異世界帰還組の英雄譚〜ハッピーエンドのはずだったのに故郷が侵略されていたので、もう一度世界を救います〜

金華高乃

文字の大きさ
20 / 250
第2章 富士・富士宮防衛戦

第6話 連結型上級魔法発動

しおりを挟む
 ・・6・・
「CT最前方との距離、約九〇〇〇。既に友軍榴弾砲及び誘導弾の射程範囲内。友軍、諸元入力を完了。射撃開始したよ!」

 知花の報告の直後。左右から榴弾砲のけたたましい射撃音と誘導弾の飛翔音が周りに響き渡る。
 さらに四人のいるマンションの上空を武装型の回転翼機と偵察型の回転翼機が合計一〇機飛んでいく。さらに上空には対地爆弾を抱えた戦闘機四機が待機。間もなく対地爆弾で敵を耕そうとしていた。
 そして地上には、時間が許す限り構築された塹壕や有刺鉄線、地雷と魔法地雷が埋められている。それら全ては知花だけでなく孝弘達の『賢者の瞳』で情報共有がなされていた。

「どれだけ敵の数を削れるだろうな……。こっちも準備するか。皆、敵の距離約四〇〇〇で連結型上級魔法を発動する。発動準備の詠唱を」

『了解』

 孝弘の言葉の後、返答した三人から放たれる雰囲気が変わる。知花は発動準備の詠唱に入る前に『賢者の瞳』の通信を使って司令部へ繋げた。

『ホワイトセイジよりFMNFHQ(富士宮北部前線司令部)へ。こちらの連結型上級魔法、火属性爆発系『滅却焔弾豪雨フレイムダウンパワー・ディストラクション』は最前方の敵が距離約四〇〇〇に到達した時点で発動します。よって敵が約四〇〇〇まで到達した時には周辺に回転翼機やドローン等を飛ばさないよう注意勧告を』

『FMNFHQよりホワイトセイジへ。連結型上級魔法の発動タイミングを確認。…………了承。戦術階梯以下の全体に共有します。――共有完了』

『ありがとうございます。距離約四〇〇〇に迫るまでは我々は詠唱と発動で攻撃は出来ません。皆さんの健闘を祈ります』

『了解しました。そちらもお気をつけて。以上』

「情報共有終わったよ、米原くん」

「ありがとう、関。さて、そろそろ詠唱始めるか」

 連結型上級魔法の詠唱準備に取り掛かると四人から魔力が滲み出るようになり、偽装する必要も今回は無い為より強くなっていく。

「魔法陣、展開。孝弘の魔法陣と連結。魔力充填を開始するわ」

「魔法陣、展開。孝弘の魔法陣へ連結。魔力充填を開始するぜ」

「魔法陣、展開。米原くんの魔法陣へ連結。魔力充填を開始するよ」

 水帆、大輝、知花の順で連結型魔法の為に、自身の魔法陣とメインとなる孝弘の魔法陣に連結する。
 連結型魔法陣の手順は今行っている魔法陣の連結、魔力の充填。役割分担する場合は、魔法の詠唱・法撃先の目標管制・魔力供給に分かれる。魔力供給は継続型の魔法については魔力供給を続ける必要があるからである。
 これら管制と充填が終わり、詠唱が完了すれば発動となる。

 このように連結型魔法は手間も時間もかかる反面、威力は高く見た目も派手なものが多いので孝弘は選択したわけだ。
 四人が魔法陣の連結と魔力の充填が完了。次の手順に移る。孝弘が詠唱、法撃管制を水帆、魔力充填と微調整などの補助を大輝と知花が行っていく。

「火は焼き、火は魔をはらう。我等が国土を侵し、我等が故郷に蔓延はびこる有象無象共に誅伐ちゅうばつを。全てを焼き尽くし、全てを灰にせよ」

 孝弘は上級魔法としては過剰な程に言霊を載せていく。
 魔法とは言霊を魔力に乗せ、発動するもの。大体の術式は決まっており、発動する為に必要なキーワードは決まっているが、術式威力を高める為や効率的な発動をする為など様々な理由によって術者によって発動までの呪文は百人百色。今回の場合、近接戦のように短縮詠唱が必須ではなく威力が求められるので、孝弘は威力向上を目的として文言を追加したのである。

「法撃管制、セット。『賢者の瞳』に共有。マップにマーク。座標を固定。孝弘、法撃管制完了よ」

 戦闘機の対地爆弾の凄まじい爆撃音と、回転翼機の機関銃の轟音の中、孝弘は頷きながら呪文を続ける。

「我は守護者。これより先、何人なんぴと足りとも業火ごうかくぐることはあたわず。今ここに、火の豪雨を顕現す」

 呪文の詠唱を完了。法撃管制は完了し、しばらくの間法撃が継続出来るように大輝と知花による魔力の充填も完了した。
 後は術式を口にすれば発動だ。
 孝弘はすぅ、と息を吸うと。

『――滅却焔弾豪雨フレイムダウンパワー・ディストラクション

 数多の赤い魔法陣は現れた。
 CTの大群は対地爆撃をされようとも、機関銃でなぎ倒されようとも、地雷で同胞が吹き飛びうとも、物ともせずに突き進む。当然魔法陣など目もくれず突き進むのだが、バケモノの大群が孝弘達から距離約四〇〇〇に到達した時。

 多数の赤い魔法陣から炎弾の豪雨が降り注ぎ大爆発音が巻き起こった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...