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第2章 富士・富士宮防衛戦
第6話 連結型上級魔法発動
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・・6・・
「CT最前方との距離、約九〇〇〇。既に友軍榴弾砲及び誘導弾の射程範囲内。友軍、諸元入力を完了。射撃開始したよ!」
知花の報告の直後。左右から榴弾砲のけたたましい射撃音と誘導弾の飛翔音が周りに響き渡る。
さらに四人のいるマンションの上空を武装型の回転翼機と偵察型の回転翼機が合計一〇機飛んでいく。さらに上空には対地爆弾を抱えた戦闘機四機が待機。間もなく対地爆弾で敵を耕そうとしていた。
そして地上には、時間が許す限り構築された塹壕や有刺鉄線、地雷と魔法地雷が埋められている。それら全ては知花だけでなく孝弘達の『賢者の瞳』で情報共有がなされていた。
「どれだけ敵の数を削れるだろうな……。こっちも準備するか。皆、敵の距離約四〇〇〇で連結型上級魔法を発動する。発動準備の詠唱を」
『了解』
孝弘の言葉の後、返答した三人から放たれる雰囲気が変わる。知花は発動準備の詠唱に入る前に『賢者の瞳』の通信を使って司令部へ繋げた。
『ホワイトセイジよりFMNFHQ(富士宮北部前線司令部)へ。こちらの連結型上級魔法、火属性爆発系『滅却焔弾豪雨』は最前方の敵が距離約四〇〇〇に到達した時点で発動します。よって敵が約四〇〇〇まで到達した時には周辺に回転翼機やドローン等を飛ばさないよう注意勧告を』
『FMNFHQよりホワイトセイジへ。連結型上級魔法の発動タイミングを確認。…………了承。戦術階梯以下の全体に共有します。――共有完了』
『ありがとうございます。距離約四〇〇〇に迫るまでは我々は詠唱と発動で攻撃は出来ません。皆さんの健闘を祈ります』
『了解しました。そちらもお気をつけて。以上』
「情報共有終わったよ、米原くん」
「ありがとう、関。さて、そろそろ詠唱始めるか」
連結型上級魔法の詠唱準備に取り掛かると四人から魔力が滲み出るようになり、偽装する必要も今回は無い為より強くなっていく。
「魔法陣、展開。孝弘の魔法陣と連結。魔力充填を開始するわ」
「魔法陣、展開。孝弘の魔法陣へ連結。魔力充填を開始するぜ」
「魔法陣、展開。米原くんの魔法陣へ連結。魔力充填を開始するよ」
水帆、大輝、知花の順で連結型魔法の為に、自身の魔法陣とメインとなる孝弘の魔法陣に連結する。
連結型魔法陣の手順は今行っている魔法陣の連結、魔力の充填。役割分担する場合は、魔法の詠唱・法撃先の目標管制・魔力供給に分かれる。魔力供給は継続型の魔法については魔力供給を続ける必要があるからである。
これら管制と充填が終わり、詠唱が完了すれば発動となる。
このように連結型魔法は手間も時間もかかる反面、威力は高く見た目も派手なものが多いので孝弘は選択したわけだ。
四人が魔法陣の連結と魔力の充填が完了。次の手順に移る。孝弘が詠唱、法撃管制を水帆、魔力充填と微調整などの補助を大輝と知花が行っていく。
「火は焼き、火は魔を祓う。我等が国土を侵し、我等が故郷に蔓延る有象無象共に誅伐を。全てを焼き尽くし、全てを灰にせよ」
孝弘は上級魔法としては過剰な程に言霊を載せていく。
魔法とは言霊を魔力に乗せ、発動するもの。大体の術式は決まっており、発動する為に必要なキーワードは決まっているが、術式威力を高める為や効率的な発動をする為など様々な理由によって術者によって発動までの呪文は百人百色。今回の場合、近接戦のように短縮詠唱が必須ではなく威力が求められるので、孝弘は威力向上を目的として文言を追加したのである。
「法撃管制、セット。『賢者の瞳』に共有。マップにマーク。座標を固定。孝弘、法撃管制完了よ」
戦闘機の対地爆弾の凄まじい爆撃音と、回転翼機の機関銃の轟音の中、孝弘は頷きながら呪文を続ける。
「我は守護者。これより先、何人足りとも業火を潜ることは能わず。今ここに、火の豪雨を顕現す」
呪文の詠唱を完了。法撃管制は完了し、しばらくの間法撃が継続出来るように大輝と知花による魔力の充填も完了した。
後は術式を口にすれば発動だ。
孝弘はすぅ、と息を吸うと。
『――滅却焔弾豪雨』
数多の赤い魔法陣は現れた。
CTの大群は対地爆撃をされようとも、機関銃でなぎ倒されようとも、地雷で同胞が吹き飛びうとも、物ともせずに突き進む。当然魔法陣など目もくれず突き進むのだが、バケモノの大群が孝弘達から距離約四〇〇〇に到達した時。
