果たした。しかし目の前には、日六を殺そうとするバスジャック犯が。しかし異世界で培った尋常ではないハイスペックな身体のお蔭で、今度は難なく取り押さえることができたのである。そうして日六は、待ち望んでいた平和な世界を堪能するのだが……。それまで自分が生きていた世界と、この世界の概念がおかしいことに気づく。そのきっかけは、友人である夜疋(やびき)しおんと、二人で下校していた時だった。突如見知らぬ連中に拉致され、その行き先が何故かしおんの自宅。そこで明かされるしおんの……いや、夜疋家の正体。そしてこの世界には、俺が知らなかった真実があることを知った時、再び神が俺の前に降臨し、すべての謎を紐解いてくれたのである。ここは……この世界は――――並行世界(パラレルワールド)だったのだ。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ どこーーーー
ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど
安全が確保されてたらの話だよそれは
犬のお散歩してたはずなのに
何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。
何だか10歳になったっぽいし
あらら
初めて書くので拙いですがよろしくお願いします
あと、こうだったら良いなー
だらけなので、ご都合主義でしかありません。。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています
もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。
使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる