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第2章 富士・富士宮防衛戦
第7話 『富士・富士宮の戦い』富士宮北部防衛戦(1)
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・・7・・
【前線にいたとある将校の日記】
※一部より抜粋
・10月2日
いつかやってくるとは思っていたが、遂にその日がやってきた。
俺がいる富士宮の戦線は比較的落ち着いていたが、約二万のバケモノ共がやって来てしまった。ところがウチのだけじゃなくて富士の戦線には約八万のバケモノ共が来やがったから富士宮から約三千を抽出しなければならなくなった。最初はその話を聞いた時、たったの五千でどうしろってんだよ。と思ったもんだ。
だが、司令部も引っこ抜くだけじゃなかったらしい。援軍を寄越してくれた。
たった四人のな。
でもよ、この四人はとびきりの援軍だったんだ。たった四人で、『鏖殺姫』みたいな超高位魔法能力者の魔法を使って戦ったんだ。
俺はこの目で見たんだ。だからこの日に俺は思った。まずこの戦いじゃ負けないってな。
・・Φ・・
「滅却焔弾豪雨発動! 指定座標へ着弾、三、二、一、ゼロ!」
知花の報告と同時に面制圧の爆発系火属性魔法が着弾。数百メートル四方が焼き尽くされる。
「継続設定四〇秒。水帆、座標を一一時方向へ」
「了解。座標を一一時方向へセット」
多数の魔法陣の向きが少し変わり、孝弘達から一一時方向へ。それに伴って着弾箇所を示す赤い円形もズレていく。
「推定撃破数約三〇〇、三三〇、なおも増加中。米原くん、法撃継続まであと二五秒だよ」
「水帆、残り一五秒で座標を一時方向へ」
「了解したわ。――一七、一六、一五秒。座標を一時方向へ変更」
「大輝、五秒延長いけるか?」
「上級程度なら余裕だぜ。五秒延長アイサァ!」
連結型上級魔法は単発式でもそれなりの魔力を消費するが、継続型となると桁違いに消費量が増える。だが、それはあくまで一般的な魔法能力者の話であり、四人であれば数十分も続けない限り魔力は枯渇しない。五分に延長ならともかく、五秒程度であれば誤差の範囲内だった。
「終了まであと五、四、三、二、一、連結型上級魔法終了! 推定撃破数約五〇〇! 友軍続けて榴弾砲による攻撃続行。さらに回転翼機による三〇ミリ攻撃を再開したよ」
「流石日本軍だ。統率が取れてる」
たった四人で約五〇〇もの敵を撃破する絶大な攻撃によって周辺の友軍から大歓声が上がるが、すぐさま自分達の任務に戻って砲撃や銃撃が再開される。
一五五ミリ榴弾砲の砲撃。
戦線に配置されている十数両の戦車による砲撃。
回転翼機の三〇ミリチェーンガンの砲撃に等しい威力の銃撃。
大型目標に対して周辺の小型目標ごと吹き飛ばす誘導弾による攻撃。
地面を耕すが如く、迫るバケモノ達を吹き飛ばしていっていた。
それだけでは終わらない。
「静岡方面より大型誘導弾三発飛翔。着弾まで四、三、二、一、ゼロ」
知花の報告で孝弘達は静岡方面から飛来する友軍の誘導弾が着弾する様を見る。爆発性の高い爆薬を使ったようで、地上に盛大な花火が上がっていた。
「知花、敵撃破数は?」
「『賢者の瞳』のシステムから最新の共有が入ったよ。ここまでの攻撃で約二五〇〇の敵を撃破。残数、約一五〇〇〇」
「これだけやってまだ一五〇〇〇も残るとは骨が折れそうだなあ……」
「だから私達がいるんでしょ? 敵が迫るまではひたすら法撃をしましょ。私はすぐに取り掛れるわ」
「頼もしいね。頼んだよ水帆」
「任せなさいな!」
前面にいたCTは撃破したものの、後続にはまだまだ地上を埋め尽くすように蠢いている。
それでも四人は動じないし、防衛線の各所にいる兵士達の表情も状況の割にはずっと明るかった。
あの四人がいるから。
流石は第一狂ってる特務連隊から派遣された魔法能力者。
俺達だってやれる。
四人が放った連結型上級魔法は、四人の想定以上に友軍の士気向上に貢献していた。
再び彼我の距離が約四〇〇〇となり、三五〇〇まで迫る。
「さぁ、私の本領発揮よ。――座標セット。目標正面。距離、約三五〇〇」
獰猛な笑みを浮かべたのは水帆だ。
バケモノ達が地雷を踏んで爆ぜるも構うことなく突き進む中で彼女は魔法杖を天高く掲げると、呪文を詠唱し始める。
「空を切り、空を裂くのは我が魔法。先の先を貫き、先の先を射抜くが我が魔法。風は全てを裂き、防ぐ者は無し。数多の風の刃よ、永遠まで届け。我を阻む敵は皆無なり! 死神の鎌が振るわれるが如く、血の華を見せて頂戴な! 『大風刃乱舞、八重追尾射出』!!」
緑白色の魔法陣が八つ現れると、全長数メートルの風刃が射出される。
それらはバケモノの密度が高い所へ追尾式で飛来すると、一挙にいくつものCTが両断されていく。まさに切れぬモノ無しの刃だった。
もちろん、水帆の攻撃はそれだけでは終わらない。雷属性魔法を放った後に水属性魔法を放つことで敵を感電させ威力以上の敵を屠り、氷属性の魔法で動きを止め、孝弘達が動きの止まった敵を法撃で撃破。いくつもの属性法撃を水帆は行っていく。
基本五属性全てを上級魔法まで使いこなす希少中も希少の魔法能力者。それが水帆が『五色の魔法使い』と呼ばれる由縁だ。
「やっぱ水帆ちゃんはすごいね……。私達四人だけで、担当区域に限っては距離約二〇〇〇から寄せ付けてないもん。これでまだ魔力消費量が二割弱だし、魔力効率性も極限まで高めてるし……」
「あっちでも散々見てきたけどよ、こっちに帰還しても健在ってわけだな」
知花は観測を、大輝は補助法撃を行いながら感心する。既に水帆単独で撃破数が約五〇〇を越えているからだ。いくら相手が弱小のバケモノとはいえ、この時点で日本魔法軍におけるエースの撃破数に到達していた。
「これくらいどうってことないわよ。数がバカみたいに多いのが腹立つしキリがないけど、動く的みたいなもんだもの」
汗一つかかず平然と返す水帆に対して知花と大輝は、『五色使い』で膨大な魔力量なんて水帆くらいだし、あれだけ派手にぶっぱなして平気なのは水帆くらいだと思うんだけど。と心中で呟いたのはここだけの話である。
しかし、これだけ散々ド派手に四人で法撃を続け、友軍も懸命に戦っているが敵の数は中々減らなかった。一旦約一三〇〇〇まで減少したものの、後方から第二波が到来したことで残敵数が横ばいどころか約一四〇〇〇まで回復していた。
既に交戦開始から四五分が経過している。このまま全力攻撃が数時間に及べば通常兵器の残弾数が心許なくなり、魔力量の少ない魔法能力者から魔力枯渇による戦闘不能もあるのではないかと考え始める頃だった。『賢者の瞳』に速報が入る。
「米原くん、距離約一〇〇〇〇で大型目標を捕捉。体長約八メートルの超大型CT『オーガ型』が約一五接近中だって。緒戦で少数確認されてる、軍も手こずったらしい大型目標。あっちでいうハイ・オーガみたいな感じかな……」
「このタイミングで超大型目標か……。詳細データは?」
「問い合わせ中だよ。――見つけた。米原くんに送るね」
「ありがとう」
知花から送られたデータを見ると、確かにアルストルムでも厄介な相手だったハイ・オーガにそっくりだった。幾分かバケモノらしく禍々しくなっているものの、ハイ・オーガ自体が禍々しいのでそこは気にしていない。孝弘が気にかけたのは、『オーガ型』と呼ばれるソレの戦力だった。
(小銃弾は効果無効。迫撃砲で若干のダメージ。効果が認められるのは戦車の砲弾で数発直撃でようやく死亡。通常軍なら小隊を捻り潰す敵だし、魔法軍でも小隊総出で当たってギリギリ勝てるかどうか。か。それが一五体となると、迫られたらしんどいな……。既に約一〇〇〇まで迫られていて、一度食い破られれば戦線に穴が開いてそこからやられる。となると、注文していたコイツの出番か……)
孝弘が視線を向けたのは、十分ほど前に戦闘中に届くと言われ本当に届いた『大型の銃』だった。小銃にしては明らかに大きく、対物ライフル程度の大きさがある。
その銃の名は、『二二式対物魔法ライフル』。12.7ミリの魔法弾薬使用の対物ライフルだった。本来用途は人に使わず、対物ライフルでも貫きにくい対象物を攻撃する為に用いられる銃器だ。用途が限られている為少数しか生産されていない代物だが、たまたま使用者がいて予備があった為に急遽孝弘向けに手配されたものだった。
孝弘の視線に水帆が気付く。
「ソレ、使うのね」
「ああ。俺の本職だろ?」
「まあね。孝弘は魔法銃器使いで、あっちでも数少ない魔法スナイパーライフルを使ってたし。でもこんなに大きくないでしょ?」
「魔法対物ライフルなんて無かったからな。でも『賢者の瞳』があるなら楽なもんさ。あらゆる補助をしてくれるし。――知花。司令部へ通達。この範囲内にいる八体は受け持つって伝えてくれ」
「了解したよ」
「大輝、アレらにかかりっきりの間は俺は近い目標を倒せない。水帆と一緒に敵を寄せ付けない為に俺の代わりの法撃役と水帆の法撃管制補助も頼む。あと、既に敵が約一〇〇〇まで接近してるから周辺友軍への魔法障壁展開もよろしく。注文が多くて悪いけど、集中したいんだ」
「おうともさ。その程度なら任せろ」
「さて、と。久しぶりに精密射撃でもやるか」
未だ友軍に目立った被害は無いものの徐々バケモノ達に迫られる最中。
今度は孝弘が本領を発揮する番となった。
【前線にいたとある将校の日記】
※一部より抜粋
・10月2日
いつかやってくるとは思っていたが、遂にその日がやってきた。
俺がいる富士宮の戦線は比較的落ち着いていたが、約二万のバケモノ共がやって来てしまった。ところがウチのだけじゃなくて富士の戦線には約八万のバケモノ共が来やがったから富士宮から約三千を抽出しなければならなくなった。最初はその話を聞いた時、たったの五千でどうしろってんだよ。と思ったもんだ。
だが、司令部も引っこ抜くだけじゃなかったらしい。援軍を寄越してくれた。
たった四人のな。
でもよ、この四人はとびきりの援軍だったんだ。たった四人で、『鏖殺姫』みたいな超高位魔法能力者の魔法を使って戦ったんだ。
俺はこの目で見たんだ。だからこの日に俺は思った。まずこの戦いじゃ負けないってな。
・・Φ・・
「滅却焔弾豪雨発動! 指定座標へ着弾、三、二、一、ゼロ!」
知花の報告と同時に面制圧の爆発系火属性魔法が着弾。数百メートル四方が焼き尽くされる。
「継続設定四〇秒。水帆、座標を一一時方向へ」
「了解。座標を一一時方向へセット」
多数の魔法陣の向きが少し変わり、孝弘達から一一時方向へ。それに伴って着弾箇所を示す赤い円形もズレていく。
「推定撃破数約三〇〇、三三〇、なおも増加中。米原くん、法撃継続まであと二五秒だよ」
「水帆、残り一五秒で座標を一時方向へ」
「了解したわ。――一七、一六、一五秒。座標を一時方向へ変更」
「大輝、五秒延長いけるか?」
「上級程度なら余裕だぜ。五秒延長アイサァ!」
連結型上級魔法は単発式でもそれなりの魔力を消費するが、継続型となると桁違いに消費量が増える。だが、それはあくまで一般的な魔法能力者の話であり、四人であれば数十分も続けない限り魔力は枯渇しない。五分に延長ならともかく、五秒程度であれば誤差の範囲内だった。
「終了まであと五、四、三、二、一、連結型上級魔法終了! 推定撃破数約五〇〇! 友軍続けて榴弾砲による攻撃続行。さらに回転翼機による三〇ミリ攻撃を再開したよ」
「流石日本軍だ。統率が取れてる」
たった四人で約五〇〇もの敵を撃破する絶大な攻撃によって周辺の友軍から大歓声が上がるが、すぐさま自分達の任務に戻って砲撃や銃撃が再開される。
一五五ミリ榴弾砲の砲撃。
戦線に配置されている十数両の戦車による砲撃。
回転翼機の三〇ミリチェーンガンの砲撃に等しい威力の銃撃。
大型目標に対して周辺の小型目標ごと吹き飛ばす誘導弾による攻撃。
地面を耕すが如く、迫るバケモノ達を吹き飛ばしていっていた。
それだけでは終わらない。
「静岡方面より大型誘導弾三発飛翔。着弾まで四、三、二、一、ゼロ」
知花の報告で孝弘達は静岡方面から飛来する友軍の誘導弾が着弾する様を見る。爆発性の高い爆薬を使ったようで、地上に盛大な花火が上がっていた。
「知花、敵撃破数は?」
「『賢者の瞳』のシステムから最新の共有が入ったよ。ここまでの攻撃で約二五〇〇の敵を撃破。残数、約一五〇〇〇」
「これだけやってまだ一五〇〇〇も残るとは骨が折れそうだなあ……」
「だから私達がいるんでしょ? 敵が迫るまではひたすら法撃をしましょ。私はすぐに取り掛れるわ」
「頼もしいね。頼んだよ水帆」
「任せなさいな!」
前面にいたCTは撃破したものの、後続にはまだまだ地上を埋め尽くすように蠢いている。
それでも四人は動じないし、防衛線の各所にいる兵士達の表情も状況の割にはずっと明るかった。
あの四人がいるから。
流石は第一狂ってる特務連隊から派遣された魔法能力者。
俺達だってやれる。
四人が放った連結型上級魔法は、四人の想定以上に友軍の士気向上に貢献していた。
再び彼我の距離が約四〇〇〇となり、三五〇〇まで迫る。
「さぁ、私の本領発揮よ。――座標セット。目標正面。距離、約三五〇〇」
獰猛な笑みを浮かべたのは水帆だ。
バケモノ達が地雷を踏んで爆ぜるも構うことなく突き進む中で彼女は魔法杖を天高く掲げると、呪文を詠唱し始める。
「空を切り、空を裂くのは我が魔法。先の先を貫き、先の先を射抜くが我が魔法。風は全てを裂き、防ぐ者は無し。数多の風の刃よ、永遠まで届け。我を阻む敵は皆無なり! 死神の鎌が振るわれるが如く、血の華を見せて頂戴な! 『大風刃乱舞、八重追尾射出』!!」
緑白色の魔法陣が八つ現れると、全長数メートルの風刃が射出される。
それらはバケモノの密度が高い所へ追尾式で飛来すると、一挙にいくつものCTが両断されていく。まさに切れぬモノ無しの刃だった。
もちろん、水帆の攻撃はそれだけでは終わらない。雷属性魔法を放った後に水属性魔法を放つことで敵を感電させ威力以上の敵を屠り、氷属性の魔法で動きを止め、孝弘達が動きの止まった敵を法撃で撃破。いくつもの属性法撃を水帆は行っていく。
基本五属性全てを上級魔法まで使いこなす希少中も希少の魔法能力者。それが水帆が『五色の魔法使い』と呼ばれる由縁だ。
「やっぱ水帆ちゃんはすごいね……。私達四人だけで、担当区域に限っては距離約二〇〇〇から寄せ付けてないもん。これでまだ魔力消費量が二割弱だし、魔力効率性も極限まで高めてるし……」
「あっちでも散々見てきたけどよ、こっちに帰還しても健在ってわけだな」
知花は観測を、大輝は補助法撃を行いながら感心する。既に水帆単独で撃破数が約五〇〇を越えているからだ。いくら相手が弱小のバケモノとはいえ、この時点で日本魔法軍におけるエースの撃破数に到達していた。