多数の赤い魔法陣から炎弾の豪雨が降り注ぎ大爆発音が巻き起こった。
「CT最前方との距離、約九〇〇〇。既に友軍榴弾砲及び誘導弾の射程範囲内。友軍、諸元入力を完了。射撃開始したよ!」
知花の報告の直後。左右から榴弾砲のけたたましい射撃音と誘導弾の飛翔音が周りに響き渡る。
さらに四人のいるマンションの上空を武装型の回転翼機と偵察型の回転翼機が合計一〇機飛んでいく。さらに上空には対地爆弾を抱えた戦闘機四機が待機。間もなく対地爆弾で敵を耕そうとしていた。
そして地上には、時間が許す限り構築された塹壕や有刺鉄線、地雷と魔法地雷が埋められている。それら全ては知花だけでなく孝弘達の『賢者の瞳』で情報共有がなされていた。
「どれだけ敵の数を削れるだろうな……。こっちも準備するか。皆、敵の距離約四〇〇〇で連結型上級魔法を発動する。発動準備の詠唱を」
『了解』
孝弘の言葉の後、返答した三人から放たれる雰囲気が変わる。知花は発動準備の詠唱に入る前に『賢者の瞳』の通信を使って司令部へ繋げた。
『ホワイトセイジよりFMNFHQ(富士宮北部前線司令部)へ。こちらの連結型上級魔法、火属性爆発系『滅却焔弾豪雨』は最前方の敵が距離約四〇〇〇に到達した時点で発動します。よって敵が約四〇〇〇まで到達した時には周辺に回転翼機やドローン等を飛ばさないよう注意勧告を』
『FMNFHQよりホワイトセイジへ。連結型上級魔法の発動タイミングを確認。…………了承。戦術階梯以下の全体に共有します。――共有完了』
『ありがとうございます。距離約四〇〇〇に迫るまでは我々は詠唱と発動で攻撃は出来ません。皆さんの健闘を祈ります』
『了解しました。そちらもお気をつけて。以上』
「情報共有終わったよ、米原くん」
「ありがとう、関。さて、そろそろ詠唱始めるか」
連結型上級魔法の詠唱準備に取り掛かると四人から魔力が滲み出るようになり、偽装する必要も今回は無い為より強くなっていく。
「魔法陣、展開。孝弘の魔法陣と連結。魔力充填を開始するわ」
「魔法陣、展開。孝弘の魔法陣へ連結。魔力充填を開始するぜ」
「魔法陣、展開。米原くんの魔法陣へ連結。魔力充填を開始するよ」
水帆、大輝、知花の順で連結型魔法の為に、自身の魔法陣とメインとなる孝弘の魔法陣に連結する。
連結型魔法陣の手順は今行っている魔法陣の連結、魔力の充填。役割分担する場合は、魔法の詠唱・法撃先の目標管制・魔力供給に分かれる。魔力供給は継続型の魔法については魔力供給を続ける必要があるからである。
これら管制と充填が終わり、詠唱が完了すれば発動となる。
このように連結型魔法は手間も時間もかかる反面、威力は高く見た目も派手なものが多いので孝弘は選択したわけだ。
四人が魔法陣の連結と魔力の充填が完了。次の手順に移る。孝弘が詠唱、法撃管制を水帆、魔力充填と微調整などの補助を大輝と知花が行っていく。
「火は焼き、火は魔を祓う。我等が国土を侵し、我等が故郷に蔓延る有象無象共に誅伐を。全てを焼き尽くし、全てを灰にせよ」
孝弘は上級魔法としては過剰な程に言霊を載せていく。
魔法とは言霊を魔力に乗せ、発動するもの。大体の術式は決まっており、発動する為に必要なキーワードは決まっているが、術式威力を高める為や効率的な発動をする為など様々な理由によって術者によって発動までの呪文は百人百色。今回の場合、近接戦のように短縮詠唱が必須ではなく威力が求められるので、孝弘は威力向上を目的として文言を追加したのである。
「法撃管制、セット。『賢者の瞳』に共有。マップにマーク。座標を固定。孝弘、法撃管制完了よ」
戦闘機の対地爆弾の凄まじい爆撃音と、回転翼機の機関銃の轟音の中、孝弘は頷きながら呪文を続ける。
「我は守護者。これより先、何人足りとも業火を潜ることは能わず。今ここに、火の豪雨を顕現す」
呪文の詠唱を完了。法撃管制は完了し、しばらくの間法撃が継続出来るように大輝と知花による魔力の充填も完了した。
後は術式を口にすれば発動だ。
孝弘はすぅ、と息を吸うと。
『――滅却焔弾豪雨』
数多の赤い魔法陣は現れた。
CTの大群は対地爆撃をされようとも、機関銃でなぎ倒されようとも、地雷で同胞が吹き飛びうとも、物ともせずに突き進む。当然魔法陣など目もくれず突き進むのだが、バケモノの大群が孝弘達から距離約四〇〇〇に到達した時。
多数の赤い魔法陣から炎弾の豪雨が降り注ぎ大爆発音が巻き起こった。
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