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第6章 旧首都・東京奪還前哨戦編
第7話 九十九里浜南部方面上陸作戦開始②
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・・Φ・・
友軍との距離が約三〇〇になった時点で三人は身体強化術式を発動して一気に加速。特に前衛であるアルトは時速約七〇と自動車並みの速度で走り抜ける。
「友軍へ通達。一番敵が迫ってる部分の射線を開けるよう!!」
「あ、ああ、了解!! 射線を開けろ!! 味方が押し通るぞ!!」
「味方だって!? 助かった!!」
慎吾が無線で前方の部隊に連絡すると、すぐさま前にいた海兵隊の部隊はCTが最も接近している所の射撃が止み、アルトが進む通路が出来る。
「ありがとう!! バケモノ共は俺に任せな!!」
味方とすれ違いざまにアルトは獰猛な笑みで言うと、さらに加速。その速さは時速約八〇。高速道路を走る自動車の勢いでCTの前に現れると。
「バケモノ共に葬送の一撃を!!『雷撃一閃』!!」
アルトの得意属性は雷。彼が長槍を横凪ぎすると同時に生じるは雷の光。瞬後、落雷を思わせるような雷鳴が鳴り響く。
アルトの横凪ぎの範囲にいたCTは直撃を受け、丸焦げと化す。
もちろん、それで終わるはずもない。間髪入れず、次の攻撃が行われる。
「一つは二つ。二つは四つ。四つは八つ。八つからさらに分かれよ。風の矢は豪雨の如く降り注ぐ。『暴風矢』!!」
アルトの前面にいたCTに襲いかかるのは、カレンがコンパウンドボウから空に向けて放った一本の矢は二本になり、四本、八本、十六本と増え、頂点に達すると大雨のように降り注いだ。それも、風属性を伴って。
カレンの得意属性は風。コンパウンドボウの特性上、通常の弓より射程距離が長いのだが彼女が放った矢は風属性で射程がさらに伸び、小銃並の射程まで届いていた。
無数の矢は多数のCTに刺さり絶命へと誘う。アルトの周りにいたCTは数をかなり減らしていた。
双子兄妹による凄まじい攻撃は二人が限りなくSランクに近いA+ランクに相応しいものであった。
だが、まだ終わらない。二人が攻撃し、海兵隊の軍人達が射撃を行うなかで慎吾は詠唱のほとんどを終えていた。
「――魔弾よ、僕の故郷を侵す不埒の輩を貫きたまえ。バケモノ共は蜂の巣に。バケモノに相応しき末路を用意せよ。無型三式、『魔弾達の舞踏会』」
慎吾に得意属性は無い。基本五属性はある程度使えるが、応用二属性は使えない。魔法障壁の密度に目を見張る所はあるが、彼の持ち味はそれではない。
彼が得意とするのは無属性。つまりは魔力弾。魔力密度を極限まで練り上げて作られた、純粋な魔力による暴力。
この時発動されたのは一発ではなく複数。それも数十。慎吾が魔法長杖を振り下ろした時、大量の魔弾はCTに襲いかかった。
無属性の魔力弾は『魔弾』の名に相応しく一発足りとも敵を逃さない。全てが必中。計四五発が顕現された魔力弾は四五体のCTを見事屠ってみせたのである。
「僕達で約一〇〇を撃破。でもまだまだ後続が来るよ。慢心せず、確実に。いいね?」
『はいっ!! 先生!!』
三人が援軍として駆けつけた事によりあわや危機となりかけていた前線部隊は反撃へと移る。
慎吾達がいる部隊だけでなく、次々と上陸した陸軍や魔法軍の各部隊も着実に奪還領域を広げていく。
だが、九十九里浜南部方面における上陸作戦はまだ始まったばかり。進んだ先に何が待ち受けているのか、もちろん誰も知るよしもなかった。
友軍との距離が約三〇〇になった時点で三人は身体強化術式を発動して一気に加速。特に前衛であるアルトは時速約七〇と自動車並みの速度で走り抜ける。
「友軍へ通達。一番敵が迫ってる部分の射線を開けるよう!!」
「あ、ああ、了解!! 射線を開けろ!! 味方が押し通るぞ!!」
「味方だって!? 助かった!!」
慎吾が無線で前方の部隊に連絡すると、すぐさま前にいた海兵隊の部隊はCTが最も接近している所の射撃が止み、アルトが進む通路が出来る。
「ありがとう!! バケモノ共は俺に任せな!!」
味方とすれ違いざまにアルトは獰猛な笑みで言うと、さらに加速。その速さは時速約八〇。高速道路を走る自動車の勢いでCTの前に現れると。
「バケモノ共に葬送の一撃を!!『雷撃一閃』!!」
アルトの得意属性は雷。彼が長槍を横凪ぎすると同時に生じるは雷の光。瞬後、落雷を思わせるような雷鳴が鳴り響く。
アルトの横凪ぎの範囲にいたCTは直撃を受け、丸焦げと化す。
もちろん、それで終わるはずもない。間髪入れず、次の攻撃が行われる。
「一つは二つ。二つは四つ。四つは八つ。八つからさらに分かれよ。風の矢は豪雨の如く降り注ぐ。『暴風矢』!!」
アルトの前面にいたCTに襲いかかるのは、カレンがコンパウンドボウから空に向けて放った一本の矢は二本になり、四本、八本、十六本と増え、頂点に達すると大雨のように降り注いだ。それも、風属性を伴って。
カレンの得意属性は風。コンパウンドボウの特性上、通常の弓より射程距離が長いのだが彼女が放った矢は風属性で射程がさらに伸び、小銃並の射程まで届いていた。
無数の矢は多数のCTに刺さり絶命へと誘う。アルトの周りにいたCTは数をかなり減らしていた。
双子兄妹による凄まじい攻撃は二人が限りなくSランクに近いA+ランクに相応しいものであった。
だが、まだ終わらない。二人が攻撃し、海兵隊の軍人達が射撃を行うなかで慎吾は詠唱のほとんどを終えていた。
「――魔弾よ、僕の故郷を侵す不埒の輩を貫きたまえ。バケモノ共は蜂の巣に。バケモノに相応しき末路を用意せよ。無型三式、『魔弾達の舞踏会』」
慎吾に得意属性は無い。基本五属性はある程度使えるが、応用二属性は使えない。魔法障壁の密度に目を見張る所はあるが、彼の持ち味はそれではない。
彼が得意とするのは無属性。つまりは魔力弾。魔力密度を極限まで練り上げて作られた、純粋な魔力による暴力。
この時発動されたのは一発ではなく複数。それも数十。慎吾が魔法長杖を振り下ろした時、大量の魔弾はCTに襲いかかった。
無属性の魔力弾は『魔弾』の名に相応しく一発足りとも敵を逃さない。全てが必中。計四五発が顕現された魔力弾は四五体のCTを見事屠ってみせたのである。
「僕達で約一〇〇を撃破。でもまだまだ後続が来るよ。慢心せず、確実に。いいね?」
『はいっ!! 先生!!』
三人が援軍として駆けつけた事によりあわや危機となりかけていた前線部隊は反撃へと移る。
慎吾達がいる部隊だけでなく、次々と上陸した陸軍や魔法軍の各部隊も着実に奪還領域を広げていく。
だが、九十九里浜南部方面における上陸作戦はまだ始まったばかり。進んだ先に何が待ち受けているのか、もちろん誰も知るよしもなかった。
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