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第6章 旧首都・東京奪還前哨戦編
第8話 『反撃の剣』作戦第三段階、開始
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一二月四日未明から始まった九十九里浜南部上陸作戦はここまでほぼ予定通りに事が進んでいた。橋頭堡を構築し、茂原方面や大網白里方面に上陸部隊は歩みを進めており、役目を十分に果たしていたのである。
主戦線で首都奪還作戦を担う東京西部方面と太平洋方面軍も、作戦通り号令が出るまで所定の位置で戦闘を繰り広げていた。
ここまでに広げた進出領域を各都市で結ぶと、北から所沢・清瀬・吉祥寺・調布・稲城・百合ケ丘・青葉台・二俣川・戸塚・大船・鎌倉となり、そこから先はあえて進んでいない。敵を誘引する為である。
この部分は既に一二月一日までに奪還した領域であり、日本軍はいかにも攻勢限界点か補給線確立の為の一時停止のように神聖帝国側に思わせ、神聖帝国側は日本軍の思惑通りCTの数を増やして再び押し出そうとしていた。
だが、神聖帝国側は芳しい成果を上げられておらずCTの死体の山を増やすだけ。むしろCTの減り方が以前より早くなっていた。何故ならば、日本軍は首都奪還方面軍の一部実戦部隊に対CT弾を投入していたからである。
この対CT弾。成果は上々だった。実際に対CT弾を使用した将兵からは倒すまでの弾数が減った。急所を狙わずともCTの動きが鈍くなった。大型CTでも斉射で浴びせれば行動停止に追い込めたなどの報告が入っており、その報を聞いた研究開発者達は胸を撫で下ろしていたのは後日談である。
このように来るべき時に備えて力を蓄えつつ待っていた首都奪還方面軍は、号令が出るのを今か今かと待ちわびていた。
もちろん、その中には第一特務連隊や孝弘達もいた。
・・Φ・・
12月4日
午前10時半前
東京都武蔵野市吉祥寺
第一特務連隊展開地域
「孝弘くん、水帆さん! そっちにCT一個中隊相当が追加で出現したよ! 大型が四含まれてる!」
「了解!」
「分かったわ!」
「大輝くん、大型が二、いや三接近! ゴーレムで対処出来そう?」
「任せとけ!」
「三人とも私も援護はするから頑張って! 後ろから追加で戦車が二両来てるからあと少し踏ん張って!」
「戦車二両は有難いな!」
「ホントね! とはいっても分かっててもだけど、朝からこうもひっきりなしだと嫌になるっての! ――『雷槍、一六重射出』!!」
「全くだぜ! 昨日に比べてさらに密度が増えてやがる!」
孝弘達は知花の情報管制のもとで的確にCTを処理していく。
左右には対CT弾を装填したアサルトライフルを持つ海兵隊や第一特務連隊の第一大隊、後方からは榴弾砲や迫撃砲部隊に戦車部隊、空からはフェアル部隊や戦闘ヘリ部隊に戦闘機部隊と火力はこれまでで最も充実している。この吉祥寺付近には戦線内でも精鋭部隊が集まっているがその理由は今の状況が物語っている。各戦線のCTの数は明らかに一日や二日の頃より増えており、その中で吉祥寺は最も増加率が高く時折超大型やエンザリア型まで湧く始末だった。ドラゴンが出てきてないだけマシといった様子である。
しかし、その程度ではへこたれないのが孝弘達。精鋭が精鋭たるゆえんを彼等は果たし続けていた。
『セブンスよりキャスター4。悪いけど号令が出るまでウチの部隊からそっちに手は回せない。君ら主軸で迫るバケモノ共を吹き飛ばし続けて』
『キャスター4よりセブンス。了解しました。この後を差し引いてもまだ十分に余力はあります。引き続き状況を続行します』
『セブンスよりキャスター4。助かるよ。恐らくだけどそろそろ九十九里から連絡があるはず。くれぐれも無理はしないようにね』
『キャスター4よりセブンス。そちらもお気をつけて』
『ありがとう。通信一旦終わり』
知花は通信を終えると、再び孝弘達への情報管制を続ける。倒しても倒しても東から現れるCTの大群に辟易しないといえばウソになるが、知花を含めて四人にとってこの程度であればどうということはない。といった様子だった。
司令部から送られてくる情報は早い上に的確。味方の援護は万全。自分を含めた四人の魔力残存量はまだ八割以上で、水帆に至ってはようやく九割を切ったくらいで作戦に支障はなかった。
(中央から戦線に送られてきた対CT。効果は絶大とまでは言わないけれど、かなり大きいみたいだね。海兵隊の人達も今までより余裕があるし、いいもの送って貰ったって感じかな。)