「これくらいどうってことないわよ。数がバカみたいに多いのが腹立つしキリがないけど、動く的みたいなもんだもの」
汗一つかかず平然と返す水帆に対して知花と大輝は、『五色使い』で膨大な魔力量なんて水帆くらいだし、あれだけ派手にぶっぱなして平気なのは水帆くらいだと思うんだけど。と心中で呟いたのはここだけの話である。
しかし、これだけ散々ド派手に四人で法撃を続け、友軍も懸命に戦っているが敵の数は中々減らなかった。一旦約一三〇〇〇まで減少したものの、後方から第二波が到来したことで残敵数が横ばいどころか約一四〇〇〇まで回復していた。
既に交戦開始から四五分が経過している。このまま全力攻撃が数時間に及べば通常兵器の残弾数が心許なくなり、魔力量の少ない魔法能力者から魔力枯渇による戦闘不能もあるのではないかと考え始める頃だった。『賢者の瞳』に速報が入る。
「米原くん、距離約一〇〇〇〇で大型目標を捕捉。体長約八メートルの超大型CT『オーガ型』が約一五接近中だって。緒戦で少数確認されてる、軍も手こずったらしい大型目標。あっちでいうハイ・オーガみたいな感じかな……」
「このタイミングで超大型目標か……。詳細データは?」
「問い合わせ中だよ。――見つけた。米原くんに送るね」
「ありがとう」
知花から送られたデータを見ると、確かにアルストルムでも厄介な相手だったハイ・オーガにそっくりだった。幾分かバケモノらしく禍々しくなっているものの、ハイ・オーガ自体が禍々しいのでそこは気にしていない。孝弘が気にかけたのは、『オーガ型』と呼ばれるソレの戦力だった。
(小銃弾は効果無効。迫撃砲で若干のダメージ。効果が認められるのは戦車の砲弾で数発直撃でようやく死亡。通常軍なら小隊を捻り潰す敵だし、魔法軍でも小隊総出で当たってギリギリ勝てるかどうか。か。それが一五体となると、迫られたらしんどいな……。既に約一〇〇〇まで迫られていて、一度食い破られれば戦線に穴が開いてそこからやられる。となると、注文していたコイツの出番か……)
孝弘が視線を向けたのは、十分ほど前に戦闘中に届くと言われ本当に届いた『大型の銃』だった。小銃にしては明らかに大きく、対物ライフル程度の大きさがある。
その銃の名は、『二二式対物魔法ライフル』。12.7ミリの魔法弾薬使用の対物ライフルだった。本来用途は人に使わず、対物ライフルでも貫きにくい対象物を攻撃する為に用いられる銃器だ。用途が限られている為少数しか生産されていない代物だが、たまたま使用者がいて予備があった為に急遽孝弘向けに手配されたものだった。
孝弘の視線に水帆が気付く。
「ソレ、使うのね」
「ああ。俺の本職だろ?」
「まあね。孝弘は魔法銃器使いで、あっちでも数少ない魔法スナイパーライフルを使ってたし。でもこんなに大きくないでしょ?」
「魔法対物ライフルなんて無かったからな。でも『賢者の瞳』があるなら楽なもんさ。あらゆる補助をしてくれるし。――知花。司令部へ通達。この範囲内にいる八体は受け持つって伝えてくれ」
「了解したよ」
「大輝、アレらにかかりっきりの間は俺は近い目標を倒せない。水帆と一緒に敵を寄せ付けない為に俺の代わりの法撃役と水帆の法撃管制補助も頼む。あと、既に敵が約一〇〇〇まで接近してるから周辺友軍への魔法障壁展開もよろしく。注文が多くて悪いけど、集中したいんだ」
「おうともさ。その程度なら任せろ」
「さて、と。久しぶりに精密射撃でもやるか」
未だ友軍に目立った被害は無いものの徐々バケモノ達に迫られる最中。
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