知花は心中で対CT弾の効果を評価していたがそれは孝弘も同じ。彼もまた正確な射撃を行いながら、
(対CT弾は急所に当たらなくても動きがかなり鈍る。アサルトライフルで大型の突撃を阻めるのはめちゃくちゃ強いな。こっちも当てやすい。)
と、また一発動きが鈍化した大型CTに対物ライフルで一キルを取りながら思っていた。朝からぶっ通しの戦闘で対物ライフルの残弾数を気にしながらではあったが。
孝弘達は戦う。その法撃で、銃撃で、ゴーレムで。第一特務連隊の隊員達も戦う。己の力を出し続けながら。海兵隊員達も負けじとCTを屠っていく。対CT弾という新しくも頼もしい銃弾を放ちながら。
そして。
時刻は午前一一時〇八分。
埼玉方面を除いて前進をほぼ止めており、その間に約一三〇〇の死傷者を出していた首都奪還方面軍約七〇〇〇〇超の将兵達が待ちわびていた瞬間が訪れた。
『立川HQより総員へ通達。九十九里より入電アリ。『海水浴は終わった』繰り返す。『海水浴は終わった』。よって、これより我等反撃の剣を掲げ首都を取り戻す。諸君の奮闘を期待する。以上』
『セブンスより連隊各員へ! 今の聞いたね! 第一特務連隊総員、吶喊開始!! 最先鋒の刃となれ!!』
気合いの入った璃佳からの通信に各大隊長は応答し、孝弘達も応答。
遂に首都奪還作戦第三段階が始動した。
その一発目を放ったのは水帆だった。
「さあさあ道を開けなさいバケモノ達。そこのけそこのけあんた達が歩むのは、現世の道で無く地獄へと続く道。私が燃やして送ってあげる! 『太陽炎大爆破』!!」
水帆が発動したのは上級火属性魔法のサンフレイム・エクスプロード。太陽を思わせるような炎が迫ってきていたCTの一群に向かい、着弾と同時に大爆発。三個中隊相当のCTが一撃で一つとして逃さず蒸発する。
これだけでは終わらない。
『重砲及び戦車部隊、一斉砲撃!! 着弾まで三、二、一、今!!』
ほぼ同時にCTを襲ったのは、榴弾砲や自走砲に戦車砲の一斉砲撃。着弾の瞬間、辺り一面に凄まじい爆発音が響き渡り、CTの肉塊があちこちに飛び散っていく。
砲撃、法撃、ミサイル攻撃。号令が送られた瞬間に放った一斉攻撃によって各方面で都心部へへ進む為の第一歩となる道は出来上がった。
ともすれば、やることはたった一つ。
全部隊、前進開始。
九十九里浜南部方面に続き、東京西部及び神奈川横浜方面においても作戦、その第三段階が始まったのである。
一二月四日未明から始まった九十九里浜南部上陸作戦はここまでほぼ予定通りに事が進んでいた。橋頭堡を構築し、茂原方面や大網白里方面に上陸部隊は歩みを進めており、役目を十分に果たしていたのである。
主戦線で首都奪還作戦を担う東京西部方面と太平洋方面軍も、作戦通り号令が出るまで所定の位置で戦闘を繰り広げていた。
ここまでに広げた進出領域を各都市で結ぶと、北から所沢・清瀬・吉祥寺・調布・稲城・百合ケ丘・青葉台・二俣川・戸塚・大船・鎌倉となり、そこから先はあえて進んでいない。敵を誘引する為である。
この部分は既に一二月一日までに奪還した領域であり、日本軍はいかにも攻勢限界点か補給線確立の為の一時停止のように神聖帝国側に思わせ、神聖帝国側は日本軍の思惑通りCTの数を増やして再び押し出そうとしていた。
だが、神聖帝国側は芳しい成果を上げられておらずCTの死体の山を増やすだけ。むしろCTの減り方が以前より早くなっていた。何故ならば、日本軍は首都奪還方面軍の一部実戦部隊に対CT弾を投入していたからである。
この対CT弾。成果は上々だった。実際に対CT弾を使用した将兵からは倒すまでの弾数が減った。急所を狙わずともCTの動きが鈍くなった。大型CTでも斉射で浴びせれば行動停止に追い込めたなどの報告が入っており、その報を聞いた研究開発者達は胸を撫で下ろしていたのは後日談である。
このように来るべき時に備えて力を蓄えつつ待っていた首都奪還方面軍は、号令が出るのを今か今かと待ちわびていた。
もちろん、その中には第一特務連隊や孝弘達もいた。
・・Φ・・
12月4日
午前10時半前
東京都武蔵野市吉祥寺
第一特務連隊展開地域
「孝弘くん、水帆さん! そっちにCT一個中隊相当が追加で出現したよ! 大型が四含まれてる!」
「了解!」
「分かったわ!」
「大輝くん、大型が二、いや三接近! ゴーレムで対処出来そう?」
「任せとけ!」
「三人とも私も援護はするから頑張って! 後ろから追加で戦車が二両来てるからあと少し踏ん張って!」
「戦車二両は有難いな!」
「ホントね! とはいっても分かっててもだけど、朝からこうもひっきりなしだと嫌になるっての! ――『雷槍、一六重射出』!!」
「全くだぜ! 昨日に比べてさらに密度が増えてやがる!」
孝弘達は知花の情報管制のもとで的確にCTを処理していく。
左右には対CT弾を装填したアサルトライフルを持つ海兵隊や第一特務連隊の第一大隊、後方からは榴弾砲や迫撃砲部隊に戦車部隊、空からはフェアル部隊や戦闘ヘリ部隊に戦闘機部隊と火力はこれまでで最も充実している。この吉祥寺付近には戦線内でも精鋭部隊が集まっているがその理由は今の状況が物語っている。各戦線のCTの数は明らかに一日や二日の頃より増えており、その中で吉祥寺は最も増加率が高く時折超大型やエンザリア型まで湧く始末だった。ドラゴンが出てきてないだけマシといった様子である。
しかし、その程度ではへこたれないのが孝弘達。精鋭が精鋭たるゆえんを彼等は果たし続けていた。
『セブンスよりキャスター4。悪いけど号令が出るまでウチの部隊からそっちに手は回せない。君ら主軸で迫るバケモノ共を吹き飛ばし続けて』
『キャスター4よりセブンス。了解しました。この後を差し引いてもまだ十分に余力はあります。引き続き状況を続行します』
『セブンスよりキャスター4。助かるよ。恐らくだけどそろそろ九十九里から連絡があるはず。くれぐれも無理はしないようにね』
『キャスター4よりセブンス。そちらもお気をつけて』
『ありがとう。通信一旦終わり』
知花は通信を終えると、再び孝弘達への情報管制を続ける。倒しても倒しても東から現れるCTの大群に辟易しないといえばウソになるが、知花を含めて四人にとってこの程度であればどうということはない。といった様子だった。
司令部から送られてくる情報は早い上に的確。味方の援護は万全。自分を含めた四人の魔力残存量はまだ八割以上で、水帆に至ってはようやく九割を切ったくらいで作戦に支障はなかった。
(中央から戦線に送られてきた対CT。効果は絶大とまでは言わないけれど、かなり大きいみたいだね。海兵隊の人達も今までより余裕があるし、いいもの送って貰ったって感じかな。)
知花は心中で対CT弾の効果を評価していたがそれは孝弘も同じ。彼もまた正確な射撃を行いながら、
(対CT弾は急所に当たらなくても動きがかなり鈍る。アサルトライフルで大型の突撃を阻めるのはめちゃくちゃ強いな。こっちも当てやすい。)
と、また一発動きが鈍化した大型CTに対物ライフルで一キルを取りながら思っていた。朝からぶっ通しの戦闘で対物ライフルの残弾数を気にしながらではあったが。
孝弘達は戦う。その法撃で、銃撃で、ゴーレムで。第一特務連隊の隊員達も戦う。己の力を出し続けながら。海兵隊員達も負けじとCTを屠っていく。対CT弾という新しくも頼もしい銃弾を放ちながら。
そして。
時刻は午前一一時〇八分。
埼玉方面を除いて前進をほぼ止めており、その間に約一三〇〇の死傷者を出していた首都奪還方面軍約七〇〇〇〇超の将兵達が待ちわびていた瞬間が訪れた。
『立川HQより総員へ通達。九十九里より入電アリ。『海水浴は終わった』繰り返す。『海水浴は終わった』。よって、これより我等反撃の剣を掲げ首都を取り戻す。諸君の奮闘を期待する。以上』
『セブンスより連隊各員へ! 今の聞いたね! 第一特務連隊総員、吶喊開始!! 最先鋒の刃となれ!!』
気合いの入った璃佳からの通信に各大隊長は応答し、孝弘達も応答。
遂に首都奪還作戦第三段階が始動した。
その一発目を放ったのは水帆だった。
「さあさあ道を開けなさいバケモノ達。そこのけそこのけあんた達が歩むのは、現世の道で無く地獄へと続く道。私が燃やして送ってあげる! 『太陽炎大爆破』!!」
水帆が発動したのは上級火属性魔法のサンフレイム・エクスプロード。太陽を思わせるような炎が迫ってきていたCTの一群に向かい、着弾と同時に大爆発。三個中隊相当のCTが一撃で一つとして逃さず蒸発する。
これだけでは終わらない。
『重砲及び戦車部隊、一斉砲撃!! 着弾まで三、二、一、今!!』
ほぼ同時にCTを襲ったのは、榴弾砲や自走砲に戦車砲の一斉砲撃。着弾の瞬間、辺り一面に凄まじい爆発音が響き渡り、CTの肉塊があちこちに飛び散っていく。
砲撃、法撃、ミサイル攻撃。号令が送られた瞬間に放った一斉攻撃によって各方面で都心部へへ進む為の第一歩となる道は出来上がった。
ともすれば、やることはたった一つ。
全部隊、前進開始。
九十九里浜南部方面に続き、東京西部及び神奈川横浜方面においても作戦、その第三段階が始まったのである。
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